2009年12月3日木曜日

2009年11月


多年にわたってタンザニアの現地に入り込み、実態を丁寧に明らかにしようという姿勢には好感が持てる。私の大好きなコーヒーにもカカオと同じような問題というか歴史があることに気づかされた。




二組の夫婦の書簡のみで成り立つ不思議な小説。彼の小説は様々な分野にわたるが、金戒のこれはまさに純愛もの。こんな小説も書けるのか。


久しぶりに長くかかった本。半月以上も係ったのでは。死に至る病とは「絶望」のこと。さらに絶望は罪であるとも。どうにも難解でどうにも理解できん。


解説司馬遼太郎という豪華版。早世したことが悔やまれる、天才。恐ろしいくらいに面白い。


100年前の本とは思えない。拝金主義や教育問題、道徳の欠如など今の時代と全く変わりない。すべての生き方の基本に論語を建てた著者の考え方を尊敬する。


元トリンプインターナショナルジャパン社長、リタイア後の人生を余生ではなく「本生」と言う。13年後にはいやでもやってくるそのときをどのように迎えるか、真面目に考えないと。


何が言いたいのかよくわからん。


キャリエール会長、その他要職多数、スーパーレディ、京都市の教育行政に大半のページが割かれているのは何故。もっと違うことを書いてほしかったなぁ。


この作者の本は初めて。読みやすいんだけど、面白くはない。何が足りないんだろう。


やばいなぁ、本来知性の人なんだろうけど、ほとんどが伝聞を元に感情的に論を展開している感じ。読む人に疑いを抱かせる書きっぷり。


主人公の高畠氏、これほどすごい人だとは思わなかった。それにしても壮絶な人生。


良寛の逸話を集めたもの。解良栄重;良寛禅師奇話、松嶋北渚;良寛伝、及び口伝書からなる。これらのエピソードを読むかぎりでは、何故高僧として世人の尊敬を集めたのかわからない。面白い人物ではあるが。。


面白いらしいと評判の作者の本を初めて手に取る。結構硬派の推理小説で、なかなかに面白い。


何とも不思議な物語。そしていったいどこまで続くのやら。


相手を感動させること。顧客よりもまず部下を思いっきり感動させること。そのためには本気になること。信じ切ること。


今ひとつ理解が進まない。少し難しい。ひろ氏の我田引水ぶりも少々目障り。


何故この本が中公新書お勧めNO.1なのか、少々理解に苦しむところ。そしてまた結末がぶっつりと切れているので消化不良の感もある。戦地の状況を伝える文章としては貴重。ただこの種の本の常で、どこまで信用できるのか。。


誤りを指摘することはたやすい。解決策を考えることは難しい。万人が納得するルールを作ることはさらに難しい。


イチローのアスリートとしての凄さを感じさせる本。やはりただ者ではない。


人は誰でも話したがっている。聞いてくれる人を待っている。自分がまさにそうじゃないか。誰か俺の話を聞いてくれ、といつも思っている。


あまり期待せずに買ったまま放ってあったが、とても役に立ちそうな本。できれば私の大好きな伝統産業界の人たちの読んでもらいたい。ヒントはいっぱいある。


なんだかとてもとりとめのない本。


入院中に病院で見つけた懐かしい本。久しぶりに読んだ。初めて手にしたのは中学生の頃。30年以上の昔。覚えていない話もいくつかあった。ちょっとブラックで怖い「お助け!」は今読んでも面白い、傑作。


入院中にお世話になりました。





入院中にお世話になりました。一連の短編集は、江戸時代の京都市内が舞台。毎日通う道中が何度も出てきて面白い。


つまらん三文小説との先入観を裏切るおもしろさ。十代の甘酸っぱい思い出がよみがえるような、、それにしても白血病というのは、永遠のテーマやなぁ。



こちらも入院中にお世話になった本です。


最後が期待通りのハッピーエンドというのはうれしい。感動的。泣ける。

2009年11月1日日曜日

2009年10月


道元と言うより、道元を含む禅・仏教に付いての入門書


知の巨人加藤周一が京都の街で酒を片手に語った話の集大成。あらゆる分野について、泉のごとくあふれ出る言葉達、空恐ろしい位の知識量。全くの驚異


メディアリテラシーとは初めて眼にする言葉。メディアの流す情報に対しcriticalに読み解き、それらについての理解や知識の上に立った主体的なメディアの使いこなし能力


もう少し易しい本かと思っていたが、えらく難しいというか読みにくい本。


すごい、すごすぎる。経営者(リーダー)の強い思いが、如何に重要か。なにがいちばん大切なのか。働くすべての人が共通認識を持っていると言うことがすごい。


我が故郷が登場すると言うことでいつかは読みたいと思っていたもの。主人公の心理はあまりに読みづらい。ただ、美しいものを破壊したいという衝動は、、、わかる。


建築物、構造物に魂が宿る。そして図書館の本達にも(?)。


おもしろい。タイムマシン、時間ネタでこれほどのバリエーションで短編小説が書けるこの作家はすごい。


元JET参加者が山形の老舗旅館の女将として活躍。日本の良いところを取り入れ、新たな生活スタイルを作っていこうという生き方は素晴らしい。それにしてもこの亭主はちょっと、、いけてないなぁ。


椎名の本は初めて。スーパーエッセイというらしい。これがデビュー作だとか。こんな随筆もありなのか??


数々の仏教説話をひろさちや風にわかりやすく解説する。仏教は道徳ではない。絶対的に正しいこと、良いことというのはあり得ない。


公文式の世界展開。公文式の紹介と言うよりも、各国の教育事情を紹介したページが充実していて面白い。


ソクラテスとその妻クサンチッペとの対話。本物はどんな風だったのだろう。悪妻と誉れ(?)が高いが、それ故に亭主は哲学者として大成した(?)。


道元の言葉を集めた「永平広録」の中から抽出されたもの。若干読みにくく(すべて漢文)素人向けではない。座禅に向けての要諦をまとめた「普歓座禅儀」や「坐禅箴」は再読の要あり。


著者は、詩人としても活躍とか。道理で中途半端にヘタウマな文章。読みやすいけど外交官らしい鼻持ちならぬ臭さが目に付く。とはいえとんでもないすごい人であるのは確か。戦後このような骨のある外交官がいなくなってしまったことが日本の不幸。



やたら長いけど一気に読める。東洋経済連載中は全く読んでいなかったけれど、エンターティメントとしてはおもしろい。しかしながら、中国のことを全く知らずに書いているので、中国(人)像にリアリティが感じられない。


今から40年前に書かれた警告の書。今なお人類は破滅に向かって一直線に突き進んでいる。気づいているのかいないのか。


何とも奇妙な世界。印象的なラストシーン。彼らはいったい何に姿を変えていたのか。


彼なりの独特なとらえ方。只少々民主党に甘過ぎやしないかい。


何とかなるさと思うこと。人の上に立ったときの心構え。






余談と偏見に満ちあふれた一冊。一部には真実が含まれているとは思うが、それにしてもちょっとひどい。「休まず、遅れず、働かず」そんな職場があったら教えてほしい。


何故あれほどの人材が育ったのか、本当の理由は何なのか、それはこの本を読んだだけではわからない。

2009年10月3日土曜日

2009年9月


『ソフィーの世界』を翻訳した独文学者の哲学エッセイ。哲学者ではない著者が哲学について語る。若干事実誤認があるのが残念。


プラハの春、ベルリンの秋から続く中欧三部作とか。ベルリンの秋は在欧中に読んだので、およそ10年ぶり。元外交官なのだが、小説はだんだん下手になっているようで、少し痛い。


初めて通読しました。ジーキル博士は理性の人かと思っていたら、むしろ逆。意図して悪の権化であるハイド氏の側に向かおうとする。人の本性か。


SFの古典的名作。タイムマシンを使い戦前の東京の姿を眼前に見せてくれる。最後は予想どおり(以上)のエンディング。解説の星新一も泣かせる。


この夏唯一の遠出、丸岡城で見かけた本。今の私ならなんと書くだろう。「あなたが亡くなった直後に生まれた娘は来年大学受験です。力を貸してやってください。」


話題になった映画の原作。設定としては面白いかもしれないけど、実際こんなことを考えている公務員なんていないだろ。でも、世間にはこんな風に思われていると言うことなのか。


