2021年11月4日木曜日

2021年10月

10月は計25冊、うち小説は10冊でそれ以外が15冊という結果でした。

この月は季候も良くて、毎週末に“お散歩”に出かけていたので、週末に纏めて読書という日が殆どありませんでした。

ちなみに、お散歩先を列挙してみますと、安土城跡、御室八十八カ所、貴船神社~鞍馬寺、金剛能、正倉院展、茂山狂言などなど、結構充実してますね。特に初めて見たお能は良かったです。結構はまりそうな予感がしてます。

ということで、本来のお薦め作品ですが、小説は“レンブラントをとり戻せ”が、圧倒的に良かったです。他の作品があまり合わなかったこともありますが、めちゃくちゃ良かったです。もうすでにかなりの高齢ですから、続編は難しいのかもしれませんが、期待したいです。

小説以外の本は、結構良い物ばかりでした。

まずは“食”にまつわる“トマトの黒い真実”と“歴史を変えた6つの飲物”の2冊は秀逸でした。知らない世界のお話で、特にトマトに関する本は衝撃的でもありました。硬軟両極端な2冊ですが、いずれもお薦めです。

ちょっと手強い本でしたが、“新自由主義の暴走”と“世界を騙しつづける科学者たち”は、ずれも勉強になりました。新自由主義が行き過ぎると、資本主義が暴走を始め、止まらなくなります。どこかでブレーキをかけないと恐ろしい未来がやってくるのではないでしょうか。そんな未来を娘たちに残したくないと強く思います。時間があれば読んでみてください。

“僕はナチにさらわれた”も衝撃的な本でした。第二次大戦中にナチスが行った政策のうち、あまり公になっていない“命の泉”という事業の記録です。私もこの本を読むまで、このようなことが行われていたことを全く知りませんでした。記録って本当に大事ですよね。勝手に改ざんしたり廃棄しちゃいけませんね。

新型コロナがらみの本も結構出版されてきました。今月読んだ本は、殆どが昨年の状況を元に書かれたもので、2年目に入った今年は、さらに事情が変わってきていると思います。特に、最近の報道ではコロナ禍からV字回復して、高収益を挙げている大企業がある一方で、中小企業や公共交通を担う企業にはさらに厳しい状況が続いているようです。政府の主張するバラマキ政策だけでどうにかできるレベルではないのかもしれませんが、政治の力の見せ所かもしれませんね。

11月に入っても、過ごしやすい気候が続いています。当然のことながら、お散歩の予定も満載で、どれくらい読めるか分かりませんが、この調子だと久しぶりに年間300冊を越えるかもしれませんね。まぁ、ぼちぼち読んでまいります。

 

001/223

新自由主義の暴走 格差社会を作った経済学者たち」ビンヤミン・アッペルバウム

著者は、ニューヨーク・タイムズ等で活躍したジャーナリストで、原題は“ECONOMIST’S HOUR~False Prophets, Free Markets, and the Fracture of Society”といいます。この本の書かれたアメリカで、ECONOMIST’S HOURというのは、ニクソン大統領就任からリーマンショックに至るまでの約40年間を指しており、新自由主義の経済学者が幅をきかせ、アメリカ政府の政策に関与してた時代です。この間に、共産主義の失敗が明らかになったこともあって、増長した結果、リーマンショックが起こり、格差社会に拍車がかかったことで、資本主義に陰りが見えてきました。この書籍では、世界に格差を生み出し、自らの地位と財産を盤石のものにした数多くのエコノミストたちが描かれています。勉強になります。(10/1)

 

002/224

シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録」井川直子

世界を未曾有の感染症が襲い始めた昨年春に、34人のシェフたちに実施されたインタビューを纏めたものです。昨春のことですから、全国の学校が休校になり、初めての緊急事態宣言出されて、飲食業に大きな打撃が出始めた頃のこと。まさかあのときは、その状況がさらに拡大しテイクことになろうとは予想もしていなかった頃のこと。あれから一年が経ち、この34名の方々はどうされているのか、興味があるところでもあります。(10/2)

 

