2013年8月4日日曜日

2013年7月

 今月はついに10冊までダウンしてしまいました。あまりまとまって本を読む時間がとれない一月でした。
 内訳は小説が4冊、その他が6冊となっていますが、うち小説には2組、上下巻となった物があったので、冊数で言えば計12冊となります。
 小説では、最近話題の百田さんの本を初めて読みました。テレビの構成作家らしく、盛り上げどころを知っているという印象を受けました。また、別の作品も読んでみたいと思います。マイクル・クライトンの新作が二度と読めないのは本当に残念です。私の中では、外れがない、絶対裏切られることがない作家の一人です。
 小説以外では、“酒”に関する本が3冊あります。その中では半世紀以上前に書かれた“日本の酒”という本に感銘を受けました。図書館で借りて読んだのですが、できれば手元に置いておきたい、そんな本です。

001/130
信長の城」千田嘉博
織田信長は生涯にいくつかの城を作ったが、それは当時の常識を覆す画期的な城でした。その集大成が安土城となるわけですが、実はこの城の全容は未だ解明されていません。著者は、現在の通説に対して異説を唱えており、読むだけで夢が膨らむ。願わくは、素人にも判りやすく図版をもう少し増やしてくれればありがたかったかな。(7/9)

002/151
私だけのふるさと作家たちの原風景」毎日新聞夕刊編集部、 須飼 秀和
毎日新聞に4年に渡って連載された200編の中からの選りすぐりの40編です。生まれた土地、幼少期、学生時代を過ごした土地など思いの先は様々である。故郷のよさは一度離れて相対化しないと見えてこない、故郷の悪口は気兼ねなく言える。挿絵もすばらしいです。 (7/10)

003/152
マイクロワールド(上)(下)」マイクル・クライトン、リチャード・ブレストン
彼の遺作の一つである。とにかく何を書かせてもおもしろく、これまでに書かれた作品に外れは一つも無い希有な作家。それだけに惜しまれる。この作品はクライトンの原稿と原案に、他の作家が手を加えた物で、クライトンのオリジナルとは言えないかもしれないが、この着想は彼ならではの独創性に溢れる作品です。(7/13)

004/153
日本の酒」坂口謹一郎
半世紀前に書かれた日本のお酒に関する著書で、当初岩波新書で出された物が近年岩波文庫で復刻されたという珍しい本である。日本酒の製造方法を詳しく説明するほか、その味の秘密についても詳しい。最近のほんの様に上っ面の評であるとか、無味乾燥の文章とは違い情緒溢れる文章は、何度も読み返したい。(7/14)

005/154
夢を売る男」百田尚樹
話題の作家の本を初めて手に取る。これまで作品ごとに全く違ったジャンルで書かれていたようで、これ一冊で評価することはできないと思うが、これだけ文学界や出版業界をこき下ろす本を出版しようという根性がたいした物である。次はどれを読んでみようか。(7/15)

006/155
ビール会社の社員が書いたビールに関する蘊蓄。印象はそれほど、、、(7/16)

007/156
彼女の新シリーズなのだが、“しゃばけ”シリーズとは人間の登場人物が違うだけ。後のモティーフはほぼ変わりなし。どうなんだろう、こんな作品を書く必要があったのだろうか。疑問。(7/20)

008/157
星新一のショートショートを題材にとったエッセイ集。かつて星が書いた未来の世界が、知らぬ間に実現してしまっていることを改めて知らされる。とりわけ、遺伝子や生命工学の世界での進歩が著しい。私たちが知らないうちに、どんどん謎が解明され、技術が進んでいく。気をつけないと、行き過ぎてしまうのではないかと心配になる。星も数多くの作品の中で警鐘を鳴らしていることを改めて実感する。(7/21)

009/158
天佑なり(上)(下)」幸田真音
最近脚光を浴びている高橋是清についての一代記。ブームに乗って、誰かが彼を題材に小説を書いているだろうと思っていたにもかかわらず、ほとんど書かれていなかったことに驚いていたところ、幸田の作品が出ると言うことで楽しみにしていた。以前、何かの本の感想でも書いたことだが、デビュー作以上の作品がなかなか書かれない非常に残念な作家のままである。題材としてはおもしろいと思うのだが、どうもそれを活かせていないように思う、残念。(7/28)

010/159
これも、日本酒に関する蘊蓄本で、酒蔵(地方の酒蔵、大手酒造メーカー)、酒販店、居酒屋など酒に関わる様々な業態で働く人物に対し、それぞれが日本酒について思うことをインタービューして語らせている。また、現在の日本酒の衰退には、それぞれが大きな責任があるとし、その将来を憂いている。この本が書かれた10年前にくらべて、最悪のストーリーには至っていないが、それでも先行きは決して明るくない。この本の中では、行政の責任はほとんど触れられていない。それほど期待もされていないと言うことだろうか。何とか一矢を報いたい。(7/31)