2021年12月23日木曜日

2021年11月

11月は26冊で、小説が16冊とそれ以外が10冊という内訳でした。

2021年、残り一ヶ月で273冊となりましたので、久々の大台まで27冊。ちょっと難しいかな、、、微妙なところです。

そんな中でのお薦めですが、小説ではジェフリー・アーチャーのクリフトン年代記一択です。上下2巻×7部で計14冊という超大作でしたが、一月の間に一気に読み切りました。読んでも読んでも続きが読みたくなる本で、長さは全く感じませんでした。一応一人の人物を中心とした年代記なのですが、ミステリやロマンス小説の要素もありながら、政治、経済の要素も盛り込んだ贅沢な作りになっています。すでに読まれた方もおられると思いますが、もしまだの方がいらっしゃったら、是非とも読んでみてください。お薦めです。

小説以外の本も面白い物が多かったですが、こちらも敢えて一冊だけ。

いわゆる男性優位社会を痛烈に批判するマチズモを削り取れが興味深く、お薦めです。

今の世の中は、既に男女平等が保証されており、むしろ女性優位社会が訪れている。残っている男性優位と見える事も、決してそのような意図が含まれているものではなく、体力的な性差に基づくやむを得ないものだと思っていらっしゃる方にこそお薦めします。とんでもないことですよ。

今月は、まとめが遅くなってしまったので、ちょっと短めにしたいと思います。

今月もかなり読めたなと思いつつも、年頭に誓ったような古典にはほとんど手が付けられておらず、とても残念に思っています。

ここ数日も、いろんな本を読んでいる中で、有名な古典籍に言及されているところがあって、その度に、これも読まなきゃ、と焦っております。

今年もあとわずか。今月中は難しそうなので来年こそはと堅く心に誓っております。

 

 

001/248

夢と幽霊の書」アンドルー・ラング

今から120年前に書かれた奇書です。当時の新聞などで取り上げられた奇跡や幽霊譚などを集めた書籍です。今の我々が読むと、鼻白むようなことでも、当時の人たちにとっては一大事で、新聞紙上を何日にもわたって騒がせていた様がよく分かります。当時のイギリス国内の社会・風俗を想像するだけでとても楽しい書籍でした。(11/2)

 

002/249

見えない巨大水脈 地下水の科学 使えばすぐには戻らない『意外な希少資源』」日本地下水学会、井田徹治

およそ10年前に書かれた警鐘の書籍です。が、どうもその後も大きく改善された様子はなく、さらに同様の書籍が続発された形跡もありません。唯一、本書が久しぶりに重版がかかったくらいでしょうか。実は我々はかなり膨大な量の地下水を利用しているらしいのですが、地下に貯められる量を超えて利用しているという実体もあります。さらに深刻なのが地下水汚染で、いったん汚染されると浄化されるのはほぼ不可能です。また、いわゆる有機肥料といわれる肥料も汚染源となっているようで、すべてがバラ色とはいかないようです。硝酸性窒素という言葉も初めて知りました。地球を食い尽くす人類。(11/2)

 

003/250

にぎやかな眠り」シャーロット・マクラウド

シリーズになっている翻訳ミステリです。とある大学の教授たちが住まう一角では、クリスマス時期になると、家を飾り付ける暗黙のルールがあるのですが、それが嫌でクリスマス時期に留守にしていたところ、帰ってきたら自宅に女性の死体が。とりあえず、続編はもういいかな。(11/3)

 

004/251

時のみぞ知る クリフトン年代記 第1部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

めちゃくちゃ面白い小説です。主人公のハリー・クリフトンを取り巻く大河小説で、本作では誕生から、運命の人エマとの出会い、結婚と思わぬ別れまでが描かれます。とにかく息をもつかせぬ展開と善悪がはっきりとわかりやすい登場人物たちのおかげで次のページをめくる手が止まりません。とにかく面白いです。(11/6)

 

005/252

白鳥とコウモリ」東野圭吾

東野さんらしい小説です。売れっ子になっていろいろと言われる方もいらっしゃいますが、面白い作品になっています。名作容疑者Xの献身を思い出しました。お薦めです。(11/7)

 

