2025年3月8日土曜日

2025年2月

2月は小説が13冊、それ以外が2冊!!、計15冊という結果になりました。

小説は、新しい作家さんの本も読んだのですが、心に残ったのは定番の作家さんばかり。

お薦めを提示するのも難しいですが、一冊を選ぶとなると凪良さんの『星を編む』の一択でしょう。あえて言葉を重ねる必要もないくらい面白かったです。是非前作と併せてお読みください。

他には、先月初めて読んだ南杏子さんの二作品も期待どおりの面白さでした。現場経験もあるうえに、それが上手に分かりやすく言語化されていて、とても心に染み入ります。二冊ともお薦めです。

小説以外では、2冊しかありませんが、いずれもとても興味深い本でした。

はらずも、2冊とも『戦前』をテーマにした書籍ですが、近代国家として世界にデビューするときに、無理に背伸びをしようとしているさまは、今見ると滑稽でしかないのですが、当時の人達にとっては何よりも大切なことだったんでしょうね。でも結果的に、国民を絶望の淵に立たせることになった訳ですから、結果責任を負わなければならない人たちには、きっちり責任を取ってほしかったです。こそを曖昧にしたがために、またぞろ過去の亡霊が姿を現すことになる。人とは学ばない生き物なんですね。2冊ともお薦めです。

寒い日が続いた2月から3月になって、温かい日と寒い日が極端に現れています。

暖かくなると、散歩の虫が騒ぐのですが、散歩と読書を程よく楽しみながら、春を待ちたいと思います。

 

001/015

いつか夜は明けても S&S探偵事務所」福田和代

これは、サイバー事件専門の探偵事務所を作った元警察官と元自衛官のコンビによる物語で、シリーズ三作目になります。前の二作も面白かったですが、今作も二人の主人公の活躍に心躍ります。若干荒唐無稽なところがあり、この分気をそがれるところはありますが、そもそもエンターテインメントですから、そこをあまり気にしてはいけないですね。(2/1)

 

002/016

そして、メディアは日本を戦争に導いた」保阪正康、半藤一利

大好きな二人による対談形式の書籍です。明治維新から太平洋戦争終結までの約80年間のマスメディアについて語られています。本来権力の監視者であったはずのマスメディアが、硬軟織り交ぜた手練手管でどんどん骨抜きにされていきます。そして両氏が口を揃えて、現在の状況がその頃の状況に極めて似ているということ。過日タレントのタモリ氏が、今という時代を指して『新しい戦前』と絶妙のことばで表現しました。こんな危険な状況で子供たちにバトンを渡してはいけないと強く思いました。(2/1)

 

003/017

エイレングラフ弁護士の事件簿」ローレンス・ブロック

ローレンス・ブロックがこんな物語を書いていたとは全く知りませんでした。主人公である弁護士と依頼人とのやり取りだけで終わる短編小説集なのですが、本人ですら罪を犯したと主張しているにもかかわらず、彼が依頼を受けると、他に犯人が現れて、依頼人は訴追されることなく無罪放免となるという摩訶不思議。そして高額な報酬。これほどダークな弁護士はいただろうか。不思議な物語でした。(2/9)

 

004/018

北緯43度のコールドケース」伏尾美紀

数年前の江戸川乱歩賞受賞作にしてデビュー作。当然のことながら初めて手にした作家さんです。主人公は大学院で博士号まで取得しながら研究生活からリタイアし北海道警察に就職した女性刑事。5年前に発生したまま、容疑者が死亡し、未解決のままになっていた少女誘拐事件が、その少女の遺体が発見されたことから大きく動き出す。機密漏洩の疑いをかけられながら、主人公が事件を解決にむかって動き出す。なかなか面白かったです。続編が出ているので、続けて読みます。(2/11)

 

