2017年7月6日木曜日

2017年6月

6月は少なめで13冊。そのうち小説が11冊で、その他はわずか2冊。久しぶりに大いに偏った結果になった。

通勤途上の電車での読書量が、ほとんど無かったことがとても大きく影響しています。というのも、先月は睡眠不足がたたって、朝の電車ではほとんど寝っぱなしで、帰りの電車も少し遅めになると常に満員で、とても本が読めるような状況ではなく、持ち歩いている新書を読む余裕がほとんどありませんでした。

ということで、今回のお薦めですが、小説のみで2冊をお薦めします。

一冊目は“若冲”でして、単行本で出たときから注目していて、いつか読みたいと思っていたところで、文庫本が出たと言うことで、早速読んでみました。少ないヒントから、主人公となる伊藤若冲の周辺を彩る人物たちを描くことで、若冲その人の人物像を創りだしています。史実は大きく違うのだろうけど、これくらいの創作は許される範囲でしょう。とてもおもしろかったです。

二冊目は、原田マハさんの“翔ぶ少女”です。これは東日本大震災後に書かれた物語ですが、阪神・淡路大震災による震災孤児である少女を主人公にした物語になっています。若干ムムムと思うようなところも出てきますが、良い感じのお話になっています。

さて、6月はあまりじっくりと本を読める状況ではありませんでしたが、7月は気を取り直して、しっかりと読んでいきたいと思います。

さぁ、どんなおもしろい本に出会えるか、楽しみだ。

実は今、毎朝読んでいる岩波新書がとてもおもしろい。結構古い本で読みづらい本なんですが、おもしろい。
時代を超えて読み継がれる本って、やっぱ良いですね。

001/073
若冲」澤田瞳子
最近単行本として出版され大変評判になっていたところ、文庫化されたので早速買って読んでみました。昨年が生誕300年であった若冲について、家風に合わず自死してしまった妻(実際は生涯未婚であったらいいのですが)とその弟、さらには腹違いの妹など彼の人生に大きな影響を与える人物を据え、彼女なりの若冲像を描いています。読み応えのある一冊でした。(6/2)

002/074
最近少し気になっている作家のライトミステリ。世に出た頃は、かなり鮮烈な印象で期待していたのだが、最近はどうなのだろうか?ちょっととぼけた味のある女性を描くのがうまいのだが、どうもここのところ一本調子のような気がする。今作も、読んでは見たものの、シリーズ化は厳しいのではないか。(6/3)

003/075
県警内部での派閥抗争。10年前にあった火災の真相。現役警察官の失踪。地元出身アイドルの一日署長。とある地方の警察署で起こった一連の騒動とその始末のために奔走させられる脇坂副署長の長い一日を描く。まぁ、現実にこんなことが起こるとは思えないが、次から次へと新たな事件が発生し、息もつかせぬ勢いで結末まで突き進む。(6/4)

004/076
きのうの世界」恩田陸
途中までは、ある種のミステリ小説家と思いきや、最後の終章ではSF大スペクタクル映画のようなスケールの大きな物語に昇華する。途中で明かされる意外な事実や、新たな謎がどう解決されるのかと心配になったが、かなり意外で強引な手法で刈り取られる。なんかどうも、最初にどの程度構想があって書かれた物なのか、かなり疑問。(6/10)

005/077
メロディ・フェア」宮下奈都
地方のショッピングセンターにある化粧品売り場で働く女性が主人公。本当は、こんなところで働くことが本意ではなく、家族との葛藤もあって、なかなかうまく打ち解けられない。いろいろなお客さんとのやりとりを経て、ごく普通の女性が、少しずつ成長していく物語。彼女の小説に出てくる主人公の女性は、様々なことに悩む等身大のキャラクターでありながら、何かをきっかけにして成長していく人物が多く、とても好感が持てる。結構気に入っている。(6/10)

006/078
翔ぶ少女」原田マハ
阪神・淡路大震災により、目の前で両親を亡くしてしまった3人の幼い兄弟を主人公にした物語。東日本大震災の後にあえてその前の大震災を題材に物語を書く。あまりに生々し過ぎて、かけなかったのか。何かを仮託しようとしたのか。こういう物語を読むと、どうしても幼い子供を残して死んでしまった親のほうに感情移入してしまう。とはいえ、小説の冒頭で亡くなってしまうので、それほどの時間はないのですが。でも、震災に限らず、どのような災害でも、同様のことは起きているのでしょう。(6/11)

007/079
弁護士資格を剥奪された主人公の女性が、何でも屋として、お客さんの依頼に応えていく。最初の数編は、主人公の能力が遺憾なく発揮され、スマートな感じに物語が進むのですが、後半は、助手である男性が急に主役に躍り出て、彼の活躍が物語の中心になっていきます。全く違う主人公の小説を読んでいるみたい。彼女の本はいつもどれも面白いんだけどなぁ。(6/11)

008/080
人気シリーズの完結編。人間関係が複雑になりすぎて、ついに登場人物の館レズが登場してしまった。もっと単純な古書ミステリに徹した方が良かったのに、メインストリームとしてあまりに大きな話を作ってしまったため、収集がつかなくなったような印象。シリーズ初期の頃の方が良かったなぁ。(6/17)

009/081
チェーン・ピープル」三崎亜記
現代社会にはびこっている偏狭さ。善意の押しつけ。ちょっと不気味で恐ろしい物語の数々。正義の味方の話が面白かったなぁ。(6/18)

010/082
阪神・淡路大震災から20年以上。そのときに顕在化した様々な問題点が解決されないまま東日本大震災を迎えた。特にこの災害では、原子力発電所の大事故という今もなお被害が拡大しながら継続するというかつてない状況に見舞われている。つまりこれまでの災害対策では対応できないということなのである。この厳しい状況に対応するには何が必要なのか。あまりに難しい。(6/21)

011/083
綾瀬はるか『戦争』を聞く」TBSテレビ『NEWS23』取材班編
テレビ局の企画で、綾瀬はるかさんが、戦争被害者の話を聞いて歩いた番組を文章化した物の第二弾。残念ながら映像化された物は見ていないことが悔やまれる。この文章を読んでいるだけで、臨場感が伝わってきて、彼女がいかにしてインタビュー対象者の懐に入り込んで上手く話を聞き出している様子が伝わってくる。(6/24)

012/084
素敵な日本人」東野圭吾
いろんなところで書きためられた短編ミステリ集。なんか、別の小説でもよく似た話を見かけたような気がするのだが、気のせいか?ただ、一つ一つの物語は、よく書けているし、意外性もあっておもしろい。(6/24)

013/085

人気シリーズの5作目。安定のおもしろさ。今作は霞ヶ関の過労死問題を取り上げる。今民間の事業所では、電通事件の影響もあってか、労働時間の短縮が一気に進んでいるようであるが、官公庁、特に霞ヶ関のそれは、悲しいくらいに遅れていると言われている。作者は、どこまでその実態を知っているのか解らないが、この長時間労働が、生産性の低さを表している。何とかしなければ。(6/25)