令和3年の幕開けは計23冊。そのうち小説が11冊、それ以外が12冊という内訳でした。
今年は、毎月15冊を目標に始めたのですが、最初からかなり飛ばしてしまいましたね。今月初めには二回目の緊急事態宣言が出されたこともあって、週末の散歩を控え、酒と読書に明け暮れていたことが要因でしょうか。
まずは小説では、昨年末に発表された国内ミステリ各賞に選ばれた作品を二作読んだのですが、やや期待外れでした。最近の国内ミステリは、いわゆる“警察もの”が幅をきかせていて、多数映像化されるなど人気を博している一方で、いわゆる“探偵もの”というものはほぼ見かけることがありません。明智小五郎や金田一耕助のような存在はリアリティに欠けるため敬遠されているのでしょうか?名探偵出てきてほしいですよね。
そんな中でのお薦めは、最近ドはまりしている海外ミステリでした。
まずは、アンソニー・ホロヴィッツの二作。いずれも2,3年前に国内で発表された海外ミステリNO.1に選ばれた作品ですが、本当に面白い作品でした。この作者は、イギリスで小説を書く傍ら、脚本も多く手がける有名作家のようですが、この二作までは国内にはほとんど知られていなかったのではないでしょうか。どちらも国内ではベストセラーになりましたので、すでに読まれている方も多いと思いますが、改めてお薦めします。
それから、今月たまたま初めて手にした、スーザン・イーリア・マクニールさんの“マギー・ホープ”シリーズが気に入ってしまい、最初の2冊を読みました。舞台は第二次大戦下のイギリスで、チャーチル首相のタイピストに採用された主人公が、持ち前の才知と度胸でMI-5の工作員となって活躍する物語です。本国のアメリカでは、すでに9作発表されており、国内でも8作まで出版されています。ハラハラどきどきで目が離せない、ちょっとライトなスパイミステリです。結構お薦めです。
その他の分野の本では2冊。
まずは、古典的名著ですが、津田左右吉さんの“古事記及び日本書記の研究”は、とても面白かったです。昨年が日本書記1300年という節目の年でもあったので、本当ならゆかりの土地を訪ねたり、関連イベントを楽しみにしていたのですが、コロナ禍でそれも適わず、関連書籍の中では、この本が一番に薦められていたので、手にしたものです。戦前に書かれたこの本は、当局から発禁処分とされたのですが、今読んでみても、どこが気に入らなかったのか分かりかねるところなんですが、書かれている内容もさることながら、資料の少ない古代史を研究するための姿勢を学ぶことができる素晴らしい書籍かと思います。
もう一冊は、“人工知能はなぜ椅子に座れないのか”という松田さんの本です。昨年同じ著者の最新本を読んで、とても感銘を受けたので、昔書かれた本を手に取ったものです。文科系の私には、“人工知能”と言うものの正体がよく分からず、どこまでも進化し続けるもの、ある日突然人類に牙をむくもの、という漠然としたイメージを持っていました。彼の著書は、その不安に論理的に答えてくれるところが多く、読むと安心できます。彼の著書には、巻末に大量の参考図書が紹介されているので、これまた読書の助けとなっています。文科系の皆さんにもお薦めですよ。
冒頭にも書きましたが、コロナ禍で身動きがままならないため、本の世界でくらいその抑圧された雰囲気を忘れられることを願っています。そんな小説を探しているのですが、全くの別世界である海外を舞台としたミステリくらいしか見つけられていません。是非とも御紹介いただければありがたいです。
先月の最後に、今年の読書目標を掲げましたが、今後の人生の指針となるような本に出会える日はいつやってくるのか。それを心待ちにしつつ、今日も読んでます。
001/001
「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティ
2021年の一発目に何を読もうかと悩んでいたのですが、ここでクリスティの名作ときめました。ご存じのとおり絶海の孤島でマザーグースの童謡にちなんだ連続殺人事件が起きるという物で、映画化もされています。彼女の著作の中でもダントツの売れ行きを誇る代表作ともなっています。実は私自身、高校時代に読んだ唯一のクリスティ作品でもあります。皆さんのご存じの通り、映画では著者が作った戯曲を基にしてるため、結末が全く違います。私自身は、映画版の方が物語としては好きなのですが、皆さんはいかがですが。(1/1)