005/019

賞金稼ぎ スリーサム!」川瀬七緒

乱歩賞受賞作家で、結構好きな作家さんです。これも新しいシリーズの一作目です。出自も見た目もばらばらの三人組が、とある放火事件の解決に挑んだところ、はからずも多額の賞金を得ることになり、チームとしてやっていくことになる。今後の作品を読むかどうかは思案中です。(2/11)

 

006/020

スカーフェイス 警視庁特別捜査第三係・淵神律子」富樫倫太郎

多分これまで彼の作品は読んだことがなかったんではないかと思っています。いわゆる刑事ものをたくさん書かれています。本作の主人公は、事件解決のためなら手段を択ばないかなり破天荒な女性刑事で、過去に殺人犯と対峙したときに顔面を切り付けられたときの傷が残っているため、スカーファイスという二つ名を持っています。あまりに破天荒すぎて、若干引く。(2/14)

 

007/021

葵の残葉」奥山景布子

こちらも初めて手にする作家さんです。時は幕末、尾張徳川藩の支藩に生まれながら、数奇な運命に翻弄された四兄弟を描きます。尾張徳川藩、会津松平藩、一橋家の当主となって幕末から明治を迎え、その兄弟の写真が現在に残されているようで、その写真を基に物語が展開されていきます。ちょっと物語が平板な感じがして、惜しかったなぁという感想でした。(2/16)

 

008/022

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理1」塔山郁

こちらも初めての作家さんのはずです。主人公が薬剤師ということで、ちょっと興味を持って読んでみました。薬剤師の仕事について全く知識がないと、少しわかりにくいかなと思う箇所もありましたが、解説もされていて物語としては読みやすくなっています。ただ、「名推理」と銘打つのは若干大げさかも。(2/18)

 

009/023

星を編む」凪良ゆう

本屋大賞の受賞作となった『汝、星のごとく』の続編になります。続編と言いながら、時系列的には前日譚のような部分もあります。前の作品を思い出しながら読みましたが、前作の思わぬところに繋がっていたり(これを『伏線回収』というのでしょうか)と、なかなか面白かったです。さすがにお上手な作家さんです。前作を読まれた方には、絶対お薦めです。まだ読まれてない方は、必ず順番通りにお読みください。(2/20)

 

010/024

地雷グリコ」青崎有吾

直木賞候補にもなり、今年の本屋大賞の候補作にもなっていますね。人気があって、なかなか順番が来ませんでしたが、ようやく借りることができました。頭脳推理ゲーム対決を繰り返すゲームなのですが、あまりにルールが複雑すぎて、ついていけない部分もありますが、無理に考えずに、エンタメとしてひたすら読むことに徹しました。(2/22)

 

011/025

繭の季節が始まる」福田和代

感染症によるパンデミックを抑えるため経済社会活動を完全にストップし、屋外移動を禁止するという一か月間の「繭」政策をとる近未来の物語です。主人公は、そんな世界で数少ない例外として働く警察官。事件など起きるはずのない世界で起きる小さな事件を解決します。(2/24)

 

012/026

ディア・ペイシェント」南杏子

先月読んで、すっかりはまってしまった作家さんの第二弾になります。主人公は、中核病院で働く女性医師。はからずも、モンスターペアレントに狙われることになり、心が徐々に破壊されていきます。命を守る医療現場の最前線で身を粉にして働く医師の苦悩が、当事者目線で描かれていて、思わず引き込まれます。とても良いです。(2/24)

 

013/027

数学の女王」伏尾美紀

こちらも今月初めに読んだ乱歩賞受賞作品の続編にあたります。舞台は北海道警察。札幌市内の大学構内で起きた爆殺事件の犯人を追う物語で、主人公の女性刑事が捜査主任に抜擢されます。小さな手がかりから、真犯人にたどり着く過程が丁寧に描かれています。ただ、事件が大きい割に、動機があまりに矮小で、そのアンバランスにぐらりと来ます。(2/24)

 