003/225

本のエンドロール」安藤祐介

いわゆるお仕事小説なのですが、主人公が勤務するのは印刷会社。私もこうやってほぼ毎日本を手に取っているわけですが、作者や編集者だけでなく、本を印刷し、製本、配送する人たちがいて初めて私たちの手に届くということを改めて気づかせてくれました。ご存じのように、書籍の最終ページの奥付には、著者、発行者と並んで印刷・製本者が記されています。しかしながら出版社の中に編集者、校正者がいるように印刷社の中には版組、実際のオペレーターから資材調達までたくさんの人たちが携わって完成します。電子書籍では味わえない暖かみを感じる所以かもしれませんね。この本の奥付には、映画のエンドロールのように、出版に携わった数十名の方々の名前が載せられています。とても素敵な本でした。(10/3)

 

004/226

エクストリ-ム・エコノミー 大変革の時代に生きる経済、死ぬ経済」リチャード・デイヴィス

直訳すると“極限の経済”といった感じでしょうか。世界の様々な“極限の環境下”での経済活動の有り様が描かれています。人類史上最大の津波に襲われたインドネシア・アチェ、独特の“通貨”が支配するザータリ難民キャンプ、ルイジアナ州立刑務所、法律の網からこぼれ落ちたようなダリエン地峡、コンゴ・キンシャサ、世界最大の工業都市から一気に凋落したグラスゴー、少子高齢化の最先端秋田、タリン、超格差社会サンティアゴ、の9地域が取り上げられています。秋田以外は全く知らないところばかりで、GoogleEarthを眺めながら読んでいるととても楽しい世界旅行を楽しむことができました。それにしても人間ってしたたかですね。面白かったです。(10/7)

 

005/227

物語ドイツの歴史 ドイツ的とは何か」阿部謹也

かつて暮らしていたこともあって、ドイツという国にはとても親近感を持っています。皆さんご存じのとおり、ドイツという国が連邦国家として成立したのはホンの200年ほど前のことで、それまでは数十もの国や自由都市に分かれており、それぞれが主権を持っていました。その精神は現在にまで引き継がれており、今のドイツ連邦も独立した州によって構成されています。この本は1998年に出版されており、連邦前史に多くが割かれ、ナチスドイツや東西ドイツ、最統一後のドイツについての記述がかなり薄くなっています。また、21世紀に入ってからは、EUを牽引する立場としてのドイツの役割が大きくなり、この20年でその姿を大きく変えました。最近、同じシリーズで“東ドイツの歴史”という本を買ったので、これも楽しみにしています。(10/7)

 

006/228

おもかげ」浅田次郎

商社マンとして定年を迎えた主人公が、送別会の帰りに電車内で倒れて救急搬送されたところから物語が始まります。本人が昏睡状態にある中で、周りの人たちが主人公の人となりを語るというのはよくある形ですが、この物語では、そこに主人公があたかも回復したかのような実感を伴いながら、時間と空間を駆け巡ります。そして結末はどうなるのか。浅田さんらしい物語です。(10/10)

 

007/229

トマト缶の黒い真実」ジャン=バティスト・マレ

フランスのジャーナリストが、一つのトマト缶を追いかけて世界をめぐったルポルタージュです。中南米原産のトマトですが、現在の主要な生産地は、アメリカ、イタリア、中国の三カ国で、それらは、ほぼ生食されることなく濃縮トマトに加工されたうえで、輸送され必要に応じてさらにケチャップやペーストに加工されて消費されます。日本では、トマトと言えば生で食べるかケチャップとして使うかの二択かと思いますが、ピザなんかに使われるのはペーストなんでしょうか。本書では、中国の新疆ウイグル地区での過酷な労働実態、中国で三倍に濃縮されたトマトをイタリアで水を加えて二倍濃縮に薄めてイタリア産として輸出される姿、最終消費地となったアフリカで変質して真っ黒に変色した濃縮トマトに着食料を混ぜて鮮やかにする手口などが次々に明らかにされていきます。この本を読んだ後では、安いお店のトマトソースパスタやピザ、イタリア直輸入のトマト缶などは食べる気がなくなりました。トマト好きなのに。(10/12)

 