池田氏が中学生向けに書いた哲学入門。一貫して考えることの大切さを語る。実際の中学生達はこれを読んでどう思ったろうか、何を考えたろうか。


盛和塾で交わされた問答をまとめたもの。稲盛氏もさることながら、生徒である若き経営者達の意識が驚くほど高い。


何とも理解不能な物語。どれほどの人がすべてわかって読んでいるのだろうか。一体全体この物語の中では何が起こったのだろうか。


哲学者が政治を行った唯一の例だとか。断片的に書き留められた文章は互いに脈絡がなく、続けて読み通すのは骨が折れる。しかしながら、短い一篇一篇に深く考えさせられる。


映画の原作他の短編集。アメリカではヘミングウェイと同時代の超人気作家らしいのだが、、存じ上げませんでした。


人気シリーズの第二弾。脇(?)役の7人の老人達のキャラクターが秀逸。この作家も外れがない。


貧乏神、疫病神、死神に次々に取り憑かれたら。自らの恨みを晴らし、我欲を通し、結局最後は天命に殉ずる。


改めて読んでみる。いずれのテーマも重く、哀しい。


もしあのとき、~だったら、と自分の人生を考えたとき、全く違う人生がそこに浮かぶ。果たして本当の自分は。最後に明らかになる事実。新たな疑念。胡蝶の夢。


著者の私語に出された三部作。いわゆる再編集ものであるが、同じ装丁の本3冊が違う出版社から出されたというのは知らなかった。あれだけ小気味よくズバズバと切り倒していく彼女が愛犬のことになるとメロメロというのも面白い。


本当なら今もサッカー日本代表を率いているはずの著者による、サッカーを通じた日本文化論。日本人の無責任ぶりなど、なかなか手厳しく、思い当たるところも多い。


もし自分の余命がわかるとして、金を払ってまで調べようとするだろうか。人生h阿一寸先が闇だからこそ面白い。まただからこそ必死に生きようとする。


果たして地球の未来を予測するなんてことが本当にできるのだろうか。人間が地球にそれほど大きな影響を及ぼすなんてことができるのだろうか。


数ある次郎評伝の中では秀逸のでき。彼の理解者、信奉者であるから当然か。


講談社版、文章が短く読みやすい。『私』とは何か。一貫してキーワードとなっているこの問いへの答えは。答えはないのかもしれない。問い続ける?誰が?誰に?私が?私に?


なかなか理解しにくい主人公代助。三部作の二作目であるなら結末はどうなるのか。まさに『それから』のそれからはどうなるのか。イマジネーションは広がる。


13億人を擁する国家が、一つの会社組織のように経営されている、そしてさらに驚くべきは、人材育成のシステム。追い越された日本は絶対に追い越せない。


筋ジストロフィーで亡くなった鹿野なる人物の介助ボランティアたちを描くノンフィクション。まさにバトルとしか言いようのない世界。


サムシンググレートの大いなる力を紹介する著書。書かれていることは何度も眼にしたエピソード。


およそ20年前の南極越冬隊記最新作。おそらく最初の本がいちばん面白いのではないか。


彼の本は本当に久しぶり。いろいろなテーマの本を手がけるが、どうも話の展開が同じパターンで何というか。。。


面白い対話集。プラトンならこう書いたろうか。。。


在日韓国朝鮮人の実態、心理をストレートに伝えるレポート。在日外国人がかくも住みにくいこの国というのか、いったい何なんだ?


この本を読むと「どうすればわかるようになるか」という解決方法がわかるわけではない。すべからく対人関係の基本、如何に相手の視線に合わせられるかということのようだ。

2009年9月5日土曜日

2009年8月


珍しく映画の脚本である。映像が目の前に浮かぶよう。今は亡きマイクル・クライトン、彼もまた外れのない作家だった。


仏教の世界を数学で読み解くとこうなるのか、という一冊。何の接点もないようである種の哲学であり原理であるから数学とは縁が深いはず。非常にわかりやすく他の本にも興味がわく。


何とも言えず味わいのある本。若いというのは本当に素晴らしい。我が身の大学生活を振り返ると、、どうだったろうか。


この年になって初めて読むというのも気恥ずかしい。この本が時の青年達の心を虜にしたのも宜なるかな。ウェルテルをまねて自殺する青年も多かったというのは、それだけ純情多感な青年が多かったと言うことか。


しゃばけシリーズ第五弾。安心して読める本。


せっかく良いテーマの本なのだけれど、今ひとつおもしろさに欠けるのは何故、著者のせい?翻訳のせい?せっかくの第一級の素材がうまく扱えていないような気がする。


イギリス人にはおなじみのお話、フレーズなのだろうが、こんな風雨に解説されると大変な古典文学のよう。素の本はいっこうに進まない。


書いた本人には理解できているのだろうけど、さっぱり分からない、いったい何を伝えたいのか凡人には理解不能、仕事の役に立つと思って読んだのだが。


著者が気象庁で富士山レーダーに挑んだときの私小説。プロジェクトXでも取り上げられ有名になってしまった。事実を当事者が小説にしたため、筆が空回りしているようなところもあるが、それも愛嬌。事実は小説よりも奇なりなのだ。


京の町を跋扈する、狸と天狗の物語。主人公狸一家の兄弟愛、親子愛、家族愛は美しい。続編が連載中とか。楽しみ。


80歳現役。まさに中小企業の親父並み。後継者育成に失敗するとこうなってしまうのか。


阪急今津線を舞台に展開する連絡ラブストーリー。すべてがハッピーエンドであるところが良い。


読み応えあり。昨年話題になった警察官三代記


もう少し面白い本かと思ったのだが、、残念


古今東西のユートピア論。プラトンの『国家』をその始原とする。現実逃避か理想の追求か。


本人が知らないところで世界中に広まり、マザーテレサが愛したという逆説の10箇条。著者が大学生の頃、高校生向けに書いたとか。時代を超えて今も通じる普遍的な原理。


地球温暖化を疑う、科学シリーズ。データの山から宝石を探し出し組み上げる技はさすが。


ユダヤ人のふりをした日本人が、日本語でユダヤ人について書くなんて、本の中ではこき下ろしていたはずなのに、どうなんだろう。


これまで読んだ彼の本の中ではちょいとイマイチ。つまらん。


作者の軍隊フリークぶりが垣間見える。今は亡き新井素子を思いだしてしまった。こんな終末もあるのか。それにしてもこの登場人物達はなんとかならんかな、もう少し丁寧に書いてよ。


あまりにお手軽に書きすぎでは。誤解を生んでしまうのではないか。これでは聖書はわからんぞ。


嗚呼、上手い写真を撮りたい。撮れるようになりたい。


音道貴子シリーズの短編集。下町臭さと生活臭の漂う作品。こういうさりげない場面でも良く似合いのキャラクター


何度も読む価値のある著者の主張。前提を疑い、仮説と検証を繰り返す。何度も頭にたたき込んでおく。常識を疑え!