002/002
「成人式とは何か」田中治彦
新しい年に入っても、新型コロナの猛威は衰えることなく、感染者数は増加の一途をたどり、首都圏の一都三県には緊急事態宣言の再発令が検討されています。それに伴い1月11日予定されている成人式の中止・延期を決めた自治体も数多く出ているようです。ご存じのように、来年から成人年齢が18歳に引き下げられることが決まっており、例年実施されてきた成人式をどうするのか議論になってきました。多くの自治体は、従来どおり20歳を祝う集いとして存続することを決められたそうです。この著者は、その動きに疑問を呈しておられ、徴兵制もなくなり選挙権も18歳となっている今、20歳に拘る理由は何もないとされています。実際、今の20歳って半分以上は大学生で、自立しているわけではないので、決して“成人”していないと言うことも考えると、“同窓会”以上の意味はないように思われます。そういえば、私も成人式には全く興味がなく、出席しようとも思わなかったことを思い出しました。(1/5)
003/003
「ワトソン力」大山誠一郎
少ないヒントから事件の謎を解く、いわゆる本格ミステリ短編集なのですが、毛色が変わっているのが、主人子は謎解きをしないというところです。主人公は、その周囲にいる人物の推理力が増強されるという不思議な力を持っており、おかげで警視庁捜査一課の刑事として活躍するのだが、本人は一切事件解決には関わらない。この本では7+1のショートストーリーが展開される。着想としては斬新ですが、、、という感じです。あっと言う間に読める本です。(1/9)
004/004
「お探し物は図書館まで」青山美智子
人生に悩みを抱えた人たちが、たまたま入った図書館で、レファレンス担当の女性お話し、勧められた本を読み、その悩みを解決していくという物語です。どれをとっても心温まる話ですが、展開はやや強引に思えます。このブログでは、簡単に書いているように思われるかもしれませんが、他人に本を薦めるというのは、とても恐ろしいことで、いつもドキドキしながら書いています。同じ本を読んでも、同じ感想を持たれる方は1割もいないだろうと思っています。でも逆に言うと、私の感想について、それは違うと言われても、全く気にならないと思えたことが、このブログを始めるきっかけでした。こう見えても、色々考えながら書いているのです。(1/9)
005/005
「日本習合論」内田樹
日本の文化についての考察です。特に多くのページで宗教について言及されています。特に興味深いなと思ったのが、明治維新後の“廃仏毀釈”についての考察で、なぜ、当時の人たちは1000年以上の歴史を持つ“神仏集合状態”を、いとも簡単に捨て去ってしまったのかという謎。著者によると、このことについて書かれた書物・記録と言う物は存在しないようでして、何故反対運動が起きなかったのか、と問題提起されています。日本人というのは、外来の物を上手く咀嚼・消化・吸収して新たな物を作り上げることに長けているというのは、まさにそのとおりかと思いますし、それを排して、単純化、純粋化しようとするのは、それに逆行する動きなのかもしれませんね。(1/10)
006/006
「日本の宗教 日本史・倫理社会の理解に」村上重良
40年以上前に、中高生向けに書かれた日本宗教史の書籍が装いを新たに再版された物です。日本の宗教史を概観できる入門テキストなっています。でも、おそらく今の中高生にこの文章が読めるのかというとかなり心許ないところがありますね。もちろん今の彼らの読解力を承知しているわけではないので想像でしかないのですが、我が家の娘たちを見ていると、とても読めそうな感じがしません。文字を追う能力が著しく低下しているような気がします。(1/10)
007/007
「チャーチル閣下の秘書」スーザン・イーリア・マクニール
