2012年5月1日火曜日

2012年4月


今月は順調に読む時間がとれたこともあって、25冊。今年に入って100冊を越えました。
しばらくは文学作品が多かったのですが、ぼちぼちビジネス書や簡単な専門書、それと先月あたりから昨年の大震災をテーマにした本を手にするようになってきました。
5月に入ってもこの傾向は続き、文学作品は少しずつ減っていくのではないでしょうか。
ということで、今月読んだ本の中で良かったのは、小説では『ステップ』でしょうか。この著者には珍しい父と娘の物語ですが、“オヤジ”にはグッときます。
その他の分野では、『国際共通語としての英語』には考え方を改めさせられました。きっと普通の人には自明のことなのでしょうが。それから畑村氏の『勝つための経営』は予想通りおもしろかったです。また『民法改正』は、今や新書でこんな内容の本が出されているという現実にも目を開かされました。もちろん、わかりやすくておもしろかったです。

001/078
大震災以降、いろいろな言葉が世間を席巻している。その中で、詩人でもある著者にとっては、個別の“死者”が語られる言葉が乏しいことを憂いている。しかしながら、その状況は憂えうべきことなのか、単に時代の流れがそうさせているのではないか。関東大震災や太平洋戦争の頃とは情報伝達の手段が全く違うわけで、そんな状況の中で、数十年前と単純に比較しても仕方がないのではないか。本当の地獄では声を出すことすら難しいのでは。(4/1)

002/079
チヨコ」宮部みゆき
“はずれのない”著者の不思議な感じのする小説ばかりを集めた短編小説集。やや難解な小説もあって玉石混合という感もこれあり。(4/4)

003/080
弾正の鷹」山本兼一
信長を中心に彼をターゲットにする刺客たちの物語。信長自身の登場場面は少なく、彼を憎む人たちの心証を通じて信長像を浮かび上がらせようとしている。直木賞を受賞するまでに書かれた歴史小説集らしいが、彼の書きぶりの原点をみるような。(4/4

004/081
戻る男」山本甲士
タイムスリップというからにはSF小説だろうと思って読んでいると大きな間違い。取り消してしまいたい過去、忘れてしまいたい過去であっても、しれはそれで“あったもの”として正面から受け止めなければ行けないものである。反省することはあっても、決して後悔するべきことではない。(4/7)

005/082
ステップ」重松清
一歳の娘を残して妻が亡くなった後、その娘が小学校を卒業するまで男手一つで育てた父親の物語。残された者の悲しみもさることながら、逝ってしまった者はその哀しみを訴えることすらできない。ただ想像することしかできない。(4/13

006/083
縦糸横糸」河合隼雄
高名な心理学者であり元文化庁長官でもあった著者が新聞紙上に連載していたコラムをまとめたもの。時期は1996年頃から2001年にかけてで、私自身が国内を不在にしていた時期にも重なっており、当時の社会情勢や世情の動きを知る上でも、とても興味深い一冊。特にこの頃は神戸市での小学生殺害事件などの少年による凶悪犯罪、和歌山のカレー事件などの無差別殺人など、世間に大きなショックを与えた事件が数多く起こっており、心理学者の支店から様々な考察を加えている。(4/14

007/084
NHK中国語講座を担当していた著者が10年ぶりに過ごすことになった北京市内での生活をかつてとの対比をしながら綴るエッセイ集。これが書かれた頃からすでに10年近くが経とうとしており、さらに急激な変化が起こっていることだろう。おそらく今年は中国へも何度か足を運ばなければいけないと思うが、わくわくする気持ちと恐ろしいと思う気持ちが半々。(4/14

008/085
毎度ながら彼女が人を見る目は優しい。心が疲れたときにはぴったりとくる。ただ、こうやって“頑張らなくてもいいよ!”と言われると“そうだ!頑張ろう!!”と言う気になるのはなぜなんだろう。(4/14

009/086
3・11複合被災」外岡秀俊
これ一冊を読むのに、約2週間もかかってしまった。難解な内容だったわけでもないのに、新書にしては分量が多く、電車の中で読んでいたこともあって時間がかかってしまった。昨年の震災後相次いで出された関連本の一つで、元新聞記者の目でその後の一年間を丁寧に記録した物。そういったこともあって、ほとんど著者の試験を挟むことなく、事実が淡々と記録されている感じ。特に原子力発電所災害については、その評価が難しく、現時点での批判より、後世にその判断を委ねようという姿勢が見て取れる。(4/14

010/087
かのこちゃんは小学生の女の子、マドレーヌ夫人はその飼い猫。それぞれが暮らす社会の中で起こった出来事をファンタジックに描写する。かのこちゃんとその家族のほのぼのとした暖かさが伝わる。さて、最後にマドレーヌ夫人はかのこちゃんの元に帰ってきたのでしょうか。(4/15

011/088
銀行総務特命」池井戸潤
都市銀行の内部での不祥事に目を光らせる総務部特命担当の物語。物語の中に出てくる銀行内部の悪人たちは本当に“悪”。実際にこんな奴らがいるとしたら、そんな会社とはおつきあいしたくないな。(4/15