一神教=信ずる宗教、多神教=感ずる宗教という新しい発想。読売新聞の連載コラムを中心に集めたもの。


恥ずかしながら初めて読んだのだが、読みやすく面白いので驚き。「それから」「門」に続く三部作の一つと言われる。主人公三四郎のまどろこしいような純愛青春小説


期待したほどでなく、やや肩透かし。若干お子様向けかな。


音道、滝沢コンビの復活。前作ほどのスリルはないけれど、その分じっくりと読ませる内容。読み応え充分、今後を期待。


一気に有名になった著者の初めての著書。改めて氏の障害者雇用に対する心意気を感じる。そしてここでも語られる役所の壁が悲しい。


最近台頭してきた単なるデベロッパーかと思っていたが、これほど信念に基づいたサービス会社だとは知らなかった。恥ずかしいかぎり。今年できる京都の一号店が楽しみである。


医療を巡るサスペンスは珍しい。しかも最後まで殺人事件の被害者が出てこないというのも珍しい。いつもながら意表を突いたおもしろさ。


いつもの承認理論であるが、本書は他の著書に比べ実例やデータが少なめで、著者の思うところが自由に展開されている。若干そこまで言えるのかと疑問を感じるところもあるが、読み物としては良。


心温まる話の数々。只、海の向こうのお話なので今ひとつ実感がわかない。


人は如何に生きるべきかの書。不正を行うものと不正を行われるもののいずれが幸福であるか。それにしてもソクラテスのしつこさは実際相手にしたくない。おそらく実像とも大きく違うのではあろうが。


原文は短く10数分で読めてしまうほど。要は一貫して、世の無常を綴ったもの。平安末期に続発した災害の描写が生々しい。


”人は見た目が9割”と言った場合、如何に9割を取り繕うかという話と9割を使って本心を如何に上手く伝えるかという話に分けられる。本書は前者。あまり好きになれない。只、相手を「視覚型」「聴覚型」「全身感覚型」に分類し、対処方法を工夫するというのは面白い。


ビジネスに役立つ12のショートストーリー、前に読んだ「~何故ペンを~」よりもよほど面白い。ただ、読みやすく納得できる話ばかりなので、跡にあまり残らないのが残念。


東京下町で活躍する名物金型プレス職人の自慢話。こういう職人が日本のもの作りを支えている。彼らにもっと誇りを持ってもらい、光を当てていくことを、私たちはもっと考えて、応援していかなければいけない。きっと彼らは「余計なお世話!」と思うだろうが、次世代のために!


ディズニーが初めて明らかにした自社の秘密であるが、翻訳にやや難あり。せっかくの素材がもったいない。


耳が聞こえない女性が、筆談を武器に、No.1ホステスになるまでの物語。ガッツある女性。しかもこの物語は始まったばかり、途上であることころがGood


久しぶりに読んだカーの作品。あまりに難しい哲学論議に脳みそが疲れてしまう。

2009年8月1日土曜日

2009年7月


故郷八雲地区にも忌避伝説があったらしいが、この真偽は如何に。いずれにしてもここに書かれている伝説はほとんど信じていたなぁ。しかしながら冷静に考えると確かに変な話であって、何事もしっかり調べるこことが大事。


1961年生まれの警察官僚。らしからぬ語り口で読みやすい。様々な不祥事をしっかりと分析している、何事も跡で外部から見ると俯瞰的によく分かるものであるが、残念ながら渦中にいるとほとんど周りが見えないものである。それを考えると、常に自らに疑問を抱き続けられるトヨタという組織はすごい。


なんと、今年に入って2回も読んでしまった。しかも大半を読み終えるまで気がつかなかった。ほとんど何も記憶に残らなかったと言うことか。


私が読む数少ない女流作家。時間をテーマにした24編の私小説。かなりユニークな人生を送っているようだ。


ワタミの社員に向けて語ったビデオレターを本にしたもの。そのときそのときの社会・会社の動き、渡邉氏の表情、語り口とセットだと伝わってくるものが違うのだろう。ワタミには行ったことがないので今ひとつ分からない。


これまで読んだ中国古代の哲学者に関する解説の中で最も難解。超然と言うかシニカルというか、素直でないというか、弱みを見せなさすぎるようで近寄りがたい。


「ほとんどの人は天才にはなれないが、しかし、偉人にはなれるかもしれないという希望を持ってよい」なんと心にぐっとくる文章だろう、人はいくつになっても可能性を持っている。


自分が不平を口にしているのに気がつかない段階→自分が不平を口にしていることに気づく段階→意識すれば不平を口にしないですむ段階→無意識に不平を口にしない段階。21日間やり通せば人生が変わる。AComplaintFreeWorld.org


「心を高めるため」「仕事を好きになるように」「高い目標を掲げて」「今日一日を一生懸命に」「完璧主義で」「創造的に」働こう


昨今の食の安全に関わるルポ。いろいろと知らない現実が明らかにされていく。公邸料理人にタイ人が多いというのは知らなかった。


原題「Who will cry when you die?」ほどのインパクトが無い中身。こういった自己啓発書の多くはそれほど無いように違いがない。これといった特徴も別にない。さらにどんな自己啓発書も読むことに価値はない。実行することに価値がある。


ずっと読みたいと思って、ようやく手にした一冊、仏道修行者のあるべき姿として非常に厳しい行動を求める。道元の弟子が師の言葉を筆録したもので、他に読まれることを想定していないだけにわかりにくい部分もあるが、首尾一貫して語られていることが厳しい。


「わたしの履歴書」より。著者の考えを文章にした本は和あれど、彼自身の本はほとんど無い。独特の手法「仮説→実証」のプロセスを経て企業を成長させていく姿は他に類を見ない。また決してまねもできない。


原題「Ein Psycholog erlept das K.Z~強制収容所における一心理学者の体験」アウシュヴィッツからの生還者である心理学者が所内での衆人の心の動きを克明に記録したもの。20世紀最大の狂気は何故生まれたのか。理解不能。


平成二十年江戸川乱歩賞。北海道のスケールの大きな大自然が眼前に浮かぶ。登場人物の描写はどうか。あまりに特異。動機としても成り立ちうるのか。


シーボルトの専属絵師 川原慶賀の物語。いつの時代にも日向の存在を支える陰の存在がある。


中国内モンゴルの砂地を20年かけて緑地に回復させた一人の女性の物語。小さなひとつひとつの積み重ねが大きな結果を生む。


久しぶりに読んだ幸田は、9.11テロがテーマ。いつものさえが見られないのは、著者にとってあまりに近すぎるテーマであるせいか。あの事件、おそらく多くに人に傷を残していることだろう。


以前から感じていた国家神道への胡散臭さを偽物宗教と断定する歯切れの良さに拍手。本来の神道は民衆神道(やまと教)であって古代から近代まで綿々と受け継がれているもの。忠誠の対象は国家ではなく仲間。納得


昔学校で読んだ記憶があるが、孔子と子路を描いた「弟子」という作品は知らなかった。また実質的な作家生活は1年だけだったというのも驚き。


短編集。今バスジャックがはやりらしい。いずれも不思議な世界。普通の世界と一点だけが違っている。


推理小説としての完成度も高い。長編も書けるんだね。


雑誌連載のエッセイ。本当に死の直前に書かれた物。信じられない落ち着き。とにかく書かれた内容は歯切れよく、男前。肉声を聞いてみたかった。


江戸末期を舞台にした畠中ワールド。相変わらずのへたれの主人公の活躍。


1977年著者49歳。これも夢の話。河合氏が今の私と同年代の著作。「無意識」について初学者向けに書いたとあるが、理解しやすさとは対極。


京都を舞台にした新タイプの会談。訳分からんけどうすら気持ち悪い。


相変わらずはずれなし。最後の最後まで息つく暇なし面白い。


イスラム研究の第一人者、講演録らしいがこれを聞き続けるのは相当気合いが必要。シーア派、スンニ派の対立の素の解説もあり何となく分かったような気になったが、やはり難しい。


天才を天才たらしめたもの、好奇心→学習→好奇心→学習の繰り返し。競争も必要、誰を相手に?ある人は他者と、ある人は自分と、ある人は理想と。


正法眼蔵随聞記についてのラジオ講座を文章に起こしたもの。非常にわかりやすい入門書。こうやってみるとこの随聞記という書物は、時折手に取って、そのときの子こりに任せて読むことがふさわしい書物である。


大手カード会社の日本法人をリストラされた5人のベンチャー創設物語。これまでの作品と違ってあまりにさらりと軽い。軽すぎる。


新聞連載の日本語に関するコラムなどを集めたもの。国語教育を皮肉ったものではなく、只言葉の使われ方の変遷を語りつつ美しい言葉が無くなることを嘆く。非常に言葉を大事にする人。


同じ作者の本が並ぶのは珍しい。我々が習った世界史を別の角度から眺めたもの。特にイスラム社会から見た西欧社会とは、、、そういえば昔リスボンで見かけた「1549年日本発見」を思いだす。そう!日本は発見された。


