五月は、小説が27冊、それ以外が4冊、計31冊となりました。日数と揃うよう最後はやけになって読んでました。ちょっと反省しています。
小説の中には、かわせみシリーズが6冊あったのと、Kindleで購入して、そのまま放置してあったものをまとめ読みしたものが、いくつかありました。
そんな中でのお薦めですが、小説はたくさん読んだ割には、いまいちでしたかね。あえて挙げるなら、
まずは、アンソニーホロビッツの作品は、安定の面白さでよかったです。外れなく面白い作品ばかりです。今作もお薦めします。
あと、意外と面白かったのが白蔵さんの『義経じゃないほうの源平合戦』。以前読んだ忠臣蔵をモチーフにした小説も面白かったですが、この作品も源氏三兄弟の中で、最も地味な男を主人公にして、この合戦を描こうという着想が秀逸かと思いますし、主人公の視点のみから描かれていることから、不要な描写もなく斬新で良かったです。お薦めします。
最後の一冊は、二宮敦人さんの『最後の医者は桜を見上げて君を想う』なんですが、医療小説(特に医療ミステリ)は好きなんですが、その中でもこの小説はちょっと異質かと感じました。三者三様の医師の姿が面白かったです。
小説以外は4冊しかなくて、選択の幅が狭いのですが、古代史をひらくⅡのシリーズはとても興味深いです。歴史学者だけでなく、他分野の専門家も交えた執筆陣で、巻末にはその執筆者による座談会が収録されているのですが、これがまた面白い。この部分だけでも読まれるのも一興かと思います。
連休は、ほぼ散歩に出歩いていたので、読書時間はありませんでしたが、好きな野球を見る気にならない日々が続き、悲しいけど、おかげでその時間を有効に使うことができました。
6月となると間もなく梅雨入りで、車中での読書がつらくなってきますが、できるだけ良い本をのんびりと読みたいと思います。
001/085
「時効犯」翔田寛
この作者の本は、過去に何か一冊読んだように記憶しているのですが、書名が全く思い出せない。刑事もののミステリなのですが、途中までポンコツだった下っ端の女性刑事が、途中から急に冴えはじめて過去の難事件を解決に導くという、とてもありそうにない物語。(5/1)
002/086
「失せ物屋お百」廣嶋玲子
帰りの電車バスの中でサクッと読みました。京都市の電子図書館偉大です。ちょっと不思議な物語であったり江戸時代を舞台にした妖怪ものをものにされている作家さんで、この作品も、とある出来事から不思議な力を持った『眼』を持ってしまった女性が主人公で、ひょんなことから拾ってしまった子狸とともに怪異の謎を解いていきます。軽めで時間つぶしには最適でした。続編も借りてます。(5/1)
003/087
「古代人の一生 老若男女暮らしと生業 シリーズ古代史をひらくⅡ」吉村武彦責任編集
昨年から岩波書店で刊行されているシリーズなのですが、前の『古代史をひらく』シリーズも秀逸だったのですが、今シリーズも出だしから目が離せません。今巻では、古代史の本ではなかなか手が付けられていない『ジェンダー論』に係る論考が収められており、執筆者も歴史学者、考古学者、文学者と多士済々。それぞれの分屋からのアプローチで、古代人の一生について生き生きと語っておられます。惜しむらくは、巻末の座談会でも触れておられますが、『子ども』については、考古資料、歴史資料だけでなく文学資料も極端に少ないため、『一生』を描き切ることができなかったのが残念です。でも面白かった。次巻も続けて読む予定です。(5/2)
004/088
「失せ物屋お百2 首なしの怪」廣嶋玲子
続編も同様に軽く読める一冊。これまた通勤途上にサクッと読みました。(5/2)
005/089
「生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ」知念実希人
人気シリーズです。これは長編のほうですね。臓器移植のためコーディネーターによって搬送される途上の臓器が、何者かによって略奪される事件が続発。その謎を鮮やかに解いていきます。(5/3)
006/090
「ナイフをひねれば」アンソニー・ホロヴィッツ
これまた人気シリーズの一作。今作では、主人公の一人が殺人ん疑いをかけられ警察に逮捕されます。その事件だけでなく、過去に起こった事件までも鮮やかに解決する。そんな物語です。相変わらず面白いです。(5/4)
007/091
「犬張子の謎 御宿かわせみ21」平岩弓枝
父と子の愛を感じる表題作です。
(5/5)
008/092
「殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官」大倉崇裕
作者は、脚本家としても活躍されており、最近は劇場版のコナンシリーズの脚本を書いておられる作家さんです。今作は、ミステリなのですが、怪獣の常襲地帯となった日本で、その針路予報官という職を創造されています。なかなかシュールな設定ですが、ちゃんとしたミステリになっています。(5/6)
009/093
「レイライン 千三百年間の謎失われた秘剣」榊正志
三種の神器である草薙の剣に隠された謎を追うアクション小説です。これがなかなかのトンデモ設定で、日本国内でありながら火器は使い放題、富士山の頂上にヘリで着地します。途中からいやになってきた。(5/7)
010/094
「隠れの子 東京バンドワゴン零」小路幸也
東京バンドワゴン零となっていますが、シリーズとは全く関係がなく、それをうかがわせる部分もありません。なぜにそんなタイトルになっているのか?さらにこの続きがあるんだろうか?謎だ。(5/8)
011/095
「最後の医者は桜を見上げて君を想う」二宮敦人
大学の同級生で、現在は同じ病院で働く三人の医者の物語。難病や大けがを超絶技術で治療して、患者の命を救うのが王道の医療小説において異色の小説。この小説に出てくる患者はすべて死を迎えるのですが、医師としてその最後の瞬間にどう向き合うのが正解か。それを追求する物語です。(5/8)
012/096
「天変地異と病 災害とどう向き合ったのか 古代史をひらくⅡ」川尻秋生責任編集
シリーズの2巻目なのですが、東日本大震災以降、過去の災害から学ぼうという機運が大きく盛り上がり、歴史学と他の学術分野の学際研究が大いに進んでいる分野でもあります。昨年ようやく終息したとされている新型コロナウイルス感染症然り、歴史に学ぶことは重要です。(5/9)
013/097
「貧乏お嬢さま、古書店へ行く 英国王妃の事件ファイル2」リース・ボウエン
世界大戦間期の英国を舞台にしたコージーミステリです。最近ちょっと気に入っています。また次作も読もうと思っていますが、10数巻出版されているうちの途中の巻が近くの図書館には収蔵されていないようで、ちょっと不安に思っています。(5/12)
014/098
「災厄」周木律
原因不明の集団死で、四国がほぼ全滅する。原因を巡って警察庁と厚生労働省が激しく対立。結局同時多発テロと主張する警察庁主導で対策が進むが、一向に成果が出ない。さて、最後に明かされた衝撃の事実とは。というパニック小説のはずなのですが、肝心のパニック場面の描写はなく、無能な政治家と官僚の描写にページが割かれます。ちょっとなぁ。(5/12)
015/099
「義経じゃないほうの源平合戦」白蔵盈太
いわゆる源平合戦を戦った源氏の三兄弟のうち、じゃない方の弟範頼を主人公においた物語です。派手な合戦部分の描写は最小限に留め、兄、弟との葛藤を描いています。数年前の大河ドラマでの役者さんを頭に置きながら楽しく読みました。新しい視点の物語で、面白かったです。(5/14)
016/100
「宗教2世」荻上チキ編著
一昨年に発生した元首相襲撃事件で俄かにクローズアップされた問題ですが、以前から注目して取り上げておられた方もたくさんいて、そういった方々との対談やアンケート調査から見えてきた『宗教2世』の置かれている実態を綴ったものです。古くから宗教的禁忌を理由にした学校行事不参加、輸血拒否などの問題が、その都度クローズアップされてきましたが、抜本的な議論にはならなかったように記憶しています。ただ、今回再燃した問題は信仰上の問題というより、親の教団への依存により、子が劣悪な経済環境に置かれているという社会的な問題が大きくクローズアップされています。解決策はあるのでしょうか。(5/14)
017/101
「清姫おりょう 御宿かわせみ22」平岩弓枝
長大人情捕物帳シリーズも22巻まできました。一応季節は巡って、子供たちは育ってくるのですが、主人公たちは年を取らないようです。それはそれでよいのですがね。(5/15)
018/102
「母は死ねない」河合香織
たくさんの『母』を描いたルポルタージュです。難病の子を抱えた母、犯罪者の母、犯罪被害者の母などいろんな母親が描かれています。人は、子供ができたら自動的に親になるのではなく、親になるためには意思と努力が必要だと思っています。子に対する無償の愛もすべての親が当然に持っているものでもないとも思います。『子供のために』というのは、すべての親にとっての『呪いの呪文』ではないでしょうか。(5/15)
