3月の成績は計14冊となりました。うち4冊が小説で10冊がそれ以外という内容でした。
今回は、小説の割合が非常に少なく、その他の本でも特に理系の本を意識的にたくさん読んでいました。これは、頭の中の思考経路を少しずつ“理系脳”に近づけていきたいなと思ったことがきっかけでした。もちろん、なかなか理解が追いついていかないという現状もあるのですが、、
さて、そんな中でのお勧めですが、少ない中では宮下さんのデビュー作でしょうか。本当なら外れのない作家である東野さんの本をおすすめしたいところですが、今作はちょっと不満。一方宮下さんの本は、登場人物も魅力的で、この話の続きを読みたくなるような本でした。
その他の本では、お勧め本が目白押しですが、“日本の深海 資源と生物のフロンティア”は、文系の私にも読みやすく面白かった。なかなか解明が進まない深海底の謎が、少しずつ明らかになりつつある。でもまだ、多くのことがわからない。本当に興味がそそられます。
“味噌、醤油、酢はすごい”も面白かったです。最近注目を浴びる発酵食品のなかでも、和食の“味”を支える伝統調味料であるこの3つについて、その製法や全国各地で独自に発展を遂げたご当地調味料についても書かれている。これを読んでから、黒酢を買って毎日飲んでます。
“AI”や“IOT”関係の本も、最近たくさん買ったり借りたりして読んでいます。これからどんどん進化していく分野なので、苦手といわずしっかりフォローしていきたいと思っています。二冊とも読みやすかったです。
そして、文系らしいところでいうと、ベストセラーになった“捨てられる銀行”は、最近の金融庁の大方針転換の概要がよくわかります。できれば、その後のメガバンクの攻勢についても触れたほしかったなというのが正直な感想ですが、それでも面白かった。ためになります。
ほかの本も、どれも面白かった。結構当たりの多い月でした。
001/031
「キャスターという仕事」国谷裕子
言わずとしれた“クローズアップ現代”の元キャスター。彼女がキャスターになるまでのいきさつや、クロ現時代の出来事などについて綴った物。元々はキャスターとしての訓練を受けていなかった彼女が、仕事を続ける中で徐々に成長していく様が読み取れる。ちょうどクロ現のキャスターを降板した時期が、他の辛口キャスターの交番時期と重なったためいろいろなことが取りざたされたが、もとよりその真相は深い闇の中である。当時のNHKの会長は例の方でしたから、何となく想像は当たっていそうに思うのですがね。(3/1)
002/032
「日本の深海 資源と生物のフロンティア」瀧澤美奈子
途中まで、女性科学者が書かれた物とは全く気がつかなかった。とても分かり易くおもしろい本でした。日本は周りを海に囲まれていると言うだけでなく、それが海溝と呼ばれるとても深い海であることに大きな特徴がある。人類は高く高く、宇宙にまで達したが、地中と深海底については謎のままである。まさにフロンティアであるが、ひとたびその資源を活用するすべを見つけてしまうと、無計画に取り尽くしてしまうのが、人類なのだろう。(3/4)
003/033
「静かな雨」宮下奈都
本屋大賞を受賞した著者の実質デビュー掌篇。受賞作同様登場する人物はとても優しく、まさに静かな雨が降るように、物語は進んでいく。大きな事故で主人公二人は思いもよらぬ不幸に見舞われるのだが、それを乗り越えていこうとする姿が美しい。物語の続きを見てみたい。 (3/4)
004/034
「雪煙チェイス」東野圭吾
何とも荒唐無稽なウィンタースポーツ&ミステリ小説。仕掛けや設定は通常ならあり得ない。警察もこんな馬鹿だとは思えないし、このような展開になるなんてことは、通常はあり得ないだろう。スピード感があって良いのだけれど、これはちょいと行き過ぎかな。(3/6)
005/035
「醤油・味噌・酢はすごい 三大発酵調味料と日本人」小泉武夫
和食に無くてはならない調味料である醤油、味噌、酢について、その発祥から製法までを紹介する物。いずれも細菌の働きによる発酵で、できあがる物で、健康にも良いとされている。細菌では、昔ながらの自然発酵ではなく、衛生的にも管理された工場で製造される物が多いのだろうが、少々高くても手間をかけた物の方が良いなと思ってしまう内容でした。(3/11)
006/036
「IOT ビジネスモデル革命」小林啓倫
IOTの進化により、ビジネスモデルに革命が起こる、と大々的に銘打たれているが、結局のところ、市場のニーズと自らの強みをしっかり理解して、製品・サービスを投入しなければならないというごく当たり前のことが書かれている。技術の進歩により、集められる市場の状況に関するデータは膨大な量に膨れあがっている。そこから何を読み解くかと言うことが要は肝なんだろう。(3/12)