今旬の作家の本を初めて手にする。評判になるだけのことはある。やや難しいテーマかなと思ったが、主人公の女性の最後の心の独白が良い。「図書館シリーズ」を早く読みたいものだ。それにしても有川氏が女性と初めて知りました。すみませんでした。


3年後に消滅する地球上で起こる、普通の家庭内での出来事。ありきたりのパニックを描かずに描写している。相変わらず面白いなぁ。ところで自分なら最後の8年間をどう過ごすだろうか、そういえば小学生の頃ずっとそんなことを考えていたことがあった。


久しぶりに読み応えのある新書。今やこの手の本を読むと、わがことではなく、娘達の将来へのヒントを探ろうという気が先行する。5年後、10年後、15年後、この社会はどう変わっているか、またよりより社会にするため我々がすべきことは、手放さなければならないものは、、いったい何か。


著者はかなりの思い入れを込めて書いた伝記のようであるが、文学史上の評価も高いようであるが、私にはさっぱり面白くなかった。


週刊新潮への連載コラムをまとめたもの。いつ読んでも面白い。短く平易な文章で、これだけの中身を書くことができるというのは素晴らしい才能。改めて生きていた頃に会いたかった。


ほとんど期待せずに読んだものの意外と面白くて良かった。“あなたに友だちがいないのは、自分のことが嫌いだから”思わずうなってしまう。自分のことを好きになるには、“傷つきたくないと思わない”“嫌われたくないと思わない”“バカにされたくないと思わない”


静岡県知事となった著者の10数年前の著書。いろいろな雑誌に書かれたレポートの寄せ集め。雑ぱくな印象。

2009年7月5日日曜日

2009年6月


狂言の本質をズバリ的確に表現する第一級の芸術論。新しいものを生み出すには伝統の型をしっかりと理解していることが必要であるのはどの世界でも同じ。守破離。


「修養」より。7つのルール「継続力」「克己力」「勇気力」「自尊力」「貯蓄力」「逆境力」「工夫力」


タイトルとは違い、「笑い」そのものの病気治癒力を説いたものではない。また、「笑い」に万能の力を認めたものでもない。古来、薬というものはすべてプラシーボであった。つまり薬(治療)を施すことによる心理的な効果による。


2002年出版のロングセラー。前著同様にわかりやすい内容。しかしながらそれ故に心に残りにくいのではないか。何かしら引っかかりがあるほうが記憶に残りやすい。一瞬の引っかかりと納得が、腑に落ちる、わかった!となるのではないか。


今旬のジャーナリストがオンラインで発表していたレポートを集めたもの。すべての意見に首肯するものではないが、実態をよく知る者として政治を見る目は確か。


ちょっと息抜きに一冊。時刻表と地図帳必携、時間をかけた鉄道の旅は、本当に贅沢な代物になってしまった。


最近書店に山積みになっており、ずっと気になっていた人。私より一年お姉さんで、2年前にガンで亡くなっている。前半は「死」について哲学界の先人達の言葉に考察を加える。Hanako誌上の人生相談も痛快。これまた新しい人の発見。果てしない読書の道。


アメリカのラジオ番組を文章化したもの。大物を呼んできて、その成功の秘訣を語る対談番組。参考になる話はあるが、成功=金というのがいかにもアメリカ的。


安岡氏講演録、同じ話が何度か出てくるが、それだけ固い信念を持っていると言うことか。


改めて面白い。今から2500年前にギリシャで書かれたらしいが、完成度の高さに驚く。ただ、話から導き出される寓意が思わぬところへつながったりと、時代の違いを感じさせられる。


「人を動かす」「道は開ける」から抽出された合本。思わぬ形で再読できた。こういう書物は何度も読み返したいものだ。


何故これほど売れたのか?マックス・ウェーバーと夏目漱石をモチーフに展開する現代社会論。両者が同時代人であったことに驚く。


今後の日本の進むべき道を示す提言。持論である農業と中小企業政策の充実を展開するが、具体論はない。国の出先機関の再編は焦眉の課題であり言葉も熱い。


スペイン、マドリッドのコンサルタント会社の社長らしい。この書けないと思っていたペンは、白色のペンであった。だから別の用途に使うと立派にその力を発揮したというこの小話、私には腑に落ちない。特別の用途にしか使えないことを前提に入手しながら放っておいてはいけないのでは、、、


経済学にはとんと親しみがなかったので理解可能かどうか不安であったが、非常にわかりやすい。今の時代に容疑者扱いされるとは思っていなかっただろうが、それほど後の時代まで、マクロ経済、財政に影響を与えたと言うこと。


名前は知っているけれど、何をした人か全く知らないという典型のような人。作者自らノンフィクションでもなく小説でもなく、と断っているように何とも言われぬ文体。それにしてもあの時代にこれほど経済・財政観念を持っていたとは特筆すべき。


必ずしもまだ全貌が明らかになっていない地下水についての入門書。“湯水のごとく”とは浪費の激しい様であるが、決して地下水は湯水のごとく使ってはいけないという啓蒙書。


中国の歴史を改めて実感。4000年の歴史の中で、10年20年はほんの一瞬。その昔漢文の授業で学んだ言葉がぞろぞろ。こういう本を読むとさらに欲が深くなる。早速『十八史略』を注文。


いつもの話をいつものように。定番の話は何度でも読み聞きすることが大事、確かに樹の幹は成長することはあっても縮むことはない。たとえその成長の幅に大小はあったとしても。


何ともすごい本を借りてしまった。「レッドクリフ」の主役、周瑜と孫権の兄孫策が愛し合っていたとは、、、当然周瑜と小喬は偽装結婚。


信州松代藩の改革を行った恩田杢の事跡を『日暮硯』という書物の中から丹念に拾う著書。この書物の内容については、真偽のほどは定かではないとされるが、信じられないくらい開放的なやり方で改革を進めたのは確からしい。上杉鷹山も参考にしたとか。


エイブラハムなる超存在がチャネリングによって語った内容という前提にはぶっ飛んでしまうが、訳者あと書きにあるとおり、結果的に納得できる内容であれば、その部分だけ頂いちゃった方がお得という感じ。はてさて引き寄せの法則が生まれたのは人類がどういう段階に至ったときなのか?


特にコメントなし


いろいろなところで語られているトヨタウェイについてのコンパクト版解説書。長い年月をかけた地道な努力の結果として今がある。努力結果を正当に評価するシステムをうらやましいといって、そのシステムがないことを理由にしてはいけない。なければ創ることを考えればよい。


今の若い人たちの苦悩が垣間見えるような気がする。それが真実かそうではないのかはさっぱり分からん。きっと彼らはどんなとき、どんなところでも本音を明かすなんて格好の悪いことはしないのだろう。


変化に対する心構え、変化は必ず起きること、そしてそれを予測し適応すること。そして何よりも自分が変わろうとし、そのことを楽しもうとするべし。言うは易く行うは難し。2000年刊行ですでに48刷。


こちらは文庫だけで84刷。それほど万人に愛され読み続けられてきた、私たちを鼓舞する素晴らしい書物。私たちが後世に残すもの、お金、事業、文字、教育、これらには特殊の才能を要するが、誰にでも可能なもの、それが「勇ましい高尚なる生涯」である。かくありたい。


両者を比べるとその異同がよく分かる。それにしても古代の神の名は覚えられない。


近世まで日本では神も仏も一体であった。明治以降、神道は歪められ宗教性を失ってしまった。かつての祈りの対象としての神を取り戻さなければ日本神道の未来はない。


久しぶりにくだらない本を読んでしまった。


「子産〔上〕」
「子産〔下〕」
宮城谷昌光
この人の独特の書き方なのか、かなり読みづらい。人名が覚えにくくそれを考えながら読むのは一苦労、孔子も認める名宰相の子産であるが、魅力が伝わってこない。

2009年6月7日日曜日

2009年5月


2005年から2年間 毎月1回のペースで新聞に書きためた論文をまとめたもの。世の中にはびこり始めた格差についても深く掘り下げる。当時の社会的なムードを経営学の原理で一刀両断にするが、その経済家具の原理が当てはまらなくなって久しい。やはり人間は思ったとおりにはならない。


