2026年7月15日水曜日

2026年6月

何があったのか、6月はわずか8冊。内訳は小説が5冊、その他が3冊という低調ぶりでした。本当は、これ以外にもう一冊読んでいたのですが、その記録・記憶が一切飛んでしまって再現できないため、これで進めます。

月に10冊を切ったのは過去にも記憶がなく、記録を取り始めて初めてかもしれません。

サッカーは全く興味がなく、タイガースも調子が悪かったのでほとんど視ていませんでしたし、別に何があったわけではないのですが、低調でしたね。

以前なら、普通に読めていた本も読み通すのが難しくなってきて、途中まで読んでは返却期限により返却するということを数限りなく繰り返していました。脳が読むことを嫌がっているようにも感じます。ヤバいですね。

てなことで、お薦めはほとんどないかと思いきや、小説では3冊、その他では1冊をお薦めします。

まず小説では、『飛上りもん』です。この方の時代小説は、結構面白くて過去にも何冊か読んだのですが、実在の人物を取り上げられたのはおそらく初めてではないかと思います。江戸時代の治水事業というピンポイントな分野に目を付けられ、自然との闘いを通して主人公の躍動感が感じられる良い物語でした。

続いて同時代の『天下の値段』ですが、こちらの舞台は大坂で、当時世界唯一の先物取引所である大坂堂島の米相場での、幕府と商人のやり取りが描かれています。知恵を絞っての丁々発止のやり取りが痛快です。

最後は『激しく煌めく短い命』です。作者の綿矢さんは京都市内のご出身で、本作も生家の周辺が舞台として出てきているようです。物語は、公立中学校の入学式で二人の少女が出会うところから始まります。出会いから約一年間の友情と淡い愛情が描かれた第一部と十数年後に再開したのちの第二部の二部制で、600ページを超える大著ですが、一気に読める物語です。

続いて小説以外の一冊については、あえて『井上清論集 天皇の戦争責任』を推したいと思います。かなり攻めたタイトルですが、複数人の記録・証言を基に、日中戦争前後に政府内でどのようなやり取りがあたのか、詳らかにしていきます。著者の結論はさておき、直接の記録が残されていない事柄について、その空白を埋める手段としては、かなり根気のいる仕事で、それだけでも賞賛に値すると思います。

6月は、昼間はほとんど外出し、夜はその記録をまとめるという作業が集中したのと、月の半ばに強烈な眩暈に襲われて以来、堪え性がなくなって本が読めなくなってきたように感じています。

最近はようやくそれも治まってきて、徐々に読書のスピードも回復してきました。暑さにめげず頑張って読んでいきます。

001/088

井上清論集4 天皇の戦争責任」井上清

えらい攻めたタイトルに惹かれて借りてみました。井上氏といえば、岩波新書の『日本の歴史(3分冊)』が頭に浮かびますが、実は著書を読むのは初めてです。当時、天皇自身は公に発布された文書以外では、国民に向かって肉声を発することはなく、正式な記録としては残されていません。しかしながら、側近たちが天皇から言われたことを多くの人たちが、私記として残しています。著者は、そういった記録を丹念に突き合わせることで、天皇の言動を明らかにしていきます。私自身は、著者と同様に、天皇は戦争を主導し、国民に災禍をもたらした責任者であったものの、アメリカの戦後の世界戦力の中で政治的にその責任が不問にされたにすぎないと考えています。敗戦後、その責任を逃れるために、若干往生際の悪い無様な様子も記録されています。なかなかに面白かったです。右翼の方を除いて、お薦めいたします。(6/1) 

002/089

飛上りもん」高田在子

時代は享保年間、紀州で生まれた主人公が治水の技術を学び、藩主の将軍就任とともに関東へ移り、紀州流の治水術を用いて、暴れ川との戦いを繰り広げます。実在した人物を主人公に据えながら、当時の政治・社会状況や人間の傲岸さを教えてくれます。一気に読みました。面白かったです。(6/14)


003/090

天下の値段 享保のデリバティブ門井慶喜

これも先に読んだ小説と全く同時代の歴史小説で、舞台は天下の台所「大坂」。世界最初の先物取引所でもある大坂堂島の米相場の現場が舞台です。江戸から見ると、浪速の“悪徳商人”たちが、米の値段を自儘に操り、武士に多大な損害を与えているという思い込みの下、それをつぶそうとする吉宗・田沼と浪速商人の丁々発止のやり取りが描かれます。これまた面白かったです。(6/15)

004/091

日本経済の故障個所」脇田成

かなり細かな統計が次々と現れて、理解するのは非常に難解で、とても全体は理解できませんでしたが、少なくとも、失われた30年に続く超円安と資源高騰、物価高騰と実質賃金の低下、不安定労働と出生率の低下など、小泉内閣から安倍内閣へ続く政府と日銀の失政が招いた現状に、心が寒くなるばかりです。我々の政治への無関心が招いた、自業自得と言われればそのとおりですが、もっと賢くあればよかったと後悔するばかりです。(6/16)


005/092

失われた貌櫻田智也

昨年の年間ミステリランキングで軒並み上位にランキングされた小説で、楽しみにしていました。最近のミステリの主流となっている警察もので、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体 が発見されるという衝撃的な猟奇事件を、地道な捜査で解決に導きます。そして最後に大どんでん返し。売れたのがわかりますね。(6/20)


006/093

最後の告発 警視庁文書捜査官」麻見和史

これは、お気に入りのシリーズ最新刊で、テレビドラマでも久しぶりにシリーズが再開されました。今作は文書捜査のよりも、地道な捜査が功を奏する場面が多かったような印象です。それでも面白いですがね。(6/21)

007/094

コーヒー2050問題武田淳

これは、新聞の記事でコーヒー2050年問題というものを知り、詳しく知りたくて読んでみました。要は、急速な地球温暖化により、現在のコーヒー産地の半分以上でコーヒーが育たなくなることが確実で、気軽コーヒーが飲める時代が終了するというものです。現在の産地が無理でも、さらに高緯度の地域であればイケルンちゃう、と思ってしまうのですが、それらの地域はほぼ現在の人口密集地域で、すでに工業化もされていて、とても農園に戻すことが不可能な地域ばかりです。悲しいです。(6/22)

008/095

激しく煌めく短い命」綿矢りさ

600ページを超える超大作ですが、これは面白かった。京都出身の作者らしく、京都市内の地名がそこかしこに出てきて、具体的な風景を思い浮かべながら読み進められます。テーマは非常に重く、胸が苦しくなる場面も多かったですが、長さを感じさせない面白さでした。めっちゃお薦めです。(6/28)

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