2023年1月1日日曜日

2022年12月

2022年最後の月は全部で16冊、うち小説は13冊、それ以外は3冊という結果になりました。

そして、2022年は計210冊ということになりました。前年の300冊超えから比べるとかなり減りましたが、三年続けて200冊を超えたので、よく読めたほうだと思います。

さて、今月は小説の割合が非常に高くなりました。これは、小説以外の分野で読みたい分野が固まらなくて、ふらふらしていたことが原因で、ついつい読みやすい軽い小説に手を出していたことが原因かと思われます。

そんな中でのお薦めは、手堅い作家さんによるものばかりになりました。

まずは、辻村さん“琥珀の夏”。最近話題の宗教二世とのかかわりもテーマになっているように思います。良い作品でした。

少し古い本ですが、松井さんの“料理通異聞”も面白かったです。江戸時代の料理界が描かれているんですが、丁寧な取材で定評のある著者のことですから、ストーリー自体はフィクションであったにしても。+、かなり実態に近い状況だったのではないかと思いながら読んでいました。面白かったです。

諸田さんの“麻阿と豪”も秀逸でした。これまであまり取り上げられたことのない主人公にスポットを当てた冒険的な小説でした。数奇な運命に翻弄された義姉妹の物語。良かったです。

最後は小野さんの“ゴーストハンター”です。シリーズ物の一作目なのですが、ホラー物ではなく、しっかりと論理的に組み立てられた小説で、続きを読みたくなる本でした。面白かったです。

昨年は、長年勤めた京都府庁を定年退職し、新たな組織で仕事を始めました。慣れない環境で、読書をすることもおっくうになりかけた時期もありましたが、ようやくリズムがつかめてきました。

今年はどんな本との出会いがあるでしょうか。楽しみにしています。

 

001/195

琥珀の夏」辻村深月

辻村さん作品は久しぶりに読みました。この小説はいわゆる宗教二世をテーマにしたもので、人里から離れた場所で集団生活を営む団体に育った子供達と夏の間だけの短期合宿にやってきた子供達のその後が描かれます。結構重い内容を含んでいて、読後爽快とはいきませんが、読み応えのある作品でした。(12/4)

 

002/196

ハロー・グッドバイ 東京バンドワゴン」小路幸也

ずっと読んでいるシリーズの最新号です。年代的には、現在に近づいているはずなのですが、ここでは新型感染症によって大きく変化した今の社会は描かれておらず、仮想小説感が増しています。現代ではほぼ見られなくなった大家族の堀田家が、この感性症で変わってしまった社会を如何に生き抜いていくか、とても興味があるのですが、あえて触れないままに行っちゃうのだろうか、とても気になっています。(12/6)

 

003/197

料理通異聞」松井今朝子

江戸時代に有名料亭として名を馳せた八百善の初代が書き残した料理通という書物から見えてくる主人公善四郎の生涯を綴ったものです。結構面白かったです。(12/11)

 

004/198

歴史人口学の世界」速水融

先月、エマニエル・トッド氏の本を読んだときに、日本における歴史人口学者の先駆けとして紹介されていたので、興味を持って読んでみました。日本は中国に倣って律令制が導入されたことから、古くから戸籍の整備がされていました。残念ながら班田制も長くは続かず、戸籍制度も消滅しました。その後それに近いものが整備されたのは、徳川時代の宗門改帳で、かなり細かなものまで残されているところもあるようだ。そんな古文書から、当時の人の動きなどを追いかける学問で、当時の家族の状況がよくわかる。その一部を見ただけでも、都市化と共に出生率が低下したり、核家族化が進行していたりと、今とそんなに変わらない状況が垣間見えてとても興味深い。面白かったです。(12/12)

 

005/199

安倍政治100のファクトチェック」南彰、望月衣塑子

安倍元首相の功罪を挙げるとなかなか限りないところではあるが、ファクトチェックという言葉を日本に定着させたのは、トランプ前大統領と彼の功績の一つかもしれません。記者会見や国会の答弁で事実と違うことを答え、それが指摘されるようになると、国会答弁の映像を不自然に編集させるバイアスが働くようになり、故汲井大して誠実であろうとする態度がなくなってしまいました。この本であり挙げられている事例は、悪意に満ちた選択がされているとの反論があるかもしれませんが、ふつうはこんなにあっちゃいけないんだけどね。(12/15)

 

006/200

殺しへのライン」アンソニー・ホロヴィッツ

大ベストセラーになったホーソーン・シリーズの三作目。今作は、起きてしまった事件を解決するのではなく、今まさに起きている事件の渦中に巻きこまれたホーソーンの活躍が描かれます。(12/18)

 