「貞観政要」という書物の存在をはじめて知る。人間は権力を持ち始めると徐々に腐敗していく。誰もそれからは逃れ得ない。そしてその時点に至った者はそのことに気づくことすらできない、恐ろしいこと。


この人の本はどうしてこう心に残らないのだろう。簡単に読めてしまって、心に引っ掛かってこない。私には合わないのだろうか。


涙なしでは読めない。絶望の淵に立ったとき人はいかにして正気を保っていられるか。母の最期を思い出す。


手許に置いて何度も読み返すべき本。何度も何度も心の中にたたき込んでおかないといけない。今ここにいるだけで幸せであること。今ここに存在していることが奇跡であること。


著者のいくつかの論文をまとめたもので、必ずしもタイトルと中身がしっくりはきていない。阪神大震災やオウム事件など日本人と宗教の関わりが大きくクローズアップされた時期に出版された割に、ずっと以前の和辻倫理学についてしつこく書かれたりと、???という感じ。


何故我々は志を抱いて生きなければならないか。『悔いのない人生』を生きるため、『満たされた人生』を生きるため、『香りある人生』を生きるため、『大いなる人生』を生きるため、『成長し続ける人生』を生きるため。


仕事のため仕方なく読んだ本、何故国民は黙って従っていけるのか不思議。


芸術家が書いただけに抽象的かと思いきや、さにあらず。前の鈴木大拙よりも読みやすくわかりやすい。単に翻訳のせいなのか、分からないけれど。写実的で具体的、内容の分かりやすい分野。


和歌山県の山奥、人口200人の集落にある本屋さんの話。本を置いている雑貨屋ではなく、雑貨も扱う本屋さん。本屋さんは単に本を売るところではなく、文化を発信する中継地点である。性能の善し悪しで地域の感度がアップする。


あいかわらず「わかりやすい」内容、難しい言葉を使うことなく丁寧に書かれていて好感が持てる。人はすぐに「わかったつもり」なってしまいがち。自分でテンプレートを創ることが大事。現地、現物、現人に当たり、経験による知恵をつける作業を継続すること。


いろんな雑誌などに掲載された随想をまとめたもの。「渋柿をそのまま甘しつるし柿」仏教だけでなく、神道、道教、あるいは哲学にも造詣が深く、内容に深みを増している。


ビジュアルな入門書、仕事上、日本の伝統文化についての知識が不可欠と気づき買ったものの、やはり何度か実物を見ないことには話にならないな。


『秘すれば花 秘せねば花なるべからず』一子相伝の秘伝書、その実説かれるのは「稽古」練習の重要性、さらに若さ故ちやほやされることの危うさ。「上手は下手の手本 下手は上手の手本なり」「目利かずの眼にも 面白しと見るように 能をすべし」


京都三条河原町にて54歳で討たれる。「省諐」とは「過ちを省みる」という意味、はてさて何を過ちと見たか、その内容は自己の正当性、先見性を述べたものであるなら、命を賭けて、その言を押し通さなかったことへの後悔か。


世紀の難書と言われる『純粋理性批判』をいかにもわかりやすく解説した入門書。ドイツ語とともに読むとさらに理解しやすい。あまりに読みやすいので、原著を理解したような気にすらなってしまう。でも、ちょっと手を出してみようかな、という気にさせる。


すべての出来事が、その一瞬のために用意されているというとてつもない物語。まさにドラマ、昭和33年日本という国が一つの出来事で一つになれた最期の時代か。


この二人、本当に共感し得たのだろうか、終盤に至り濤川氏の超国家主義ともいえる暴論(としか思えないのだが)に、村上氏が辟易している様子がうかがえる。話題を転換してもまた戻る、大変な対談。


読み進めるにつれて、どんどん気分が悪くなるような本、結果オーライであれば過程に対して一切を問わないという論旨にはとても頷けるものではない。また「たら」「れば」の議論も鼻につく、著者への見方が大きく変わった一冊。


いつかどこかで読んだ話のオンパレード。本当は読み飛ばすのではなく、一つずつじっくりと味わいながら読まなければならんのでしょうが。長い人生において遅すぎると言うことは絶対にない、ということは心に刻んでおきたい、カーネル・サンダースの逸話


韓国のテレビ局の企画による「よい話」集、ご多分に漏れずどこまでが真実なのか判然としない。実際にあったと言うから泣けるのであって、もしそうでなかったら、、、彼の国は親子の情がとても深いらしいのでいかにもありそうな話ばかり。


初挑戦、印象はまずまず。以前の著書に出てくる著者が劇中で書いた本という設定、よりよい人生を歩むための17の法則。常に前向きにこの一瞬に生きる。


この人は一冊の著書も残さず、すべて講話速記録として残っているらしい。よくもこれだけのことが話せるものと感嘆する。ある種の変わり者とも見受けられるが、それにしてもすごい人、語り口も面白い。


歴史上の人物に学ぶリーダーシップ論、将となるには能力もさることながら、やはりカリスマ性、人間的魅力か。


刺激的なタイトル。15歳でなくなった脳性マヒの少年の作った詩から引用。そんな子供にこんなことを言わせる世間の冷たさ、それにもめげず明るく懸命に生きる人、人、人。涙無くしては読めない。


歴史上の人物、出来事をモチーフに、その精神史を紡ぐ。背後に流れるのは必ず『悲しみ』か。そういえば何故源義経は祟らなかったのか。さても不思議。


ジュンク堂書店に勤めるベテラン書店員が書く業界裏話。書かれた時期から3年がたち、ますますネット書店特にアマゾンの進出は激しかろう。しかしながら、本好きにとってはやはりリアル書店。頑張れ負けるなリアル書店。


世の中にこんな作家がいたとは知らなかった。本編を通して流れるテーマは一つ。人生は自らが選択した方向へ進む。選択を迫られたとき、いったい何を基準にするのか、真っ先に何を考えるのか、すべてはそこにかかっている。


「名将言行録」(岩波文庫)からの引用多数。イソップ物語は2500年前の物語。シュリーマン、パスツール。夢をあきらめないこと。


明治維新をリードした松陰に係る記録、同時に明治維新記。松陰の墨跡をたどるなど、彼の肉声が聞こえてくるような気になる。佐久間象山との絆についても言及。


俺が、私がではなく、あなたが、あなたにと思う心が尊い。けれど、「あなたのために、という言葉の陰に誰よりも自分のことを考えている自分がいる」と言う言葉もある。どんな美しい話も、あの人に知ってほしい、読んでほしいと思う心の奥に、自分は分かっている、あの人は分かっていないと思う心が隠れていないか。


どこで見かけた本だったか、とんと記憶にない。確か誰かの著書に引用されていたので興味を引いたはずなのだが、安岡正篤心服者で何度も彼の逸話が顔を出す。


ブッシュ元大統領の報道官が退職後に著した回顧録。若干自己正当化の傾向が伺える。ブッシュ本人の資質に関しても特に否定的でないのもそのせいか。その分周囲の人物には手厳しい。


あまりに難解、これは科学の素養がないとさっぱり分からん。何とか読み通したけれど、楽しい入門書というのはウソ。


世論=ヨロンと読んではいけないこと、輿論と世論の違い、私たちはすべからく世論に惑わず、輿論を形成していくべきこと。


たまたま目についたので借りてみたけど、何というつまらん本。麻生太郎の人となりを簡単に書いた物なれど、いくら人間的魅力について強調しても能力が見えてこないと厳しい。


ずっと読みたかった本。今は文庫にもなっているのかな。口コミ感染をブレイクさせる3つの基本原則。少数者の法則=媒介者、情報通、説得者。粘りの要素=内容、本体の魅力。背景の力=割れ窓理論、150の法則。おそらくこれらに「運」。


相変わらずうまい。登場人物が絶対にあり得なさそうで、クールで、独特の世界。


テーマは何度も読んだ中身であるが、初出だけあって書きぶりも至って専門的、数式が至る所に顔を出し数学音痴の身にはちょいとつらすぎる。テーマに関係ない珊瑚、ウニ、ヒトデ等の解説が新鮮。