006/253

コロナ時代の僕ら」パオロ・ジョルダーノ

昨年4月にイタリア国内で発表されたエッセイを纏めたもの。新型コロナウイルス感染症が一回目のパンデミックを迎えつつある時期に書かれたもので、当時の切迫感が伝わってくる。とはいえ、イタリア国内の感染者がまだ4桁から5桁に届こうかとする時期で、すでに500倍を越えている。とにかく示唆に富んだ珠玉の言葉に溢れているが、日本語版に特別に加えられた新聞でのコラムコロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないことに書かれていた次の一節が心に響く。コロナウイルスが『過ぎたあと』、そのうち復興が始まるだろう。だから僕らは、今からもう、よく考えておくべきだ。いったい何に元どおりになって欲しくないかを。”(11/8)

 

007/254

全員悪人」村井理子

いちおう小説の形式を取っておられますが、まるでノンフィクションのように真に迫ったお話でした。面白かったです。認知症が徐々に進み、周りにいる全員が自分に危害を加えようとしていると思ってしまう主人公。自分も徐々にそういう年齢に近づいてきました。この線の向こう側に行ってしまったら、どんな感覚に包まれるのでしょうか。そこからは帰ってこれないような気もするので、とても恐ろしい。(11/8

 

008/255

もうダメかも 死ぬ確率の統計学」マイケル・ブラストランド、デイヴィッド・シュピーゲルハルター

死亡確率100万分の1をマイクロモート(MM)と定義づける。これは、イングランドに住む5000万人が、何らかの理由で死亡する確率(つまり、同地では毎日50人の人が何らかの理由で死亡している。)を指し、もっとも平均的なリスクと考える。この基準で行くと2010年のロンドンでさえ出産のリスクは120MM、世界に目を向けると2100MMとなるそうです。出産というものがいかに偉大な業と言えるかよくわかります。まぁ、着眼点としてはおもしろいですがね。(11/8)

 

009/256

死もまた我等なり クリフトン年代記第2部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

途中で書くとネタバレになってしまうので、感想は、最終巻の読了後に纏めて書きます。(11/11)

 

010/257

歪められた食の常識 食品について聞かされた事のほぼすべてが間違っているわけ」ティム・スペクター

世の中には○○”○○”と銘打った食品があふれかえっています。かくいう自分もついついそういった表示に目がくらんで、同じ物なら、無糖、高タンパクと書かれた物を買ってしまいがちです。実は、こういった食品には、それで味が変わってしまったところに、化学的に調味されています。また、体に良いとされる食品から特定の成分が抽出され、その成分だけがサプリメントとして販売されています。科学が進んで、食生活が豊かになったように見えますが、実はかえって貧弱になってしまっている。そんな現実に気づかされます。巻末に纏められた食生活を改善する12のポイントを読むだけでも価値ある一冊かと思います。(11/12)

 

011/258

罪のあとさき」畑野智美

最近、彼女の作品が面白くて、少しずつ拾い読みしています。この作品は中学生時代に教室で級友を殺してしまった同級生と再会し、恋に落ちてしまった女性が主人公。もう一人の同級生である友人女性も登場し、不思議な人間模様が描かれます。ややダラダラ感があって、すっきりしませんが面白い小説でした。(11/13)

 

012/259

裁きの鐘は クリフトン年代記第3部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

第三部、かわらず面白い。(11/15)

 

013/260

京都の中世史6 戦国乱世の都」尾下成敏、馬場隆弘、谷徹也

最近刊行されたシリーズです。中性の京都は、日本の政治・文化の中心であり、京都の歴史=日本の歴史でもありました。その中で、この巻は応仁の乱の後から徳川政権の成立までの約100年間を扱っています。この応仁の乱から戦国時代へ移り変わる時期というのは、私の知識の中では割と空白に近い時代であり、とても興味深く読みました。象徴化された足利将軍家nい対して実権を持っていた細川家という構図の中で、細川家の中での勢力争いが活発になっていきます。そしてその中から三好長慶や松中久秀といった戦国時代のスターが登場してきます。京都の中世史が最後に注目を浴びた時代です。(11/16)

 

014/261

言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか」ジョシュア・ウォン

現在、急速に自由が奪われつつある香港の民主活動家による獄中記です。同じ頃に流ちょうな日本語を駆使して、日本国内でもたくさんお支持者がいた女性活動家も投獄され、その後を活動を禁止されました。この本に書かれていることも、香港当局の了承を経て出版されているはずですから、おそらくすべてではない。書かれていないところに真実があるのだろうと思います。民主主義を守るためには、常に市民による監視と暴力に対抗できる団結力が必要です。(11/18)

 

