2012年2月1日水曜日

2012年1月


いよいよ再開します。
2012年1月は35冊の本を読み切りました。
分野はバラバラ。その中でもミステリーが多いですね。

今回から、頭にその月に読んだ本の番号。末尾に読了した日をつけておきます。

それでは、イザ!

001
2012年はこの本でスタートしました。昨年の『下町ロケット』での直木賞受賞以来、彼の本を読み漁っています。私的には、受賞作より『空飛ぶタイヤ』の方が断然おもしろく読みました。この作家は元々銀行員で、その後推理小説作家として、江戸川乱歩賞を受賞、その後は前歴を活かして企業小説を書いています。この本はちょうどその過渡期にあったようで、銀行を舞台にした推理小説風の作品に仕上がっています。この本を読む限り、この方向転換は正しかったと思わせます。(1/2

002
昨年のいつ頃からかとても気になっている本があります。『言志四録』という本で、講談社学術文庫の一番最初に置いてあります。全くなじみがなかった物が、なぜか急に目につくようになって、この本をテーマに二大巨頭が対談形式で言いたいこと放題で解説しているこの本を借りだしてきました。まぁ、お二人の話はあまりに醜悪でコメントする気は起こらないのですが、素材となった『言志四録』への興味はますます強くなりました。そのことには感謝します。(1/2

003
これは昨年末に書店の店頭で見かけて買い込んでいた物です。見かけるたびに書店のPOPが大きくなっていたので、気になって買ってみました。かなり無理がある設定ですが、魅力的な主人公が活躍するお話で、内容も軽め、短時間のつなぎにはおすすめです。(1/3

004
あまり公言したことはありませんが、結構彼女の著作は好きなのです。彼女はいわゆる精神科のお医者さんで、彼女の主張は常に社会的弱者の側にたった物となっています。この本では“お金は万能”“三世代家族が子供を守る”などといった30の“常識”について、疑問を投げかけています。すべてに同意するわけではないですが、現在の「勝ち負けをはっきりさせる」「いかに楽して金を稼ぐか」「額に汗して働きたくない」といった価値観には同じく反意を示したいと思います。かつて、勝ち組の代表格である勝間和子氏との間で繰り広げられた論争も記憶に新しいところです。自分の奉ずる価値観がすべてではないということをきっちりとわきまえた人間になりたいものである。(1/3

005
大変な話題になった本で、古書で条件の良い物が出たら買おうかなと思っていたところ、文庫化されたと聞いて、早速に買い求めました。今年最初の一冊にしようと元旦から読み始めたのですが、結局4日間かかってしまいました。原題は“What’s the Right Thing to Do?”ですから、「正しい行いとは、、、」という感じでしょうか。正邪を決める基準となる物は一体何か。私たちは何をよりどころすべきか、ということに会を与えてくれる書ではなく、そういったことを真剣に考えようよ、議論しようよ、ということを訴えかける書です。哲学とはかくあるべしです。(1/4

006
昨年末にドラマ化されていそうですが、残念ながら全く知りませんでした。小説を読むとき、物語の語り手に感情移入できるとどんどん気持ちよく読んでいけるのですが、この本のように途中で語り手が正反対に変わると、読んでいて結構しんどい部分があります。(1/4

007
元々SFと推理小説が奇妙に融合された独特な作風の作家ですが、この短編集はタイトル通り謎解きだけに特化した、ある意味奇妙な推理小説です。謎解きだけにこだわりすぎるとこんな風になってしまうという見本のような作品集です。(1/6

008
幕末の京都が舞台。登場人物も魅力的で、テンポもよく気持ちよく読める。そういえば、その時代の京都は、こういった歴史を作った人たちが幾十人も闊歩していた頃で、舞台となった三条木屋町といえばそのまっただ中でもあります。当然のことながら、世情が揺れていたあの頃にも、普通の生活をしていた人たちが住んでいたわけである。(1/7

009
先月初めから読み始めて、読み通すまでにおよそ1ヶ月かかりました。古代史シリーズではあるが、内容のほとんどはいわゆる“考古学”に属する部分で、これまでこの分野には全く興味がなかったので、読み通すことがとても苦痛でした。(1.7

010
お金をテーマにした8つの短編集。まぁ普通はこんなにうまく運ばないよな、という感じの軽い読み物です。2時間ほどで読んでしまいました。(1/7

011
彼の小説は初めてです。本職は推理小説家(?)なのでしょうか?一見軽いノリの話で、一体この話はどこへ収束するのかと思いきや、とても良いお話でした。最後にあんなどんでん返しがあるとは、まさかの展開に驚きました。(1/7

