2015年7月5日日曜日

2015年6月

6月は出張もあって、月の前半はほとんど本を手に取る暇もなく、計15冊、うち手軽な小説が10冊という結果になりました。
小説では、待っていた東野圭吾の新作。何となく先が読めてしまったのは、彼の作風に慣れてしまったせいでしょうか。それを差し引いてもおもしろかったです。そして、もう一作、浅井まかての“すかたん”。前から気にはなっていたのですが、登場人物のキャラクターといいストーリー展開といい、なかなか読み応えのある作品でした。ほかの作品もぜひ読んでみたい。
その他は少なかったのですが、タイムリーな物として“火山入門”“地域に希望あり”の2冊は、お薦めです。何れも昨年来とても気になるテーマで、覚えておきたいこと、参考になることがたくさん書かれています。

001/112
「医と人間」井村裕夫編
よく名前を知る医学者やその関係者による“医学の今”の解説書。前半の多分に医学専門分野の話は難しすぎたが、後半の医学と社会学の学際的なレポートについては、何とか理解しながら読むことができた。如何に上手く死ねるか。これからの大きなテーマだろう。(6/2)

002/113
「超高速!参勤交代」土橋章宏
最近見た映画のノベライゼイション。結構おもしろい。(6/3)

003/114
「あと少し、もう少し」瀬尾まいこ
中学駅伝の物語で、一章ごとに主人公が変わり、あたかもたすきを繋ぐように物語が進む。ただ、主人公たちが中学生なので、人物的にはそれほど深みが感じられない。全員に焦点を当てようとして、逆に苦しくしてしまったような。解説を三浦しをんが書いているのだが、そういえば彼女にも箱根駅伝をテーマにした傑作がありました。(6/9)

004/115
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
とあるフレンチビストロのシェフが謎を解く、というお話なのだが、期待を大きく裏切るできでした。それぞれの人物設定もどうもイマイチで、彼ら、彼女らの表情や仕草が、浮かんでこない。どうにも読みづらい。(6/11)

005/116
「人は、誰もが『多重人格』」田坂広志
彼の本は好きなので、思わず買った。著者とT氏との対話形式で話が進むのだが、ちょっと奇をてらいすぎたような感じ。もっと普通の体で書いてもらった方が安心して読める。この内容なら、話し言葉の方が理解しやすいと思ったのだろうか。話し言葉で書かれた物を読む際は、その口調が解らないので、全く逆の理解をしてしまいかねないと、私なんかは思うんですが、皆さんはそうは思わないのでしょうか。(6/16)

006/117
「ラプラスの魔女」東野圭吾
彼の新刊書はいつも楽しみにしている。今回の作品は普通の人と少し違ってしまったが為に、苦悩する少年が主人公。この小説の場合は後天的な物なのだが、人生の途中で価値観が覆されるというのはどういう気分なのだろう。そしてその後天的に身についてしまった能力のおかげで、知りたくもないことを知ってしまうことの恐ろしさ。もしかすると、恐ろしい未来も見えているのかもしれない。(6/17)

007/118
「魔法使いと刑事たちの夏」東川篤哉
シリーズの2作目。お気楽でよろしい。(6/20)

008/119
「すかたん」浅井まかて
昨年直木賞を受賞した最近注目している時代小説作家。まだ受賞作は読んでいないが、この本を読んだだけでも、その力量はよく判る。武士の妻が、夫の転勤で大阪住まいとなるが、夫が急死し、その後大嫌いな大阪で暮らしていくという物語。結末はハッピーエンドとなっており、それも好感。物語の運びもよく、もっと読んでみたい。(6/20)

009/120
「ポリス猫DCの事件簿」若竹七海
もう少しおもしろいかと思って読んでみたが、残念。どうも彼女の本には当たり外れがあるらしい。外れたときはちょっと痛い。(6/20)

010/121
「生還」大倉嵩裕
山岳警察官の物語。単なる遭難救助でだけではなく、そこで刑事事件の捜査もすると言う発想がおもしろい。ストイックな主人公もなぜか目が離せない魅力を持っており、山好きにも楽しめるのではないか。(6/21)

011/122
「火山入門 日本誕生から破局噴火まで」島村英紀
最近、日本各地の火山が暴れ始めている。そんなこともあって、改めて買って読んでみた。東日本大震災のように、地殻に大きな変動をもたらす大地震があると、その後数年間は火山が活発に活動をし始めるものらしい。そういえば大震災から4年間になるが、その間昨年の御嶽山のように大きな被害が出たケースはあるが、大きな噴火は何処にも起きていない。それで言うと、最近の箱根山、浅間山、口永良部島の動きが大変気に掛かるところである。大事なければ良いのですが。(6/21)

012/123
「珈琲店タレーランの事件簿4 ブレイクは五種類のフレーバーで」岡崎琢磨
本来は、京都の珈琲店を舞台にしたミステリー仕立ての短編集なのだが、今作品集では主人公の女主人がほとんど出てこない。それでもこうやって“読ませる”小説に仕上がっていると言うことは、作家の力量だと思う。それぞれが良い感じに仕上がっています。(6/28)

013/124
「デール・カーネギーに学ぶ7つの生きる力」田中真澄
カーネギーの名著“人を動かす”に、著者が影響と感銘を受け、それを実践したからこそ今がある。デール・カーネギーが書き記した言葉たちは、とても平易に書かれており、誰でも理解可能、そしてその気にさえなれば、誰でも実行可能ばかりである。こういった本を読むと常に思うことなのだが、人生で成功するには、とても簡単なことを地道にやりきることが最も近道である。でも、そんな当たり前のことがとても難しい。(6/28)

014/125
「神様のカルテ0」夏川草介
ベストセラー小説の数年前を描いた小説。残念ながら、主人公夫婦のなれそめは明らかにされていない。残念。(6/28)

015/126
「地域に希望あり-まち・人・仕事を創る」大江正章
限界集落、消滅可能性都市と言われた地方のまちに、どのような未来が描けるのだろうか。この本に紹介されている例は、かなり特殊な例なのではないか。それほど普遍性があるとも思えない。しかしながら、この中に収められているケースの中に何かヒントがあるような気がする。あとは、そのヒントを活かすだけの余力が残されているかどうかだ。(6/30)