2023年最後の一月は、小説が24冊、それ以外が2冊、合計26冊ととてつもなく偏った結果となりました。そして、2023年一年間としては、205冊となり、昨年より若干数を減らしましたが、4年連続で200超えとなりました。
先月来電子書籍図書館にはまったことが一つの要因かと思いますが、目についたものは一気に読んでしまったので、今後の活用をどうするか考えています
てなところでお薦めの本ですが、まず小説以外の2冊はいずれもいまいちで、お薦めするまでもないかと。
でもって、小説についてですが、まず結構評判も高かった『アリアドネの声』は期待通り面白かったです。作者自らが結構手足を縛ったうえで、非常に困難なミッションに取る組んだという気がします。賞賛に値すると評価しています。とても面白かったです、お薦めします。
ほかには初めて読んだ作家さんが多かったのですが、その中で新名智さんの二冊はどちらもとても面白かったです。一応ホラー小説賞の受賞作なのですが、いわゆる心霊現象的な事象が起こるようなホラーではないところが読みやすかったです。いずれの作品もお薦めです。
あとは、常連となりましたが伊坂幸太郎さん、澤田瞳子さんの本も期待を裏切らない習作でした。いずれもお薦めです。
最後は、怒涛の寄りで200冊を超えましたが、今年はどうなるのか。
昨年出会った『御宿かわせみシリーズ』は、残り30巻ほどですが、何とか今年中には読み切りたいと思っています。また、それ以外にもいくつか手を付けたいと思っている本もあります。
また、それ以外にもどんな新しい本との出会いが待っているのか。
楽しみは尽きません。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
001/180
「日本史でたどるニッポン」本郷和人
何気に借りて読みましたが、かなりの入門編。焦点はもひとつよくわかりません。
(12/1)
002/181
「無垢の傷痕」麻見和史
この作家のミステリ小説は、はずれがなくて好きなんですが、このシリーズはちょっと期待外れ。超絶に運の悪い男性刑事と看護師から転職した女性刑事によるコンビ物の警察ミステリなんですが、短編であるせいか強引さが目立つ気がして、ちょっと気が合いそうにありません。続編はしばらくよしておきます。(12/1)
003/182
「妖怪の子預かります」廣嶋玲子
京都市の電子図書館でたまたま見つけた妖怪シリーズで、通勤時の往復の車内で手軽に読めることから借りてみました。
(12/5)
004/183
「評決の代償」グレアム・ムーア
10年前に起きた死体なき殺人事件で起訴された容疑者を評決で無罪にした陪審員たちが、再び集められ、そこで殺人事件が発生する。本来ではありえないことだが、最初の評決時から陪審員たちの素性が明らかにされ、世間から大バッシングを受ける。その後、弁護士になった女性が主人公となって物語が進む。こういった法廷ミステリは、裁判制度の違いもあってなかなか理解するのが難しいのだが、本作は結構良かったです。(12/6)
005/184
「うそつきの娘 妖怪の子預かります2」 廣嶋玲子
お手軽シリーズ第二弾。(12/6)
006/185
京都を舞台にした小説をいくつか書いておられる京大ミステリ研究会出身の作家さんですが、初めて読みました。一浪して京都大学に入った男子学生が主人公。京都大学構内にひっそりと営業しているバーがあるらしく、解きたい謎を抱えているときにしかたどり着けない不思議な場所。京都人にはなじみ深い場所が出てきて、それだけでもとっつきやすい。(12/6)
007/186
「開ける男 鍵屋・圭介の解けない日常」本田久作
これまた初めて手にした作家さんです。略歴を見る限り、小説を本業にされているわけではなさそうです。「開かないカギはない」から自宅にも鍵をしないという変わり者の鍵屋が主人公。持ち込まれる鍵がらみの謎を軽妙に解読していきます。結構面白かったです。(12/6)
008/187
「妖たちの四季 妖怪の子預かります3」廣嶋玲子
シリーズ第三弾。(12/7)
009/188
「半妖の子 妖怪の子預かります4」廣嶋玲子
シリーズ第四弾。(12/7)
010/189
「きみはサイコロを振らない」新名智
これまた初めての作家さんです。中学時代の友人の死というトラウマから抜け出せない男子高校生が、遊ぶと死ぬという謎のゲームを探しているうちに、その呪いに罹ってしまい、仲間の手を借りて、呪いを解き、トラウマを克服していく物語。まだ若い作家さんで、話もお上手。(12/8)
011/190
「江戸の子守唄 御宿かわせみ2」平岩弓枝
相変わらず面白いです。捕物帳であり主人公たちの恋物語であり。全く読み飽きません。(12/9)
012/191
「ペッパーズ・ゴースト」伊坂幸太郎
伊坂さんの本は久しぶりに読んだような気がします。人に言えない不思議な能力を持った中学教師が主人公、なぜかテロ事件に巻き込まれるが、教え子の書いた小説の登場人物たちが現出し、彼らとともに事件を未然に防ごうと行動する。伊坂さんらしく、物語の結末がどこへ向かうのかドキドキさせられながら読むことになりました。(12/10)
013/192
「虚魚」新名智
