4月は小説が7冊、その他が5冊で、計12冊という結果でした。
先月もご報告したとおり、若干スランプです。御覧のとおり、月の前半はほとんど読めておらず、読んだ本も、あんまりヒットしませんでした。
お薦めは、アーチャー氏の一作くらいでしょうが、これはシリーズものなので後は省略します。
小説以外では次の2冊がお薦めです。
まずは、『危機と人類』。ベストセラーにもなった本なので、すでに読まれた方も多いと思いますが、私はようやく手にいたしました。特に日本について多くを割かれており、今進行しつつある危機に警鐘を鳴らしておられるのですが、それに気が付かないふりをし続けている私たちに対して、歯がゆく思っていらっしゃる様子が感じられます。
そして『神風頼み』が、そんな日本人のメンタリティについて、日本人の側から読み解いています。この楽観的な国民性、それとも刹那的なのか、あるいはもはや破滅を待っているのか。不思議ですね。この二冊、続けて読むと面白いと思います。
お薦めいたします。
001/050
「体はゆく できるを科学する<テクノロジー×身体>」伊藤亜紗
“何かができる”というのはどういうことなのか、そんなこと考えたこともありませんでした。そのとき、脳では、体ではどんなことが起きているのか、人間の身体って不思議なものですね。書かれていることは難しすぎて、全てを理解することは叶いませんでしたが、飽くなき探究心に脱帽します。(4/2)
002/051
「きまぐれ博物誌」星新一
ショートショートの大家によるエッセイ集。いかにも時代を感じさせる内容です。昔読んだことがあるはずなのですが、あんまり覚えていませんでした。(4/6)
003/052
「落下する緑 永見緋太郎の事件簿」田中啓文
どうやらこの作者のデビュー作に当たるようです。とあるジャズバンドの周りで起こる小さな事件を描いたミステリです。めちゃくちゃ専門的なネタが満載過ぎて、シロートの私にはついて行けませんでした。(4/9)
004/053
「問題物件」大倉崇裕
これは何なんだろう?一応ミステリなんですが、妖しげな犬の化身が出てきたり、結構しっちゃちゃかめっちゃか感が強い小説でした。いまいち好みではない。(4/15)
005/054
「コロナ狂騒録」海堂尊
コロナ禍でオタオタする政治を批評する物語。あくまでフィクションです。コロナ禍初年度を描いた同様の本がすでに書かれていて、この本はその続編、2年度目を主に描いています。この間も同様に迷走したのはご存知のとおり。オリンピック騒ぎもこのときでした。記憶を呼び戻すためにも読んで良かったです。(4/16)
006/055
「東アジアと日本 シリーズ地域の古代史」吉村武彦、川尻秋生、松本武彦編
地域の古代史にスポットを当てたシリーズの初巻で、まずは、様々な分野ごとに国全体の古代史について概観されたものです。ただ、ページ数に比してたくさん入れすぎたせいか、さらりと触れただけで終わってしまった章があったのは残念で、物足りない気分でした。とりあえず次は、畿内編を読んでみようかな。(4/20)
007/056
世界史の中で、大きな危機に直面した国をいくつか取り上げ、その危機にいかに対処したかまとめたベストセラーです。特に日本について、江戸時代末から明治にかけての時期と太平洋戦争後の二つの時期を取り上げており、さらに今後の日本についても書かれていて、特に現在、大きな危機がやってきているのに、それに気が付かない(ふりをしている)私たちに対して警鐘を鳴らしています。面白かったです。(4/23)
008/057
「女副署長 祭礼」松嶋智左
シリーズの三作目にして最終作。新しく女性のキャリア署長が赴任してきたところから物語が始まります。地域を挙げての大きなお祭りが開催される一方で大事件が起こり、最後は思いもよらない結末が描かれます。(4/23)
009/058
「月下のサクラ」柚月裕子
『朽ちないサクラ』の続編となる警察小説なのですが、主人公が同じというだけで連続制覇あまり感じられません。最新の映像解析など捜査状況の描写は手に汗握るものがあって、よかったですが、結末と真犯人の動機には、若干違和感がありました。安心して読める好きな作家さんなので、少し残念。面白いんですけどね。
(4/26)
010/059
「神風頼み 根拠なき楽観論に支配された歴史」秦野裕介
『神風』というと、古くは鎌倉期の元寇が、その源と言われていますが、そもそも『神風』という言葉が作られたのはいつ頃なのか、そしてそれはどういう意図をもって作られたのかということについて、考察したものです。この『いつかよくなる』という楽観論は、今の政治を見ていても、そこかしこに見ることができるもので、私たちも嘘とは分かっていながら、自分には関係ないことのように楽観的に考えてしまっています。これは楽観論というより破滅論に近いのかもしれませんね。恐ろしいことです。脅威は外ではなく内にあると、真剣に危機を危機として認識できている人達にリーダーシップを発揮してもらいたいものです。(4/28)
011/060
「浪花の太公望 鍋奉行犯科帳」田中啓文
大好きなシリーズです。まだあと2~3作あるのかな。楽しく読んでいきます。
(4/29)
012/061
「悪しき正義をつかまえろ ロンドン警視庁内務観察特別捜査班」ジェフリー・アーチャー
アーチャー氏の最新シリーズ3作目です。絶対的な正義と悪、そしてその間を行き来する人を描いた大河小説で、今作も面白かったです。今作では特に法廷での丁丁発止が描かれていて、日本とは大きく違う裁判制度の下での物語であり、若干理解しづらいところもありましたが、それでも面白い。すでに本国では続編も出版されているようなので、次も楽しみにしています。(4/30)
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