014/028

『戦前』の正体 愛国と神話の日本近現代史」辻田真佐憲

明治維新以降の戦前と戦後の長さがほぼ同じになり、『戦前』と呼ばれていた時代が見えにくくなってきています。そのため、保守派の陣営から歴史修正の動きが活発化してきています。この本では、長い日本の歴史の中でも、かなり特異な時代であった『戦前』にスポットを当て、その作為性をあらわにしています。かなり面白かったです。巻末の参考書籍一覧を参考に、いくつか読んでみようと思います。(2/26)

 

015/029

いのちの停車場」南杏子

気に入った作家さんだったので、続けて借りました。東京の救急救命センターで働く主人公が、いわれのないクレームのせいで職を離れ、故郷である金沢で訪問診療の医師になるところから物語がスタートします。老々介護や最先端医療、看取りに安楽死と物語のテーマは多岐にわたります。この小説は、ちょうどコロナ禍の時期に、吉永小百合さんの主演で映画化もされたようで、いつか見てみようかなと思います。(2/28)

 

2025年2月9日日曜日

2025年1月

令和7年の幕開けは小説が11冊、それ以外が3冊で計14冊となりました。

思ったより読めませんでしたね。特に年末年始の9連休は、ほとんど読めませんでした。

そんな中でのお薦めですが、初めて読んだ3人の作家さんの作品が良かったです。

まずは、赤井五郎さんの『サマータイムリバース』。SFものなのですが、ミステリとしてもしっかり成立していて面白かったです。お薦めなのですが、電子書籍のみで作品を書いておられるようで、なかなか読むのが大変ですが、なんとかならないか模索中です。

二人目が壁井ユカコさんの『不機嫌な青春』。こちらもSF要素を含む短編小説集だったのですが、とても優しい感じの物語が詰まっています。お薦めです。

三人目が南杏子さんの『サイレントブレス』。こちらは、現役のお医者さんが書かれた医療ものなのですが、難病から患者を救うスーパードクターではなく、終末期医療に従事する医師が主人公で、看取りの医療を真正面から描いた作品です。作者のキャリアを読んでさらに感銘を受けました。彼女が書かれた他の小説も何冊か借りてきたので、読むのが楽しみです。この三冊の中では最もお薦めです。

小説以外では、とても気になっていた『観光消滅』がお薦めです。オーバーツーリズムで迷惑をこうむっている京都市内で働く身にとっては、まさに自分事として考えさせられる問題です。本の中では、さらに暗澹となる未来についても書かれています。恐らく解決策はない。

今年は、新しい作家さんを探そうということで、上に挙げた3人の作家さんだけでなく、他にも3名の新しい作家さんお本を読みました。残念ながら、その方たちの作品は私にはあまり合わなかったので、ここでは紹介していませんが、今後もできるだけ新たな作家さんを開拓していきたいと思っています。

またお薦めの作家さんをお教えいただけたら幸いです。

 

001/001

青い服の女 新・御宿かわせみ7」平岩弓枝

年の初めにはふさわしくない一冊です。とりあえずこれで全シリーズを読破しましたが、この新シリーズについては、書評などにほとんど取り上げられていないことの理由がよくわかりました。終わって良かったです。最後は苦痛でした。(1/2)

 

002/002

生殖記」朝井リョウ

奇をてらったようなとんでもないタイトルの小説ですが、LGBTQを正面から取り上げた社会派小説でした。主人公の心情を、本人ではなく本人に付属する独立器官にしゃべらせるという初めての手法に驚きました。策士ですね。(1/7)

 

003/003

サマータイムリバース」赤井五郎

初めて読んだ作家さんで、最初から電子書籍用に書かれたものとお見受けいたしました。ジャンルとしてはSFミステリで、SFの設定がミステリを解く鍵としてしっかり機能していて、破綻もありませんでした。面白かったので、他の本も探して読んでみようかなと思います。(1/8)

 

004/004

医は仁術なり やぶ医師天元世直し帖帖」沖田正午

これも電子書籍で読みました。しかしながら、設定、展開、人物のどれをとってもかなり不満足。残念ながら他の作品を読もうとは思えませんでした。(1/10)