015/262

マチズモを削り取れ」武田砂鉄

マチズモとは、ラテンアメリカにおいて男らしさを重んじる生き方、男性優位社会体現してる社会のことを指すそうです。この本では、特に今の日本社会に溢れている男性優位思想をこれでもかとあぶり出しています。実際のところ、私も男の端くれなので、男性が優遇されている場面に数多く突き当たり、その度に嫌ぁな気分になります。それで誰が得するんだろう?とか、明らかに損失だろうと思うことが限りなくあります。過日明らかになった医科大学での男女不平等なんて最たるものです。なんとかしなければいけませんね。まずは、政治から。(11/18)

 

016/263

フード・ルール 人と地球にやさしいシンプルな食習慣64」マイケル・ポーラン

食品添加物や過度に加工された食品ではなく、もっとシンプルな食生活を送りませんか。とはいえ、節約生活をしようとすると、どうしても最初に削減されるのが食料費。家計支出に占める所領費支出の割合を表したものがエンゲル係数。かつては貧困度を表す尺度の一つとして使われていました。現在も、貧困と肥満度には相関関係があるといわれています。シンプルな生活こそ贅沢な生活。(11/19)

 

017/264

追風に帆を上げよ クリフトン年代記第4部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

ますますおもしろい。(11/19)

 

018/265

三軒茶屋星座館」柴崎竜人

初めて読む作家さんです。プラネタリウムを備えたバーを営む主人公と、優秀な弟親子の不思議な共同生活。続編が結構書かれているようですが、たぶん読まない。(11/19)

 

019/266

紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官」川瀬七緒

私のお気に入りのシリーズで、この次の巻を先に読んでしまったのですが、ようやくこれで追いつきました。残念ながらその後の続巻は出されていないようなのですが、もう書かれないのかな。主人公のキャラも立ってて結構好きなんですが。(11/20)

 

020/267

ポストコロナのSF」日本SF作家クラブ編

どんなに荒唐無稽な設定を考えても、現実がそれを追い越してしまう。SF小説が書きにくい世の中になりました。この本は、ポストコロナ時代を見据えた短編SF小説のアンソロジーです。昔はSF小説大好きだったのですが、最近のSF作家は全くわからず、この本に咲く本を寄せている作家さんも誰一人知りませんでした。SF小説こそ、もっとさりげなく書かれるべきかと思うのですが、これらの作品は、何かしら肩に力が入っている感じがして、重い印象を受けました。テーマがテーマだけに仕方がないのかとは思いますが、ほかの本を読みたいなと思える作家には出会えませんでした。(11/21)

 

021/268

剣より強し クリフトン年代記第5部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

そんな展開もありですか。(11/24)

 

022/269

継続捜査ゼミ」今野敏

警視庁OBが大学の教授として第二の人生を送る。そのゼミの一環で過去の未解決事件の継続捜査を行い、事件を解決に導くというとんでもない設定の物語です。最近続編が文庫化されたので、まず本編をと思い読んでみました。まぁ、彼の警察小説はそれほど外れがないので安心して読めますが、この作品では必要以上に警察が無能に描かれていて、少しかわいそう。(11/24)

 

023/270

機は熟せり クリフトン年代記第6部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

おもしろいのだが、いやな予感がするぞ。(11/28)

 

024/271

なぜ秀吉は」門井慶喜

なぜ秀吉は無謀な朝鮮出兵を強行したのか。永遠の謎ですね。彼の小説を初めて読んだときは衝撃的だったんだけど、最近のはなんかなぁ、これもかなり期待はずれでした。(11/28)

 

025/272

永遠に残るは クリフトン年代記第7部(上)(下)」ジェフリー・アーチャー

いやぁ、とにかくおもしろかった。毎日朝夕の通勤の移動中に読み続け、一ヶ月で一気に読み切りました。7部かける上下巻で、計14冊の文庫でしたが、長さは全く気にならず、続きが気になって、京都市と亀岡市の二つの図書館からとっかえひっかえ借りてきて、途切れることなく読むことができました。最初の執筆当初は5部作の予定だったそうですが、どんどん伸びて7部作に。でも冗長さは全くありませんでした。様々な要素が入り交じった超大作で、どんな読者にも満足できる展開かと思います。ただ、第1部で提示された謎を第7部で中途半端に解いて見せたのがちょっと不満。でも今月最高のお薦め作です。(11/29)

 

026/273

安いニッポン 『価格』が示す停滞」中藤玲

失われた30年で、ものの値段が上がらず、給与も全く上がらない国になってしまいました。気がつくと世界からは大きく取り残され、凋落傾向は止まることを知りません。政治は二流だけど経済は一流と呼ばれた時代もありましたが、今や政治も経済も三流以下。ここからのV字回復は至難の業だ。(11/30)