007/037
「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」福田ますみ
こんな事件があったっけ?と思ったのですが、実話なんですね。全く記憶にありませんでした。改めて読んでみると、当時の管理職が如何に無責任だったか、ということがよくわかります。こんな形で職員を追い込んでいくというのは、本来あってはいけないわけで、初動に明らかなミスがあった事件です。結果的に、今や芸能スキャンダル雑誌と成り下がった週刊文春が、あおりの記事を書いて、一気に問題が全国区に広がったようです。裁判えは最終的に一部名誉回復されたようですが、失った時間は取り戻せない。責任ある立場の人間の力量が試される瞬間ですね。(3/14)
008/038
「神武天皇はたしかに存在した 神話と伝承を訪ねて」産経新聞取材班
最終的な勝者が自己の正当性を担保するために作った物語が神話となって残っている。まだ文字すらなかった時代の口承であるから、都合のよいように上手く改編され残っていったものでしょう。しかしながら、神武天皇が九州で旗揚げして、瀬戸内を東へ向かい、その途上の国々を切り従えていった様子がよくわかる。圧巻は大和入りで、当時大和を治めていた部族を殺戮し、征服していく様子が見て取れる。結局、勝った者が正しく、破れた者は消し去られるのみ。(3/16)
009/039
「東大准教授に教わる『人工知能って、そんなことまでできるんですか?』」塩野誠、松尾豊
人工知能の大家と言われる松尾氏と実業家でもある塩野氏が対談形式で、人工知能の可能性について語り合った物。初心者にもとてもわかりやすく書かれている。知らない間にIOTが進み、あらゆる物がインターネットで繋がり、様々なデータが集められている。人工知能を使うことによって、それを効率的に分析できるようになる。便利なような、恐ろしいような。(3/19)
010/040
「人質」佐々木譲
単なる人質立てこもり事件かと思いきや、裏には意外な事実が隠されていた。絶対に足がつかない完全犯罪が危うく完成するところおを、北海道警察の活躍で無事解決する。途中に登場する高級官僚が、冷酷かつ自分勝手で、無能に描かれているが、ちょっとやり過ぎかな。(3/20)
011/041
“ネイチャー”“サイエンス”といえば、私でもその存在を知っている著名な科学雑誌で、その二誌に掲載されることが、科学者としてのステイタスである。あのSTAP細胞もネイチャーい掲載されたことで大ニュースになてことは記憶に新しい。この本は、その騒ぎの前に出版されているので、それには触れられていないが、過去には様々なスキャンダルもあったようで、遺伝子の二重らせん構造に関する話は、とても興味深く、思わず関連本を買ってしまった。面白いかな。(3/20)
012/042
「捨てられる銀行」橋本卓典
2015年に森金融庁長官が誕生してから、金融行政の方針ががらりと変わり、地域経済への貢献度が金融機関の成果指標とされてから、地方金融機関の中小企業への接し方が、がらりと変わってしまったらしい。とはいえ、それが全体に浸透しているかというと、そうでもないようで、国の方針が今後も変わらずにある物かどうか、ということにも懐疑的であるようだし、実際に地元中小企業の技術やノウハウ、ブランド力などを正当に評価できる人材がそもそも存在しないという機器敵情に追い込まれている。そこへ、メガバンクまでもがなりふりかまわず乱入するなど、大変な状況にあるようだ。(3/24)
013/043
「さまよえる孔子、よみがえる論語」竹内実
以前、本屋で見かけて、タイトルが面白そうだったので、図書館で借りてきた物。感想からいうと、若干期待外れかなという感じ。前半は、孔子のバイオグラフィーをなぞる感じで話が進むのだが、ちょいと中途半端で、あまり彼の姿が浮かんでこない。高い理念を掲げて学を志したものの、受け入れてくれる環境を求めて国内を彷徨った人生が、くっきりとは浮かんでこない。後半は、中国共産党下における孔子・論語の評価が乱高下する様子が描かれている。これも、情報統制下の実情は明らかにできないのだろう。(3/26)
014/044
「僕僕先生 神仙の告白 旅路の果てに」仁木英之
長かったシリーズも大団円を迎えたのかな??実は、この作品の次の作品を先に読んでしまっており、話の流れがいまいちよくわからなくなってしまった。ファンタジーノベル大賞となった最初の頃のほのぼのとした雰囲気がなくなってしまっていたので、まぁほどよい時期に終わったのかなと思います。(3/26)