2014年1月2日木曜日

2013年12月

2013年最後の月は23冊、うち小説が13冊という結果になり、都合一年間で266冊という結果になった。年の初めには何とか200冊くらいと思っていたので、若干多すぎたと言うのが正直な感想です。
一年のまとめはまた改めてやるとして、この月は以前から図書館に予約していた本が、たまたま一気に順番が当たり、新しいの古いの特定の作家の本が集中することとなった。
中でも三浦しをんさんの作品が4冊もあるとは、我ながら驚きである。その中では「天国旅行」が良かったなぁ。
それ以外に小説で一冊挙げるなら、「光秀の定理」は面白かった。これまであまり触れられたことのない時代の光秀を主役に置き、青年光秀を魅力的な人物に描いている。秀作である。
小説以外では、「シュリーマン旅行記 清国・日本」が思いがけず面白かった。かのトロイの木馬のシュリーマンが幕末の日本に来ていたというのも驚きだが、彼の目を通して見た当時の日本が眼前に浮かぶよう。翻訳者の力量も相まって、お薦めの一冊。

001/244
政と源」三浦しをん
幼なじみの江戸っ子老人2人と彼らをとりまく家族、仲間達の物語。有川浩の“三匹のおっさん”シリーズにも多少通じる部分があり、ひょっとすると今や絶滅の危機に瀕している“昭和の頑固親父”へのオマージュなのだろうか。いずれ、ストーリーは若干重い空気の下に進み、ハッピーエンドでも終わらない。何か重い物を飲み込んだような読後感。(12/2)

002/245
関西弁講義」山下好孝
買う時は、笑いを散りばめた“お笑い”中心の内容かと想像していたのだが、読んでみると、至って真面目に“関西弁”という言語について、言語学の立場から詳細な分析を加えている。それもそのはず、本書は著者が北海道大学で正規の講座として実施していた“関西弁講義”をそのまま書籍にした物であり、専門家にも読み応えがある内容に仕上げられている。私自身生まれも育ちも関西圏なので、根っからの“関西弁使い”だと思っていたのであるが、ひとくちに関西弁と言っても、その内容は多元的であり、“正確な関西弁”ではなかったようである。そういったことにも気づかされる、とてもおもしろく、お薦めできる一冊です。(12/5)

003/246
堕落論」坂口安吾
電子書籍でなおかつとても短かったので、これを一冊に数えるのは気が引けるのであるが、一応読んだので。書かれたのは戦後の混乱期。戦時中の研ぎ澄まされたような空気に支配されていた頃から、一変した世の中について書かれている。著者はその変化を“堕落”と呼びつつも肯定している。しかしながら、その変化は“堕落”と呼ぶのが正しいのだろうか。その空気に中に身を置いていない者には発言権はないのかもしれないが、決してそれは“堕落”ではなかったろう。(12/6)

004/247
人は誰も他人に厳しく自分に甘い。自分の基準で他者を裁くなんてことはしょっちゅう起きることである。世の中のほとんどのマスコミがそうであり、一歩間違うと“正義”の名の下に、人の人生を破壊してしまうことも可能である。大きな力を持った者が“正義”を声高に叫び始めると要注意である。何か良くないことが始まる予兆である。(12/6)

005/248
玉村警部補の災難」海堂尊
彼のバチスタシリーズから生まれたスピンオフの短編集。小説名に関わらず、主人公は玉村警部補とコンビを組む加納警視正であり、彼の推理が真犯人を追い詰める。なかなか魅力的なキャラクターなのである。(12/7)

006/249
彼の小説は最近お気に入りなのだが、これは少々期待はずれ。残念。(12/8)

007/250
天国旅行」三浦しをん
全編“死”をテーマにした短編集。自殺志願者あり、霊も出てくれば、霊を見るという特殊能力を持った人物も登場する。彼女の能力の高さを改めて実証するような作品集。それにしても上手いなぁ、どこからこんなアイデアが出てくんだろう。
(12/10)

008/251
スタート」中山七里
一応ミステリーの体をなしているが、これは純粋に映画界の裏側を活写した素晴らしいエンターティメント小説になっている。ここに描写されている映画製作の様子が、どれほど実態に近いものかはわからないが、カリスマ性を持った大監督が、大プロデューサーとタッグを組んで映画に携わっていた時代は、こうだったのかもしれない。主人公の役割を与えられている助監督の成長の様子も楽しい。(12/12)

009/252
イトーヨーカ堂が中国で成功するまでには、相当なアクシデントやトラブルがあったと聞いたことがあるが、まさかこれほどとは思わなかった。今も、労働者や買い物客の質という点ではそれほど変化したとは思えないのだが、先駆者として、その激しさは並大抵の者ではなかっただろう。まさしく脱帽。(12/14)

010/253
ノエル」道尾秀介
全編が暗いトーンで書かれていて、このままだと救われないなと思い始めたところで、最後には大どんでん返しのハッピーエンドを迎えるという、ハートウォーミングな連作中編小説集。1作目だけをすでにどこかで読んでいたことを思い出したが、Story tellerに収録されていたようである。(12/16)