2009年5月9日土曜日

2009年4月


良寛の詩文や逸話を素に書かれた物。せっかくの詩がすべて現代語訳されており、原文のリズムが伝わってこないのが残念。


主人公の少年が発する疑問に叔父のコットフリードさんが答えるという形式の道徳本。このおじさんも決して説教臭くなく、人間的弱さを見せつつ一緒に考えることができる。それにしても原文がドイツ語であるせいか、どうしても回りくどい翻訳になってしまうなぁ。


ずっと読みたかった去年のベストセラー。最近話題の行動経済学の入門書。古典経済学で想定していた経済合理性を持つ人は少数派である。それを前提に考えなければならない。他に働きかける場合、働きかけられる場合それぞれに。


弁証法的思考の勧め。①螺旋的プロセスによる発展の法則、②否定の否定による発展の法則、③量から質への転化による発展の法則、④対立物の相互浸透による発展の法則、⑤矛盾の止揚による発展の法則、何回読んでもわかりやすく、納得しやすい語り口、すばらしい。


ハチという最優秀の授粉昆虫の生態を通して見る我々の生きる社会の脆弱さ。人類が自分たちに都合の良いように重ねてきた、身勝手な改変が恐ろしい現実を招来している。時計の針を戻すことはできるのだろうか。


心が疲れているときに読むには少々重い内容。著者の活動を基にしたエッセイ。何のために書かれた物かは不明。


現今の大不況について、非常に簡易な語り口で書かれているが、簡単シンプルすぎて、すっきりとは理解しがたい。しかしながら金利政策の話などは以前から不思議に思っていたこと。


あまりに壮絶、命を削ってまで子供たちを救おうとする精神はあまりに気高い。我が子とさえしっかりと向き合うことが難しいのに、頭が下がる思い。残された時間が短いというのもあまりに悲しい。


刺激的なタイトルであるが、まさに的を射た内容である。人類を一種の生物と考えたとき、確実にその許容された枠を超えた存在となってしまっている。我々が暮らす地球上でこの生態系には快適な影響を与えている存在、それが人類である。分をわきまえた存在に戻らなければいけない。


痛快!あの小布施町にこのような人が関わっていたとは全く知らなかった。無知というのは罪なことである。一言で国際化と言うが、人と人が、国籍や性別を超えて魂と魂で向き合えること、これこそが真の国際化ではないか。


ガリレオに先立つこと90年、すでに天体の運動については科学的に明らかにされていた。しかしながら何故にか不都合な事実が覆い隠されてしまっていた。数学の素養のない私には読みこなせない。


尽利は不要不急の欲望を満たすためエネルギー使用量を爆発的な勢いで増やしてきた。行き着く先は地獄か、はたまた、、すべての事象が暗い未来を暗示している。


稲盛氏の著書ははじめて手にしたが、本当にこう考えているとしたら素晴らしい人である。確かに功成り名を遂げた後に重ねた数々の社会貢献事業は賞賛に値する。跡は組織にどれほど浸透しているか。「人生の仕事=考え方×熱意×能力」


禅の修行者のようなイチロー、無邪気な子供のように夢を実現してきた松坂、対照的な二人、理想の形を常に描きつつ、それに近づこうとするイチロー、しかもその理想像が常に進化していることのすごさ。


どうにもひどく特定の壮年にとらわれているように思われる。ざっと読んだだけなら、小気味よく思えるかもしれないが、その実甚だ無責任と思われる。


非常に簡易でわかりやすく書かれている。いかに物事にとらわれないかと言うこと。答えなんか無い。答えがあるという思いにとらわれてはならない。


明治初年の日本の風俗を描いたデッサン集。とてもよく研究(探求)されています。貴重な資料。


今から30数年前に書かれた名著。「甘え」という感情、欲求、本能について徹底的に解明する。何より日本語以外の言語に「甘え」に相当する言葉そのものが存在しないというのもおもしろい。


中国を代表する古典の名著、兵法書であるが、むしろ戦略書としての価値が再評価されている。兵法書としては、土地柄や国民気質、地形、武器など違いが多すぎて参考となる程度であるが、ビジネス戦略で考えた場合、十分現代も通用する。要らぬ解説より、原文、読み下し分でも充分趣がある。


丹羽さん、少し海外にこだわりすぎではないですか。語学ができることがすべてに先立つとは思えませんが。それよりもむしろ、他者に対する心構えや自らが依って立つ基本的な理念を持っていることが大事なのではないか。


日本人がほおかむりをして逃げてきた歴史に対する態度を如実に著す書物。相変わらず痛いところを突いてくる。今のこの社会を引き起こした張本人は、我々自身。未来を変えるのは私たちの責務。「しかたがない」とは言ってはいけない。


のっけから、府の技術コンクールの話題が出てくる。こんなに素晴らしい本があったとは知らなかった。染織・工芸課にいるときに読んでおきたかった。30年前の京都の姿がよみがえってくるような。


相変わらずおもしろい。現実感には乏しいけれど。一気に読ませる、スピード感、登場人物のディテイルもさすが、今年読んだ数少ない小説はほとんど彼の作品。


正法眼蔵の各巻の中で「心」がつくものとして、「身心学道」「即心是仏」「後心不可得」「古仏心」「三界唯心」「説心説性」「発菩提心」「発無上心」「他心道」「道心」などがあるらしい。それらに表される「心」について考察する。あまりに深く考えられていてついて行けない。


谷沢氏のお眼鏡にかなった何名かの先人達が、何故に向学心(向上心)に燃えて結果を残し遂げたかを短文で紹介する。いくつかのパターンがあるようだが、目標とする人物があって、その人から認められるというケースが多いのは納得。女性が一人も出てこないのは残念。


戦前に英語で出版されていたものを逆翻訳しなおした古典的名著。旧字体や独特の言い回し、今は見ることのない慣用句が多用されるなど、読み通すのが精一杯。よくもこんな難解な本を書かれたものと感嘆する。しかし、今更ながら禅が我々の生活に与えた影響に驚く。

2009年4月5日日曜日

2009年3月


仏文学者による仏教書。正法眼蔵をあるがままに読むことが、道元を知ることの唯一の道と説く。解説書や意訳では理解できるはずがないと、とはいえあまりに難解。未だ原典に手を出そうという気にはなれない。


接客サービスの常識を疑い、自分がお客様になったときのことを考えて接客すべし。ただしそれになりきるあまり、自らがクレーマーになってしまわぬように。慎みたい。


「グローバル恐慌」とは、言い得て妙。負の連鎖が瞬時にボーダレスに席巻する。誰もが無関係ではいられない。著者のいう10年度、どのような世界が我々を待っているのだろうか。考えるだけで怖い。


懐かしいドイツの街の風景を思い出させてくれる一冊。列車の旅はほとんどしなかったことがとても残念。このルポは、私が離独して5年後くらいの時点で描かれているが、それでもいくつかの変化が見られる。また一度列車の旅がしてみたい。


幸福論より10~20年後に書かれたプロポ。やや難解さを増している。四季を巡るといいながら、季節感はあまり感じられない。楽観主義的な物の見方は失せ、厳しさが漂う気がする。


文句なし、今年ここまでのNo.1。伏しても止まん、まさに市井にある偉人。自分はここまで誠を尽くせるか。本当の人としてのあるべき姿。本当に重い。


大上段に振りかぶったタイトルの割に内容は薄い。ただ、「食」を資源ととらえる国と「文化」ととらえる国の対比はおもしろい。国家の基本は「食」にある。ただ飢えないためだけの食ではなく、それを取り巻く規範、禁忌があってはじめて国家となる。


宮内告発書の体をとる小泉+竹中告発書。希代のペテン師小泉+竹中が宮内を利用し、村上は踊らされた。捨て駒は憐れ。この国のあるべき姿はどうなってしまったのか。憂国の士は何処へ。この手の本を鵜呑みにしている鳩山も憐れ。