ナチスドイツと戦う第二次大戦下のイギリス首相チャーチルの下で働く女性タイピストえあるマギー・ホープが、国際的な陰謀に巻き込まれながらも、自らの才覚で乗り越えるスパイ・ミステリです。たまたま図書館で見かけて借りてきたのですが、これがっても面白い。次から次へと事件が連鎖し、スピード感のある展開で、ページをめくる手が止まらない本でした。モデルとなるような女性もいたようで、その辺が面白さを補強しているように感じます。本作はシリーズ化され、すでに8作目が出版されているようなので、今後の作品も是非とも読んでみたいと思います。面白かったです。
(1/11)
008/008
「買い物難民対策で田舎を残す」村上稔
徳島県内で“とくし丸”という移動スーパー事業を手がけている著者が記す買い物難民対策レポートです。私の生まれた地区は、一応国道沿いで、クルマなら便利なところなのですが、一番近い食品スーパーまで約6km、コンビニは約4km、峠越えもあって、クルマでないととても買い物には行けません。最近はこうした田舎だけでなく、中心市街地でも商店が減ってしまって、買い物場所に困っているという方が増えているようです。本当に生活に必要な基盤を支えるエッセンシャルワークに従事する人たちが減少することで、私たちの生活が成り立たなくなってしまう社会が目の前に迫っているように思います。
(1/11)
009/009
「枝雀らくごの舞台裏」小佐田定雄
桂枝雀さんは、私がこれまで見た中で、圧倒的に面白いと思った落語家さんです。本当に残念ながら、今から20年ほど前に、自ら命を絶ってしまわれました。とても頭のいい人で、そのことが徒になってしまったのかもしれませんね。この本では、彼が語った落語とともに、その話にまつわるエピソードを紹介されています。今は、Youtubeなどで、彼の落語が見られるようなので、また時折眺めたいなと思います。(1/13)
010/010
「三体」劉慈欣
今話題の中国発のSF小説です。英語圏以外の作家が書いた小説としては初めて、アメリカ最高のSF小説賞であるヒューゴー賞を受賞したことでも話題になりました。小説は三部作となっておりまして、日本ではこの後隔年に発表され、完結編は昨年発行されまいた。アメリカ国内向けには受けそうな非常に壮大なテーマで書かれた小説で、おそらく将来の映像化なども見越しているんだろうなと思います。SF小説はとても好きなカテゴリなんですが、実はこの手のSF小説は、自分としては若干苦手な分野でして、好んで読みたいとは思いません。続編を読むべきかどうしようかとても悩んでいます。(1/15)
011/011
「メインテーマは殺人」アンソニー・ホロヴィッツ
国内の年間ミステリの各賞で、ここ3年間連続し打てトップの評価を受けている作者による作品で、2019年のベストワンに輝いた作品です。物語の語り部は作者自身で、警察官である探偵役から、自らをテーマにした小説を書くよう持ちかけられた作者が、最初は不承不承だったものの、最後はその探偵役の推理力に圧倒されながら事件を記録していきます。あらゆるところに伏線が張られていて、最後にはしっかり回収されていきます。とても面白いミステリでした。この前年に書かれた“カササギ殺人事件”も借りられましたので、今月中に読む予定です。たのしみ。(1/16)
012/012
「アンダードッグス」長浦京
今話題になっている香港が、イギリスから中国へ返還される1997年の直前に、香港から持ち出されそうになった秘密資料を巡って、各国の諜報機関が暗躍する中、イタリアの富豪がその資料の奪還をするべく、チームを編成します。その一員に選ばれてしまったのが不祥事の責任を取って役所を辞めさせられた冴えない元官僚の証券マン。各国から集められた同様の負け犬(アンダードック)たちが知恵と能力を絞って他国の諜報機関とやり合います。現実感は全くありませんが、なかなか痛快なサスペンス小説です。(1/17)
013/013
「マナーはいらない 小説の書きかた講座」三浦しをん