先日読んで気になった作家さんです。第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作にしてデビュー作です。体験したら死んでしまうという怪談を探すうちにある魚を釣り上げたら死ぬという怪談が、とある川沿いに遡るように残されていることからそのルーツをたどる主人公。思わぬトラブルに巻き込まれます。新人とは思えない筆致でぐんぐん引き込まれます。面白かったです。(12/11)
014/193
「水郷から来た女 御宿かわせみ3」平岩弓枝
実質の夫婦でありながら大っぴらにはできない主人公。時折切なくなります。(12/11)
015/194
「ショパンの心臓 」青谷真未
これまた初めての作家さんです。美術ミステリの体をしているのだが、あまり好きではない謎解きがされている。タイトルもしっくりとは来てなくて、ちょっと残念な気がします。(12/11)
016/195
「100万回生きたきみ」七月隆文
切ないようなSF恋愛小説の名手かと思います。100万回転生を繰り返している主人公。人間であったり、微生物であったり。しかも記憶はずっと継続されている。不思議な設定です。普通であれば、「出会えたことが軌跡」のはずが、何度転生しても必ず出会ってしまう主人公。でもなぜか永遠に結ばれることはない。素敵な結末でした。(12/11)
017/196
「幻月と探偵」伊吹亜門
この方も京都ゆかりの若手ミステリ作家さんです。京都を舞台にした著作が多い中で、今作は満州が舞台です。満州派遣の官僚と関東軍が関わるスケールの大きなミステリです。設定からみて読みづらいかなと覚悟していたのですが、豈はからんや、読みやすくページは進みました。(12/14)
018/197
「タカラヅカの謎 300万人を魅了する歌劇団の真実」森下信雄
話題のタカラヅカなのだが、残念ながら昨今の報道を見ている限り、この本に真実は書かれていないようだ。作者は、この間話題になった阪急電車からの出向組で公演のプロデューサーを務める人物。略歴を見てびっくり、同じ大学の一年後輩でした。それにしてもこの組織は、膿を出し切る覚悟が全くないように見受けられますね。残念です。(12/14)
019/198
「アリアドネの声」井上真偽
彼の小説は結構面白いのですが、この作品も新聞広告を見たときからとても気になっていたところ、期待に違わぬ面白さでした。地震により地下深くに取り残された一人の女性。彼女をドローンを使って地上まで誘導しなければならないのだが、彼女は、眼が見えず耳も聞こえない。さらに話すこともできないという絶体絶命の状況。アッと驚く結末まで見事でした。面白かったです。(12/16)
020/199
「七まちの刃 -堺庖丁ものがたり-」遠原嘉乃
大阪を代表する伝統的工芸品である堺打刃物の包丁研ぎ師の孫娘が主人公。祖父が病気で入院している間、店番をしながら様々な事件に出会い、人としても研ぎ師としても成長していく物語。堺打刃物の歴史や特徴がよく理解できます。また、美味しそうな食べ物や趣のある街の風景が随所に描かれ、堺のPR小説としても上手く仕上がっています。私もこの本を読むまで、堺打刃物は、鍛冶と研ぎの完全分業制であることを初めて知りました。勉強になります。どうやら1月からJRと共同で堺を巡るキャンペーンが始まるようで、2月後半から堺打刃物伝統工芸士の展示会もあるようです。楽しみです。(12/19)
021/200
「暗闇にひと突き マット・スカダー・シリーズ」ローレンス・ブロック
軽妙な会話が魅力的な「殺し屋シリーズ」「泥棒バーニィシリーズ」の作者であるブロックのもう一つの人気シリーズの一冊。最初の作品は、なかなか見つけられず、本作はシリーズ2作目のようです。予想に反して、いたって硬派な主人公、物語も非常に硬く進みます。かなり意外でした。もう何作か読んでみよう。(12/23)
022/201
「東京ダモイ」鏑木蓮
京都生まれのミステリ作家さんの江戸川乱歩賞受賞作にしてデビュー作。シベリア抑留時の事件が、現代の殺人事件に繋がる壮大な物語です。途中で多数の人物が登場するあまり混乱してしまい、見失いかけましたが、何とか最後までたどり着きました。物語の舞台が舞鶴の港であったり、京都市内であったりとなじみの深いところばかりだったので、それも助けになったかもしれません。(12/24)
023/202
「山茶花は見た 御宿かわせみ4」平岩弓枝
シリーズ4作目。山茶花は何を見ていたのでしょうか。
(12/25)
024/203
「幽霊殺し 御宿かわせみ5」平岩弓枝
シリーズ5作目。幽霊ってすでに死んでるのでは。
(12/27)
025/204
「鍋奉行犯科帳 猫と忍者と太閤さん」田中啓文
このシリーズ久しぶりに読みました。相変わらず面白いです。そしてさらに新キャラクターの登場。(12/29)
026/205
「弧鷹の天」澤田瞳子
今を時めく直木賞作家さんの記念すべきデビュー作です。時は奈良時代、新しい国づくりにまい進する若者たちの物語。政争に巻き込まれ命を落とす者たちもありつつ、次の世代へ、理想を継承していく熱い姿が描かれます。なかなかこの時代を舞台にした小説は少ないのですが、超大作の力作でした。(12/31)
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