012/089
国際共通語としての英語」鳥飼玖美子
久しぶりに、読んだ後“目から鱗が落ちた”一冊。今や、英語を話す人の数は英米の人口を晴香に凌駕しているわけだから、ネイティブの発音や慣用句にこだわる必要はない。“コミュニケーションができる”ことを主眼にするのなら、自ずと勉強の仕方も変わってくる。“脱ネイティブ信仰”。(4/15

013/090
民主党政権がしゃかりきになって進めようとしている“TPP”について、反対の立場から述べた書籍。TPP参加によるメリットがほとんどないことは何となく判ったが、読み進むにつれ徐々に感情的な記述が鼻につき、最後は後味の悪さが残った。(4/18

014/091
水の柩」道尾秀介
一応彼の最新作なのかな?デビューの頃のわかりやすい作品とは違い、最近の小説は懲りすぎて判りづらい。この作品、最後は悲劇に終わるのかと観念していたが、ちゃんと救いのある結末でほっとした。(4/21

015/092
刑事の子」宮部みゆき
昔々別のタイトルで出されていた小説を中学生向けの装幀で出したという再出版物。確かに昔読んだ記憶がある。あっさりしすぎて物足りないが。(4/21

016/093
警官の条件」佐々木譲
「警官の血」の後日譚。彼の話はスピード感もあっておもしろい。ただ最後に主人公を死なせてしまったのはいただけない。できれば生きて語ってほしかった。(4/22

017/094
民法改正」内田貴
あの旧態依然とした不磨の大典である民法の改正が、これほど熱い議論になっているとは知らなかった。よく考えてみれば我々が30年前に学んだことがそのまま現在でも通用してしまうと言うのは、嬉しいようであるがこの変化の激しい時代においては“異常”と言うべきであろう。今回の民法改正への動きも、社会のグローバル化の動きと密接に関係があると言うことも、この本を読んで初めて知った。この世界へも時々帰ってこないと、行けないと言うことに改めて気づかされる。(4/24

018/095
県庁おもてなし課」有川浩
これでもかと続く土佐弁のオンパレード。高知県庁という役所を舞台にしたラブコメでありながら、我々が取り組んでいる地域活性化のための一つの提言書ともなっている。高知県に限らず役所の中での常識は世間では通用しないことが多い。言葉一つにしてもそうだ。この意識を変えるのはマネジメントのリーダーシップなんだろう。頑張らなければ。(4/28

019/096
愛娘にさよならを」秦建日子
刑事雪平シリーズの最新刊。相変わらず野性的で格好良い。今後はこの娘の成長に合わせて話が進んでいくのだろうか。期待したい。(4/28

020/097
魔女は甦る」中山七里
何ともはや、おぞましい事件。途中で主要なキャラが突然消えてしまうのは残念。ラストシーンはスピードもあっておもしろいが、ちょいと薬が効きすぎではないかいな。いっそ火でも吹いたらどう。(4/28

021/098
ええもんひとつ」山本兼一
殺伐とした江戸末期の京都を舞台にしたほのぼのとした良い話。頭を休めるにはちょうど良い。(4/29

022/099
畑村さんの本は本当にわかりやすくておもしろい。今のような仕事をしているとこういった視点で考え、接しなければいけないとつくづく思う。さらに重要なことは、“現地、現場、現人”という氏独自の考え方。机上で考えるだけでは無く、あらゆる場所に足を運び、話を聞き、いろんなものを見て、自分の頭で考えなければいけない。“考えること”(4/29

023/100
英文法、ネイティブが教えるとこうなります」デイビット・セイン、森田修
英語を勉強するにネイティブへの信仰は止めようとは思いつつ、以前に買っていた本を改めて手に取った。書かれている英文法のほとんどは中学校時代に習った物。最初はそれほど難しくはないのだが、誰もが躓くポイントという物があるようだ。私の場合は“時制”の感覚がうまくつかめずに進んでしまったという記憶がある。この本の中でも“時制”と“不定詞、動名詞”“仮定法”“使役動詞”を丁寧に読んだ。何れも日本語には無い概念で、このニュアンスをつかむには、ネイティブの感覚は必要かと思う。それにしても難しい。(4/30

024/101
もう少し若い世代に向けて書かれた本で、かなり極端なことが書かれている。おそらくそうしなければ“若者には受けない”からだろうと思う。氏の言葉を借りるなら、ここに書かれていることの全てを信じてはいけないわけで、この情報を基に自分で考えを巡らさなければいけない。ただこれから就活をする学生さんに第3章だけはお勧めしたい。10分もあれば読めるので、どこかで手に取ることがあれば是非読んでほしい。(4/30

025/102

渋沢栄一 100の訓言」渋沢健

渋沢栄一が残した文章から少しずつつまみ食いして作った本。原文だけにしておけば良いものを、変な現代語訳をつけて、編者のコメントなんぞを入れるからややこしい。魅力が半減している。残念。(4/30