2019年3月10日日曜日

2019年2月


2月に入って少し調子を取り戻した感じで、なんとか15冊読むことができました。しかしながら、内訳を見ると小説が12冊、それ以外が3冊となっており、軽めの小説以外はなかなか読み進めていない感じです。

小説が多かったのは理由がありまして、最近今年の本屋大賞の候補作が発表されたので、よしこの10冊を読んでみようと思い立ち実行に移ったという訳で、今月はそのうちの3冊を読んだことになります。

その中でのお薦めの一冊ですが、本屋大賞候補の三冊を押しのけて、私的に一番面白かったのは、ベートーベン捏造です。本文にも書きましたが、史実を基にしているのですが、想像で補われた部分もあって、ノンフィクションとは言いにくく、小説に分類しています。この面白さは読んでいただかないと伝わりづらいのですが、片方の側だけの言葉が書かれている会話ノートをうまく改ざんすることで、そこには書かれていない側の発言や思考を捏造してしまうというとんでもない手口を考えついた人物を取り上げた物語です。とにかく面白かったです。お薦めします。

それ以外では、定番の作家さんが多かったですが、正直これを超える物はありませんでした。

今年に入って、明らかに本を読むスピードは遅くなっています。というのも、時間が十分とれないこと、朝の電車ではほとんど眠ってしまっていることなどいくつもの理由が重なっています。特に、新書やノンフィクションなどの数が極端に減っています。

もう少し時間の使い方を考えないといけませんね、残された時間はどんどん少なくなってくるんだから。


001/008
彼の得意なお仕事小説で、業務内容が私が以前携わっていた仕事に近いので、少しは身近に感じながら読めるかなと期待していたのですが、想像していたより時間がかかってしまった。まぁ、ひとえにこちらに読める体制が整っていなかったことが原因なんですけど。市長が直接現場に出張ってきて、若手職員と携帯電話で直接やりとりしたり、犯罪捜査に手を出したりと、結構荒唐無稽で、オイオイそれはやり過ぎやろと突っ込みどころ満載。まぁ、罪はないけどね。(2/2)

002/009
ロードムービー」辻村深月
10代あるいはそれ以下の少年少女たちの心の動きの描写が絶妙。3編の短編からなる作品集なんですが、彼らの姿がなんか本物っぽい。実際にその年代の人たちが読んだらどう思うのか分からないけど、過去を美化したい年代層には響くんですね。でも実際は、自分が中学生の頃、こんなに強くなれなかったし、こんなに物事を真剣には考えていなかった。(2/3)

003/010
人気シリーズの長編版。短編でも十分面白いのだが、長編になるとさらに面白みが増すとてもお気に入りのシリーズです。今作では、病院の医師が密室の手術室で、透明人間にやられたとしか思えない様子で殺害された事件の謎を主人公の天才医師が解き明かすという物語。しかも容疑者とされたのは同じ病院の研修医。トリックも専門的で医師として活躍する作者ならではの作品です。面白いです。(2/5)

004/011
安定のシリーズ。幼い恋の行方や長年家族の一員だったペットたちの死など、今作でも様々な出来事が一家に起こります。昨年から読み始めたこのシリーズですが、だいぶ追いついてきました。あと少し。(2/9)

005/012
フーガはユーガ」伊坂幸太郎
最近の伊坂氏の小説は妙に読みづらいことが多かったのですが、この作品は少し違った。内容的には最近特にホットで重いテーマを扱っていて、それなりに顔がこわばってしまうことも多かったのだが、タッチは軽妙で、深刻さを感じさせずに読ませてくれます。いつものように結末に向かって、それまでに蒔かれた伏線も次々に回収されていく力量は見事です。今年の本屋大賞の候補作にもなっているようですが、それも楽しみです。(2/10)

006/013
ひとつむぎの手」知念実希人
一流の心臓外科医を目指す主人公が、大学病院内の権力闘争に巻き込まれて、翻弄されていきます。自己中心で上昇志向が強かった主人公が、家族にも助けられて、自分の適性に気づき新しい道に進んでいく決心をします。現役の医者が書かれているので、ある程度辞退を反映しているとは思うのだが、明らかに誇張されているだろうなと思うところも多く、その境界線が分からない身としては、どこまで純粋に楽しんだら良いのかと考えてしまう。単なるエンターティメントとして読めば良いんだと言われても、少しリアル感が出てくると、なかなかそうもいかないんです。変な読者ですね。これも本屋大賞候補作です。(2/10)

007/014
闇の日本美術」山本聡美
日本の古典美術の中でも、特に死や異界を扱った絵画を取り上げ、そこに描かれた世界観や死生観などについて解説を加えています。取り上げられている作品の写真が小さくて、書かれていることが実感を持って頭に入ってこなくて、若干上すべりな気がしたのは残念です。今でこそ私たちの周りは夜でも明るくて、外を見てみても漆黒の闇にはなかなか出会えるものではありません。しかしながら、ほんの百数十年前までは、夜は闇に包まれ、自然が立てる物音しかなかった。怖かっただろうなぁ。(2/11)

