2012年12月1日土曜日

2012年11月


今月は24冊のうち18冊が小説と、相変わらずその比重が高い。内容は鉄板の間違いない作家による著作が多かったと思うが、今月は京都を舞台にした新進作家の小説を何冊か読んだ。なかなか次回作も是非とも読んでみたいと思わせるような物がなかったのは残念。今月はこれぞという本には巡り会えなかったが、主人公の女性が魅力的だった「武士道シリーズ」と「和菓子のアン」はなかなか楽しく読ませていただきました。

001/221
天使の囀り」貴志祐介
内容的にはかなりブラックはホラーまがいの小説。気持ち悪くなるような描写はあるが、最後まで気をそらさない筆運びはさすがである。(11/3)

002/222
大延長」堂場瞬一
彼の警察小説は何冊か読んだが、もう一方の特徴であるスポーツ物はこれが初めて。夏の甲子園の決勝戦が延長再試合となったところから小説はスタートする。これでもかというくらいドラマが用意されていて、いっぱいいっぱいになってくるのだが、それはそれなりに楽しめる。ほかの小説もこんな感じなのだろうか。(11/3)

003/223
彼の本は久しぶり、昨年の大震災以降に書かれた物で、復興への提言も少し触れられている。また将来への提言として、税制の大改正、あるいは財政の削減のための公務員の2割削減も提言されている。公務員の数を減らせという声はあちらこちらから聞こえてきて、誠に肩身が狭い思いをしているが、本当に公務員を2割、3割減らすことを本気で言っているのだろうか?ここではあまり多くを語らないが、失業率に与えるインパクトもそうなものと思うのだが、それへの対処はどう考えるのだろうか。(11/3)

004/224
京都の古風な喫茶店を舞台にしたプチミステリ。もう少し京都の地名が出てくるかと期待していたのだが、そこまでは至らず。なぜか京都人がほとんど出てこないというのも、これまた変な感じ。この作者も京都大学出身で、今は寺院勤務?とか。一体何者。(11/4)

005/225
これも京都物と言うことで読んでみたのだが、舞台が京都である必然性は全くなし。サブタイトルに『恋する乙女、先斗町通二条上ル』とあるのだが、これはいったいなんじゃ?どこにこんな地名が出てきた?全く印象に残っていない。(11/4)

006/226
なにやら妖しい小説の数々。(11/10)

007/227
盤上の夜」宮内悠介
囲碁、将棋、麻雀などボードゲームを題材にした短編小説。そしてこの作者は、競技者では無く、コンピューターのプログラマだとか。いくつか、おもしろいという書評を読んだので借りて読んでみたが、どうにも私には合っていないような感じ。(11/10)

008/228
官僚の責任」古賀茂明
昨年、現職の官僚でありながら内部批判の声を上げて、有名になった人。今ではどこかの市長さんのブレーンもしているとか。描いてあることは、ほぼ正しくて、頷ける部分もあるのだが、いかんせん、この手の書物にありがちな鼻持ちならぬ自慢話が多すぎる。こればかりは、どうにもならないもんなのかねぇ。(11/12)

009/229
ひまわり事件」萩原浩
彼の本は初めてだったろうか?それとも2冊目くらいか。隣接する老人ホームと幼稚園の相互交流に端を発した大騒動を描いた物で、登場人物が結構魅力的。老人たちも幼稚園児たちもいわゆる“良い人”“よい子”ではなくて、それとなくひねくれていて、こまっしゃくれていて、最後まで楽しく読める。特に最後の数ページはほろりとさせる好い結末になっている。(11/12)

010/230
人気シリーズの第二弾。場面は前作最終の少し前までさかのぼる。前作同様魅力的な二人の主人公が交互に独白する形で話が進む。続編にも期待。(11/11)

011/231
人生激場」三浦しをん
これまた、自由奔放なおもしろいエッセイ。なかなかの達人とは聞いていたが、これほどとは。度肝を抜かれた気分。(1113)

012/232
ドラマにもなった第二弾。今回はいくつかの話が同時並行で進む長編仕立てとなっている。どうもこの作者には、特定の政党に対する強い嫌悪感があるようで、なかなかの描かれ方をしている。(11/17)

