2023年10月15日日曜日

2023年9月

史上まれな残暑に襲われた令和5年9月でしたが、小説が7冊、それ以外が6冊で計13冊という結果になりました。

あまりに暑くて、出歩く気にもなれず、読書三昧っといきたかったのですが、本を読む気にもならず、グダグダで過ごした月でした。

また、とても落ち着いて読書をしている場合ではないような18年ぶりの出来事もあって、空いた時間はほとんどそちらに取られてしまいました。

そんな中でのお薦め本ですが、残念ながら小説では、これという本には出会えませんでした。次月に期待。

小説以外の本では、まず「日本水商売協会」は、新たな気付きを与えてくれtあ本でした。偏見は眼を曇らせるということを改めて認識いたしました。先入観なしで読んでいただければ嬉しいなと思います。

次は、「民主主義の死に方」。5年位前に書かれた本なので、現状を反映しているわけではありませんが、『あの頃は、まだましだったんだなぁ』と思ってしまいます。そう、ここで書かれている以上に、現在の民主主義は危機に瀕しています。目覚めましょう。

最後の一冊は、「ペットと葬式」です。ペット葬と伝統産業界の連携を考えていまして、その参考になればと思い読んだ本だったんですが、想定以上に勉強になりました。知らなかった仏教の世界観、日本独特の死生観、そんなことを改めて考えるきっかけとなりました。結構お薦めです。

最近、書店の店頭にはとても面白そうな本が山積みになっていて、一冊づつでも読んでいきたいなと思うのですが、その度に自宅に山のように積まれている数百冊の未読本に思いを馳せてしまいます。

いつかちゃんと読めるのだろうか。

 

001/127

半分世界」石川宗生

SF部門で賞を取られた作品を含む短編集。初めて読む作家さんです。小・中学生の頃はSF小説が大好きで、児童向けの翻訳シリーズや国内では星新一、筒井康隆などといった小説を狂ったように読んでいました。その後、読書の嗜好が変わって、SFを読むことがめっきり少なくなってきました。そんな数十年の空白の間に、この分野は大きく変わったようで、ほとんどが知らない作家さんばかりです。本作は、タイトルにひかれて電子図書館で借りてみたのですが、評価が難しい。全く普通の世界の中に、突如破綻が生じるものの、それは継続せず、淡々と通常の時が流れていく。その中で起きる混乱を描いた小説なのですが、時折おいていかれそうになってしまう。年を取ったせいなのかなぁ。(9/1)

 

002/128

日本水商売協会 コロナ禍の『夜の街』を支えて」甲賀香織

タイトルは際物っぽいですが、いたって真面目な書物です。著者は、『水商売』という言葉で一括りにされ、職業的な差別を受けているこの業界に光を当て、真っ当なサービス業の一分野として社会に認知されることを目的に設立された一般社団法人の代表者です。先のコロナ禍でも『夜の街関連』という言葉で目の敵にされ、あらゆる支援策からも排除されたことは記憶に新しいところです。ただ、著者も触れておられるとおり、順法精神もモラルもない事業者が跋扈していることも事実です。AIには代替できない分野でもあると考えられますので、そういった事業者を排除し、真っ当な事業を営んでいる人たちが報われるような社会であってほしいものです。(9/1)

 

003/129

スタンフォード式疲れない体」山田知生

スタンフォード大学というところは本当にすごいところです。著者は同大学スポーツ医局アソシエイトディレクター、同大学アスレチックトレーナーとして活躍され、スポーツ選手がその能力を最大限発揮できるための手法を研究し、実践されています。その中で『疲労』が、パフォーマンスの阻害要因になっていることに気づき、疲労をためない方法、早期に回復される方法などについて、実践されています。この本は、その『疲労』について、一般人向けに書かれた本で、非常に論理的で分かりやすく、取り組みやすく書かれています。かなり前に書かれた本で、ベストセラーになるのも頷けます。奇しくも、日本を代表する総合大学の運動部で大スキャンダルが発生しました。スポーツだけができて、人間として成長させることを放棄したような大学の体質が問われています。彼我の差は気が遠くなるくらい広い。(9/5)