 

005/005

共犯の畔」真保裕一

33年の時を超えて果たされる壮大な復讐劇。なのですが、やや深みに掛ける印象でした。彼にしては、珍しい作風でした。(1/13)

 

006/006

不機嫌な青春」壁井ユカコ

これもSF的な要素を含む短編集でした。4編の小説が収録されているのですが、最後の『ハスキーボイスでまた呼んで』が抜群に良かったです。いわゆるお約束のパラドックスも、えいやっと飛び越えてしまい、無かったことにしてしまいます。なかなか痛快でした。ほかの3編も面白かったです。青少年向けの作品が多いようですが、他の作品も読んでみようと思います。(1/13)

 

007/007

8050問題の深層 『限界家族』をどう救うか 」川北稔

8050問題というのを御存じですか?80代の老親が50代の子供が、自立できず共依存の関係に陥り、負のスパイラルに巻き込まれていくという問題で、過去に大きな悲劇を生んだこともあって大きな社会問題となっています。公的な支援からは漏れ落ちてしまうケースが多く、各支援機関の連携が大きな課題です。今は、二人の娘は独立した生計を営んでいますが、この先、何が起きるかわからないことであり、自分にも起こりうることとして読ませていただきました。(1/14)

 

008/008

SNS暴力 なぜ人は匿名の刃をふるうのか」毎日新聞取材班

最近問題になることが多いSNSを使った言葉の暴力について、新聞社による取材を基に書かれた本です。取材のきっかけとなったのは、とあるテレビ番組をきっかけに誹謗中傷を寄せられた女子プロレスラーの自死。過去何度も問題になったにも関わらず、同様のことが繰り返されています。まさに言葉の暴力なのだが、加害者側にも同情すべき事情があると括られやすいことに違和感があります。いくら嫌なことや苦しいことがあったとしても、それを見ず知らずの他人にぶつけることにはどう考えても繋がらないのではないか。それが短絡的につながり易いとするなら、そこに何らかの病理性は考えられるが、だからと言って免責されるものではないと考えます。(1/15)

 

009/009

成瀬は信じた道を行く」宮島未奈

昨年の本屋大賞を受賞した前作の続編です。滋賀県大津市に住む主人公の日常を描く物語ですが、前作の時代と被るものから大学生となり『びわこ観光大使』にも選ばれた主人公の活躍など痛快な内容です。前作同様とても面白いお薦めの本です。(1/18)

 

010/010

運命の時計が回るとき ロンドン警視庁未解決殺人事件特別捜査班」ジェフリー・アーチャー

こちらもアーチャー氏の最新シリーズの一冊です。ロンドン警視庁のエースとして働く主人公が、チームの皆と一緒に悪を追い詰める小説です。途中でドキッとする場面も出てきますが、まずは穏当な終わり方でホッとしました。さて物語はどのように続いていくのかとても興味があります。(1/18)

 

011/011

観光消滅 観光立国の実像と虚像」佐滝剛弘

コロナ禍で冷え込んだインバウンドがコロナ前の活況を取り戻し、昨年は史上最高、特に12月は単月で過去最高のインバウンドを記録したと報道されています。今年は関西万博効果でさらに増加することが見込まれています。そんな中で浮かれる政府に冷や水を浴びせるような内容の本書でした。私が常日頃から感じていたようなことがダイレクトに書かれていて、終始納得の一冊でした。このまま国の計画のようにインバウンドが増えていけば、間違いなく人的なキャパをオーバーしてしまい、その需要を賄えるだけの人材を確保することは不可能になってくるでしょう。破綻は近いと思います。(1/22)

 

