2015年2月8日日曜日

2015年1月

2015年の幕開けは23冊、うち小説が15冊となりました。
最近はあまり時間がなく、往復の電車の中で新書を読むのがせいぜいで、就寝前にも軽めの小説を読む時間しかなく、相変わらず小説の割合が高くなっています。
年末に買った三巻物の経営書は、ようやく上巻が終わるところ。読み終えられるのはいつになることやら。
そんな中で、1冊を選ぶなら。
小説では、浅田次郎さんの“赤猫異聞”でしょうか。彼の書く主人公達が何れも魅力的で、結末まで一気に読めてしまいます。かなりお薦めです。文庫なのでお手頃なところもなお良し。
小説以外では、今月読んだ4冊の新書は、どれも非常に興味深かったです。あえて選ぶとすると、“なぜローカル経済から日本はよみがえるのか GとLの経済成長戦略”と“原発と大津波 警告を葬った人々”の2冊。全てを是とするわけではないですが、何れも非常に興味深い内容で、特に我々のような職業に就いている者にとっては、とても考えさせられる内容です。もちろん誰が読まれても興味を引かれることでしょう。

001/001
えどさがし」畠中恵
しゃばけシリーズの番外編で、いつもの若旦那は出てこない。魂と魂で繋がっている者同士は、時空を越えてまた巡り会うことができる。最後の一編はホロリとさせられる。(1/1)

002/002
浜村渚の計算ノート」青柳碧人
天才数学少女とテロリスト集団との闘いの物語なのだが、このテロリスト集団があまりにマンガチック。まぁ、悪くはないけれど続編を読もうという木にはならないな。(1/1)

003/003
震災の約2年後にまとめられた本で、全編教育委員会や学校に対し、やや厳しい目で書かれている.公務員である我が身からすると、何となく解るよなと思うことでも、悪意を持った隠蔽であると断言されている。まぁ、ここまでこじらせた教育委員会も悪いとは思うけど。(1/2)

004/004
思い出のマーニー」ジョーン・G・ロビンソン
昨年映画化された作品。二人の少女が時空を越えて出会い、別れていく。なんとなく切ない物語。今度DVDを借りてみよ。(1/3)

005/005
タブーの漢字学」阿辻哲次
“諱”というのはおもしろい仕組み(?)で、なぜこのような風習が生まれたのか、その解明がされているわけではないが、そのためいろいろと変わった事件も起こったような。現在でも直接口に出すことが憚られるようなことを表すために独特の表現が使われることがあるが、それが正式な公文書で使われると、後の解明も困難になる。多分をそれを推理することがまたおもしろいのだろうけど。(1/5)

006/006
京都は奥深いとよく言われる。今の京都は3度大きく作り替えられている。すなわち平安京遷都、豊織時代そして明治維新。そのたびごとに層をさらに積み重ねるように、都市の姿を大きく変え、文化の転換期を迎えている。従って、表層に見えている物だけでは全体を理解することが難しく、その上、表をめくって一層下を見つけて、渡った気になっていると、実はその下にさらに2層、3層の積み重ねがあるといったふうである。人のわずかな一生で、その千年を超える歴史の一層一層を全て理解することは不可能である。時折眺めて、そのたびごとに新しい驚きに感動する。それが京都の楽しみ方である。(1/9)

007/007
役人の生理学」オノレ・ド・バルザック
この本が書かれた19世紀、フランスにはかなり確とした官僚制度ができあがっていたようである。少しはおもしろいかなと思って、読んでみたのだけれど、期待には届かず。残念。(1/10)

008/008
赤猫異聞」浅田次郎
火事とけんかは江戸の華。ひとたび火災が起こると、紙と木でできた江戸の家並みはひとたまりもなく、燃え広がっていく。罪人を集めた牢獄も例に漏れず、大火が起きると、鎮火するまで罪人を一旦解き放ち、戻ってくれば罪一等を減ずる、という措置があったそうである。本書は時代を江戸から明治へ変わる激動期に置き、その解き放ちを巡る3人の罪人を主人公とした物語。時代に翻弄され、あやうく命を落としかけた面々が、その後の人生を送っていく。読み進むごとに引き込まれるおもしろさ。(1/11)

009/009
昨年の本屋大賞第二位だそうで、楽しみにして読んだんだけど。期待が大きすぎたようだ。(1/12)

010/010
前に読んだ彼女の小説がおもしろくて、図書館で見つけた本書を手に取る。いわゆるライトノベルとして書かれており、これは彼女にとっては得意分野ではないのだろうか。これは次読む作品を選ばないといけないな。(1/13)

