2016年最後の月は計10冊という低調ぶり。うち小説が7冊、それ以外が3冊という結果でした。そして年間では186冊となりました。ということは、2日に一冊くらいのペースということですね。
年間は、いつかまた振り返ることにして、12月に読んだ数少ない本の中からお薦めを揚げるとしたら、小説では湊かなえさんの“山女日記”でしょうか。
NHKドラマの原作にもなっていたようですが、どの話も良い形で終わり、ハートウォーミングな連作小説に仕上がっています。文庫でも出たようなので、是非お薦めです。
その他の本では、歴史関係の本が2冊ありましたね。昔から日本史が好きで、井沢さんの“逆説の日本史シリーズ”や梅原猛さんの歴史の謎を解くような本を好んで読んでいました。
そんな中で、日本史上最大の謎の一つといわれているのが、本能寺の変。未だに明快な答えが見つけられていません。その謎に挑んだ力作“本能寺の変 431年目の真実”は非常におもしろかったです。歴史嫌いの人にもお薦めできます。
(001/177)
「人生を危険にさらせ!」須藤凜々花、 堀内進之介
現役のアイドルが著す哲学書。二人が対話の形で語り合う哲学の入門書となっている。アイドルとは思えないほどの深い考察で、どんどん考えを深めていく様は非常に興味深い。こんな本を出すことが、アイドルとしては得なのか損なのかはよく解らないが、とても良い入門書になっている。(12/3)
(002/178)
「私に似た人」貫井徳郎
今更ながら、最近気になって少しずつ読み続けている。国内に頻発する小口テロというなにやらド派手な展開が待ち受けているのかと思いきや、どこにでも転がっていそうな一般人の小さな苛つきやモヤモヤが飽和点を超えていく瞬間がうまく描かれている。今のネット万能の社会をうまく映し出していると思う。(12/4)
(003/179)
「本能寺の変 431年目の真実」明智憲三郎
今もなお、歴史上最大の謎の一つといわれている本能寺の変。その謎について、首謀者の末裔と自称される作者が書いている。結果的には想像をするしかないのであるが、少なくとも、後の権力者たちが、自らの正当性を喧伝するために書き残した物を持って、評価するこの愚は、考えるまでもなかろう。明智が統治した福知山や亀岡など丹波地域の諸処には今でも彼の功績をたたえる言葉が残っている。それを考えると、真実の一片も見えてくるのでは。決して歴史を見通すことができないおおたわけではない。(12/7)
(004/180)
「ホテル・コンシェルジュ」門井慶喜
も少しおもしろいかなともって読んだのだが、ちょっと期待はずれ。残念。(12/10)
(005/181)
「山女日記」湊かなえ
いやミスの大家が、非常に珍しい山岳小説。殺人事件も死体も出てこない。女性ばかりが主人公の連作山岳小説集となっている。山というのはそこにあるだけで人を惹きつける不思議な存在であるが、あえて苦しい目をしてまでも、その高見を目指そうとする人たちも多数存在する。この小説に登場する女性たちは、様々な理由でその山に登ろうとするのだが、皆が何かしら新たなものを見つける。そんな希望に満ちた作品です。(12/10)
(006/182)
「水鏡推理Ⅳ アノマリー」松岡圭祐
彼の書いていた、“万能鑑定士”“特等添乗員”シリーズが“探偵の鑑定”をもって終結したことにより、今シリーズが今残る唯一の“人が死なないミステリ”となっている。しばらくは連続で刊行されるらしいので、楽しみだ。(12/11)
(007/183)
「法医昆虫学捜査官」川瀬七緒
江戸川乱歩賞作家による新しいキャラクターを見つけた。最近同様に一つの才能に秀でた女性を主人公に据えたミステリが、大量に出回っており、ある種の飽和状態となっている。すべてに目を通したわけではないが、かつて本屋大賞にもノミネートされた“ビブリア古書堂”あたりがハシリではなかろうか。本書も同じ頃に刊行されており、著者にとっては受賞後最初の著作となったこの本は、その後もシリーズ化されている。女性作家ということもあって、少し注目している。(12/17)
(008/184)
「ゼロの日に叫ぶ 戦力外捜査官3」似鳥鶏
好評シリーズの第三弾。次作を先に読んでしまっていたので、間が抜けていること半端ないのですが、そこは目をつむろう。主人公のギャップぶりが売りなのだが、ちょいと度が過ぎているような。ここまで書くとやり過ぎでは。(12/18)
(009/185)
「ここまで変わった日本史教科書」高橋秀樹、三谷芳幸、村瀬信一
我々が日本史という科目を習った40年近く前と、現在では教える内容が変わっている。そんなことを集めた本なんだが、いかんせん、40年前に習ったことなんかとっくに忘れている。その間にいろんな媒体で、ここに書かれているようなことを見聞きしていたので、驚愕の発見はありませんでした。(12/20)
(010/186)
「小説家森奈津子の華麗なる事件簿」西澤保彦
結果的に2016年才尾の一冊になったのは、この小説集。主人公になっている森奈津子氏は実在の作家さんらしく、この方を主人公にした小説を書くという企画で書かれたものだとか。西澤氏は決して嫌いな作家ではないのだが、この作品集はちょっときつかった。一冊読むのに三連休を使い果たしてしまい、後悔することしきり。これで2016年も終わりか~。(12/23)