2012年10月1日月曜日

2012年9月


今月は、中国ネタの本が3冊ありました。その直後に例の反日デモが勃発して、何か良くない物を呼んでしまったかと、気分が悪くなってしまいました。ところで、今月読んだ本の中では、『重力とは何か』が、結構おもしろかったです。本文にも書きましたが、最近“科学”を一般向けにわかりやすく書こうとしている本、特に新書がよく目につきます。この本もその中の一冊かと思いますが、なかなかおもしろかったです。結構分厚い本だったのですが、それほど時間をかけずに読むことができました。今月読んだ中では、一番のお薦めです。


001/177
幻想即興曲」西澤保彦
ミステリなのだけど解決編は存在しない。最後に謎解きはされるのだが、それが真実であったかどうかは明らかにはされないという不思議な作品。そういう意味ではかなり実験的。(9/2)

002/178
ルーズベルトゲーム」池井戸潤
社会人野球とそのチームを抱える企業の物語。この不況下でどこの企業も企業内スポーツチームの運営から離脱を始めている。かつては社会人野球であったり、バレーボールチームであったり、企業の名前を聞いて、即座に特定のスポーツ種目が連想されたものである。もう一度そんな時代が来ないものだろうか。(9/6)

003/179
中国人およびその社会とのつきあい方のバイブルとなる本。中国人が書いているだけにとてもわかりやすい。今の日中の政治問題はどこに原因があったかを探る手がかりともなる。お互いが理解し合うことが大切だと思うが、あくまで“し合う”ことが重要で、どちらかが一方的に折れるものでもないと思う。本当に難しい。(9/7)

004/180
これはまた、地方の地域リーグに所属するプロ野球チームの物語。苦しい経営の実態が描かれているが、何よりもこの作者、ほとんど野球というスポーツを知らないのではないか。ルールを知らないままに書いているため、つまらないところで躓いてしまう。せめてもう少し野球のことを勉強してから書いた方が良かったのに。編集者もしっかりチェックして欲しいものである。(9/9)

005/181
日本通の作者の著書ではあるが、さすがに前半の内容は中国の一方的なご都合が優先される。後半になってようやく冷静な分析も垣間見えるが、それも一瞬。この2つの大国は、どこまでも理解し合えないまま年を重ねていくのだろうか。そして結局のところ、如何にあらがったところで、日本はこの大国に飲み込まれていくのではないだろうか。(9/9)

006/182
中国は東アジアをどう変えるか」白石隆 ハウ・カロライン
相変わらず、独りよがりで理解しづらい。とても優秀で我々には理解できないくらいの知識や考察が頭脳に詰まっているのだと思うが、あまりに難解。これをもっと平易な言葉でわかり易く書いてくれると、読者としては嬉しいのだが、きっと無理なんだろう。(9/11

007/183
流星の絆」東野圭吾
久しぶりに手にしました。だいたいのあらすじは覚えていたのだけれど、結末はどうだったか覚えていなかったので、改めて読み返したものです。本作はちょうど直木賞を受賞した頃の作品で、“ノッテル”感が伝わってくる良い作品だと思います。ただ、冒頭の事件から現在に至るまでの14年間が、思い切って省略されていることが若干歯がゆい。もしそれがあったらもっと深みがあったようにも思えるし、あればあったで冗長なような気もするし、これはこれで良かったのかな。(9/15)

008/184
浦島太郎の真相」鯨統一郎
何ともお気楽な一冊。昔話の真相を推理する課程はとてもおもしろく、ひょっとしてそうなのかもと思わせるところがおもしろい。特に親子の情であるとか、庶民と権力者の葛藤が投影されているという発想は、既存の物なのだろうかそれとも独創なのか、非常に興味があるところである。(9/16)

009/185
サブタイトルにある“受動的攻撃”と言う言葉は初めて聞いた言葉で、誰にも思い当たる節があるのではないか。誰かのあの行動は実はこれだったのか、と思う反面、自分がとったあの行動はひょっとしてこれが根底にあったのではないかと思わせるところがあってドキっとする。(9/16)

