6月は16冊、そのうち小説が12冊、その他が4冊という内訳でした。とはいえ、小説のうち3冊は上下巻、2分冊でしたから、それ以上に読んだような気がしています。
作家としては、昨年の芥川賞を受賞された藤野可織さんの作品が3冊入っています.これはたまたまとある企画で、彼女の対談を聴かせてもらったのが縁で、どんな本を書かれるのだろうと興味を持って読んだものです。著者自身も非常に魅力的な方ですが、書かれる小説も不思議な世界に引き込まれる感じで、ゾクッと言う感覚が残る不思議な魅力を持っています。
そのほかでは例によって外れのない東野圭吾さんの新作。非常に重いテーマを取り上げた小説で、読み始めたら止まりません。
止まらないと言えば、浅田次郎さんの“一路”。これはいつか読みたいと念願していたモノを、たまたま運良く図書館で借りられたので、読み切りました。さすがと言うべきおもしろさで、江戸時代の参勤交代の風景が目に浮かぶようです。
小説以外は少なかったのですが、その中では“ロウソクの科学”が出色でした。約150年前の講演録だそうで、科学について子供向けの優しい言葉で語られており、当時の科学知識への興味が道だったのかを彷彿とさせます。
6月が終わり、前半で81冊となりましたが、一昨年の140冊、昨年の130冊にくらべると、驚くほど少なくなっています。今年は休日にいろいろと出掛けることが多く、かつてのような週末まとめ読みが少なくなったことが理由だと考えられます。それでも、後半は少し頑張って年間200冊は読みたいなと思っています。
001/066
人気シリーズの第五弾。主人公の二人に大いなる進展。どうもこのシリーズは全体で10巻程度の構想があるようで、それに従うならばそのちょうど折り返し。事態は深刻化の様相を示している。(6/2)
002/067
「日本経済図説第四版」宮崎勇、本庄真、田谷禎三
日本経済をざっくりと解説した本。一つ一つの項目が簡単で、深く理解するにはとても十分とは言えないが、まあぱらぱらと眺めるには良いかな。(6/2)
003/068
「おはなしして子ちゃん」藤野可織
芥川賞を受賞した著者の本を初めて読んでみた。先日機会があって彼女のお話を生で聴く機会があって、とても魅力的な方だったので、まず手始めに手にしてみた。とても不思議な世界を描いた短編が詰まっている。ぼくらがよく見知っている世界にとても良く似ているようでいて実は、どこか違う世界。なぜか引き込まれて読み進めたくなる。“今日の心霊”なかなかいけてます。(6/2)
004/069
「50代から上手に生きる人 ムダに生きる人」清水義範
彼の書いた物はとても好きで結構気に入っている。この本は、徒然草を題材にした人生論で、単なる解説書ではなく、作者である吉田兼好の本意などを大胆に推測しながら、人生の晩年の生き方について考察している。その全てに首肯するものではないが、まさに50台に突入した私としては、残りの人生をムダには過ごしたくない。楽しく悔いなく過ごすためにどうすれば良いのか。考える題材としたい。(6/9)
005/070
人気シリーズの最新作。近い将来映画化も予定されている。今回の題材となっている“ダンテ”は、“神曲”の作者だと言うこと以外、日本ではよく知られているとは思えないが、キリスト教社会では誰も知らない者がいない人なのだろうか。作中ではダンテの書いた物を巡って推理が展開されるのだが、なじみがないせいか、どうもうまく理解ができない。独特の宗教が背景にある作品は難しい。(6/9)
006/071
「二流の人」坂口安吾
話題の黒田官兵衛の生涯を描いた小説で、このタイトルは彼の代名詞ともなっている。おそらく彼について、それほど多くの文献が残っているとは思えないが、ここに書かれているとおり、戦と策謀に明け暮れた生涯だったのだろうか。(6/12)
007/072
「ロウソクの科学」ファラデー
これが百五十年ほど前に、子供向けに行った講義の記録というのだが、この記録を読むだけで、眼前に実験の様子が浮かんできて、とても興味深い。しかしながら、よくまぁ当時の子度達の忍耐力よ。おそらくあらゆる刺激に曝されている今の子供達には、とても我慢できないだろう。
(6/13)
008/073
「ファイナルガール」藤野可織
彼女の最新作集。短編集である。全作藤野ワールド全開で、続きが気になり一気に読めてしまう。私としては“狼”がとても気に入りました。草食系男子と肉食系女子。それで全てが片付けられるわけではないが、著者には今の男は困難風に見えているのだろうか。(6/13)
009/074
人気シリーズの第一作で、この作品のみがⅠ、Ⅱの二巻で一つの作品となっている。主人公の万能鑑定士がその能力を開花させたきっかけや相棒との出会いが描かれている。(6/15)
010/075
「パトロネ」藤野可織
少し長めの中編小説が二作収められている。最初の“パトロネ”は、今では珍しいカメラのフィルムが入っている入れ物のこと。なぜこのタイトルなのかよく判らなかったが、以前著者が“人称”と“時制”には徹底的にこだわるというようなことを話しておられたのを聴いたことがあるが、この作では最後まで“私”が貫かれており、他者の視線や心象は一切描かれていない。全ての物語が“私”目の前で起こっている。それでも小説として成立するんだから、すごい。(6/21)
011/076
「格付けしあう女たち~『女子カースト』の実態」白河桃子
女性は大変だなぁと人ごとのように感じながら読んではいけないのだろうが、まさに実感なのである。この社会はなかなか変えていけないのだろうが、それでもこれからはこの社会を変えていかないと、明るい未来もない。娘達にはこの厳しい社会を生き抜いていくヴァイタリティを身につけてほしい。(6/22)
012/077
「ロマンス小説の七日間」三浦しをん
これは最初からの狙いなのか(当然そうでしょ)、二つの恋愛小説が小説中小説という形で同時進行する、変わった設定の小説。どっちが面白いかは人によると思うが、意外と本筋に挿まれる小説が面白い。(6/26)
013/078
ずっと読みたくて、図書館に予約を掛けていて、ようやく読めた。中山道中にあるとある小藩のお殿様が参勤交代で江戸に上る道中を描いた旅小説であり、サスペンスであり。、人情小説。とにかくおもしろい。読んでいる途中に何度もホロリとさせられて、どんどん先へ進みたくなる。彼の小説は面白いなぁ。(6/27)
014/079
「スナイパーズ・アイ 天命探偵真田省吾2」神永学
昔シリーズの一作目を読んでいたので、久しぶりに続編を読んでみた。ただそれだけ。(6/28)
015/080
「虚ろな十字架」東野圭吾
死刑制度や犯罪被害者の問題を真っ正面から捕らえた重厚な作品です。とても面白いけど読後感は重い。でも面白い。(6/28)
016/081
「旅猫レポート」有川浩
主人公の生き様を描き出すために、その周りの人物や“猫”が語り継ぐ不思議な物語。何となく最後が想像できて、先を読むのが楽しみで不安でとても止められない。調査屋の本領発揮。(6/29)