2017年3月5日日曜日

2017年2月

先月2月は、計10冊、うち小説が9冊で、その他が1冊のみ。数が進まなかったのは、明らかに“ユダ”のせい。
ちょっと読みづらい小説に時間をかけすぎたのと“人”に気をとられすぎて、夜がよく眠れず、朝の電車で全く本が読めなかったことが大きい。
そんな中では1冊挙げるだけでも精一杯なはずが、
まずは直木賞作品“蜂蜜と遠雷”。物語の展開に意外性はないのだけれど、キャラクター設定がすばらしく、その設定どおりに人物を動かすだけで、物語が展開していく。そしてそれがおもしろい。絶対のお薦めです。
さらに、古い本ですが“僕のミステリな日常”は、この作品が今の若竹さんに繋がるのかと思うと感慨深い。それだけでなく作品としてもおもしろい。
そして、“ツバキ文具店”と“昨日のカレー、明日のパン”。これはどっちも良かった。こうやって見るとストーリーもさることながら、キャラクター設定の妙が自分にとっての肝なんだなと改めて思います。
思えば、10冊しか読んでなかったけど、4冊もお薦めできる本があったというのは、すごいことかもしれないですね。

001/021
ねじの回転」恩田陸
2・26事件が進行している帝都・東京を舞台にしたSF小説。彼女の小説、特にこういった空想科学分野の小説においては、設定のおもしろさが心惹かれる大きなポイントである。今作も、単なるタイムトラベルものではなく、さらに一ひねりが加えられていて、それがいかにも人間くさくておもしろい。(2/1)

002/022
何年か前のベストセラーで、脚本家のご夫婦による小説だとか。主たる登場人物である3人の微妙な関係が興味をそそり、次の展開が楽しみになる。タイトルは、主人公の過去と未来を象徴するものだと思うが、それが何を表しているのかを想像すると、人によっては意見が違うのかもしれないですね。私は、ある人との生活だと読んだのですかが、如何でしょうか。(2/5)

003/023
蜜蜂と遠雷」恩田陸
言わずとしれた直木賞作品。結局購入して読んだ。この作品は、奇をてらったような設定があるわけではなく、架空のピアノコンクールを舞台にした小説で、登場人物のキャラクター設定に大きな工夫がされていて、その設定だけを軸にして物語を進め、かなりの分量があるにもかかわらず、一気に最後まで読ませるだけの魅力を備えている。とてもおもしろかった。(2/11)

004/024
レオナルドのユダ」服部まゆみ
これは、京都の大垣書店のミステリ担当さんが薦める傑作と言うことで、買い求めたのだが、残念ながら、この作品のどこが担当さんの琴線に触れたのか、最後までピンと来なかった。レオナルド・ダ・ヴィンチについて知識があればもっと楽しめたのだろうが、彼の事蹟に疎い私には、淡々と進むやや退屈な作品でしかなかった。結構長い小説でもあったので、読み切るのにかなり長くかかりました。(2/18)

005/025
ツバキ文具店」小川糸
本屋大賞2017ノミネート作の一つ。鎌倉にある文具店で代書業を営む主人公と彼女を取り巻く隣人達の物語。小説に登場するキャラクターもとても魅力的である上に、文具や手紙に関わる蘊蓄が詰め込まれていてとてもおもしろい。毎回とてもユニークな目的の手紙の代筆を依頼されるのだが、それにどのように応えていくのかを考えるだけで、楽しく読める。そうか、そういくのか。という新鮮な驚き。 (2/18)

006/026
舞台は廃業された病院。そこに“管理者”に集められた“自殺志願”の子供達が集まってくるところから物語はスタートする。本当なら12人しか居ないはずが、すでに1人の死体が12人を待ち受けている。みんなでその謎を解いていくうちに、考え方が変わっていく。最後は当初想定どおりの結末に落ち着くのだが、途中の推理過程もおもしろい。(2/19)

007/027
方舟は冬の国へ」西澤保彦
SFチックで少し不思議な物語。舞台はどことも分からない別荘。訳あって、その別荘からは一歩も出ることが叶わない。何も知らずに集められた(と思しき)疑似家族が、不思議な時間の経過と共に一体感を深めていくという物語。SFちっくな設定が、すこし理解しづらいのだが、物語としては良くできていると思われる。(2/23)

008/028
テレビでおなじみの先生。生物学者さんなので、その方面のお話しは良いのだが、それ以外の社会問題についての意見が多い。もちろんこれだけの方なので、何を話されてもそれなりに得られるものはあるのだが、専門外となると感覚的な論調が多く、若干鼻白んでしまう。(2/23)

009/029
すでに次作も店頭に並んでいるので、慌てて読んだような次第。なんか、主人公のキャラクターが少し変わったような気がするのは気のせいか。決してだめなわけではないのだが、私の好みには合わないなぁ。(2/25)

010/030ぼくのミステリな日常」若竹七海

ずっと読みたくて買ったけど、読まずに積んでいたままの彼女のデビュー作。いろんなシリーズがある中で、いわゆる“若竹七海シリーズ”と言われる本人名義の主人公が出てくる連作短編集。劇中劇のような形で話が進み、これを本当に新人作家が書いたのかとかなりの驚き。完成度も高く、今読んでも全く遜色がない。おもしろいなぁ。(2/26)