2013年2月3日日曜日

2013年1月


今月は、21冊のうち小説は9冊、とはいえうち一冊としているのは、「ソロモンの偽証3部」なので、計23冊と言うことになるのでしょうか。
本当ならもう少し硬派の書物にも手を伸ばしたかったのですが、しっかりと読む時間も確保できず、短時間に読める本か細切れの読める本についつい傾いてしまいました。
小説としては、『ソロモンの偽証』文句なくおもしろかったです。また映画の原作となった『のぼうの城』も想像以上におもしろい本でした。
ノンフィクションでは、三浦しをんさんの随筆が2冊ありますが、彼女の場合小説以上に随筆はおもしろい。やや破天荒ではありますが。
それ以外では、新書を何冊か読みました。これは“短時間”“細切れ”読書の典型で、通勤、出張の車中、機中を利用して読みふけった物です。新書というだけあって、近刊の物も気になりますが、それ以上に時代を超えて読み継がれていく新書もあって、今月読んだ中では“貝と羊の中国人”はとてもおもしろかった。中国物に関しては昨年の尖閣騒動以来、全てをリセットして考えないといけない様な気がしており、それまでに大量に出版されている“中国モノ”は、今のところ読む気にはなれません。それだけに、過去に出版されながらも、今なお読み継がれている“中国モノ”は、今こそ読む価値ありなのではないかと思っております。


001/001
9条どうでしょう」内田 樹、平川 克美、町山 智浩、小田嶋
昨年の総選挙で自由民主党が大勝し、またぞろ憲法改正への胎動が始まった。本書の中で4氏が述べられているとおり、憲法とは国家権力に対して掛けられた歯止めであり、過去その名の下に犯された数々の犯罪を抑止するために創られたものである。従って、国家権力側が“統治しやすく”するために憲法を変えようなどと言うことは言語道断である。9条云々というより、そんな当然のことに改めて気づかせてくれる本年一冊目の本でした。(1/1)

002/002
いやぁ、おもしろかった。足かけ10年で雑誌に連載された全三巻の大作。一冊当たり約700ページ。そんな長さを感じさせない早さと深さ、久しぶりに堪能した。読む方も大晦日から二年越しで読ませていただきました。いろいろな人の感想を読むと評価も様々のようで、確かに“こんな中学生はおらんで!!”とは思うものの、それはそれほどの傷ではない。また、読み進むほどに結末が何となく見えてくるのだが、それはあえて承知の上で、その間の登場人物達の心の動きを丁寧に書き綴ることで、却って結末への興味をかき立てるすばらしいできになっている。さすがに「このミステリーがすごい!2013」の第二位でした。こうなると一位が気になりますね。(1/3)

003/003
「日本の『宗教』はどこへいくのか」山折哲雄
これは自分のことを棚に上げてあえて謂うのだが、日本人が“宗教”というものにある種の胡散臭さをもち、あえてそれを忌避しているのが不思議でならなかった。上述のように私自身もそうなので、人ごとではないのだが。巷間謂われているように、欧米社会における倫理観はウェーヴァーが書いたごとく、プロテスタンティズムに由来する。イスラム社会は言わずもがなであり、世界の国々の中では、日本と中国のみがそういった宗教に基づく倫理観を持たない国として名高い。“宗教はアヘンだ”といった考え方がその根底にあって、自然とそれを忌避する体質が身についてしまっている。そしてそのことが、倫理観の欠如として表出している。“日本の宗教がどこへ行くのか”というより“宗教を持たない日本社会の未来はどこへ行くのか”問うてみたい。(1/5)

004/004
特に当てなく借りてきてしまった。彼女の初期の作品はとてもおもしろかったが、今作品はなんだか、最後まで主人公の一人語りで進むせいか
どこまでも嘘っぽさがつきまとい、途中に挟まれる“著者の独白”も全くその効果を見せていない。“藍色のベンチャー”は、おもしろかったのになぁ。(1/5)

005/005
貝と羊の中国人」加藤 徹
採取型経済の象徴である“貝”と狩猟型経済の象徴である“羊”。“貝”は貨幣を意味する文字となり、“羊”は気高い精神性を意味する文字と結びついた。貝は本音、羊は建て前である。秦から現在の中華人民共和国に至る政権についても考察を加え、様々な切り口で“中国”と言う国を理解するための手がかりを提示してくれている。もちろん書かれていること全てが正しい訳ではないだろうが、思わず納得させられる内容である。(1/5)

006/006
手強いかと思っていたが、非常に読みやすくわかりやすい。専門的な言葉もたくさん出てくるが、結論が明快であるため、頭にすうっと入ってくるのはありがたい。なく年末に成立した自民党政権では、インフレターゲットを定めることを明言している。本書に書かれていることがどれほど実現できるか判らないが、現在のデフレ、過度な円高が過去の政策のミスであるならば、今回の自民党政権の責任は非常に重い。果たしてやり通せるか。その傷みに国民耐えていけるか。(1/6)

007/007
わずか7行のあらすじから生まれた2つの小説。著者と劇団のコラボテーションから生まれた新しい試みの小説だそうです。大変彼女らしい文字使いとストーリー展開です。ただ特殊能力を持つ主人公でありながら、あまりにも薄っぺらすぎて残念である。こんな能力を持ちながら30年も生きてきて、あれっぽっちとはとても残念。(1/6)

008/008
テレビドラマで大ブレークとなったが、シリーズも三作目となり作品の質も目を覆わんばかりに下がってしまった残念な作。どうやらこれで打ち止めになったのかなと思うが、どうなのだろうか?(1/7)