昨年話題の本。村山先生もお勧め。新たな経済階級の台頭と副題にあるが、真の“階級”と呼べる者になっているのだろうか。また彼らが次世代経済の担い手となるのだろうか。彼らの存在は原因か結果か。


涙を誘う話満載。そこで働いている人たちは皆純粋な気持ちで働いているのだろうとは思うが、どこかにその気持ちを操っている人間たちがいるような気がして怖い。サービスの基本。すべてが真実であってほしい。


いつもながら心にズンズン響く文章。一つ一つの言葉がスッと心に落ちてくる。仕事の報酬とは、能力、仕事、成長。能力を磨く、呼吸、着眼、心得。作品としての仕事。個人の作品ではなく共同作品。共感を求める。人間としての成長。


非常に読みづらいスタイル。原文を味わい深く読めるようなスタイルならよかったのにと思う。仏教学者が対談形式で現代語訳を作り上げていく作業は読むのが難しい。


涙なくして読めない本。レジうちの女性の話は圧巻である。本当にこんなことってあるのだろうか。何かに只ひたすらに打ち込んだときに奇跡は起きる。そしてそれが大きな感動となって帰ってくる。


バレーボールに青春のすべてを打ち込み、21歳でガンのため命をなくした女性が精魂を込めて書き上げた自伝。この短い一生にたぐいまれなる努力をして他の人の何倍もの密度で駆け抜けた。文章もすばらしい。冥福を祈る。


2005年発行「認められたい!」の文庫版。我々が働く上でのモチベーションの源泉を承認欲求に置く、著者独自の考え方。成果を数値化しにくい我々公務員には大いに頷ける考え方。ただ彼のいうように欲求に報いるシステムが難しい。


1994年に書かれたイスラム教の入門書。先入観として持っていた聖戦とか「右手に剣を左手にコーランを」などという言葉は出てこない。集団テロ、組織テロとどうつながってくるのかさっぱりわからない。


ニューエコノミー、グローバリゼーション、2000年に発行された本書であるが、見事にその後の“暴走する資本主義”を予見している。日本企業が貯め込んだドルを円にするだけで円高を招来するというのは目から鱗。知らない常識というものは数限りなくあるものだ。


今から14年前に書かれた本。科学と哲学の関連性についてもしっかり取り上げられている。水耕栽培でないハイポニカ。高槻のセンターを是非見てみたい。


最初9は掃除のマニュアルのような書き出しでびっくり。その後掃除を学ぶ会の活動などについて詳しく書かれている。広島での暴走族対策の話や荒れた学校での成功例は目頭が熱くなる。


「歓迎する」「心を込める」「思いやりを持つ」「豊富な知識を蓄える」「参加する」5つの気持ちを大切にする。驚くようなストーリー、その上利益も上げていることの不思議さ。


これまた破天荒な本、神も仏もあるものかと言い切るすごさ。人間はあほにならんとあかん。といってもあほってなんや。謙虚とは違う、無心とも違う、素直とも違うような気がする。いやはや簡単なようで難しい。


人は30億の遺伝子記号のうち3%しか利用していないとか、残りの97%の働きは解明されていない。これらはある刺激によってonになったりoffになったりする。さらに心に重くのしかかる何かを解き放つときに奇跡は起こる。一流の科学者であり、宗教臭さが感じられない一冊。


創造創作の欲を捨て、あくまで忠実に道元の足跡をたどる物語。わからぬところはわからぬと言い放ち、下手な解釈をしないところが潔い。独特の文体。


以前から気になっていた上勝町の葉っぱビジネスの物語。本当に大変だったはずの創生期が簡単に書かれすぎていて物足りない感じ。人は誰でも人から必要とされていることで生き甲斐を見いだすもの。それに我欲が重なれば鬼に金棒。


現今の仏教界最大の難行、比叡山千日回峰行を2回もやった大阿闍梨の示す生き方の書、やはりこの人も若くして死に接し地獄を見ている。そして今は流れるように生きているように見える。今このときを悔いのないように生きたい。人間にできることは限られている。しかしその限界は変化する。


肉体労働者ならぬ感情労働者についての論文。感情を商品として提供している労働者がアメリカでは男性の4分の1、女性の2分の1を占めているとか。本当に感情が商品として成り立つのかどうか。消費者は感情を買っているのだろうか?


心頭滅却すれば火も自ら涼し、真面目、法演の四戒、周りと比べない。自分をとことんまで深く見つめること。すべてのものをあるがままに受け入れること。一度読んだくらいではとても足りない。


機関誌「省エネルギー」の連載をまとめたもの。これだけの科学者たちが科学と宗教、哲学の接点について語っているというのがすばらしい。公的機関とは思えない壮挙である。いずれも私利私欲を超越した“何か”に突き動かされているように語る中、ノーベル賞受賞者のみが我欲むき出しでおもしろい。


とてもすらすら読める代物ではないことを再認識、されど興味は増すばかり。何度かすでに読んだところがあるので最初に比べれば多少は身近に感じられる。どうするか、そろそろ現物に挑むか。


2008年ノーベル経済学賞受賞、8年にわたって世界をペテンにかけた禅アメリカ大統領とそのスタッフを痛快なまでにこき下ろす。こんなやつが何故8年間もその職に就いていることができたのだろうか。


世評どおり読みやすくわかりやすい本。その上、五木寛之がこれほどまでに仏教に造詣が深いとは、ついぞ知らなかった。ブッダの教えは暗闇に包まれるこの世を照らしてくれる一条の光である。


女性初のノーベル文学賞作家。スウェーデン生。実際の伝説ではなく、彼女の創作によるもの。「我が主とペテロ聖者」は芥川の蜘蛛の糸と同じモチーフ。古に云う。地獄と極楽には同じ物があると。心の持ちようで地獄の苦しみにも天国の安らぎにもなる。


元アサヒビール会長。部下といかに接するか、いわゆるリーダーシップに関する本。結果オーライの武勇伝が多く、若干鼻につく感じもするが、我が身に置き換えても納得できる箇所もある。気をつけないと、驕慢の兆しが出ているのかも。


ほとんどどこかで読んだ話だが、改めて人物としての巨大さに感心する。


やけに中国古典に詳しいと思っていたら、幼少期からそういう家庭に育ったためらしい。若いときからしっかりと自分を磨いていたから、今の結果があるのだろう。


きれい事はほとんどなし、そのものずばりの本音トーク集。結果、成果はやっぱり金なのか?


原著(1845年;Young Man's Guide)はほとんど顧みられたことのなかった書物ではなかろうか。日本でいう江戸時代に書かれただけあって???という箇所もあるが、おおむね原題にも通用する。生き方に新しいテクニックや考え方はないということか。


だます、だまされる。誤解する、誤解される。すべては先入観の成せる技。思い込みを排し、純な気持ちで事物を眺めること、人を理解することも同じ。

2009年3月2日月曜日

2009年2月


ずっと読みたいと思っていた本。相変わらず警察官僚の心の描写がおもしろい。実際にこれほどドラマチックな場所があるとは思えないが、最もキャリアとノンキャリの権力格差の激しい世界とも聞く。渦中の人は大変だろうな。


何度も読んだり聞いたりしたことなんだけどね。なかなか実践できないんだよね。それにしてもIBMの北城さんってすごい人だ。


学生時代、生協の店頭に積み上げられていたのを思い出す。ちょうどその頃に新訳で発刊されたもの。我々が権利として持っているものに対して撮るべき態度が明示されている。権利のための闘争は権利者の自身に対する義務である。


素直な心とは謙虚な心。他者への慈悲の心。生き馬の目を抜く現代に意宇は安く行うは難し。


昨年のNo.1経済書。今の社会の違和感を解き明かす本。資本主義に飲み込まれる民主主義。イエーリングの主張と同様に勝ち取った権利の重要性を説く。権利に安住しないこと。勝間氏の解説があまりに的確で小気味よいのが、悔しい。


道元の誕生から宋での修行記を描く。永平寺の機関誌に掲載されたもの。道元はもっと魅力的な人物だと思うのだが、それがあまり伝わってこない。人間・聖人・哲人、どう呼ぶのが最もしっくりくるか、それにしても読みにくい。