011/254
福家警部補の報告」大倉嵩裕
シリーズ3作目。この主人公がとても魅力的で、なおかつテレビ向けだなぁと思っていたところ、年明けから連続ドラマで放映されるそうであり、非常に楽しみである。ただしこう言う場合裏切られることが多いので要注意である。(12/21)

012/255
格闘する者に○」三浦しをん
今をときめく直木賞作家のデビュー作。彼女自身の就職活動がモティーフになっているようである。もちろんまだそれほど作品としては練り上げられた感が乏しいが、今の彼女の作風に繋がるいくつかの断片が見える。でも、就職試験で提出された作文から、こういう才能を見出す編集者っているんだなぁ。これまた、さすがその道のプロ。(12/22)

013/256
七色の毒」中山七里
実際の毒ではなく、心の中に潜む“毒”を白日の下に曝す連作の短編ミステリー。この作家の作品は、結構気に入って、ほぼ全作品を読んでいると思うのだが、従来の作風とはかなり違っており、若干戸惑い感が残る。(12/22)

014/257
新入社員諸君!」山口瞳
今から40年前に、当時の新入社員向けに書かれたエッセイで、今もビジネスマン向けの指南書として根強い人気を保っている。全体として書かれている内容には、現在では相当に的外れで前時代的なものもあるが、“新入社員に関する十二章”は、傾聴に値する。曰く、●社会を甘く見るな、勉強を怠るな●学者になるな、芸術家になるな●無意味に見える仕事も厭がるな●出入りの商人に威張るな●仕事の手順は自分で考えろ●重役は馬鹿ではないし敵でもない●金をつくるな、友人をつくれ●新人殺しに気をつけよ●正しい文字を書き、正しい言葉を使え●グチを言うまい、こぼすまい●思想を持て、ヴィジョンを描け●節を屈するな、男の意地をまげるな。(12/22)

015/258
言語小説集」井上ひさし
彼の得意な“言葉”に関する短編小説集。言葉遊びの小説あり、思わずにやりとするようなコミカルな小説あり、方言を題材にした物もある。特にワープロのキーボードをキャラクターに見立てた“括弧の恋”は秀逸。(12/22)

016/259
中華人民共和国史」天児 慧
一度、この国の通史を読んでみたいと思って買ったのだが、かなり期待はずれ。正確を期すためなのか記述がえらく平板で、読み通すのに苦労する。新書版の利点が活かせていないと思う。個人的には、同国の二度の危機である、文化大革命第二次天安門事件へののこもった解説を期待していた。(12/24)

017/260
シュリーマン旅行記 清国日本」ハインリッヒ・シュリーマン 石井和子訳
期待以上に面白かった。かのシュリーマンが幕末の日本を訪れていたというのは知らなかった。幕末の江戸の風景を非常に細かく描写してあり、当時の風俗が生き生きと甦る。当時から、お隣の清国との間で、これほどの違いがあったというのは正直驚きである。今年の最後に本当に良い本と巡り会った。(12/25)

018/261
かのジョブズの歴史を彼の発言を通して綴った物。やはり彼はある種の天才肌で、その発想や行動が世界を大きく変えたことは否定できない。しかしながら、彼のその天才も、結果が全てのビジネスの世界でこそ許容される物で、少なくとも私はこんな奴と一緒にいることには耐えられないだろう。(12/26)

019/262
光秀の定理」垣根涼介
明智光秀の青年期を描いた時代小説。もちろんフィクションなのであるが、彼が世に出るまでの悩み苦しむ若々しい姿には好感が持てる。もちろん、後には信長への謀反を働くのだが、この小説では、そこを思いっきりすっ飛ばしている。これもまた気持ちが良い。すべからく歴史という物は、後の権力者が自分の都合の良いように書き換えた物で、真実は闇の中なのだから。(12/27)

020/263
まほろ駅前番外地」三浦しをん
直木賞を取った彼女の出世作の続編。何かに鬱屈した2人の青年の奇妙な共同生活が続く。二人ではない、第三者の目を通して描かれているのも面白い。ところで、このシリーズはまだ続いているんだろうか。全然知らない。(12/28)

021/264
“戦略論”の東西の大家を題材にした軍の教材と銘打ってあるだけに、内容はすべからく“戦争”そのものに終始する。これを、“ポーター”のようなビジネス戦略に応用できる書物と思って手に取ると大間違いである。しかしながら、この本のおかげで、両者の共通点と相違点が明らかにされ、その意味ではとても面白い。今のビジネス戦場において“情報の優位性”が勝利の要諦であるなら、“孫子”がもてはやされるのも宜なるかな。(12/30)

022/265
別に変わったことをしているわけではない。おそらく、その行動の基礎となった彼らの“思考方法”が大きな違いとなって現れているのであろう。常に言われていることだが、“くよくよ考えない”“メリハリをつける”“全てを前向きに考える”そのことに集約できる。何も難しいことではない。あぁそうか“愚直にやり続ける”ことができないんだ。(12/30)

023/266
一流の人に学ぶ 自分の磨き方」スティーブ・シーボルト

よくあるハウツー物で、さほど内容に新しさもない。しかし、一流と二流の間にこれほど谷間があるのなら、その峡谷を乗り越えるのはものすごく難しい。一つ一つの違いはわずかでも、それが数百項目にもわたると、さすがに何とかなるというレベルではない。(12/31)

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