2023年6月19日月曜日

2023年5月

 

さて、5月の成績発表です。小説が10冊、その他が冊、合計15冊という結果になりました。

決して好調という感じではなかったですが、目安である月15冊なので、数の上ではまずまず。

ただ、先月も書きましたが、面白い小説に出会えていない。いつもの作家さんばかりが続いてしまい、新しい作家さんが見つけられていません。直木賞の候補者も発表されたことですし、この辺を参考に広げていこうかなとも思っていますが、図書館ヘビーユーザーの身分では、なかなか予約の順番が回ってこない。購入したら、“積読”になってしまうのが目に見えているので、なるべく購入しないようにしています。

すでに数十冊が積み上がっている(泣)

ということで、今月のお薦めですが、

いつメンが列をなしている中で、藤野恵美さんの本は面白かったです。電子書籍版で借りたので、通勤電車の中で立ちながら読んでいたのですが、結構没頭しながら読んでしまいました。本文でも書きましたが、かなり重いテーマではあるのですが、軽いタッチで書かれていて、それもよかったです。元々は児童文学を書かれていたそうですが、他に本も読んでみたいと思います。

そのほかの本では、仕事がらみの本を二冊。

まず“ラグジュアリー産業”ですが、大部分は欧米の巨大コングロマリットの歴史が延々と書かれていて、若干冗長かなと思っていたのですが、最後に日本の企業向けに書かれた掌文がとても参考になりました。ここを読むだけでも意味があると思います。お薦めです。

もう一冊は“『日本の伝統』という幻想”です。こちらは、とある“もの”“こと”に付加価値をつけて、“意味あるものに見せかける”ための手練手管が纏められています。まさに“京都という幻想”で食っている身の上としては、しっかりと心がけておかないと行けないことです。京都に対して、ある種の憧れを抱いていただいている方はかなり多いと思いますが、その方達もそれが必ずしも真実の姿ではないとうう薄勘づいていらっしゃるに違いないと思っています。であるならば、私たちはそう言った人たちが“気持ちよく騙されていただけるよう”

最新の注意を払う必要があるのではないでしょうか。USJ TDLの発送と同じだと思うんですよね。お薦めの1冊でした。

6月に入っても、週末が潰れることが多く、2日で一冊のペースが続いています。相変わらず“これは”という小説には出会えておらず、数もめっきりと少なくなっています。別に不満はないのだけれど、n人生も残り少なくなってくると、読める本も少なくなってくるわけで、なんとかね、読書を楽しみたいですね。

 

001/062

ハヤブサ消防団」池井戸潤

彼の小説は久しぶりに読みました。最近は経済小説ばかり書かれているイメージですが、本作はミステリ仕立てになっています。父親の実家である地方の旧家に転居してきた主人公が、地元の消防団に加入し、地元になじんでいくと同時に、何やらきな臭い事件に巻き込まれていきます。近く、テレビドラマ化されるとの報道も目にしましたが、結構面白かったです。(5/3)

 

002/063

労働Gメンが来る」上野歩

労働基準監督官という一般には聞き慣れない職業にスポーットを当てたお仕事小説です。最近働き方改革という言葉をよく耳にするようになりました。この改革の本質って何だと思われますか?私は生産性を上げる、つまり業務に掛ける時間をいかに短くするかということだと思っています。そのためには、ハラスメントやブルシットジョブなどというのは排除すべき最たるものです。Gメンに指摘されるまでそれにフタをしているような経営者は淘汰されていくんでしょうね。(5/4)

 

003/064

悪魔はすぐそこにDM・ディヴァイン

イギリスの一流とは言えない大学を舞台に、50年以上前に書かれたミステリ小説で、当時は高く評価されていたようです。古典的名作ってやつですか?(5/6)

 

004/065

心理的安全性のつくりかた」石井遼介

私にとって、この言葉は耳新しい言葉で、どういうことなのかと興味を持って読みました。これは、職場や学校などの組織内で、心理的な不安を感じることなく自由に振る舞える環境というような意味だそうで、特に働く現場でにおけるマネジャーの振る舞いという視点で語られうことが多いようです。規模の大小を問わず組織を率いる身としては常に心に留めておきたいことです。言葉として聞いたのは初めてでしたが、私にとっては当然のことでもありました。ただ、それが実践できているかどうかといえば、わからない。それはあくまで周りが感じることですからね。(5/9)

 

