2012年8月5日日曜日

2012年7月

今月は出張も多く、ゆっくりと本を読むような時間も無く、またそんな精神状態でもなかった。
中国関係の書籍を何冊か読んだが、「習近平」は今年最大の中国政界事件を逃していたことが残念。事件直後の出版だっただけに、まさに逃したという感じ。
そういえば今月は、道尾秀介と中山七里が二冊ずつありました。
中山氏の本は何れもキャラがしっかりと立っていて、おもしろかった。
今後も期待したい。


001/144
腕貫探偵 残業中」西澤保彦
謎解き公務員シリーズの短編集第二弾。最後の一作は主人公が出てこないという珍しい作品。登場人物たちはそれなりに魅力的。“腕貫氏”の推理もさらに磨きがかかる。(7/4)

002/145
世界経済図説 第三版」宮崎 勇、田谷禎三
勉強ために買った物。様々な経済指標について、新書の1ページを上手く使って、解説が書かれている。十年ごとに版を改め、今回が第三版。一応最新の状況をフォローはしているものの考察はそれほど深くない。若干表面的な印象は否めない。しかしながら、使われている図表のできはかなりのモノと評価できる。とてもわかりやすい。(7/5)

003/146
かなりの偏見とやっかみに満ちたタイトルである。世界史の中では中国人が特別なのではなく、おそらくは我々日本人が特別なのだと思う。世界史の常識は日本人の常識ではない。そのことが理解できないと、こんな本の内容を心底信じてしまうことになる。(7/7)

004/147
やなりいなり」畠中 恵
“しゃばけ”シリーズ。これまでとは少し毛色が変わってきたように感じるのは気のせいか。これまでは“妖”を絡めた“人”の話が中心であったのが、“人”が脇になって、“妖”の話が中心になってきているような気がする。やはり“人の話”を読みたい。(7/7)

005/148
アントキノイノチ」さだまさし
映画にもなった小説。“人の心”をテーマに、遺品整理屋となった主人公の“心”の回復の様を綴る。まさか、こんな小説をかける人だとは思わなかった。元々彼の書く詞は物語のような詞が多く、ストーリーに満ちている。この本を読むと、頭の中では長大な物語ができあがっていて、逆にその物語から、言葉を抽出することで、あの歌詞ができあがっているのではないかと思われる。(7/8)

006/149
中途半端な密室」東川篤哉
著者のデビュー前後の作品集。彼なりのこだわりは垣間見えるが、それほどの完成度の高さは感じられない。そういえば彼は今どこで書いているのだろうか?新作をあまり聞かないのだが。今の時期に、こういった初期の頃の作品集が出回ってくると言うのは、あんまり良い傾向とは思えないのだが。(7/8

007/150
プラチナデータ」東野圭吾
来春映画化されるそうで、改めて読んでみた。ひょっとしたら近い将来に実現するかもしれない怖い未来が描かれている。実際にこのような世界が実現したとして、本当にこんな特権階級が生まれるだろうか、それともそれを阻止できる力は存在するだろうか。(7/8

008/151
なんともはや不思議な物語。あまりの想像通りの幕切れで、できればもう一ひねりほしかったなぁ。(7/14

009/152
贖罪の奏鳴曲」中山七里
彼の書く小説はどれもおもしろい。どうやら同い年のようなのだが、作家デビューは2009年と言うから驚くほど晩生。しかしながら、今のところ外れ作品にはお目にかかっていない希有な作家。音楽を題材にした小説も多いが、まったくその素養がないというのも驚き。この作品でも音楽が大きなきっかけになっている。(7/15

010/153
来週の天津伊勢丹出張を前にたまたま見つけた本。中国でのビジネスの秘訣を軽いユーモアを交えながら書き記したモノ。特に対日感情が悪かった頃なので、その苦労はおそらく相当のモノであったと思う。著者の天性の素質が物を言ったのか。来週の出張が楽しみである。(7/15

011/154
今年に春に出たようだが、重慶の政変をフォローできておらず、かなり間の抜けた中身になっているのは少し残念。著者が産経新聞社の記者なので、内容的には中国政府に厳しい書きぶりになっている。いずれにせよ、いつまでも今のままの政権運営が続けられるとはとても思えない。いつ、何をきっかけに、どのような形で終焉を迎えるようになるのか、予断を許さない。(7/16

012/155
ドラマの原作と言うことで、時間つぶしのため買った本。どの程度、主人公となっている国税徴収官の実態を表しているかは不明であるが、それなりに楽しめた。でもまぁ、毎日があれほどドラマチックだと少々疲れてしまうかも。(7/16

013/156
光媒の花」道尾秀介
主人公が入れ替わる連作の短編集。少し珍しい構成。ただ、同じ人物が次の作品では微妙にキャラクターが変わってしまっていて、若干違和感を感ずる。最初の三作はとても暗くて重い作品となっているが、後半の三作品は、前に明かりが見えるような作品になっており、その点では救われる。(7/16

014/157
四の消費」三浦 展
20世紀初頭からの日本国内の消費の動きを四つのフェーズに分けて解析したもの。どの時代に育ったかによって、世代ごとの消費性向が違うということは容易に想像できる。第四の消費世代のキーワードが社会性つながりシェアだとして、その中に、どうやってビジネスチャンスを求めるのか、第二、第三の消費世代に育った身には、相当に難しいのではないか。(7/16)


015/158
要介護探偵の事件簿」中山七里
彼の著書はどれを読んでもおもしろい。文庫になって書名が変わるのはよくある話であるが、この場合はこのままの方が良かったなと思うのですが。(7/18)

016/159
官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機 」田坂広志
大好きな田坂さんの本です。昨年の福島原発事故の後、官邸に参与として勤務されていた頃のことを振り返って書かれています。内容については、まさに今日本の国民のほとんどが考えていることに近いのではないか。政府はしっかりとこの中身を吟味してほしい。元原子力工学に携わっていた著者としては断腸の思いだろう。(7/22)

 017/160ガール」奥田英明
映画の原作、本当に女性たちはこんな風に考えているのですか、よくわからないけど。(7/22)


 018/161カササギたちの四季」道尾秀介
なんだろう、すこしすっきりしない話のオンパレードで、おもしろいのかそうでないのか、何やらもどかしい感じ。(7/28)


 019/162アンダルシア」真保裕一
映画のノベライズ化、どうやら映画とは違う内容になっているらしい。そういえば映画はつまんなかったような記憶が残っているのですが、筋は全く覚えていない。昔は、おもしろい小説をたくさん書いていたのに、最近はどうも物足りない。(7/29)