008/015
日本の歴史を考える中で、なぞとされていることや評価が分かれていること柄について解説している本です。複数の執筆者が書いているので、全く正反対の記述が書かれていたりと、それはそれで変な楽しみ方のできる本となりました。マニアの方にはちょいと物足りないかもしれませんが、私のようなライトなマニアにとっては、読みやすくて面白い一冊でした。(2/12)

009/016
先日、一巻を読んだんですが、シリーズ化されているとはつゆ知らず、なんとなく時間つぶしように2巻目を借りてきました。元大泥棒の絵描きと三毛猫のコンビが、身近で起こった事件を解決していきます。そしてまた、正体を知る人物も増えていきます。そんなに面白いわけではないけど、この後もシリーズは続いていきますので、しばらくはつきあっていこうかな。(2/13)


010/017
この本は、どこで紹介されていたんだろうか。全く覚えていないんだけど、めちゃめちゃ面白い一冊でした。形式的にはフィクションの形式を取っていますが、ほぼ史実を元にした小説で、元々は作者の論文であったものを修正したものだそうです。内容としては、ベートーベンの秘書役を務めていた主人公が、主の偉大さと二人の関係性をさらに誇張するためにある物を捏造し、書物にしていくという物語です。ご存じのようにベートーベンは結構早い時期から、耳が聞こえなくなっており、他者と会話するために、ノートを使って筆談をしていました。面白いことに彼は発声はできたようで、ノートには相手方の言葉だけが残されていたそうです。そこでこの主人公はベートーベンの死後、残された膨大な量のノートに、加筆することによって主の生涯を捏造していきます。現在では残されているノートのどの部分が加筆されたものか、ほぼ解明されているそうです。この本の中では、実際はこうだったんだろうという物語に、主人公が捏造に手を染めて、どのように生涯を改ざんしていったのかという過程が物語形式で書かれています。とても面白くて、ほぼ一日で読み切りました。ベートーベンに全く興味の無い方にも強くお薦めします。(2/17)

011/018
日本の人類学」山極寿一・尾本恵市
山極総長と言えば、ゴリラ研究の大家というイメージしかないんですが、本書では霊長類学の大家として分子人類学者との対談です。わたしゃ人類学という学問が、大きく文化人類学自然人類学に分かれているなんて知らなかったよ。文系の身にとっては、文化人類学は、なんとなく想像できて興味もありますが、両者を統合した人類学という学問分野については、想像がしづらい。これらを統合したら、どんなことが起きるのだろうか。なんか難しいなぁ。(2/19)

012/019
ブロードキャスト」湊かなえ
イヤミスの女王が描く青春小説。ミステリ要素もなく心がざらつくようなイヤな感じもありません。中学の陸上部で活躍し、進学後の活躍を目指して望んだ高校入試発表の帰り道、交通事故に巻き込まれてその希望が砕かれてしまう。そして流されるまま入った放送部だったはずが、いつの間にかその面白さに魅了されていく。ああ、青春だなぁ。(2/22)


013/020
30センチの冒険」三崎亜記
彼の描く不思議な世界を満喫させてくれます。ある日突然に迷い込んだ不思議なルールに支配された世界。長さを測る術が失われてしまい、自分の居場所が特定できない屋外では移動の自由が失われ、すぐ目の前に見えている人にすら近づくことができない世界。これは何を示唆しているのか不明なのですが、記憶を失ってしまった道や自由に飛び回る本、通り過ぎる町を破滅に追い込む鼓笛隊など彼の作品に登場する不思議が、本書の中でもふんだんに登場します。結末は想定したとおり、ハートウォーミングな形で良かったです。(2/23)


014/021
短編集とも三つのエピソードで構成される長編とも言える作品。というのも今回起きる事件は一件だけ、あとはメディカルミステリらしく症状から病原を探るという内容になっているため、全体で一つの小説のようにも見える。医学の素養は無いけど面白いです。文句なしに楽しめる一冊です。(2/24)

015/022
さざなみのよる」木皿泉
本屋大賞の候補作第三弾です。ご夫婦で脚本を書いてらっしゃるんですね知りませんでした。道理でいかにもドラマ化できそうな作品でした。主人公(?)というか、本作の中心となる人物がいるのですが、彼女は物語の第1話で亡くなってしまい、その後は彼女の周りにいる人たちが一人ずつ順に中心となって一つの物語が描かれます。これまでに出会ったことが無い面白い構成で、なんかこれでワンクールの連続ドラマができあがるな、と思ったのですが、そういうことだったのね。(2/26)