013/233
禁断の魔術」東野圭吾
今回の4つの短編では、科学を使ったトリックの証明ではなく、主人公の湯川が人の心理について深い考察をし、科学はその一面に光を当てることに終始している。いつからかこのシリーズの傾向が変わってきていたが、今回はそれが如実に表れているように見受けられる。(11/17)

014/234
ロスト・シンボル(上)(下)」ダン・ブラウン
“ダヴィンチ・コード”“天使と悪魔”に続く第三弾。相変わらず驚くほどの知識を総動員して創られた物語は、まさに息もつかせぬストーリー運びで時間の経過を忘れてしまう。次もまた新たな謎に関わる大活劇はあるのだろうか。(11/22)

015/235
クジラの彼」有川浩
これまた珍しい自衛隊モノのラブロマンス集。さすが彼女ならではの取材力に裏打ちされた物語はリアリティーも高いうえに、思わずほろりとさせられる。これまでに彼女が描いた小説のサイドストーリーも何作か含まれていて、それもまた楽しい。(11/23)

016/236
相変わらず歯切れの良い“浜節”である。一時の円高円安で一喜一憂するな。まさにその通りであって、“円安=善”、“円高=悪”という固定化された考え方は、明らかに今の経済情勢には合っていない。確かに世界に冠たる“ものづくり国家”を否定するものではないが、そこから得られている富は今や主流ではない。現実を正しく見極める目を持ちたい。(11/23)

017/237
超思考」北野武
彼がまじめにエッセイを書いているとはこれは知らなかった。彼の考えは今の世の中では大勢ではないが、聞かされると大きくうなずける。すべからくこうやって書かれた本の中身が全て本心を吐露しているとは思わないが、それにしても何ものにも執着しないこの心の持ちようは何だ。本当に不思議な人だ。(11/23)

018/238
タイム・ラッシュ」神永学
彼の創設は初めて読みました。なんちゅうか、これは確かに受けそうな小説だ。続編を読みたいと思えるかというと、どうだろうか。しばし考える。(11/23)

019/239
さらば!財務省」高橋洋一
所詮役人が描いた暴露本。この手の本にありがちな手柄話と自慢話のオンパレードが続く。そして、小泉=竹中路線の大絶賛。確かに読み物としてはそれなりにおもしろいし、飽きさせない展開になっている。“改革”は必要だが、所詮彼らはそれを“政治”の道具にしただけで、必要な本丸には全く切り込まず、若者や弱者を切り捨てただけの“功績”しか残さなかった。そしてこの人物がまたぞろ“野党の首相候補”としてゾンビのように復活する。(11/23)

020/240
武士道エイティーン」誉田哲也
第三弾、完結編(?)。結局主人公の二人の間では決着はつかず。それでも後味は爽やかで満足感あふれる内容。途中で挟まれるいくつかのサイドストーリーも楽しい。主人公の彼女は再び剣道を始めることはあるのだろうか。将来を想像することも楽しみである。(11/24)

021/241
和菓子のアン」坂木司
書店の店頭に平積みされていたのを買った物。先週の朝日新聞の書評にも取り上げられていて、文庫化されてからさらによく売れているらしい。デパ地下の和菓子屋さんというおもしろい設定で、登場人物はいずれも個性豊かな面々で、主人公も魅力的。この作者は自分の作品をどこかで微妙に関連づけるのがお好きなようで、ちょいとほかの作品も覗いてみたくなる。(11/24)

022/242
不祥事」池井戸潤
銀行内部のどろどろとした人間関係を巡る銀行内の不祥事に敢然と立ち向かうスーパーレディーを主人公とした短編集。まぁ何事もこんなに上手くは運ばないと思うけど。(11/25)

023/243
実さえ花さえ」朝井まかて
江戸時代の植木商が主人公の物語。これまで呼んだことのない作家の本で、たまたま図書館で見かけて借りてきたもの。こういった時代物は、時間の流れが比較的緩やかで、良い感じで読めるのがありがたい。スピード感あふれる小説もおもしろいが、こういったゆっくりとした小説も良いものだ。(11/25)