012/012

サイレント・ブレス 看取りのカルテ」南杏子

初めて読む作家さんで何気なく手に取ったのですが、滅茶苦茶良かったです。大ヒットでした。元々は雑誌の編集者で、海外での出産経験から一念発起して医学部へ学士入学して医師となり、現在も終末期医療の専門病院としてき勤務される傍ら小説も書いておられるという作家さんです。この作品はそのデビュー作に当たり、大学病院から在宅医療専門のクリニックに左遷された主人公が、終末期の医療に携わりながら命や看取りについて学んでいくという物語で、リアリティにあふれる掌編が収められています。シリーズ化できそうなのにしていないという潔さも良く、早速他の作品を複数借りてきたので、早く読みたいと思っています。(1/24)

 

013/013

化け者心中」蝉谷めぐ実

初めての作家さんが続きます。これは時代物のミステリなのですが、本の帯にこれでもかと大家の作家さんの推薦文が書かれており、期待しながら読みました。しかしながら、とにかく読みにくい。時代考証に忠実に描こうという心意気は良いのですが、セリフ回しが理解しづらく、筋を追うのもやっとという感じで、読後はへとへとになりました。私には向いていませんでした。(1/25)

 

014/014

スメラミシング」小川哲

こちらも初めて読んだ作家さんです。SF要素のある小説やコロナ禍での陰謀論を題材にした小説など6編からなる短編集です。これも帯に大絶賛の推薦文が書かれていたので、どんなもんかと読んでみましたが、おそらく他の本は読まないだろうと思います。最後の一編だけは、わかりやすい物語で好みでした。(1/26)

 

2025年1月3日金曜日

2024年12月

皆様 あけましておめでとうございます。

2024年最後の月は、小説が9冊、その他の本が4冊、計13冊という結果になり、年間トータルは269冊となりました。とにかく、シリーズものが多かったですね。

今月もシリーズものがほとんどなので、お薦めを選ぶのが難しいのですが、その中で絞り出してみますと、

小説では、フレドリック・ブラウンの短編集が良かったです。この作家はSF小説のイメージが強いのですが、ミステリでしかも短編というのが私には新鮮で、とても面白かったです。あまり作品としては残っていないので、目についたらまた読みたいと思います。

その他では、『旅行の世界史』が、興味深い内容でした。世の中には旅行記というものが結構残されていますが、これまでほとんど手にしたことがなく、素通りしていました。しかしながら、このブログの趣旨にも書いているとおり『未知との遭遇』を楽しむということを考えると、未知なる文化との遭遇を記した書物を避けてはいけないと改めて感じいりました。この本もとてもよかったです、お薦めします。

冒頭でもふれたとおり、2024年は最後の2月があまり読めなくて失速したため、269冊という結果になりました。しかも御宿かわせみシリーズが新旧合わせて40冊、リース・ボウエンの二つのシリーズで20冊などと、それ以外にも安定のシリーズものが多い一年でした。そういう意味では、新しい年はもっと『未知の作家』の本にも手を伸ばしていきたいなと思います。

ということで、2025年は毎月20冊、年間240冊。うち、『古典』を20冊、『新規の作家』を20人、を目標に読んでいきたいと思います。また、紀行文にも手を伸ばし、手始めに『街道を行くシリーズ』に再チャレンジしようかな。

今年も、よい本と巡り合えますように。2025年もよろしくお願いします。

 

001/257

蘭陵王の恋 新・御宿かわせみ4」平岩弓枝

旧シリーズの主人公の忘れ形見である娘の初めての恋が描かれます。それにしても、著者の混乱は相当なようで、以前出ていた表現や逸話が、全く別の文脈でコピーされて出てくるなど、かなりひどいです。あと三冊は意地でも読みますが、年内は厳しいかも。(12/1)

 

002/258

死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選」フレドリック・ブラウン

私にとっては、短編SFの大家なのですが、ミステリも結構書いておられます。これは、その短編ミステリを集めたもので、それぞれにひねりが効いていて面白いです。彼の小説は、なかなか読むことができず、探しながら見つかるたびに拾い読みしています。これお薦めですね。(12/7)