008/230

神武天皇実在論」林房雄

今から50年ほど前に書かれたトンでも本の一つです。どんなことが書かれているのかという興味本位で借りてきました。2600年以上前に即位したと言われる初代神武天皇以前に、70代以上の天皇が存在していたという古文書があったそうで、それらを引きながら、神武以前に大和国家が成立しており、複数の文書で確認できることから、神武天皇が実在していたことには疑いの余地がないそうです。私自身は、継体天皇が、現天皇家の初代だと思っていますので、なかなか相容れませんが、まぁこういった“古文書”って嫌いじゃないです。実物を読みたいくらい。(10/13)

 

009/231

音楽の危機 ≪第九≫が歌えなくなった日」岡田暁生

今回のコロナ禍を受けて書かれた本です。昨年春からの感染拡大を受けて、真っ先に影響を受けたのが音楽業界でした。音楽CDが売れなくなった現在、音楽業界を支えているのは配信と巨大な会場での音楽イベントの二本柱でしたが、そのうちのリアルイベントが全く開催できなくなり、数多くのミュージシャン、演奏家といった人たちの収入の道が途絶えました。その状況は現在も続いており、特にクラシックの演奏会などは殆ど開催されていません。この本では、“息を合わせる”ことが生命線でもあるクラシック音楽の有り様が否定されしまったコロナ禍の現在に、その息づかいが感じられない“録楽”が幅を利かせることで、本来の音楽が忘れ去られてしまうのではないかという危機感が提起されています。生の音楽が楽しめる日常は戻ってくるのでしょうか。(10/13)

 

010/232

レンブラントをとり返せ ロンドン警視庁美術骨董捜査官」ジェフリー・アーチャー

大好きな作家なのですが、最近はご無沙汰しておりました。近著の大シリーズ“クリフトン年代記”が完結し(未読です)、この本はそのシリーズからのスピンアウトなのだそうですが、定かではありません。著名な弁護士の子息として大学に学び、父の跡を継ぐことを期待されながら警察官としての道を選んだ主人公の成長物語です。期待に違わぬ面白さで、一気に読みました。お薦めです。続編が書かれるか否か微妙なところかもしれませんが、まだ読めていないクリフトン年代記シリーズを次は読もうかなと思ってます。(10/15)

 

011/233

東京ホロウアウト」福田和代

2020年東京オリンピックの開催が間近に迫る中で起きたテロ事件。鉄道の脱線事故、高速道路での爆破炎上、宅配便運転手をターゲットにした青酸ガス事件などが連発し、首都圏の物流が完全に麻痺します。食料品が店頭から消え、パニックが起きる一方で、廃棄物の搬送すらも止まってしまいます。とここまでは良かったのですが、そのテロの目的と最終の結末が、どうにもスケールダウンしてしまい、ちょっと残念です。(10/17)

 

012/234

書店猫ハムレットの跳躍」アリ・ブランドン

ブルックリンにある書店を飼い猫つきで相続した主人公。この飼い猫には謎を推理する能力があるようで、主人公が遭遇した殺人事件を解決するためのヒントを次々に提示します。こう書くと、最近は読んでいませんが、赤川次郎さんの三毛猫ホームズシリーズが浮かびますね。そう思って読んだのですが、中程から真犯人が分かってしまい、動機の描き方もイマイチで、なんだかなぁという感じ。シリーズ化されて続編も結構出されているようですが、もう読まないかな。(10/17)

 

013/235

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す」山口周

この方の本は、最近気に入ってよく読んでいます。 この本では、私たちはどこにいるのか?、 私たちはどこに向かうのか?、私たちは何をするのか?、という三部構成になっており、今の私たちの世界は、成長を遂げた高原社会を迎えており、そこでは人間性を回復することが求められていると言うことが書かれています。私も、“成長”を求め続ける社会に疑問を持っておりまして、地球が持っている資源に限りがある以上、“持続的な成長”などというものは“あり得ないもの”と考えています。SDGsに懐疑的な姿勢もここから来ています。これからの私たちに必要なのは、如何に穏やかに坂道を下っていくかという姿勢かと思います。先に読んだ“音楽の危機”の中で書かれていた“右肩上がりに盛り上がる時間の呪縛から如何に脱するか”という意識の切り替えが必要なのだと思います。