012
映画の原作です。実は彼の小説は密かに好きでして、とてもスケールの大きな話を書かせるととてもおもしろい。彼も江戸川乱歩賞でデビューしています。この映画はその後続編がテレビ化されたり、再度映画化もされました。当然テレビは見ていないのですが、映画は昨年ビデオで見たのですが、イマイチ。この原作は映画化と同時並行で書かれたモノで、内容もかなり違っています。どちらがおもしろいか、訪ねるまでもないでしょう。(1/8

013
これまた、テレビドラマの原作として最近書店の店頭に平積みされています。1992年初版ですからかなり古い本です。いわゆるハードボイルドなんでしょうか、暴力場面がやたらと多くて、辟易です。その分主人公のキャラクターを軽めに描くんですが、その筆致が誰かを真似ているようで、若干鼻につく感じです。(1/8

014
以前から彼の著書を読んでみたいと思っていてところ、図書館で見かけて借り出した。本業の火山学とこういったハウツー物の二種類の本を書いていて、どうやら後者のほうが売れているようで、この本もそのうちの一つである。感想としては、あまりに理路整然と書かれすぎて、私には近づきがたい。所詮文系人間には理解できないのだろうか。(1/8

015
最近書店で平積みにされており、ほのぼのとした表紙の絵もあって、気になっていた本です。何でもファンタジーノベル大賞という賞があって、それを受賞した作品だそうで、主人公の青年が、少しずつ成長していく様が描かれている。中国の歴史もしっかりと押さえられていて、非常に好感が持てる。(1/9

016
何というか、あまりに設定が奇抜で、どう評価したモノか判らない。あんまり次の作品を読みたくなるような作家ではない。(1/9

017
ご縁があって昨年著者を御紹介頂き、山崎にある工場を見学させて頂いた。その製造工程を拝見した後だけに、この本に書かれているチーフブレンダーの仕事の大変さがよく分かる。世界に数あるウイスキーの中では「山崎」が一番美味しいと感じているのは私だけではないだろう。最近はめっきり口にする機会が減ったが、それでもじっくり飲むときには欠かせない。(1/12

018
実はこの本を読んだのは3回目。無条件に気に入っているわけではないのですが、何となくそんな羽目になりました。彼女にとって、この主人公による小説は二作目で、前作『誰か』は、一度しか読んでいないので、これって一体どういうわけなんでしょうか。小説では、青酸カリによる毒物混入殺人事件を巡る人間模様が描かれており、同時に我々が心の中に持ってる“毒”についても言及していきます。若干のほろ苦さが残ります。(1/14

019
SF小説なのかそれともサイコ小説なのか。今から30年くらい前、彼女の小説が好きで結構読んでいた頃があるが、今回久しぶりに手に取った。彼女らしい文体は変わっておらずとても懐かしく読んだ。それにしてもせつなく悲しい物語である。(1/14

020
彼の本は今月2冊目である。彼の得意な銀行モノの短編集。一話一話は独立していて関連はない。タイトルとなったかばん屋は、京都のとある老舗のゴタゴタを題材にしたもの。エンディングにいたるストーリー展開は、最近の中小企業応援小説を彷彿させる。(1/14

021
つい、つまみ食いのような本を読んでしまいました。いつかじっくりと読みたいと思っていますが、とりあえずこんな本を入り口にしてしまいました。特に気に入った一節を、“私たちが読むべき本とは、次のようなものだ。読む前と読んだ後では世界が全く違って見えるような本。私たちをこの世の彼方へと連れ去ってくれる本。読んだことで私たちのここが洗われたことに気づかせてくれるような本。新しい知恵と勇気を与えてくれる本。愛や美について新しい認識、新しい眼を与えてくれる本~悦ばしき知識”(1/15

022
いかにも暗い闇の底に落ち込んでしまったような小説。大どんでん返しを狙ったものが、途中から何となく読めてしまうようなストーリー展開。ただ最後の最後の結末は、あまりにも後味の悪い結末。(1/16

023
~震災後の新たな日本を拓く7つの言葉~というサブタイトルと共に昨年末に出版された著書です。ここで七つの言葉とは、『意味、共感、働く、企業、志、鎮魂、希望』の7つの単語で、そのキーワードをたどりつつ、震災後に我々が成すべきことは何か問いかけてきます。決して答えが書かれているわけではなく、答えは我々が置かれている境遇に応じて、その答えを探していかなければなりません。おそらく何年も何十年もかけて。彼の著書はとても好きで、何冊も手に取っています。書かれている内容は結構重複していますが、それだけ終始一貫しているとも言えます。その気になれば20~30分で読めてしまう本です。何度も手にとって、何度も読みたい本です。できれば声に出して。(1/17