 

003/259

DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」ビル・パーキンス

死ぬときは裸一貫で、財産の使い残しは極力減らそうという本です。結構売れているみたいですね。それくらい誰もが理想とするけど実現が困難という証拠でしょうか。財産を使い切ってしまったら、子供に迷惑がかかるじゃないかと思われるかもしれないので、念のために補足すると、子供に財産を残したいのであれば、死亡時まで待たせるのではなく、必要な時にさっさと贈与してしまえ、ということです。できれば娘たちには迷惑かけないようにしておきたい。(12/8)

 

004/260

貧乏お嬢さまの困った招待状 英国王妃の事件ファイル15」リース・ボウエン

このシリーズもついに15巻までやってきました。王室を離れた主人公ですが、引き続き王妃から頼まれごとがあって、そのもとへ通うことになります。そしてお約束の殺人事件。第二次大戦直前のきな臭い世相も垣間見えます。そして結末には、とてもハッピーな出来事が。(12/12)

 

005/261

猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ」知念実希人

これまた人気シリーズで、主人公が第一容疑者となる過去一の難攻不落な状況に追い込まれます。医学的にこのストーリーは成立するのか、若干の疑問はありますが、楽しく読めました。

(12/14)

 

006/262

六法推理」五十嵐律人

とある大学の法学部にある自主ゼミを舞台に、唯一のゼミ生が遭遇する事件に挑みます。こういう本を読むと、また法律の勉強でもしてみようかなと思ってしまいますね。(12/18)

 

007/263

旅行の世界史 人類はどのように旅をしてきたのか」森貴史

アレクサンダー大王の遠征から近年のクルーズ船まで、人類は如何に旅をし、それを記録してきたかということに特化した歴史を概観します。旅をした先人たちが異文化に触れたときに、何に驚き、何に興味を持ったか、文明が衝突したときに何が起こったのか、そんな記録を来年は読んでみようかな。面白そうだ。(12/20)

 

008/264

ホントのコイズミさん YOUTH」小泉今日子

アイドルだったキョンキョンが、本を切り口に交わした対談をまとめたもので、若かったころの思い出などを中心に語り合っています。今の時代について、とてもよく考えておられ、同じ元アイドルで政治家になった人たちよりよほど頼りになりそうです。(12/22)

 

009/265

ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法」アルテイシア

世界に名高い男尊女卑国に住まう者として、その実情を改めて認識すべく読んだものです。いわゆるフェミニズムに関するエッセイで、かなりの毒舌なのですが言わんとするところはよくわかる読みやすい本です。私も二人の娘の父親なので、彼女らが生きやすい社会にしなければと改めて思う。(12/24)

 

010/266

エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人SJ・ベネット

これは、読み切るまでに時間がかかりました。かのエリザベス女王が名探偵となって、お膝元で起こった殺人事件を解決します。ただ、自分がバッサリと解決するのではなく、秘書官に調べさせた事柄から推理し、しかるべき人物にヒントを与えて解決させるという大技です。それにしても読みにくかったのは、翻訳のせいか?(12/28)

 

011/267

千春の婚礼 新.・御宿かわせみ」平岩弓枝

年初に立てた目標があったので、やむなく読みましたが、かなりひどい。(12/30)

 

012/268

貧乏お嬢さま、花の都へ 英国王妃の事件ファイル16」リース・ボウエン

シリーズ16巻目では、妊娠中の主人公が夫の秘密のしごとに付き合い、パリまでやってきます。そこで、夫の仕事を手伝おうとしたところで、他殺体に遭遇。ヒトラーが台頭し、きな臭さが漂う大戦前夜のヨーロッパが舞台。面白いです。(12/31)

 

013/269

お伊勢まいり 新・御宿かわせみ6」平岩弓枝

今年最後に読んだのはこの本です。シリーズ初の長編なのですが、とにかくシリーズものとして完全に破綻しており、編集者の苦労がしのばれます。(12/31)