(10/18)

 

014/236

霞が関のリアル」NHK取材班

コロナ禍直前の2019年にWeb版NHKのサイトでの連載を纏めたものです。以前から、霞が関での労働実態の悲惨さは知られていましたが、政治主導型に切り替えられたことから、さらに過酷な労働を強いられています。ご存じのように、公務員には労働基準法が適用されませんので、時間外労働の上限はないに等しく、手当も支払われません。“官僚たちの夏”に描かれたような国を思う気概がモティベーションであった時代は過ぎ去り、能力に欠けた政治家主導型の行政は、結果的にモリカケ事件やサクラ事件など考えられないような低次元の事件を引き起こしました。昨年春以降のコロナ禍対応を見ていると弱体化した組織の悪い面がすべて出てきたように思われます。私も公務員の端くれなので、他人ごとではないのですが、納税者の皆さんには本当に申し訳なく思います。(10/19)

 

015/237

僕はナチにさらわれた」アロイズィ・トヴァルデツキ

第二次大戦時にナチスが組織的に行った犯罪のうちの一つの記録です。ゆがんだ人種政策を採っていたナチスは、碧眼金髪の純粋ドイツ人による社会を目指しており、隣国からそういった子供たちを拉致して、ドイツ人として育てる政策を実施していたようです。この本は、その被害者であった著者による書簡形式の記録です。ポーランドの軍人の子として生まれた著者は、幼い頃にドイツ軍によって拉致され、孤児として施設で育てられます。その後、ドイツ人の家庭で養子として育てられていたところ、実の母親が息子の行方を捜し出し、その手に取り戻します。この犯罪の証拠をアメリカ軍が誤って破棄してしまったため、この組織的大犯罪が大きく語られてこなかったそうで、この本がほぼ唯一の記録だそうです。戦争が人を狂気にするのか、狂気が人を戦争に駆り立てるのか。同時期に日本軍が犯した罪の記録は、本来我々の手でしっかり記録しておかなければいけなかったのだと実感します。(10/20)

 

016/238

自由貿易は、民主主義を滅ぼす」エマニュエル・トッド他

2009年の秋に著者が来日した際に行われた対談、鼎談、取材記事などを纏めたものである。人口歴史学者である著者は、ソビエトの崩壊、リーマンショックを予言したことで知られており、リーマンショック直後と言うことで、華々しく迎えられて様子が伝わる。著者の主張はタイトルのとおりで、自由貿易が進むとすべての商財は価格競争に陥り、先進国内では所得格差が拡大し、民主主義が大きく毀損されると警告している。その後の10年を見ていると、まさにそのとおりの事態となっており、どこかで方向転換をしなければならないのではないかと強く感じるところです。(10/21)

 

017/239

異世界居酒屋のぶ 六杯目」蝉川夏哉

お気に入りのシリーズなんですが、どうやら6巻目を出されたところで、小休止があったようですが、この夏に続編が刊行されたようです。また読みます。(10/21)

 

018/240

召使心得 他四篇 スウィフト風刺論集」ジョナサン・スウィフト

ガリバー旅行記で知られる著者の風刺論集です。実は有名なガリバー旅行記は、手許には持っているのですが、まだ読んでなくて、いつか読まなくてはいけないと思っていたところに、こんな本を図書館で見つけ、読んでみたものです。当時の社会情勢などを知らないので、本来持っている諧謔性が良く理解できないのですが、世の中を斜に眺めることがお好きだったように思えます。最初に収められている暦に関するパンフレットでは、かなり攻撃的な主張がされており、鬱屈した精神が垣間見えるような気がします。結構体力を使う本でした。(10/22)

 

019/241

黒牢城」米澤穂信

信長を裏切った荒木村重の説得に向かった黒田官兵衛が幽閉された伊丹有岡城を舞台にした物語です。籠城を続ける村木方に不穏な事件が続発し、官兵衛が伝聞だけで事件の真相を見抜くという物語です。ここ数年ミステリ部門で各賞を総なめにしている著者の近著と言うことで、かなり期待して読みましたが、ちょっと趣味に合いませんでした。タイトルに引っ張られたせいか、全体を通して“黒=暗い”トーンで描かれていて、ジメリとした感覚が残ります。(10/23)

