2014年最後の月は22冊。うち小説が14冊、その他が8冊となり、年間では184冊となりました。これは、こうやって記録を取り始めて8年、おそらく最少記録だと思います。最も読んだ年は400を越えていたので、それから見ると半分の数字です。
さて、今月読んだ中では、小説では女性を主人公とした2つのハードボイルド小説に注目です。
まずは、松岡圭祐さんの“探偵の探偵”シリーズ(きっとシリーズ化されるのでしょう)。感想文でも書きましたが、これを映像化するとしたら、主人公が演じられる人って誰なんだろうか。武井咲なんてどうですか。ちょっと声が甘すぎるのが玉に瑕ですが。
もう一編の、若竹七海さんの“葉村晶”シリーズ。なんか、サラ・パレツキーの“ウォーショースキー”シリーズを彷彿とさせて、結構はまってしまいました。
それ以外では、“綾瀬はるか『戦争』を聞く”が良かったです。本自体は2013年に出版された物で、今までその存在さえ知らなかった本ですが、思い切り心を奪われました。私たちは、この歴史を忘れてはいけません。そして、私たちをこの過酷な状況へ追い込んだ真犯人の姿を。
001/162
「日本人へ リーダー編」塩野七生
彼女の書く本には大層多くのファンがいるそうで、大作である“ローマ人の物語”は超ロングセラーとなっている。とてもおもしろいとは聞いたことがあるのだが、全く手を出せていない。そこで、手始めに随想を集めた新書を読んでみたのだが、こうやってその人の考え方や生き方が如実に表れる随想を読んでいると、少々手を出しづらい作家かなという印象を持った。ちょっと私には無理かも。(12/03)
002/163
「綾瀬はるか『戦争』を聞く」TBSテレビ『NEWS23』取材班
綾瀬はるかは広島県の出身で、ご家族に被爆体験者がいるというのは、初めて知った。この本には、映像があるわけでなく、テレビ番組を単に活字に落とした物なのだが、その人となりが伝わってくるようである。この本は、原爆の悲惨さではなく“争い”の悲惨さを著した物として読みたい。未来の子供達を戦場に送ってはいけない。(12/4)
003/164
「歴史と小説」司馬遼太郎
司馬遼太郎が歴史小説に込める思いについて書かれた数編の断章をまとめた物。彼が亡くなって20年近くになるが、彼が書いた数々の歴史小説は全く色あせることがない。特に戦国時代と幕末物が多いのだが、この断章では幕末物に係る物が多く集められている。そういえば、坂本龍馬を現在のようなヒーローに仕立てられたのは、彼の小説に寄るところが大きいと聞いたことがある。彼が再評価したおかげで、龍馬の功績が見えてきた。小説の力は偉大である。(12/4)
004/165
「地層捜査」佐々木譲
警察小説の大家。捜査の一線を外された刑事と刑事OBが、時効制度の廃止によって再捜査されることになった昔の殺人事件の謎を追う物語。それなりの面白さなのだが、20年解決しなかった事件が、そんな簡単に解決したらあかんやろ!と思わず突っ込んでしまった。(12/6)
005/166
「アンダーカバー~秘密調査」真保裕一
IT長者が、世界的な犯罪に巻き込まれ無実の罪を着せられたところを自らの力で謎を暴き解決に導くという荒唐無稽な物語。こういったスケールの大きな小説は著者の得意とするところであるが、ちょっとでっかくなりすぎたのではないか。(12/7)
006/167
「万能鑑定士Qの事件XI」松岡圭祐
例によって壮大な謎解き。舞台は京都。通勤電車の車中、スマホで読みました。便利な世の中になったモンだ。(12/11)
007/168
「デール・カーネギーに学ぶ聞き方入門」田中真澄
デール・カーネギーの書物は本当におもしろい。もっと昔に読んでいれば良かったと後悔したくらいで、就職する娘への誕生日に贈ったこともあるくらい。“話し方”の基本は、とにかく“よく聞くこと”だと理解している。例えば講演で一方的に話すときでも、その聴衆の声なき声を聞きながら、その声に応えるように話すことが大事だと思っている。(12/11)
008/169
「PK」伊坂幸太郎
伊坂らしいとても奇妙な物語。この物語は全体として繋がっているのか、それともそれぞれが独立しているのか。読みながら頭の中が混乱してしまう。でもおもしろい。(12/13)
009/170
「真夜中の五分前 side-A、side-B」本多孝好
なにやら、来年には映画になるらしいと聞いたが本当なのだろうか。自分の彼女が、妻が、見分けのつかないくらい良く似た双子であって、二人が同時に事故に遭い、片方だけが生き残ってしまう。さて残された彼女はどっち。それが本人にも解らなくなってしまっているとしたら。(12/14)
010/172
「アクアマリンの神殿」海堂尊