009/009
傍聞き」長岡弘樹
以前から気になっていたのだが、たまたま図書館で見かけて借り出すことができた。消防士や警察官などを主人公にした短編を集めた物で軽いミステリー仕立てになっている。事件謎を解くと言うより、事件の裏側にある“なぜ?”を解き明かす形になっており、短いながらも読み応えがある小説である。同様の作品集が出ているようなので、機会があれば読んでみたい。(1/9)

010/010
2011年3月、福島県を襲った大惨事(今も続く)への対応を最前線で担った当時の内閣官房副長官であった著者が、当時を振り返って書いたものである。正直この手の本は、意図するかしないかに関わらず自らを正当化しようという意識が働くため、どこまで内容に信頼が置けるのか評価が難しい。しかしながら、人類が未だかつて遭遇したことのない危機に対して、よくやったのではないかと私は考えている。世の中の誰も(現政権も含めて)が、彼ら以上に“上手くやれた”とは到底思えない。願わくは、この経験が“次また起こる災害“へ活かせることを望みたい。(1/11)

011/011
神君家康の密書」加藤廣
戦国時代の舞台にした中編小説集。信長、明智、秀吉ときて家康と戦国時代を彩る役者が出そろう。著者は75歳で第一作を著したそうだ。いやはや驚きである。(1/12)

012/012
公務員革命」太田肇
公務員と謂うだけで世間からバッシングを受け続けると、どんなに優勝で意欲に燃えた公務員であっても、その意気を維持し続けることは至難の業である。本当に公務員を上手く使おうとするならば、今の手法は決して正しくないと思う。もちろん我々公務員が、襟を正し本来の使命にもう一度立ち返り、全うすることが必要である。そうすれば、きっとこの国は良くなる。(1/12)

013/013
私が語りはじめた彼は」三浦しをん
今をときめく人気作家が、およそ10年前に書いた連作短編集。デビュー3年目くらいか、まだ20代半ばらしく触れただけでざっくりと切れてしまいそうな危うさを感じる。蘂手の作品に登場する一人の男性がいるのだが、彼は話にはほとんど出てこず、すべてその周りにいる人物を語り手にして、物語は続く。形式はおもしろいのだが、内容がドロドロとしているだけに、イマイチついて行けない。(1/13)

014/014
のぼうの城」和田竜
いやぁ、おもしろかった。話題の映画の原作ということで、興味本意で読んでみたのだが、主人公があまりに魅力的に描かれており、映画への興味をかき立てられる。豊臣秀吉の小田原攻めの裏側で、こんなおもしろい合戦があったとは不覚にも全く知らなかった。映画の原作と聞いたときには、フィクションかと思っていたのだが、当時の資料を踏まえつつ、大胆に登場人物のキャラクターを創出するなど見事としかいいようがない。(1/14)

015/015
どこまで日本農業の現状を描ききれているのかは判らないが、耕作放棄地の所有者としては、今の農政にありがちな“農家性善説”に立っていないところには共感できる。今の日本農業を疲弊させた張本人の一人は我々農家であることは確実である。本書では、様々な問題点を挙げ、一応の解決策を提案されているが、今度は“市民性善説”ともいうべき若干荒唐無稽な対策を挙げている。日本ではいわゆる“市民革命”を経験しなかったため、“市民”というものが生まれなかった。このことは非常に残念であるが、一方でそれが“日本らしさ”を形成していると言うのも事実である。ない物をねだっても仕方がない。今から“市民社会”を創出することを解決策にしてもらっても、戸惑うばかりである。(1/14)

016/016
昨年よく売れた本らしいので、早速手に入れたものの、こういうノウハウ本を読むのもどうかなぁ、と思う時期に重なってしまったので、ついつい読みそびれてしまっていた。内容的には。著者が思うところの“効率的な仕事のこつ”を並べ上げたもので、参考になることもあれば、どうかなぁと思うことも相半ばする。でもこれは良いなと思うことをいくつか。“『とりあえず』ではなく『まず』と言ってみる”、“オフィスでは真ん中を歩く”、“(会話では)話をかぶせない”、“他人の時間を無駄にしない”、“相手が大切にしているものを知る”、“『あいつは使えない』は敗北宣言と考える”(1/14)

017/017
なんだかおかしいなと思いながら読んでいたのだが、どうやら一度読んだ本だったらしい。今や誰もが中国市場で“一山当てたい”と思っている時代であるが、どうもそれは、それほど簡単ではなさそう。“こうすれば良い”という処方箋が書かれているわけではないが、やってはいけないことは何となく判ってくる。しかしながら、彼の国との関係は、経済だけではない、さらに不可避の要素があり、安定的に良好な関係を保ち続けることは難しい。(1/16)

018/018
妄想炸裂」三浦しをん
10年前くらいに書かれた著者のエッセイをまとめた物。まさに“炸裂”。(1/19)

019/019
空海と日本思想」篠原資明
とても難解で読み通すのにひと苦労。決して難しい言葉が使われているわけではないが、独特の言葉遣いで、意味を取りにくい感じ。(1/24)

020/020
間抜けの構造」ビートたけし
“間”というのは本当に不思議な言葉で、他の国では同様の概念はなかなか見あたらない。過去にも多くの人が“間”について持論を展開されているが、本書も“漫才師”であり“映画監督”である著者が、持論を展開する。ただ、目新しい話が書かれているわけではなく、過去に何処かで目にしたような話に、ややデフォルメされた“実話のような逸話”が挿入される。短時間でさっと読める、息抜きには良いかも。(1/26)

021/021
植物図鑑」有川浩
なんとまぁ、べた甘で気恥ずかしくなるような小説。噂には聞いていたが何ともはや、である。ただ、作中に頻出する様々な野草(“野草”という名の草はないそうですが)料理は、なかなか魅力的で、どうにかして食べてみたいなと思わせる。(1/27)