024/244
京都の地名がタイトルになっているので買ってみたものの何じゃいなこれは。あまりに凝りすぎて、読んでいる方は頭が混乱してどっと疲れてしまうような感じ。まぁよくできた小説なのだろうが、あまりお薦めは、、、(11/26)

2012年11月3日土曜日

2012年10月


今月は24冊と久しぶりに順調に読み切ったような気がします。そのうち小説が17冊。相変わらずその割合が高いですが、後半はなぜか新書をしゃかりきになって読んだのですが、何れも図書館で借りた物。さすがに勝手まで読もうという気になった物は少なかった。
その中では「本当のことを伝えない日本の新聞」はとてもおもしろかった。海外の記者から見ると、日本のマスコミというのはどうも変わっているらしい。記者クラブというというシステムも彼らには理解不能と言われている。彼らが機能を果たしてこそ、健全な民主主義は守られる。そういえば昔、「表現の自由」と「知る権利」は民主主義の根幹であると教えられた。あの頃は自分もマスコミ志望だったよなぁ、と懐かしく思い出した。


001/197
中国化する日本與那覇  
非常に興味深い一冊。元々中国は世界の中の先進国であって、文化的にもはるかに進んでおり、まさに世界の中の“中華”であった。いわばかつてのグローバルスタンダードは中国にあった。その中国の物の考え方を理解することは、世界を理解することにつながる。おもしろい一冊である。(10/1)

002/198
素人がいっぱい」新野剛志
なんというかお気楽な小説だけど、あまりに御都合主義になっていないか。まぁ、その程度のお話なのかもしれないが、もう一ひねり。(10/6)

003/199
火車」宮部みゆき
著者の最初のヒット作。今から20年以上昔の本だが、今改めて読み返しても本当におもしろい。その後は推理小説以外の分野で習作を連発するが、こういったミステリももっと書いて欲しい。(10/7)

004/200
転迷」今野敏
シリーズ4作目。やや強引な展開が目についてくる。シリーズ最初の頃の緊張感は徐々に薄れてくる。(10/7)

005/201
本当の舞台裏ってどんなんなんだろう。もし本当にこんな風に正社員と準社員(アルバイト)との間に確執があるような職場なのだろうか。もしそうなら、あまりに悲しい。(10/8)

006/202
子供の抱える諸問題を物にしてきた作家だそうなのだが、今ひとつ流れるようには読めない残念なポルタージュ。大震災後に心に傷を受けた子供たちのために専心するお医者さんがたの姿が上手く書けていない。なんか表現が薄っぺらい。(10/9)

007/203
神去なあなあ日常」三浦しをん
今が旬の作家。三重県の山奥にある山村を舞台にした山林労働者のお仕事小説兼兼青春小説。おそらくは架空の土地である神去村の大自然をこれでもかと叙述しようとするのだが、いかんせん私の想像力が欠如しているのか、その雄大さが心までは伝わってこない。本当ならもっと壮大かつ勇壮な映像が目に浮かぶはずなのだろうが、残念。(10/10

008/204
歴史の中の大地動乱」保立道久
昨年の東日本大震災で、にわかに注目を浴びた貞観地震を始めとする平安時代の地震を歴史資料から読み解いたもの。
10/12

009/205
館島」東川篤哉
著者の初期の長編推理小説、何となく途中からトリックが読めてしまう展開。キャラクターも例によって軽めで、本格推理とはほど遠い。当時から一貫してこの路線を貫いているところはすばらしいが、ここらで一発本格的な(推理)小説が一本欲しいな。(10/13)

010/206
ルドレン」伊坂幸太郎
不思議な小説。それぞれ独立した短編集なのだが何となく連作短編集のようにも見える。最初の頃のおもしろさがほとんど消えてしまっていて、とても寂しい気がする。いろいろと実験を繰り返しているのだろうか。次回作が待たれる。(10/13

011/207
鋼の魂」仁木英之
僕々先生シリーズの最新作。今回は家族、親子の絆がテーマの長編。「子供に明日を見せること。それが親の仕事」という台詞が光る。例によって登場人物がどんどん増える。主人公の弁が全く成長していかない設定には、少しがっかりする。あまりに間抜けに見えてしまうのは残念。(10/14)

