2015年12月9日水曜日

2015年11月

お待たせいたしました。11月のどくしょかんそうぶんをupいたします。
11月は、全部で19冊。小説が12冊、その他が7冊という内訳でした。

長い出張があった割には、よく読めたと思っています。というか、むしろ長い移動時間が幸いしたと言うべきでしょうか。

ということで、この中から何冊か選んでみたいのですが、小説では、畠中恵、湊かなえ、若竹七海、朝井まかてと女流作家の作品がずらりと並びました。いずれも最近気に入って読んでいる作家ばかりなのですが、今回はSFの古典とも言えるケン・グリムウッドの『リプレイ』を挙げたいと思います。

ひょっとすると、もう書店では手に入らないのかもしれませんが、誰かが雑誌か何かで推奨されていたので、古書で買い求めました。途中から何か切なくなってくるような、そんな思いがする秀作でした。かなりの長編です。

その他の本では、思い切って『AKB48、被災地へ行く』を挙げさせてもらいます。

アイドル本の一種ではあるのですが、東日本大震災以降、彼女らが進めている取り組みの一端がよく解ります。“偽善”と切って捨てることは簡単ですが、そのおかげで、彼女らを応援する全国の若者たちが、震災のことを記憶に留めていてくれるのなら、それだけで大きな価値があるのではないでしょうか。

さて、今年も残り一月を切りました。あと数日、どんな本を読んで過ごしましょうか。

001/215
こいわすれ」畠中恵
これも先日テレビドラマ化されたシリーズ物。お気楽な主人公が、嫁をもらい、子供を授かり、さあこれからというところで、妻と生まれてくるはずの赤ん坊が命を落とすという、ものすごい展開。この先どう続けていくつもりなのか。気になる。(11/2)

002/216
旅先のホテルで、白と黒のどちらの枕を選ぶかによって、見る夢が大きく変わってしまうという物語。途中から夢と現実が混じり始め、奇妙な展開を見せる。不思議な物語。(11/5)

003/217
京都を舞台に、幽霊が出ると噂のある賃貸物件について、科学的にその原因を突き止めようとする女性が主人公。おもしろいかなと思って読み始めたのだけれど、途中から雲行きが怪しくなって、なんだか官能小説のようになってしまい、ちょっと引いてしまう。(11/7)

004/218
ときぐすり」畠中恵
先日読んだシリーズ物の続編。妻を失った主人公が、徐々に立ち直っていく様子を描く。将来的には、親の跡を継いで、町名主として町内の世話役を務める立場であり、いつまでも独り身とはいかないので、再び嫁取りの話が出てくるだろうが、まだそのような話は出てこない。でも、ひょっとしたら、今回その兆しが見えてきたのかもしれない。(11/8)

005/219
著者は、司法試験のカリスマらしい。答えのでない問題を考えるための手法を解く。今の教育制度では、このような思考法を教えることはない。以前も何処かで書いたことがあるが、おそらくこのような思考をする人間が増えることを良しとしない勢力が何処かにあるのではないかとさえ思ってしまう。何ごとにも疑問を持ち、深く考える癖を身につけたい。(11/8)

006/220
貞観政要」呉兢(ゴ・キョウ)、守屋洋訳
名君と呼ばれた唐の2代目皇帝太宗と臣下の問答を収めた物で、歴代の君主のバイブルともなった書である。本書では全10巻40編の約半分を紹介されている。常に部下からの諫言を望み、自らの行状を省みることに躊躇がない。彼の統治は貞観の治とよばれ、理想の政治とされた。現在の権力者にも読ませたあげたい。(11/9)

007/221
腸を整えることが健康に繋がるとはよく言われるところ。こういった本を読むとすぐに試してみたくなるのだが、結局長続きしないのがダメなところ。それを反省しつつ。書かれていることは非常に論理的でわかりやすい。また最新の知見も紹介されている。どうやら腸を整えるには、オリーブオイル(それもエクストラ・バージンオイル)が有効なようで、早速試してみたのだが、本当は食事と共に摂れればよいのだろうけど、結構難しい。(11/13)

008/222
母性」湊かなえ
母と娘の物語。主人公としての母と娘が、代わる代わる独白する形で物語が進む。ところがこの母親というのが、過度にその母親(祖母)に依存しており、それがこの母娘の行く末に大きな影を落とす。母親の愛に応えたいと思う気持ちが、自分の愛に応えてくれない娘への不満と困惑を招く。(11/15)