 

004/130

名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件」白井智之

昨年のミステリ各賞で上位に輝いた作品で、初めて名前を見る作家さんでした。舞台は、世間から隔絶された環境で集団生活を営む宗教団体内部で、調査のために乗り込んだ調査団が次々と殺されるという中身です。いわゆる本格推理物なのですが、探偵役によって途中で何度も論理的な『謎解き』がされ、そのたびごとに上書きされていきます。ちょっと説明しづらいですが、これまで出会ったことのないスタイルで、若干の戸惑いました。それが評価されての各賞だったと思うのですが、私にとってはくどかった。最後は、『またか、、、』という感じなってしまいました。申し訳ないです。(9/5)

 

005/131

香港警察東京分室」月村了衛

この本も昨年のミステリ界で上位に挙げられていた作品です。香港警察と警察庁が合同で設置した架空の組織が活躍するバイオレンス系の物語です。銃撃戦やド派手なアクションシーンが続くのですが。あまりにも人が死にすぎ。ちょっとやりすぎかと思います。(9/9)

 

006/132

鍋奉行犯科帳 京へ上った鍋奉行」田中啓文

例によって食いしん坊の大坂町奉行が、今作では皇室も巻き込んだ大事件に遭遇します。相変わらず安心して読める作品です。(9/10)

 

007/133

民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道」スティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット

2016年の米国大統領選挙の後に発売された書籍です。後半は、ほとんど当時の大統領批判に終始し、民主主義の危機を協調しています。4年の任期が過ぎて再選されなかったものの、その選挙結果を認めず、新大統領の就任式には暴動を呼び掛ける始末です。来年には次の大統領選挙が予定されていて、その御仁は共和党の最有力候補だと言われています。長年にわたり米国は民主主義国家のお手本と呼ばれてきましたが、今では見る影もありません。我々はどこまで愚かになれるのでしょう。(9/11)

 

008/134

学園の魔王様と村人Aの事件簿」織守きょうや

初めて読んだ作家さんです。学園ものの日常ミステリです。ほのぼの系でした。(9/19)

 

009/135

カレーライスの誕生」小菅桂子

万人に愛されるカレーライス。もとはインド料理でしたが日本に伝わり完成されました。あのお料理は、海外では日本食レストランでないと食せません。そんな彼の歴史を読みやすく書かれた本です。ただ惜しむらくは、軍隊とカレーの歴史に触れたところで、海軍とカレーの密接な関わりに一切触れておられず、とても残念な思いがいたしました。実は、この本は前に読んだかなと思いながら読んでいたのですが、最後まで確信が持てませんでした。(9/24)

 

010/136

鍋奉行犯科帳 お奉行さまの土俵入り」田中啓文

お気に入りのシリーズものです。主人公というか主役のお奉行さまに若干のキャラぶれがあるように見受けられるのは気のせいでしょうか。でも面白いです。(9/26)

 

011/137

ペットと葬式 日本人の供養心をさぐる」鵜飼秀徳

いろいろとこのペット葬業界について調べていて、そもそもペット供養、動物供養ということについて書かれたこの本を見つけました。仏教には六道という考え方があって、人間界と動物界は全く違う次元として扱われていて、動物が極楽往生することがるのかということについて、宗派間で論争があるということも初めて知りました。このペット葬業界については、ガチで取り組んでいきたいと考えています。(9/27)

 

012/138

祈り」伊岡瞬

ちょっと意表を突かれるようなテーマでした。気弱で孤独な男性二人が主人公で、全く交わることのない二人が、偶然に出会い人生に転機が訪れます。びっくりするような転機です。(9/27)

 

013/139

長期腐敗体制」白井聡

今の政治は腐りきっている。誰もが気がついていますが、自分たちのせいであることには誰も気づいていません。私たちが望んで今の腐りきった政治体制を作ってしまったのです。少なくとも私にはその自覚があります。奴らに騙されないように、もっと賢くなるべきだった。もっと考えるべきだった。これからの時代を生きなければならない娘たちのために、今から何ができるだろうか。(9/29)

 

 

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