010/186
一年近く前に予約してようやく図書館から借り出すことができた。一気に読んだのだが相変わらずおもしろい。京都、奈良、大阪に次いで今度は琵琶湖が舞台になっている。コンセプトが“プリンセストヨトミ”に近いところがあるなぁと思いながら読んでいたのだが、それもまた良いのかな。さぁ関西圏ではあと兵庫、和歌山が残っていますが、次はどうするのでしょうか。(9/16)

011/187
蜜蜂のデザート」拓未司
読んでいて、胸焼けがするくらい“スウィーツ”の話が出てきます。この作者も“このミステリーがすごい大賞”の受賞者で、その受賞第一作なのだが、どうもこの賞の傾向として、最後のどんでん返しを過重にやり過ぎているようで、この作品も最後に何度も“えっ”と思わせるスピード感ある展開となっているが、この場合若干やり過ぎじゃねぇかと思わせられる。前半でしっかり書かれていない人物が“実は”とやられても、読んでいる方はかなり引いてしまう。まぁ、エンターティメントとしてはおもしろいのだけど。(9/17)

012/188
苦役列車」西村賢太
困ったなぁ、一体どういう小説なんだろうこれは。どう評価すれば良いのか、わからない。さらにこれが映画化もされるらしい。どこをどう映像化するのか。これを映像化できる脚本家、演出家ってどんな人なんだろうか。(9/17)

013/189
ジパング島発見記」山本兼一
彼の書く小説は、何れも私の趣味によく合っていて好きなのですが、この本は少し相性が悪かったかなという感じ。戦国時代の日本にやってきた西洋人の視点から書かれた連作小説なのだが、もっと思い切って創作に入るか、主人公を3、4人に絞って、中編小説を並べた方が良かったのでは、さらにそれらが少しずつ重なっていればなお良かったと思う。おしい。(9/17)

014/190
夢違」恩田陸
発売と同時に書店に平積みにされていて、早く読みたいと思っていたところ図書館で偶然ばったり手にすることができた。若干SFちっくなサイコミステリ。途中から若干ストーリー展開に想像がつくところもあったが、とてもおもしろく最後までほとんど一気に読み切ってしまうくらい。(9/22)

015/191
ロンドンオリンピックを前に文庫が書店に並び、とても気になっていた一冊。ある事件を挟んで、その後とその前のストーリーを交互に配置し、最後はそれらが一つになってクライマックスへ向かうという、少々おもしろい構成になっている。決して読みづらくなく、この順番で読むからこそおもしろいという絶妙の配置。(9/24)

016/192
重力とは何か」大栗博司
結局難しすぎて、重力の正体を理解することはできなかった。途中までは何とかついて行けたのだが、理系素人の身には、なかなかハードである。ではあるが、最近の傾向として、この手の理系の科学者が、一般向けに書き下ろす新書が多く発行されて、我々のような者にも身近に感じられるようになっているのは、大変ありがたい。特に、この幻冬舎新書に多いのが特徴である(ハズレもあるけど)。(9/27)

017/193
天命の扉」武藤武文
期待して読んだのだが、どうもイマイチ。県議会議場で登壇中の県議が射殺されるというミステリなのだが、動機も凶器もいくら読んでもよくわからない。あまりに読者をないがしろにしていないか。期待した方が悪いのだろうか。(9/29)

018/194
この作者は、来年のNHK大河ドラマの主人公となる新島八重についての第一人者だそうである。正直言って私の知識には全く欠如している一群の一人で、改めて幕末の会津藩の悲劇と彼女らの献身に感動を覚える。(9/29)

019/195
あぽやん」新野剛志
お仕事小説。成田空港にある旅行会社のカウンターが舞台。何事も起こらないのが当たり前、何かが起こるとドラマになる。(9/29)

020/196
境遇」湊かなえ
いろいろな書評を読むとかなり酷評されているようであるが、どうやらこの小説はドラマの原作になることが前提で書かれた物であるらしく、なるほどねと思わせる場面が随所に現れる。それにしてこの作者、“告白”以来、習作は描くものの、徐々にそのパワーが薄れてきてついにはこんな小説まで書くようになってしまったかと、つい落胆してしまう。次作には期待したい。(9/30