012/208
空白の桶狭間」加藤廣
これはトンでも歴史小説。「桶狭間の戦いは無かった」というトンでも説があるのは聞いたことがあるが、それを題材にした小説で、これはどの程度まじめに読めば良いのか、司馬遼太郎のセンなのかそれとも山田風太郎か。(10/14)

013/209
ユリゴコロ」沼田まほかる
読んでいるうちに気持ちが重くなる何やら不思議な小説。最後の展開は何となく予想された展開。これまた親子の愛なのか。うううぅん。ちょっと違うような気がする。(10/16)

014/210
ロマンス小説専門の古書店“アゼリア”を舞台にしたライトミステリー。残念ながら古書籍自体が何かの鍵を握るという小説ではなく、少しがっかりする。彼女の小説はかなり以前に一冊読んだ記憶があるが、タイトルも定かでは無い。軽く時間をつぶすには良いかも。(10/20)

015/211
漫画の原作になり、さらに映画化もされたらしい。全く知らなかったが、どちらかというとハードなアクションミステリーを得意とする著者には珍しい作品。主人公もなかなかに魅力的で、さらに続編、続々編もでているそうな。これは読んでも良いかも。(10/20)

016/212
海の底」有川浩
海底から巨大生物の襲来!自衛隊マニアが描くパニック小説。主人公の彼女はとても良いですね。やたら反抗する少年の描き方は、なんだか痛々しい。そこはやっぱり限界なのかなぁ。(10/24)

017/213
話の運びが雑なわけではないと思うのだが、何やらとても理解しにくい設定が続く。一応この著者の作品は全部読んでいるはずなのだが、その中では少々物足りない作品。タイトルとなっている静おばあちゃんそのもののキャラクターは好感が持てるのだが、何が足りないんだろうか、はたまた何が多いのだろうか。(10/27)

018/214
バッテリー」あさのあつこ
とても評判になった作品を、時間を隔てて読んでみた。どうもこの主人公は好きになれない。続編も書かれているようであるが、続きを読みたくなるような感想は持たなかった。私の好みって、やっぱずれてるのかなぁ。(10/27)

019/215
第三閲覧室」紀田順一郎
評論家だと思っていたら、作家でもあったのね。全く知りませんでした。しかもミステリ作家だったとは。話の中には稀覯本がこれでもかと出てきたり、書籍についての蘊蓄がこれでもかと語られたりと、ついつい注意がそちらに向いてしまう。ただどうも人物の描写はどうにもいただけないなぁ。(10/28)

020/216
本当のことを伝えない日本の新聞」マーティン・ファクラー
今年読んだ新書の中では、ぴかいちのでき。それが日本人の作品では無いというのがいかがなものかと思う。以前から日本のマスコミのありようについては、本来のあるべき姿とはほど遠いと言われ続けてきた。実際のところ、どの新聞を読んでもニュースソースはリリース物ばかりだし、記者や社としての考えはほとんど明確にされない。取材能力もお寒い限りとしか言いようが無い。残念ながらこの本一冊でそれが変わる物ではないと思うが、彼我の相違を見るたびに羨ましく思う。(10/28)

021/217
中国人エリートではなく、日本びいきの中国人エリートの一部、と言った方が正しい。最初からバイアスがかかっている人たちを対象に聞き取りをしてもどうなんだろうかと思う。確かにサンプルはかなり多いけど、もっと厳しい意見があってしかるべきではないか。(10/30)

022/218
世襲議員のからくり」上杉 隆
フリージャーナリストの上杉氏の鋭い告発。まだ麻生さんが首相をしていた頃の出版であるが、状況はそれほど変わっていない。むしろ、まさかあの政権投げだし困ったちゃんが再登板してくるとは世も末である。今のこの政治システムを早く是正しないと、本当に大変なことになってしまう。(10/30)

023/219
よくまぁこんな都市伝説ばかりを集めて新書にできるものである。まぁ都市伝説が生まれるにはそれなりの社会背景があるわけで、それはそれで研究に値するテーマではある。ただどうしてもこの手の本になると、おもしろおかしく自虐的なネタが続いてしまうのは、誠に残念。(10/30)