小説の名手が記す、小説家になるための書き方講座です。コバルト小説賞の審査員をする中で、気がついた点などをとてもわかりやすく解説してくれています。もちろんまじめ一辺倒ではなく、途中からはいつもの抱腹絶倒エッセイのごとく、あちらこちらに話が飛んで、どうなることかと心配するのですが、最後にはちゃんと落ち着いているという素晴らしい出来です。いろんな人から、これだけたくさん本を読んでいると、本も書けるんじゃないかと言われます。しかしながら読むことと書くことは基本的には別物というのが私の持論なのですが、著者は、たくさん読むことが書くことにつながると断言されています。小説は才能ではなく、訓練によってその能力を伸ばすことができる。最も良い訓練は読書であるとされていますので、ひょっっとしたら、一冊くらい書けるかもしれませんね。
(1/19)
014/014
「泥棒は図書室で推理する 泥棒バーニィ・シリーズ」ローレンス・ブロック
大好きなシリーズで、本作では雪に閉ざされた館で起こった連続殺人事件を主人公が解決します。まるで本格ミステリのような展開で、主人公が泥棒であることを忘れてしまいそうになります。まぁ、それでもいつもの洒脱なやりとりは健在で、とても面白く読めます。また残りの作品も楽しみだ。(1/19)
015/015
「古事記及び日本書紀の研究 建国の事情と万世一系の思想」津田左右吉
戦中に発禁処分を受け不敬罪で有罪にされる原因となった書籍である。古事記と日本書紀いついて、徹底的に史料批判の観点から語り尽くした大作、名著です。素人にもとてもわかりやすく書かれており、いまも必須テキストとされていることがよく分かります。副題のになっているように見える“建国事情と~~”というのは、戦後“世界”掲載された掌文で、天皇制を擁護しているように読めることから、“転向”と批判されたようだが、本文を読む限り、もとより天皇制の否定など全く考えておあれたわけではなく、全く誤解であるように思われる。このテキストの趣旨は本文末に置かれた次の言葉に集約されるように思われる。“『古事記』及びそれに応ずる部分の『日本書紀』に記載は、歴史ではなくして物語である。そして物語は歴史よりもかえってよく国民の思想を語るものである。これが本書において、反覆証明しようとしたところである。”名著でした。(1/21)
016/016
「乗務員室からみたJR 英語車掌の本当にあった鉄道打ち明け話」関大地
たまたま新聞広告で見かけ、その広告に惹かれ図書館で探したところ、数十人待ちの人気本となっていたとこ、ようやく借りてきて読むことができました。一言で言うと期待外れ。著者は、元JR東日本の電車車掌さんで、初めて英語アナウンスをした車掌さんとして有名になりました。そんな車掌時代のあれこれが書かれているのかと期待して読んだのですが、ほとんどが彼自身のヒストリーで、それはそれで興味深いですが、期待したのはそれではありませんでした。(1/23)
017/017
「カササギ殺人事件(上)、(下)」アンソニー・ホロヴィッツ
これは2018年の日本のミステリ各賞を総なめにした本格ミステリです。いやぁ面白かった。すごいです。上下巻に分かれた長い小説なのですが、実はそれもこの小説の仕掛けの一つであって大きな意味があります。上巻は1950年代のイギリスの郊外を舞台にしたミステリとなっていますが、下巻の冒頭で現代に時間が飛び、上巻に描かれていたミステリの結末が失せており、さらにその状態で作者が謎の死を遂げたことが明らかになります。この二つの物語を入れ子のような形にした壮大な物語となってます。なかなか説明するのが難しいのですが、二つのミステリ小説をいっぺんに楽しむことができたような満足感でした。(1/24)
018/018
「人工知能はなぜ椅子に座れないのか 情報化社会における『知』と『生命』」松田雄馬
昨年、この著者の最新作を読んで感銘を受け、3年前に書かれた前著も読んでみようとかりてまいりました。著者は数理生物学という耳見慣れない分野の研究者で、生命現象を推理モデルを用いて解明しようという学問なのだそうです。人工知能研究の第一人者でもあります。この本では『人工知能』を作ると言うことは『人工生命』、『人工社会』を作ることに他ならず、『知能とは』『生命とは』『社会とは』と言うことに思索の輪を広げていきます。文科系の私にも、いや文科系だからこそ、わかりやすく書かれており、改めて『生命』の不思議に感動させられます。SF映画では、コンピュータが人類を支配する未来が描かれたりしますが、著者は、そのような社会は到来しないと断言しています。そこには“身体的な”限界があると言うのがとても興味深い主張です。面白い本でした、お薦めです。(1/25)