 

020/242

消えずの行灯 本所七不思議捕物帖」誉田龍一

初めて読んだ作家さんで、実質的なデビュー作のようです。幕末、黒船襲来で揺れる江戸の下町で、不思議な事件が続発するところに、後の榎本武揚が奇妙な仲間たちと謎を解決していくという物語です。作品ごとに多士済々な登場人物を配していて、欲張りすぎかなと思いますが、結構面白かったです。この後、同様の時代もののミステリを書かれているようなので、ちょっと読んでみようかなと思います。(10/24)

 

021/243

世界を騙しつづける科学者たち(上)(下)」ナオミ・オレスケス、エリック・M・コンウェイ

上下巻で、なかなか読み応えのある本でした。舞台は新自由主義が跋扈するアメリカで、経済的な規制が必要になるような科学的な研究に対して、根拠を示さず否定する動きについて纏められたものです。現在では常識となっている、SDIの欺瞞、DDTやたばこの害、酸性雨被害、温室効果ガスと地球温暖化について、警鐘を鳴らす研究成果について、真っ向からつぶしにかかっているのが、これらの関係企業から多大な資金を受けている似非科学者たち。その醜いまでの亡者ぶりは、いっそすがすがしいほどです。今年ノーベル賞を受賞した真鍋教授の名前も出てきます。データの前に謙虚な姿勢を崩さない“本当の科学者”の皆さんに敬意を表します。(10/26)

 

022/244

ルポ トラックドライバー」刈屋大輔

流通の業界紙に連載された記事を纏めたもので、コロナ禍中での奮闘ぶりも描かれています。ネット通販の普及拡大とともに、配送のためのトラックドライバー不足が顕著になってきました。本来なら、ドライバーの確保が難しくなっているわけですから、コストが上昇し、配送料も上がっていくのが常識ですが、なぜかそうはなっていません。むしろ配送料無料が当たり前のようにさえなっています。どこかおかしいですよね。無料が当然という考えを変えないと、生産性は絶対上がりません。ドライバー不足への切り札として、無人ドローンや自動運転などの技術開発が挙げられていますが、それだけでは解決できる問題ではないのではなかろうか。(10/26)

 

023/245

スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官」川瀬七緒

お気に入り人気シリーズの6作目ですが、どうもその前をちゃんと読んでいないらしく、すこし繋がらない場面が出てきてしまいました。いつもながら、死体にとりつく昆虫から、死亡推定時刻を割り出し、不自然な昆虫相から他の媒介者の存在を疑い、真相を探り出します。とりあえず5作目も借りてきたので、早く読もうっと。(10/27)

 

024/246

歴史を変えた6つの飲物 ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語るもうひとつの世界史」トム・スタンデージ

私たちの身近にある6つの飲物を切り口にした人類史です。人類が水に続いて手に入れた飲物は大麦を発酵させたビールだと言われています。蜂蜜を発酵させたお酒もあったようですが、現在にはほぼ残っていないですね。人類にとって安全な水を手に入れることは死活問題であって、欧米人が書いているので、コーヒーが先に来ているのはなんとなく分かりますが、アルコール以外では、殺菌作用のあるお茶の登場が画期的だったのではないでしょうか。この本を読んで初めて認識したのですが、アルコール発酵に欠かせない酵母菌は、度数が15度を超えると生きていけないようで、これが醸造酒の限界になるそうです。しかしながら、日本酒は独特の製法を採っているので、20度くらいまで度数が高くなります。いやぁ、勉強になります。今宵も一献まいりましょう。(10/29)

 

025/247

カモフラージュ」松井玲奈

アイドルさんが書かれた小説と言うことで結構評判になりました。あんまり期待していなかったのですが、しっかりとした文章で、言葉の選択も情景の描写も良かったです。作者と同年代の女性が主人公と言うこともあって、心情を理解し共感できると言うことはなかったですが、コンゴも書き続けて行かれるのでしょうか。(10/31)