009/223
かねてから、『日本=技術大国』という物言いに疑問を持っていた。品質重視であることは疑いがないのであるが、過度な品質を追い求めることにどのような価値があるのか、実は理解できないのである。もちろんすぐに壊れてしまうようなものであれば、言うべくもないが、必要な機能が確保されていれば、問題ないのではないか。こういったオーバースペックを追求する姿勢が、技術革新を推し進めてきたことは間違いがないのだとは思うが、どこかでもう一度考えたほうが良いのではないか。(11/15)

010/224
さよならの手口」若竹七海
葉村晶シリーズ。最近、彼女の著作が体に合うようで、このシリーズは特におもしろくて、楽しみにしている。もう新作は出ないかと思っていたら、文庫版での書き下ろし。この調子でまた書き続けてくれないかな。(11/17)

011/225
リプレイ」ケン・グリムウッド
誰かが、とても褒めていたので、探して買った物。さっきまで健康だった主人公が、急に心臓病で亡くなったはずが、次の瞬間には若かった頃の自分として、人生を繰り返す。死んでしまう日は同じなのだけれど、さかのぼる期間は少しずつ短くなる。初めは永遠に思えた人生が、徐々に短くなっていき、生きるということの意味を考えるようになる。かなりの長編ではあるが、はまり込んでしまい、長さは感じない。(11/21)

012/226
アンフェアな国」秦建日子
先日、映画が制作されたので、その原作かと思って読んだのだが、実は全く別物。いつもの雪平らしさが満開で、誰もが見逃していた事件の真相を明らかにする。いい感じに仕上がっている。(11/23)

013/227
僕はもう憑かれたよ」七尾与史
どうやら、階段から転落死した人物の残留思念が、目撃者の意識に入り込んでしまったらしい、というのが物語の始まり。自分を階段から突き落とした犯人は誰なのか。それを突き止めるため、主人公が眠りに落ちると、入り込んだ人格が目覚め、夜を徹して活動する。そりゃぁ、疲れるわなぁ。(11/23)

014/228
気象庁の誕生から現代の最新技術による予報作業までをざっくりと解説した物。内容的には結構おもしろい物を含んでいると思うのだが、文章がちょっと。ぶつぶつと細切れに書かれているようで、私の好みではない。(11/25)

015/229
福島第一原発事故 7つの謎NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
東日本大震災直後からの福島原発事故について、関係者の証言を丁寧に拾ったスペシャル番組を書籍化した物。これも丁寧に書かれてはいるのだが、さすがに映像から切り離されて状態では、かなりわかりにくい。ただ、現場が如何に混乱していたのかは、よく判る。再発防止のために、備えるべき機構は多い。(11/28)

016/230
藪医ふらここ堂」朝井まかて
最近特に気に入って読みあさっている著者の最新作。江戸の小児科医であるふらここ堂が舞台。藪医者だと思っていたら、どうやら結構名医らしい。さらに娘も知らない生い立ちにもかなりの秘密がありそうな。ハッピーエンドなので文句はないが、もう少し大きな盛り上がりがあってもよかったかな。(11/28)

017/231
リアル書店が舞台となったシリーズ2作目。ネット書店に押されて厳しい状況にあるリアル書店であるが、最近はアマゾンがリアル書店にも手を出し始めたようで、この業態が無くなることはないとは思うのだが、生き残りは難しい。今作では、転職、廃業、さらに女性書店員の出産など、ありがちなネタが散りばめられている。現実はきっともっと厳しいのだろうな。(11/29)

018/232
気がつけば、結構なシリーズになっている。市役所の苦情相談係が、見事な安楽探偵ぶりを発揮する。今作も、主人公である探偵は至って地味で、登場シーンも驚くほど少ない。変わった小説である。(11/29)

019/233
所詮アイドルと高をくくっている人が多いのだろうが、周りの大人達はいざ知らず、やっている本人達は至って純粋にその役割を演じている。偽善と陰口をたたくことはたやすいが、であれ、できるを施すことは決して悪いことではない。そのことで、全国の人たちが被災地のことを忘れずにいることに大きな価値がある。(11/30)