2014年4月6日日曜日

2014年3月

先月は、18冊。うち小説が8冊、そのほかが10冊で、うち震災関係の本が3冊ありました。あれからもう3年になるんですね。今日、被災した三陸鉄道が再開されたそうですが、未だに震災からの復興は進んでいないというのが、誰もの実感ではないでしょうか。震災からしばらくは、それについて書かれた物は何となく遠ざけていたのですが、今改めて読んでみようという気になっています。復興を前に進めるために震災の記憶を風化させないために。

001/024
ペテロの葬列」宮部みゆき
当代きってのストーリーテラーである著者の最新作は、シリーズ物の一作。主人公は微妙な境遇に置かれたサラリーマンなのだが、なぜだか事件に巻き込まれていく。今作では主となるストーリーに、別の物語が絡み合い、その上主人公の個人的な問題までが付加される。しかしながら、この結末の哀しさは何ともやりきれない。こう描くしかなかったのだろうか。このシリーズはこれで結末を迎えるのだろうか。できうるなら、主人公にもう一度幸せな家族を取り戻してあげたい。宮部さんお願いします。(3/2)

002/025
店頭で見つけて衝動買いした一冊。日本を代表する10の名園を丁寧に解説した本で、できればこの本を片手に、名園見学をしたいものである。実は取り上げられた10名園のうち、これまでに行ったことがある庭は、ほんのわずか。半分以上が京都にある庭なので、是非とも一度は訪れたいものである。何と言っても、桂離宮は一度は行ってみたい。(3/2)

003/026
舞台は山中の限界集落と呼ばれる超高齢者集落。そこに都会からやってきた青年が一年発起して村の活性化に目覚め、再興させるまでの物語。あまりに御都合主義の展開で、そんな上手く運ぶわけなかろうが!と突っ込みを入れたくなるところが多数。この限界集落問題を解決する特効薬は、見つからない。(3/2)

004/027
国盗り物語(上)(下)」司馬遼太郎
今年に入って、上質の歴史小説を読みたくなって、少しずつ読み終えた。およそ30年前、私が初めて手にした司馬遼が、この本だった。以来何度か読み返したが、今年に入って久しぶりに手に取ってみた。前半は美濃の斎藤道三が主人公で、謎に包まれた彼の前半生を大胆に描いた快作で、この前半部分だけでも十分に読み応えがある。後半は、道三のDNAを受け継いだ、信長と光秀の二人が主人公として描かれている。光秀が信長軍団の中で重きをなしていくと同時に、信長に対する懊悩が光秀を苦しめ、最期は本能寺に結実する。その心の動きが見事に描かれた一冊で、私にとっては“竜馬が行く”と並んで司馬遼最高の作品である。(3/9)

005/028
21世紀は、間違いなくアジアの世紀になるだろうといわれています。その中で日本が取るべき道は何なのか、もちろんどこかの国のように今やアジアの覇者となった中国にベッタリとすりよっていくのも一つの道としてあるかもしれないが、ここはやはり日本独自のアジア外交を見せて欲しい。(3/12)

006/029
一応シリーズ物なので、読んでみました。片道2時間の新幹線での出張のお供にいたしました。ちょうどほどよいボリュームです。(3/13)

007/0430
震災から3年が経ちました。被災地から遠く離れていると、どうしても日々疎くなってしまいます。著者のように、何かしたいと思うけど、何もできないもどかしさを感じている人はたくさんいることでしょう。何とかしたいよなぁ。(3/13)

008/031
世界的に有名になった陸前高田市長が、震災から2年間の奮闘を記した物。震災からの復興はようやく緒に就いたばかり。まだまだ10年20年のスパンで考えていかなければならないところ、それを加速しつつ続けていくためには、我々が決して忘れないことが重要である。(3/16)

009/032
あなたへの恋文」菅原文子
震災による津波で、ご主人と義父母を目の前で亡くされた被災者の方の手記。“その瞬間”の恐怖で張り裂けんばかりの胸の内を思うと、我々も恐怖に震えてしまう。創造するだに恐ろしい。今はただ、少しでも心の平安を祈るのみである。(3/16)

010/033
犬の伊勢参り」仁科邦男
昨年の新書大賞では、かなり上位に評価されていたはず。まず、着眼点が素晴らしい。どうやら江戸時代を中心に、全国から伊勢神宮へお詣りする犬というのが本当に存在したようで、それらが数多く資料として残されているらしい。著者はそういった民間の資料を丹念に集め、大まじめに分析し、我々が知らなかった歴史を教えてくれている。非常に面白い一冊。(3/21)

011/034
まほろ駅前狂騒曲」三浦しをん
人気シリーズの3作目で、初の長編。著者は完結編のつもりらしいが、まだ主人公の全てが明らかになった訳ではないのでさらに書き続けて欲しい。(3/21)

012/035
ブルー・ゴールド」真保裕一
ビジネス小説でありながら、ある種のミステリの要素も含まれており、良くできたエンタテイメント小説である。どちらかというと“おしごと小説”といった感じのノリなのか。スピード感があって面白いけど、最後はドタバタと無理矢理つじつまを合わせた感が否めない。(3/22)

013/036
」三浦しをん
これは、一体何と言えば良いのだろうか。タイトルとは裏腹に光というより人の心に巣くう闇を描いたような印象。あるいは、闇の中に指す一筋の光なのか。いや、それにしてはあまりにも暗い光。主人公の心の中に差す光はあるのか。(3/23)

014/037
ドラッカー、ポーターなどのマネジメント理論のエッセンスをコンパクトにまとめた物。まさに肝だけが書かれているので、お手軽に勉強しようとするには良いかもしれないが、これではなかなか実践力はつかないよね。実践するためにはどうすれば良いのか。その答えは、実践あるのみかな。巻末の参考図書一覧は役に立つ。(3/23)

015/038
日本企業にいま大切なこと」野中郁次郎、遠藤功
組織マネジメントの大家二人が、東日本大震災直後に閉塞感一杯の日本経済に向けて行った対談を基に、書籍として再構成された物。ときの民主党政権をこき下ろすのは小気味よかったろうと思うが、結構精神論に傾いており、やや具体性に乏しい提言となっている。あれから3年経って、日本経済は彼らの提言をどう捉えたのだろう。(3/25)

016/039
ファミレス」重松清
彼のお得意の“家族物”なんだけど、要素があまりに多くつめ込まれすぎて、とても忙しい。とはいいながら、何となく次の展開も読めてしまうというのが、彼の特徴でもある。なんだか、安心できるような、物足りないような。(3/30)

017/040
気候変動はなぜ起こるのか」ウォーレス・ブロッカー
いあーまいった、さっぱり理解不能、いったい何が書いてあるのか全く判らないままに読んでしまった。この本を読むには、相当程度の地質学などの知識が必要で、一般向けに書かれた物ではない。まぁ、翻訳しているのが現役の大学院生ということもあって、読み手のことを考えて翻訳しろといっても、それは無理なんでしょうね。とりあえずお手上げ。(3/31)

018/041
いやぁ、おもしろかった。最近の朝日新聞の書評で見かけて、早速購入したところ、非常に読みやすく、ついつい一気に読み切ってしまった。ある特定の主張や希望を通すため、情報メディアに働きかけ、実現に結びつけるテクニックを、様々なケースを紹介しながら判りやすく書いてある。日本人は下手だよねぇ。(3/31)