005/066

ラグジュアリー産業 急成長の秘密」ピエール=イヴ・ドンセ

日本の大学で研究するスイス出身の著者が日本語でまとめた本で、LVMHに代表される世界のラグジュアリー産業について書かれたものです。京都の伝統産業にとって何か参考になることがあればと思い読んでみました。前半は、いくつかの企業についてその生い立ちなどが書かれているのですが、急成長の要因として、『ブランド・ヘリテージ』と『グローバル戦略』の二つが説かれています。そして最後に日本企業が学ぶべきポイントとして、①大切なのは歴史ではなく、強固なブランド・アイデンティティの構築とそれを発信するためのヘリテージ、②日本市場を特別視せず、グローバルに考えること、③生産コストの削減という泥沼から抜け出して他とは違うものを提供することで販売価格を上げること、の三つを挙げておられます。これは、参考になるかも。(5/12)

 

006/067

主殿の税 田沼意次の経済改革」佐藤雅美

後世とても評判の悪い政治家田沼意次を主人公にした小説です。彼の失脚に手を貸した松平定信が、自己正当化のためこき下ろしたことが、今の悪評判の基になったに違いないと邪推しています。私自身は、彼の政治手法を非常に評価していて、松平定信のそれは全く評価していないのです。まぁ、単なる田沼推しの戯言なのですが。(5/14)

 

007/068

傷跡のメッセージ」知念実希人

作者はお医者さんで、医療をテーマにした小説はとても面白いのですが、謎解きに傾斜した小説はイマイチだと思っています。その点では本作は微妙な感じでして、頑張ってはいるけど、ちょっとやりすぎ感もあって、若干白けてしまいそうになる危ないラインを走っています。面白くないわけではないのですがね。ビミョー。(5/15)

 

008/069

日本解体論」白井聡、望月衣塑子

現政権を批判することに関しては、外すことができない二大巨頭の対談集です。今の政治を見ていると、破滅に向かって突き進んでいるようにし見えない、原因は色々と考えられるのですが、ではどうすればそれを止めることができるのかとなると、つい立ちすくんでしまい、私自身も思考停止に陥ってしまいます。具体的な対処法が浮かばないんですよね。無力感というのも一方にあって、“どうせ〜〜”と思ってしまいます。そして最後には、次の世代に委ねてしまう。ダメですね。これは、私たちの世代の責任です。(5/16)

 

009/070

ジョン万次郎の失くしもの 浮世奉行と三悪人」田中啓文

大好きなシリーズなのですが、元々は大坂の町人たちのトラブル解決を担うはずだったのに、いつの間にかある藩の内政問題、あるいは外交問題にまで関与するようになってしまいます。物語は痛快で面白いのですが、最初の頃の良さがだんだん無くなってきたかなと困惑しています。(5/20)

 

010/071

鷹の砦 警視庁殺人分析班」麻見和史

これも、お気に入りのシリーズものです。元々は知的な推理ものだったはずが、主人公の女性刑事が危険な目に遭うというのが最近の定番になってきています。しかもそれがエスカレートしている。面白いけどやりすぎでは。(5/21)

 

011/072

人体、なんでそうなった? 余分な骨、使えない遺伝子、あえて危険を冒す脳」ネイサン・レンツ

人類が、長い進化の過程を経た結果、今となってはあまりに不合理な構造になってしまっている構造をわかりやすく解説したものです。四つん這いから直立することによって、迂回せざるを得なくなってしまった神経、不要になった小さな骨、秀逸は、なぜか物を直視せず、鏡に映った像を見ている目の構造。不思議ですね。面白かったです。(5/25)

 

012/073

ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録」澤田瞳子

江戸時代の京を舞台にした物語、主人公は北部鷹ヶ峯にある幕府直轄の薬草園で働く医師の娘として生まれた女性で、医療と薬の知識を兼ね備えた存在として描かれています。江戸時代の医師とは、薬の調合が主たる業務で、いわば現代の医者と薬剤師の二つの役割を兼ね備えた存在でした。中途半端な終わり方をしているので、どうやらシリーズもののようです。(5/25)

 

013/074

『日本の伝統』という幻想」藤井青銅

私の住む“京都”という土地は、この“伝統という幻想”を最大限に活かして成り立っている地域です。以前、働いていた職場で京都の工芸品をプロモーションしている時は、“京都、KYOTO”というだけで、二割は高く売れると言われていました。私は“京都プレミアム”と読んでいたのですが、今はどうなんでしょうね。消費者の皆さんが、この幻想に付き合ってくれているから成り立っているというところがありますよね。もし現実に気づかれてしまったら、と思うと恐ろしいです。(5/26)

 

014/075

大塩平八郎の逆襲 浮世奉行と三悪人」田中啓文

前にも書きましたが、ちょっと話が大きくなりすぎてしまいました。これが最終巻ですが、これはもう続けられないですね。めでたく大団円を迎えましたが、最も気になる問題は結局解決されませんでした。(5/27)

 

015/076

きみの傷跡」藤野恵美

とてもハートフルな恋愛小説家と思いきや、テーマはとても重量級です。ただ、重量級のテーマであるにも関わらず深刻にならないよう軽妙に描かれているところに好感が持てます。(5/29)