019/103
「泥棒は選べない」ローレンス・ブロック
私のお気に入りバーニィシリーズの第一作です。どこにも見つからなかったのですが、なんと電子書籍として出版されていました。主人公が初めて盗んだものや泥棒になったきっかけなどがさらりと描かれていて興味深いです。ただ、この後の二作目以降がまた、なかなか見つからないのです。(5/16)
020/104
「源太郎の初恋 御宿かわせみ23」平岩弓枝
シリーズ23巻目にして、ついに主人公夫婦に待望の長女が誕生しました。幕末らしいきな臭さも漂ってきます。(5/16)
021/105
「特捜部Q 檻の中の女」ユッシ・エズーラ・オールスン
これもデンマークの人気ミステリシリーズの第一巻です。お蔵入り事件を専門に扱う特捜部Qの誕生譚と最初に大きな成果を上げた著名政治家失踪事件の顛末です。過去と現在の二つの場面が同時並行的に描かれているのですが、ある時点でその二本の糸が一本に結ばれます。主人公はあまり魅力的とは言えませんが、思った以上に骨太な物語でした。おいおい続編も読もうと思います。(5/19)
022/106
「日曜の午後はミステリ作家とお茶を」ロバート・ロプレスティ
ふと目について借りてきた本。軽い短編のミステリ小説が多数集められてた書籍です。短編の名手なのですが、作品数は少ないようで、国内でもあまり出版されていません。もう一冊あるようなので、どこかで探してみようかと思います。(5/20)
023/107
「青瓜不動 三島屋変調百物語九之続」宮部みゆき
ついに9巻目に入った人気シリーズです。以前にも書きましたが、主人公である百物語の聞き手が交代してから『人の内面の怖さ』から『怪異現象としての怖さ』に様相が変わってきているように思われます。以前の方が面白かったと思うのですが。(5/22)
024/108
「春の高瀬舟 御宿かわせみ24」平岩弓枝
主人公夫妻に生まれた娘。彼女を中心に営まれるはずの平和な暮らしに毎月のように邪魔モノが。(5/22)
025/109
「雪の夜は小さなホテルで謎解きを」ケイト・ミルフォード
ミステリ小説に分類されるのだと思うのですが、だとするとちょっとおきて破りの結末です。一人の少年の成長物語としてみるなら、ハートウォーミングないいお話です。 (5/26)
026/110
「宝船まつり 御宿かわせみ25」平岩弓枝
開港された横浜が、大いに栄え事件も多く発生します。それがなぜか主人公にかかわってくることに。(5/26)
027/111
「遠野物語」柳田国男
一度読みたいと思っていたところ、電子書籍の青空文庫で読むことができました。子供の頃に読んだおとぎ話のようなお話、不思議な話が収められたあまりに有名な書籍です。最近の東日本大震災の後にあまた語られた不思議な話の元祖のような話も収められています。何事も科学的、合理的に考える癖がついてしまった私たちは、科学で説明できないものを信じないようになってきました。だからと言って、すべてを偶然であるとか勘違いで済ませてよいものかと思います。やっぱ、お化けは怖いもん。(5/28)
028/112
「長助の女房 御宿かわせみ26」平岩弓枝
シリーズも終盤に近付いてきました。登場人物たちのキャラが立ってきましたね。(5/28)
029/113
「ドアの向こうに」黒川博行
初めて読みますが、かなり前に直木賞を受賞した作家さんの初期の作品。大阪府警の刑事が主人公ということで、かなりきつめの関西弁が出てきます。よくできた結構本格的なミステリです。現代と違ったアナログ捜査が主流で、懐かしくも面白かったです。(5/29)
030/114
「この本を盗む者は」深緑野分
本を盗んだものに呪いが降りかかるという究極の防犯装置。その防犯装置が発動されると世界がとんでもないことに。ある種の青春冒険小説のようで、意外と面白かったです。これくらい設定もぶっ飛んでいると、呆れを通り越して爽快でもあります。(5/31)
031/115
初めて読む作家さんで、この後本は出ていないようです。元箱根駅伝選手の日本銀行員の娘が誘拐され、その犯人の求めに応じて、東京中を走りまわされるというロードムービー風のミステリ小説。登場人物の中に映像化されたらヒロインとして若手の女優さんが登用されそうな、ストリーには全く関係のない人物がでてきます。(5/31)
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