なんということでしょうか、6月はわずか7冊。そのうち小説が5冊、その他が2冊という体たらくでした。
ひと月間の充電放電を終え、6月から新しい職場で働き始めたことから、その勤務に慣れることに必死で、ゆっくりと本を読む気持ちにも慣れませんでした。ということで、こんな結果になってしまったというわけです。
そんな中では、なかなかお薦めの本というのも上げにくく、唯一“廃炉という幻想”がとても興味深い一冊でした。原発推進・撤退のどちらにも与することなく、“3・11”から一体何が起こっていたのかということを丁寧に記録してあります。その上で、私たちは次の世代にどのような“くに”を残していくべきなのか考える良い海路図になっているように思います。お薦めです。
新しい仕事で勤め始めて一ヶ月が過ぎ、ようやくそのリズムに慣れてきたことから、7月に入ってやや読書量も回復してきました。これからも無理せず本を選びながら読んでいきたいと思います。次月にご期待ください。
001/087
「善人長屋」西條奈加
善人が住んでいると評判の長屋ですが、実は裏稼業の強者たちの集団です。そこに、ひょんなことから本物の“善人”が転がり込むことになり、長屋の住人たちは大慌て。彼のおかげで、思わぬ人助けにも関わってしまいます。続編も出ているシリーズもののようです。(6/11)
002/088
「サマーキャンプ 潜入捜査官・高梨紗香の慟哭」新宮広明
初めて読む作家さんで、興味津々で読みました。犯罪捜査のためあらゆる組織に潜入する潜入捜査官が主人公なのですが、本作で潜入するのはとある宗教団体。潜入捜査の難しさもさることながら、事件の背景にも謎があります。内容的には、そもそもの発端となった事件が悲惨すぎて、かなり引いてしまいました。ちょった重すぎる。(6/11)
003/089
「採薬使佐平次」平谷美樹
採薬使というのは、江戸時代に徳川吉宗が使った御庭番ということだが、本当なのかしら?初めて読む作家さんですが、シリーズ化もされているようです。まぁ、もう読まないかな。(6/12)
004/090
「探花 隠蔽捜査9」今野敏
人気シリーズの9作目です。今回は警察内の不正がテーマになっていますが、事件のストーリーについては、それほどひねりもなく淡々と進む感じで、謎解きより警察内での足の引っ張り合いに重点が置かれているように見受けられます。(6/12)
005/091
著者は福島第一発電所の事故当時からその後をずっと追いかけているジャーナリスト。政府の建てた“廃炉”計画について、その欺瞞を丁寧に解説した力作です。なかなかわかりにくい言葉も出てくるのですが、とにかく今の技術では、福島原発の廃炉はとても無理だと言うことがわかります。今年の夏は猛暑が予想され、発電の原料である石油石炭のほとんどを輸入に頼っている日本は、昨今の急激な円安もあって、かつてないエネルギー危機が叫ばれています。それに便乗して、現在運転を停止している原子力発電所を何とか再稼働させたいと願う輩達がいろいろと暗躍しているようですが、このように今の私たちでは制御できないような技術を使おうとすること自体が誤りだと思っています。安全に停止できるブレーキの技術が完成して初めて、新幹線は時速300kmで走行できるようになりました。技術者としての矜恃はどこへ行ったのか。単に政治家が悪いのか。それってやっぱり国民民なの責任なんですよね。(6/25)
006/092
「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬
いわずとしれた今年の本屋大賞受賞作品です。確かデビュー作ではなかったでしょうか。とにかくものすごい取材量で、参考図書の数も半端ではありません。文句なしに面白かったです。(6/25)
007/093
「医学探偵の歴史事件簿」小長谷正明
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