007/201

麻阿と豪」諸田玲子

戦国末期、前田家の二人の姫の数奇な運命が描かれます。姉の麻阿は秀吉の側室として、妹の豪は秀吉の娘として成長していきます。反発しながらもひかれあう二人の複雑な関係。なかなかおもしろかったです。(12/18)

 

008/202

コロナと無責任な人たち」適菜収

例によって、著者の罵倒集です。気持ち良いくらいに罵倒しまくっています。丸3年を迎えた新型コロナウイルス感染症のパンデミックですが、ここへきてようやく弱毒化し、普通の風邪に近づいてきたような気がしています。このパンデミックが始まった頃からの政治家たちのいろんな発言を振り返って、いかにとんでもないことをしていたのか明らかにしています。本当に、こういった現実の危機を迎えた時に、いかにこの国の政治は何もできないか、というか何もできない無能な集団が担ってきたのか白日の下に晒されました。今も対症療法的な政治しかできていないので、次もまた同じことを繰り返すのだろうと容易に想像できます。挙句の果てに、俺たちには期待できないから“自助”でなんとかしろと開き直る。私たちがもっと賢くならないととんでもないことになります。(12/19)

 

009/203

ドキュメント小説 ケーキの切れない非行少年たちのカルテ」宮口幸治

ベストセラーになった新書を、わかりやすく小説風に仕立てたものなんですが、私には返って現実感がなくなったように思え、必ずしも成功したようには思えません。ちょっと残念。(12/21)

 

010/204

マツリカ・マトリョシカ」相沢沙呼

最近、結構面白いミステリを書いている作家さんの少し前の作品です。どうやらシリーズものの3作目くらいだったようで、失敗しました。一応本格ミステリに分類されるようなのですが、前作を読んでいないので、登場人物キャラクターが掴めず、苦労しました。シリーズものは必ず順番に読むべし。鉄則ですな。(12/22

 

011/205

夫の骨」矢樹純

初めて読む作家さん。元は作画担当の妹さんと共同で漫画を作っていたそうですが、作家としても活躍されているそうです。この本は、全て女性が主人公の短編ミステリを集めたものなのですが、必ずしも後味の良いものばかりではありません。それでもなぜか癖になる感じの作品ばかりで、ちょいと気になる作家さんです。もう何冊か読んでみようと思います。(12/23

 

012/206

京奉行長谷川平蔵」秋月達郎

池波正太郎さんの小説で有名になった、火付盗賊改鬼平の父が主人公です。もちろんどちらも実在の人物。この作品は、主人公が、京都の町奉行として転任してきた日から始まり、京の街を騒がせる盗賊団などを退治ていきます。続編もあるようで、も少し読んでみようかな。(12/25)

 

013/207

お電話かわりました名探偵です」佐藤青南

とある県の警察本部の110番センターで“万里眼”という異名を持つ女性が主人公。彼女は110通報の内容から、事件の真相に気づき、その段階で解決にまで導くという推理力と洞察力を兼ね備えたスーパーウーマンなのですが、声だけが子供のように幼いという特徴を持っています。軽いタッチで読めるライトミステリなのですが、いかんせん、ストーリーテラーとなっている同僚の新人くんがダメだ。物語を台無しにしている。(12/25)

 

014/208

ゴーストハント 旧校舎怪談」小野不由美

この方の小説は、結構ハードなホラーものだと勝手に思い込んでいたのですが、誤解でした。著者にとっての人気シリーズで、ある種の学園ものです。シリーズ物の鉄則にのっとり、第一作目から読み始めました。本作では、のちのレギュラーメンバーとなる登場人物たちが、そろうまでの経過が語られます。ホラー小説というよりSFチックで、とても楽しく読める本でした。面白かったです。(12/26)

 

015/209

一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」二宮敦人

鉄道会社で働く駅員さんたちが主人公のお仕事小説です。父が鉄道会社に勤めていたこともあって、鉄道には興味があるのです。最近、駅員さんへの暴力行為がニュースになることが多いように感じています。皆さん心に余裕がなくなった証拠でしょうか。最近のコロナ禍で人の移動が少なくなり、鉄道各社は厳しい経営状況に追い込まれています。私たちの移動の自由を支える重要なインフラを営利企業に任せてよいのか疑問に思っています。難しいことですが、明日も仕事に行けるのは、彼らのおかげです。感謝。(12/27)

 

016/210

ネバーランド」恩田陸

今年最後の一冊となりました。とある高校の寮で繰り広げられる青春グラフィティです。年末年始の休みを実家に帰省することなく、寮で過ごすことになった3人プラス1人の計4人が、その数日の間に、お互いの心の奥底にあったドロドロとしたものたちを吐き出し、最終的には4人の木綱が深まっていくというハッピーな物語です。この人はこんな小説も書くんですね。驚きました。(12/29)

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