024/220
君はポラリス」三浦しをん
感動の恋愛短編集らしいが、やや期待はずれ。世間的には受けるんだろうか?判らん。(10/30)

2012年10月1日月曜日

2012年9月


今月は、中国ネタの本が3冊ありました。その直後に例の反日デモが勃発して、何か良くない物を呼んでしまったかと、気分が悪くなってしまいました。ところで、今月読んだ本の中では、『重力とは何か』が、結構おもしろかったです。本文にも書きましたが、最近“科学”を一般向けにわかりやすく書こうとしている本、特に新書がよく目につきます。この本もその中の一冊かと思いますが、なかなかおもしろかったです。結構分厚い本だったのですが、それほど時間をかけずに読むことができました。今月読んだ中では、一番のお薦めです。


001/177
幻想即興曲」西澤保彦
ミステリなのだけど解決編は存在しない。最後に謎解きはされるのだが、それが真実であったかどうかは明らかにはされないという不思議な作品。そういう意味ではかなり実験的。(9/2)

002/178
ルーズベルトゲーム」池井戸潤
社会人野球とそのチームを抱える企業の物語。この不況下でどこの企業も企業内スポーツチームの運営から離脱を始めている。かつては社会人野球であったり、バレーボールチームであったり、企業の名前を聞いて、即座に特定のスポーツ種目が連想されたものである。もう一度そんな時代が来ないものだろうか。(9/6)

003/179
中国人およびその社会とのつきあい方のバイブルとなる本。中国人が書いているだけにとてもわかりやすい。今の日中の政治問題はどこに原因があったかを探る手がかりともなる。お互いが理解し合うことが大切だと思うが、あくまで“し合う”ことが重要で、どちらかが一方的に折れるものでもないと思う。本当に難しい。(9/7)

004/180
これはまた、地方の地域リーグに所属するプロ野球チームの物語。苦しい経営の実態が描かれているが、何よりもこの作者、ほとんど野球というスポーツを知らないのではないか。ルールを知らないままに書いているため、つまらないところで躓いてしまう。せめてもう少し野球のことを勉強してから書いた方が良かったのに。編集者もしっかりチェックして欲しいものである。(9/9)

005/181
日本通の作者の著書ではあるが、さすがに前半の内容は中国の一方的なご都合が優先される。後半になってようやく冷静な分析も垣間見えるが、それも一瞬。この2つの大国は、どこまでも理解し合えないまま年を重ねていくのだろうか。そして結局のところ、如何にあらがったところで、日本はこの大国に飲み込まれていくのではないだろうか。(9/9)

006/182
中国は東アジアをどう変えるか」白石隆 ハウ・カロライン
相変わらず、独りよがりで理解しづらい。とても優秀で我々には理解できないくらいの知識や考察が頭脳に詰まっているのだと思うが、あまりに難解。これをもっと平易な言葉でわかり易く書いてくれると、読者としては嬉しいのだが、きっと無理なんだろう。(9/11

007/183
流星の絆」東野圭吾
久しぶりに手にしました。だいたいのあらすじは覚えていたのだけれど、結末はどうだったか覚えていなかったので、改めて読み返したものです。本作はちょうど直木賞を受賞した頃の作品で、“ノッテル”感が伝わってくる良い作品だと思います。ただ、冒頭の事件から現在に至るまでの14年間が、思い切って省略されていることが若干歯がゆい。もしそれがあったらもっと深みがあったようにも思えるし、あればあったで冗長なような気もするし、これはこれで良かったのかな。(9/15)

008/184
浦島太郎の真相」鯨統一郎
何ともお気楽な一冊。昔話の真相を推理する課程はとてもおもしろく、ひょっとしてそうなのかもと思わせるところがおもしろい。特に親子の情であるとか、庶民と権力者の葛藤が投影されているという発想は、既存の物なのだろうかそれとも独創なのか、非常に興味があるところである。(9/16)

009/185
サブタイトルにある“受動的攻撃”と言う言葉は初めて聞いた言葉で、誰にも思い当たる節があるのではないか。誰かのあの行動は実はこれだったのか、と思う反面、自分がとったあの行動はひょっとしてこれが根底にあったのではないかと思わせるところがあってドキっとする。(9/16)