おそらくすごい病院なのだろうと思うが、なかなかそれがストレートに見えてこない。百聞は一見に如かずと言うが実物を見てみたいものだ。また話を聞くことができなくなったのは残念だ。


すごい人。こんな人が経営していたIBMという会社は本当にすごい会社。オープンドア、ぶれない軸、なぜ経営者自らが中高生を前に働くと言うことについて語ることになったのか。今の経団連の代表幹事と大違いだ。


職業としての学問同様1919年に大学生を前に行った講演。あらゆる政治原理の原動力は暴力である。政治と倫理の両立は甚だしく困難である。心情倫理と責任倫理が相まって政治への天性を持つ真の人間を作り出す。政治とは情熱と判断力を駆使しながら、堅い板に力を込めてじわじわと穴をくりぬいていく作業である。


一分間マネジャーシリーズ。役に立つ本だとは思うけどテクニックを語るだけになっていないか。何度も読み返しつつ実践することが大事。リンカーンの逸話、カール・サンドバーグについて調べること。


従来漠然と考えていた、旧約=ユダヤ教、新約=キリスト教というとらえ方は間違いである。旧約あっての新約とまで言い切る。イエスは旧約の世界から世に出た。旧約を前提に神の言葉を語る。旧約のエッセンを語る、簡にして益多し。


我々はあまりに多くの時間を浪費していないか。時間は自分ために使うことを基本とする。ただし、その価値の基準は人によって違うであろう。


以前にも一度読んでいるので再読であるが、改めて新鮮な思い、中身の多くを色即是空、空即是色に費やす。この世界一短い経典の中に無駄な文字は一つとしてない。「空即是空」宮崎童安。もう少し勉強してからまた読もう。


クールな死神、千葉。思わず引き込まれていく展開。着想もストーリーも秀逸。


原題「Mindset」、“しなやかマインドセット=growth-mindset”“こちこちマインドセット=fixed-mindset”「すべての人間は成長途上にある。」教師であったり、親であったり、人を育てる立場にある人間は絶対に忘れてはならない。ましてや育つ本人も。いくつになっても人間は成長し続ける。


自尊心を持つことの重要性を説く。決して増長することの勧めではなく、自分の真の力を信じること。自分と人に対する理解を深め、不安と虚無感を追い払い、好機を探すこと。自分と他人を許す。周りの壁を打ち破る。


1987年、氏が51歳の時に天理教道友社から出版されたもの。宗教と科学の微妙な接点が深く熱く語られる。古代、科学と哲学は同根であった。哲学と宗教もしかり。登場する人々はいずれもすばらしい。野澤重雄氏、トマトの巨木。鈴木永二氏、元経団連会長。読みたい本がまた増える。。。


「クレド」とは、その組織に関わる者にとっての教典である。ただ関係する者が協力して作り上げるところと、よりよいものにするため常に磨きをかけるという点が違っている。日本クレド株式会社代表取締役、1968年生。


帝国陸軍という組織を通して見た日本人論。戦後60年以上になろうとも、その本質は全く変わっていない。「上依存下」という表現は当を得ている。誰もが責任者ではない、誰が決定したか誰にもわからない。無責任な社会、自分で責任をとらない民族。


専門家ではなく市井の各社が認めた随想集。元関西電力、関西電気保安協会。同じ話が何度も出てくるが、むしろ改めて印象深く心に残る。「物を物たらしむるものは、物にあらず」(荘子)。心には形がない、形がない物は流転しない。どこにでも偏在する。


1902年、当時世界で最も裕福な国であった大英帝国の首都に暮らすどん底の人々のルポルタージュ。どこまでが事実なのか疑問はあるが、6畳程度の広さの部屋に6~7人ですむ家族。1年間に亡くなる人の4分の1が救貧施設でなくなるという事実。蟹工船どころではない悲惨な世界。


個人の多様性を認め合う社会。一つの寓話と一つの教育劇で語る、2008年のベストセラー。読みやすく様々な関連資料が示されており、理解が進む。


人見さんお薦めの本。非常に感動的な一冊。不運にして障がいや病のために苦しんでいる人たち。精神が研ぎ澄まされすぎて、壊れやすく敏感、人の良さに気づき、惜しみない愛を注ぎ込むことの大切さ。


世界の工場となって、全世界を席巻した中国のハードパワー。一方で人権無視、独自路線を堅持するなど国際社会でのプレゼンスは低い。そのためのソフトパワー(外交)戦略。ソフトに見えて実はすべて金の力。信頼関係ではなく、服従を強いる。

2009年2月1日日曜日

2009年1月


オバマ就任の年にふさわしく今年の一冊目はリンカーン、さらに今年は生誕200年ということも何かの縁か。苦学の末、弁護士となり、奴隷解放の父となり、凶弾に倒れる。法律家らしい理詰めの考え方。証拠主義。


丹後由良出身ということでびっくり。大日本スクリーンからの社内ベンチャーの話は、誰からどこで聞いたのだろうか。名刺一つで印象をすり込むアイデアはすばらしい。考え方の根底に大きな闇を感じたような気がしたが、それは家族を亡くしたからか。


少し軽快すぎるかな。逆に禅とはこういうものなのか。難しく考えてはいけないのか。なかなか難しい。


久しぶりにおもしろい小説家に出会った。各賞を総なめにするのもよくわかる。


マネジメントについて初めて説かれた本。いつもながら読みやすい訳であるが、ことなが少々特殊。GMには好まれなかったようである。企業の社会的責任や公共性についても言及。


待ちに待ってようやく刊行された本。何度も聞いた話ではあるが、何とか伝統産業の再生につながればと期待したい。再生のキーワードは何か。


すばらしきコーランの入門書。何という博学。イスラム教がこれほどよくできた宗教だとは知らなかった。


時を隔てたストーリーがパラレルに展開するのが、彼の手法なのか?一気に読ませる秀作。意外などんでん返しもあり、良。


太平洋戦争のさなかにこんな歴史があったとは、知らなかった。世の中には知らないことが多すぎる。


これはまたなんと難解な本であることか。とても手に負えぬ。翻訳の無理も重なっているのか。彼はいったい神の存在を肯定するのか否定するのか、さっぱりわからん。さらにまたすべてのことは証明可能な定理に帰納されるのか。Q.E.D.?


誰もが語りたがらない戦争のある側面についての非常に理解しやすい体験記。微妙な心の動きが、さもありなんと思えるように書かれている。ただあまりに想像通りというのもかえって怪しく思えるのだが、、、


生身のゴータマの生涯をあぶり出したもの。事実と推定される出来事が淡々と語られる。しかしながら、あまりに心の動き、悟りの内容に重きを置かない書きぶりで、かえって読みづらい。


幸福になることは難しい、大変な努力が必要である。悲観的に考えることは易しい。楽観的に考えることは難しい、大いなる努力、意志の力が必要である。


現代日本の生活文化を確定した時代でありながら、ほとんど顧みられなかった時代。京都が名実ともに日本の首都であった最後の時代である。何故これほど人気がなかったのか、不思議。


まさかカカオを巡ってこのような恐ろしい問題が起こっていたとは、あってはならないことである。我々にも何かできることはないのだろうか、というよりいったい何をしなければいけないのか。


1919年ウェーバーがドイツのミュンヘン大学で行った講演記録。職業としての教育者のとるべき態度について説く。教師は指導者や煽動者であってはならない。政策を語ってはならない。人が考える際の材料を提供するのが教師の役割か。

2009年1月31日土曜日

このブログについて

このブログの更新をしなくなってかなりの期間がたってしまいました。
本は結構読んでいるのですが、このブログに取り上げるとなると、どの本を選ぶか結構迷ってしまうので、更新が難しくなってしまいました。

実は、1年半ほど前から、本を読んだら書名と著者、読了日、ひと言感想をすべて記録するようにしています。
そこで、今年からは月初めに先月分の記録を一月ごとにまとめてここに転載しようと思います。
すべての本を記載していきますので、かなり恥ずかしい思いもいたしますが、何かのご参考に。