011/011
なぜローカル経済からよみがえるか、ではなくローカル経済がよみがえらないと、日本の再生はないという警告の書。この分野では、国内全体を平均的に取り扱う中央政府には多くを期待できない。我々地方自治体が、その地方の強み、独自性を最大限活かせるよう思い切った政策が実施できるか。その一点に係っているように思う。(1/14)

012/012
Nのために」湊かなえ
最近、ドラマ化された作品。主人公の4人が、いずれも自分ではないほかの誰かNのために何かを貫き通す。ある種の純愛小説。ついつい読み続けたくなる、そんな小説。(1/17)

013/013
すえずえ」畠中恵
しゃばけシリーズの最新刊。主人公である若旦那が、すこしずつ成長して、ついには許嫁まで決まってしまう。若干、不完全燃焼感が残る。(1/17)

014/014
小太郎の左腕」和田竜
タイトルから中身が想像着かなかったのだが、最後はとても悲しい読後感が残る。昔好きだった石森章太郎のサイボーグ009に同じようなテーマの短編がある。009達が、とある星の戦うことを知らなかった子供のエスパー達に、自分たちの命を守るため、力を使って敵と戦うこことを教える。結果的に自分たちの存在を守ることができたものの、彼らに“特殊能力を使った戦い方”を教えたことは良かったのだろうかという一抹の不安を感じ始めたところで、物語は終わる。置かれた環境によって、何が正しいのか、その判断基準は大きく変わる。けれども、自分の中に壊せない物がある。(1/18)

015/015
明日の子供たち」有川浩
児童福祉施設を舞台にしたラブコメ。ラブコメの殻を被りながら、その後ろからとても重いテーマが見え隠れする。小説の最後に、こういった施設の実情を知ってもらうために、誰もが知っている有名作家に手紙を書いて、小説を書いてもらおうという下りが出てくる。実際にあったことなのかどうかは解らないが、その狙いは果たしている。おそらく書かれている日常は実際の状況を見聞きして書かれたのではなかろうか。(1/18)

016/016
かつて呪文のように唱えられていた“想定外”という言葉。その言葉は実は全くのウソだった、あの大津波のことは想定していたけど、リアリティを持って検討していなかった。というのが実態であった。本書は、その想定されていた“警告”を、“原子力ムラの住人”が、如何にして葬り去っていったか、そのプロセスを丁寧な取材を下に明らかにさせていく。自分の子供や孫にとても言うことができないような、そんな足跡を残してはいけない。(1/21)

017/017
最近ドラマ化もされた末期がん患者のブログを書籍化した物。本人が乳がんで治療をしている最中に、ご主人にも重い肺がんが見つかり、夫婦で送る闘病生活が、重くならずに綴られている。読む限りでは非常に前向きで、病気と戦おうとする闘志に満ちあふれている。残念ながら唐突に最期がやってきて、ブログが途絶えてしまう。小さな子供達を残して二人してこの世を去ってしまうというのは、いかにも心残りであったろう。冥福を祈るのみ。(1/22)

018/018
閉ざされた夏」若竹七海
彼女の小説は、まだそんなに読んだわけではないので、軽々に決めつけるのは良くないが、当たり外れが大きいのかもしれない。この本は、ストーリー展開がややもっちゃりとしていて、それほど私の好みではない。(1/24)

019/019
女はそれを許さない」渡宮真利子
ドラマの原作かと思ったのだが、どうやらドラマのノベライズ物。(1/25)

020/020
セカンド・ラブ」乾くるみ
前作の“イニシエーション・ラブ”を越えるとのあおりは大きかったが、残念ながら前作は越えていない。(1/25)

021/021
今、旬の話題となっている“空き家問題”の“第一人者”の書である。非常に解りやすく現状を解説してくれているが、若干背景となる証憑の提示が少なく、何処までが彼の推測なのかが解りづらい。我が家も田舎に空き家を抱えており、近い将来、その解決に取り組まなければならない。残念ながら、すでに大田舎なので、解決方法は限られているか、全くないかどちらか。でも、こればっかりは次代に引き継ぐわけにはいかないので、悩ましい。(1/27)

022/022
満願」米澤穂信
何やら、いろんな賞を受けるなどエライ前評判が高く、とても楽しみにして読みかけたのだが、正直言って期待はずれ。みんな本当にそんなにおもしろかったのか?私の理解力が足らないのだろうか。悩んでしまう。(1/28)

023/023

事件簿シリーズの完結編。結局このシリーズは別のシリーズとなって続くのであるが、一旦締めである。(1/31)