010/186
一年近く前に予約してようやく図書館から借り出すことができた。一気に読んだのだが相変わらずおもしろい。京都、奈良、大阪に次いで今度は琵琶湖が舞台になっている。コンセプトが“プリンセストヨトミ”に近いところがあるなぁと思いながら読んでいたのだが、それもまた良いのかな。さぁ関西圏ではあと兵庫、和歌山が残っていますが、次はどうするのでしょうか。(9/16)

011/187
蜜蜂のデザート」拓未司
読んでいて、胸焼けがするくらい“スウィーツ”の話が出てきます。この作者も“このミステリーがすごい大賞”の受賞者で、その受賞第一作なのだが、どうもこの賞の傾向として、最後のどんでん返しを過重にやり過ぎているようで、この作品も最後に何度も“えっ”と思わせるスピード感ある展開となっているが、この場合若干やり過ぎじゃねぇかと思わせられる。前半でしっかり書かれていない人物が“実は”とやられても、読んでいる方はかなり引いてしまう。まぁ、エンターティメントとしてはおもしろいのだけど。(9/17)

012/188
苦役列車」西村賢太
困ったなぁ、一体どういう小説なんだろうこれは。どう評価すれば良いのか、わからない。さらにこれが映画化もされるらしい。どこをどう映像化するのか。これを映像化できる脚本家、演出家ってどんな人なんだろうか。(9/17)

013/189
ジパング島発見記」山本兼一
彼の書く小説は、何れも私の趣味によく合っていて好きなのですが、この本は少し相性が悪かったかなという感じ。戦国時代の日本にやってきた西洋人の視点から書かれた連作小説なのだが、もっと思い切って創作に入るか、主人公を3、4人に絞って、中編小説を並べた方が良かったのでは、さらにそれらが少しずつ重なっていればなお良かったと思う。おしい。(9/17)

014/190
夢違」恩田陸
発売と同時に書店に平積みにされていて、早く読みたいと思っていたところ図書館で偶然ばったり手にすることができた。若干SFちっくなサイコミステリ。途中から若干ストーリー展開に想像がつくところもあったが、とてもおもしろく最後までほとんど一気に読み切ってしまうくらい。(9/22)

015/191
ロンドンオリンピックを前に文庫が書店に並び、とても気になっていた一冊。ある事件を挟んで、その後とその前のストーリーを交互に配置し、最後はそれらが一つになってクライマックスへ向かうという、少々おもしろい構成になっている。決して読みづらくなく、この順番で読むからこそおもしろいという絶妙の配置。(9/24)

016/192
重力とは何か」大栗博司
結局難しすぎて、重力の正体を理解することはできなかった。途中までは何とかついて行けたのだが、理系素人の身には、なかなかハードである。ではあるが、最近の傾向として、この手の理系の科学者が、一般向けに書き下ろす新書が多く発行されて、我々のような者にも身近に感じられるようになっているのは、大変ありがたい。特に、この幻冬舎新書に多いのが特徴である(ハズレもあるけど)。(9/27)

017/193
天命の扉」武藤武文
期待して読んだのだが、どうもイマイチ。県議会議場で登壇中の県議が射殺されるというミステリなのだが、動機も凶器もいくら読んでもよくわからない。あまりに読者をないがしろにしていないか。期待した方が悪いのだろうか。(9/29)

018/194
この作者は、来年のNHK大河ドラマの主人公となる新島八重についての第一人者だそうである。正直言って私の知識には全く欠如している一群の一人で、改めて幕末の会津藩の悲劇と彼女らの献身に感動を覚える。(9/29)

019/195
あぽやん」新野剛志
お仕事小説。成田空港にある旅行会社のカウンターが舞台。何事も起こらないのが当たり前、何かが起こるとドラマになる。(9/29)

020/196
境遇」湊かなえ
いろいろな書評を読むとかなり酷評されているようであるが、どうやらこの小説はドラマの原作になることが前提で書かれた物であるらしく、なるほどねと思わせる場面が随所に現れる。それにしてこの作者、“告白”以来、習作は描くものの、徐々にそのパワーが薄れてきてついにはこんな小説まで書くようになってしまったかと、つい落胆してしまう。次作には期待したい。(9/30