019/019
「『バカ』の研究」ジャン=フランソワ・マルミオン
2018年にフランスで出版されベストセラーとなった物の翻訳です。原著では30名の学者、著述業者、評論家などが“バカ”について大まじめに論評しています。日本語版では、日本時には理解しがたいであろうテーマを除く24名の論文とインタビューが掲載されています。ここで言う“バカ”とは、単に知性が乏しいという状況を指しているのではなく、むしろ“知性が高いのにバカな行動をしてしまう人”について、多く語られています。多くの論者は、当時の某国の大統領を念頭に書かれていたように見受けられるのですが、これまた某国の現・前首相の振る舞いを彷彿させる論述も多数見られます。フェイクニュースはどうして広がるのか、人はどうしてSNS上では愚かな振る舞いをしてしまうのか、人はどうして“思い込み”を避けられないのか、なかなか興味深い掌文集でした。参考図書もかなり興味深く、また探して読んでみたいと思います。世の中には、“バカとつきあわない”方法を説く本が多数出版されています。書いた人は自分の決して“バカではない”と思っているんだろうなと思い、とてもうらやましく思います。そんな本を読みたいとはこれっぽっちも思いませんけどね。(1/27)
020/020
「エリザベス王女の家庭教師」スーザン・イーリア・マクニール
第二次大戦下のイギリスを舞台にしたスパイミステリです。チャーチル首相のタイピストからKI-5の工作員に抜擢された女性主人公が、ナチスドイツによる誘拐お恐れがあるエリザベス王女(現女王ですね)の家庭教師として王室に送り込まれ、その陰謀から王女を救い出すという物語です。格好良い主人公の活躍もさることながら、ドイツ国内で消息を絶った空軍パイロットである恋人は、いったいどうなるのか。続きが気になります。(1/30)
021/021
「日本の食文化4 魚と肉」藤井弘章編
シリーズの4編目は、動物性タンパク源とのつきあいです。海外でも和食というとまず“寿司”がなじみ深い物ですが、現在のような“にぎり寿司”が全国的に普及したのは、冷蔵技術が発達したここ数十年のことと言われています。特に海洋性の生魚が食されていたのは、沿岸部のみで、多くは発酵食品や塩干物にされて内陸部に運ばれていきました。温帯モンスーン気候の日本列島は、降水量も豊富で、数多くの河川があって、コイ、フナ、アユといった川魚も古くからなじみ深い物であり、さらには山林が多いことから、イノシシ、シカといった動物も古くから食されてきました。仏教の影響で、肉食が禁止されていた時代にあっても、この2種だけは禁じられていなかったようですね。なかなか興味深い食の歴史です。(1/31)
022/022
「空海に学ぶ仏教入門」吉村均
以前読んだ本の中で紹介されていて興味を持ち読んでみたのですが、とにかく難しかった。いろんな人の書かれているレビューによると、初学者向けに非常に分かりやすく書かれているとあったのですが、私には無理でした。空海という人は、ある種の超人だったと思っています。遣唐使の一行として中国に渡り、20年間修行する予定を、わずか2年で切り上げ、帰国後は日本に本格的な密教を伝えます。その後の活躍は誰もが知るとおりで、少しでもその境地を理解したいと思ったのですが、無理でした。(1/31)
023/023
「復習の協奏曲」中山七里
少年時代に殺人事件を犯しながら、少年法に守られ人生をリセットし、法曹資格を得て、勝つためならば何でもやる弁護士として活躍する主人公のシリーズ物です。今回は、主人公の下で働く女性事務員に殺人の嫌疑が掛かり、それを晴らすために弁護する中で、いままで考えもしなかった女性事務員の過去、秘密が明らかにされ、主人公も動揺してしまいます。なかなかによく練られたストーリーでした。(1/31)