今月は14冊、振り返ると新年度早々で忙しかったせいか、本を読む時間が十分確保できなかった一ヶ月であった。またそのうち小説が5冊と、これまた久しぶりの低水準となってしまった。その中で、今月最大の話題であった村上春樹の最新作を早速ゲットした。私には彼の小説はいずれも若干の歯切れの悪さを残してくれており、今回も同様に何かもう一歩の物足りなさを感じる一冊であった。他の方の感想はどうなのだろうか。
001/066
「バイバイ、ブラックバード」伊坂幸太郎
これも前に読んでいたのを間違えて買ってしまったもの。彼の小説は昔はおもしろかったのだけれど、本当に最近の作品には心ときめかない。これもまた同じ。買ってしまったことを痛切に後悔している。(4/5)
002/067
「配線で解く『鉄道の不思議』」川島令三
“テツ”にしか判らないようなマニアな一冊。こんなものが本になって世の中に出せるというのは、やはり平和と言うことにつきるのであろうか。マニア以外には全く興味が湧かないでしょうね。まさか、山陽新幹線にあんな仕掛けがされているとは、驚きである。今となっては、山陰新幹線なんて夢のまた夢、おそらく実現することはないだろうに。(4/6)
003/068
「一休・正三・白隠 高僧私記」水上勉
先日東京で見た展示会に影響を受け、白隠の人となりに興味を覚え読んでみたもの。一休については、断片的に書かれた物を読んだことがあるが、これほどまとめて書かれた物は初めてで、とてもおもしろい読み物になっている。また鈴木正三という人物は初見で、一休~白隠へ続くブリッジの高僧として欠くことができない人物であるらしい。(4/10)
004/069
「羊の歌」加藤周一
相当に読みにくい本で、足かけ半年くらいかかったような気がする。どうも過去の自慢話に近いようなことが書かれていると、さすがに辟易する。続編も購入したのでゑあるが、果たして読もうという気が起きるだろうか。(4/11)
005/070
「『反日』中国の真実」加藤隆則
これは、意外とおもしろかった。元中国に派遣されていた読売新聞の記者であったことから、昨今の“反日”騒ぎの“根っこ”について考察を加えている。惜しむらくは、現象面を捉えるだけでなく、“解決へ至る道”を示してもらいたかった。“あれば”ですが。(4/11)
006/071
「光」道尾秀介
6つのエピソードが、連作となって一本の長編小説となっている。主人公達は小学校の4年生、ある種のボーイズアドヴェンチャーなのだけれど、登場する大人は一風変わった人ばかり、読後に爽快感ではなく何か重たい物を抱え込んだような印象を持ってしまった。(4/13)
007/072
「あなたは最初の100日間に何をすべきか」ニアム・オキーフ
新しいポジションについたら、最初の100日間が勝負の分かれ目になる。その間に何をすべきか、とても具体的に書かれていて、今の私にはとても参考になる。この手の本は、読んだときはとてもその気になるのだが、すぐにその熱が冷めてしまい、実行に移せなくなる。それが問題だ。(4/14)
008/073
「ザ・チョイス」エリヤフ・ゴールドラット
“ザ・ゴール”から始まる彼の一連の著作。なぜか、これまで読んだどの著書よりも、観念的で情緒的だと感じるのは気のせいか。これまでの理系的な理論から少し距離を置いたアプローチに戸惑ってしまう。(4/20)
009/074
「“俺は聞いていない!”と怒り出す人たち」榎本博明
“俺は聞いていない!”どこの組織でも、耳にする言葉であり、それは我が組織でも同様である。著者曰く、そこには日本独自の“誰も責任を取らない=責任回避主義”というシステムがその背後にある。ただ、どっちにしてもこんなことを言う奴は、所詮は小物。人の上に立てる人物ではない。(4/21)
010/075
「仏の心で鬼になれ。:「上司道」を極める20の言葉」田中健一
“上司”としての心構えを説いた本で、とても参考になりました。また分量的にも手頃で、1~2時間で読め、電車での移動のお供に最適です。(4/21)
011/076
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」村上春樹
一大ブームを巻き起こしながら出版されました。いきなりベストセラーだそうで、思わず買ってしまいました。内容的には、彼独特の語り口で安心して読み進められる本ですが、私個人邸には、少し期待が大きすぎたかなという感じ。(4/22)
012/077
「経済大国インドネシア」佐藤百合
インドネシア研究の第一人者の手によるインドネシア分析。今いろいろなことが上手く廻り、好調の波に乗っている国という感想。今後しばらくは、目が離せない。しかしながらなぜか京都の企業さんに聞くと、インドネシアよりタイなんですよね。(4/23)
013/078
「編集手帳の文章術」竹内政明
読売新聞のコラム作者による文章読本。彼自身の文章作成上の注意点などが明らかにされていてとても参考になる。限られた分量の中で、読み手によりわかりやすく伝えるための文章は、本当に難しい。(4/26)
014/079
「沈黙の町で」奥田英朗
読み進むほどに引き込まれていく感じ。登場人物の中学生達の雰囲気がとても良く出ている。何かとてつもなく巨大で重たい“何か”が知らず知らずのうちに、行動の枷になってくる。でもそれって、子供達だけでなく、我々大人の世界にもよくある話。(4/28)