024
誰もが知っている仏教語から意外な由来の言葉までの50語について、その由来などをまとめた断章集。ほとんどの言葉は、本来の意味から離れ、違う意味を持って今に受け継がれている。言葉というのは正に“生き物”である。“最近の日本語のみだれ”をことさらに取り上げてもどうしようもない、ということが実例をもってよく分かる。(1/18

025
何なんだろうかこの小説は。2009年と言うから比較的最近の作品。彼の得意な、2つのストーリーがパラレルに進行する設定。どうにも判りづらく、エンディングもしっくりこない。昔はあんなにおもしろかったのに。(1/21

026
ミステリーでありながら、不倫モノの恋愛小説。ドラマにするにはもってこいの内容。前半の描写が真に迫っていただけに、後半のミステリーの謎解きには若干不満が残る。まぁ、間違いなくおもしろいのだけれど。(1/21

027
彼の本は公務員に優しい。優しすぎて我々には心地よいけど、それに甘えてはいけない。実際、現在の公務員バッシングを見て、“公務員であることがいやになる”“なぜあんなことを言う人たちのために働かなければいけないのか”という思いにとらわれたことにない公務員はいないだろう。しかし、それでもなお自らを鼓舞し、我々を目の敵にする人々のために働かなければならない、それが私たちの使命です。(1/22

028
評論家や学者が唱える“リーダーシップ論”なんて真剣に読むに値しない、と思いながら読んだところ、どうやら彼の専門は歴史学。まぁそれなら百年千年に一人あるかないかの過去の傑物と、現在のリーダーを同列に並べて比較することの滑稽さに疑問を抱かないのもやむを得ないか。現在の日本は“リーダー不在の時代”ではなく、全国民が“真のリーダーを求めない時代”だということに誰も気がついていない。こんな時代にリーダーシップを求められる人たちに同情を禁じ得ない。(1/22

029
相変わらずほのぼのとした癒やし系の小説。前作が続編を想定したような結末にされていたのは、このためかとも思うのだが、定かではない。ただ、なぜか今作からキャラが一名増えてしまったのはなぜか。確かのその方が構成上楽だということは判るのだが、できればもう少しがんばってほしかったなぁ。(1/22

030
いつもの文壇界めった斬りの暴露(?)小説。彼自身、江戸川乱歩賞で派手なデビューを果たした後(私の中では、歴代受賞作の中ではベスト3に入ると思います。)、しばらく不遇の時代が続いたようで、その頃のことを自虐ネタ風に書いたのが、このシリーズの始まりだとか。小説家という不安定な職業に対する作家自身の思いというものが、うまく映し出されていると見るべきか?今回の文庫では、巻末の広告欄までもが作品の一部となっていて、手が込んでいる。(1/25

031
彼の小説は“家族”をテーマにしたモノが多いのですが、この小説は親父と息子の小説です。無骨で不器用な親父の、息子に対するまっすぐな愛情が泣かせます。今の自分には、親父の立場としても息子の立場としても、どちらでも楽しんで読むことができます。最近ドラマになったそうですが、見ておけば良かったなぁ。(1/26

032
彼の得意技であるSFとミステリーの融合作品。今度はテレポーテーションを使った完全犯罪。さすがにミステリーにするために、テレポーテーションをするための条件付けが厳しい。よくもまぁこんな設定を考えたもの。(1/28

033
京都の祇園祭の諸行事の中でも宵山の一夜に起きた奇妙なできごとを、いろいろな角度、登場人物の目線から描いた不可思議な小説。幻想的な風景が脳裏に浮かぶ。(1/28

034
このミス大賞の受賞作、それも審査員の満場一致の、と聞いて楽しみに読んだのだが、少々期待はずれ。もう少しがんばりましょう、という感じでしょうか。少なくともミステリーなのかこれは?確かに謎解きではあるが。(1/28

035
伊坂得意のお気楽な小説。よく錬られたストーリーでおもしろい。こんな小説を書いていたところは文句なしにおもしろかったのに、最近の小説はかなり厳しいなぁ。もうこんな楽しい本は書けないのだろうか。書かないのだろうか。残念。(1/29