バチスタシリーズの派生シリーズ“コールドスリープ篇”の最終作(?)。このバチスタシリーズは、何処でどう繋がっているかよく判らず、副読本がないと全体の流れが上手くつかめない。それぞれ単体でもおもしろいのだが、そういった細かい引っかかりを探すのもこれまたこのシリーズの醍醐味である。(12/20)
011/173
「五郎治殿御始末」浅田次郎
著者が10数年前に書いた幕末から明治維新にかけての短編歴史小説をまとめた物。そのうちの一つが最近映画化されたが、ほかのどの小説もそれだけで映像化できそうなドラマを秘めている。明治維新は、地方の抵抗勢力が中央政府に楯突いて、結果的にクーデターに成功したわけだが、その際、前政権を徹底的に排斥し、徹底的に破壊し尽くしてしまった。当時もグローバル化の名の下に、歴史や精神性、あるいは美意識といった物を“世界標準”に無理矢理合わせてしまう。歴史的な愚行は再び、三度繰り返される。(12/21)
012/174
「女のからだ フェミニズム以後」荻野美穂
世の中には男性と女性の二つの性があり、歴史的にも差別されてきたというのは疑いのない事実である。ここへ来てようやくそれを平等に扱おうという状況になってきた。とはいえ、男の私から見てもそれは不十分で、今なお男中心に社会は回っている。その責任は何処にあるのか。これを変えるにはどうすれば良いのか。次はどうすすめば良いのか。その答えは何処にあるのか。少なくともこの本の中には見つからなかった。(12/21)
013/175
「物語のおわり」湊かなえ
一つの未完の物語を巡って、何名かの物語が語られる、ある種の連作小説の様な体になっている。物語は、舞鶴港から小樽港へ向かうフェリーを皮切りに、北海道内の各地を巡るようにすすんでいく。各編の主人公が、その未完の物語を読んで、自分の物語に重ね合わせ、未完の物語を完成させていく。そして最後には、未完だと思っていた物語が、実は完結していたことを知る。とても良くできたハートウォーミングなお話である。(12/21)
014/176
「世界を動かすプレゼン力」ニック・バーリー
東京オリンピックを勝ち取ったブエノスアイレスでのプレゼンテーションの裏話を綴った物で、人と説得させるためのプレゼンに必要な要素が解説されている。いくら中身が良くても、その中身を上手く説明できなければ相手には全く伝わらない。文化や背景を異にする相手であればなおさらである。決して見かけでごまかそうとしてはいけない。これもプレゼンの基本である。(12/22)
015/177
「探偵の探偵」松岡圭祐
彼が書く女子の主人公は何れも格好良い。特にこの主人公は昔の岬美由紀シリーズを思い出させる。妹の命が悪徳探偵事務所のせいで奪われたことから、その悪徳探偵を探すため、別の探偵事務所で、同業の探偵の不正を告発する専門職として働く。これもし、映像化するとしたら、誰が主人公を演じることができるだろうか。思い浮かばない。(12/23)
016/178
「探偵の探偵Ⅱ」松岡圭祐
前作に引き続き、一気に文庫本化された物で、ついつい続けて読んでしまった。ちょっとスケールがでかすぎないか。(12/23)
017/179
「犠牲のシステム 福島・沖縄」高橋哲哉
来年は、敗戦からちょうど70年を迎える。この間、我々が奇跡的な繁栄を謳歌できたのは、沖縄という存在があったからに他ならない。そのことに改めて気づかされた。そしてまた、そこに福島という新たな生贄が捧げられようとしている。その現実に目を背けてばかりで良いのか。もっと真剣に考えなければ。(12/24)
018/180
「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎
例によって、バラバラに書きためられた短編が、気がつけば一編のシリーズのように仕上がっている。最近の彼の本は当たり外れがあるよなぁ。(12/27)
019/181
「ガンコロリン」海堂尊
こちらは、バチスタシリーズとは全く関係ない珍しい短編集。彼も、初期の頃のバチスタシリーズが最もおもしろかった。(12/27)
020/182
「民話の世界」松谷みよ子
彼女の場合なんて言うんだろう。民話作家?研究家?そんな彼女が書きためた民話に関する随想。日本各地に残る民話は、同様の話が少しずつ違ったバージョンで伝わっている物が多いそうで、その淵源を尋ねて回ることはさぞや興味深い作業であろうと思う。そして、今後も新たな民話が創られ伝えられていくのでしょう。(12/28)
021/183
「悪いうさぎ」若竹七海
彼女の本、一度は読んでみたいと思っていたのですが、読んでみるとこれがまたメチャクチャおもしろい。いくつかのシリーズを書いているようだが、さっそくこの葉村シリーズの初編を購入してきた。読むのが楽しみだ。(12/28)
022/184
「しあわせなミステリー」伊坂幸太郎、中山七里、柚月裕子、吉川英梨
どういう繋がりで集められた4人なのか。どうも、、、(12/31)