2008年5月11日日曜日

「般若心経」を読む ; 紀野一義

色即是空 空即是色
誰もが知っている、あまりにも有名な般若心経の一節である。

最近、何冊か般若心経に関する解説本を手にしている。
その中で、読みやすさで群を抜いていたのがこれである。

最も短い仏教典といわれる般若心経は、唐の時代、かの玄奘三蔵が艱難辛苦の末、天竺へ往復し持ち帰ったものと言われている。その行程もこの本には詳しく書かれているが、いやはや凄まじく、玄奘は何度も死を覚悟したに違いない。
そして、そのお陰で、今私たちはこのありがちお経を読むことができる。

般若心経の読み方は、いろいろとあるようであるが、私は、この書の中でもわずかに触れられているように、リズム感良く一心に唱ずることによって生まれる一種の陶酔感の末にたどり着く境地が全てであると思う。

般若心経では、全てのものには実体がない。老いや死さえも恐れることはない。
般若という大いなる知恵を授かるために、一心に呪文を唱えようと結ぶ。

私自身、全く諳んじられることができないが、何とか覚えて、日々念じてみたいと思うところである。