2008年4月29日火曜日

感動の経営 ; 原 邦生

2月14日は、いわずと知れたバレンタインディ。日本中でチョコレートが最も売れる日だとか。
季節はずれの話題で恐縮だが、この本の著者こそが、日本でというか世界でバレンタインチョコを最初に販売したメリーチョコレートの社長である。
この西欧の習慣を上手く自社の販売に繋げた感性は素晴らしいものがあるが、それだけではない。
この本は、著者が毎週1回、社内報に書き続けたコラムを集めたもので、様々なテーマに及んでいる。
当然のことながら、社員向けに書かれたものであるから、経営者から従業員へのメッセージを伝えるために書かれており、これを通して従業員は、経営者の理念を共有していくことができる。また、重要なことは、そのメッセージが身近な出来事、或いは組織改革など転機となる出来事に対して、非常に平易な文章で書かれていることである。
恐らく、社内報で大上段に振りかぶった経営者の提言なんぞ誰も読みたくないのであって、思わず読みたくなるような、文章は心憎いばかりである。文章からは、経営に対する真摯な姿勢、顧客・従業員への愛情がひしひしと伝わってくる。

と、ここまでならごく一般にある経営者のエッセイ集になるのだが、この本にはさらにもうひと工夫がされている。実は、著者が書いた1000文字程度の提言の後に、その内容について、言葉を換え分かりやすく、或いはもっと普遍的一般的な内容に、逆に具体的な内容に書かれた(秘書記)と書かれた文章が挿入されていることである。
これが、素晴らしい。
巻末の解説によると、2名の女性秘書が分担して書いているようであるが、この文章が、全体の内容にさらなる厚みを増す効果をもたらしている。著者の思いが、いかに従業員の中で具現化されているかを表すまさに生きた証拠ともなっている。
社長と秘書のハーモニーでできあがった名著である。

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