2009年6月7日日曜日

2009年5月


2005年から2年間 毎月1回のペースで新聞に書きためた論文をまとめたもの。世の中にはびこり始めた格差についても深く掘り下げる。当時の社会的なムードを経営学の原理で一刀両断にするが、その経済家具の原理が当てはまらなくなって久しい。やはり人間は思ったとおりにはならない。


「貞観政要」という書物の存在をはじめて知る。人間は権力を持ち始めると徐々に腐敗していく。誰もそれからは逃れ得ない。そしてその時点に至った者はそのことに気づくことすらできない、恐ろしいこと。


この人の本はどうしてこう心に残らないのだろう。簡単に読めてしまって、心に引っ掛かってこない。私には合わないのだろうか。


涙なしでは読めない。絶望の淵に立ったとき人はいかにして正気を保っていられるか。母の最期を思い出す。


手許に置いて何度も読み返すべき本。何度も何度も心の中にたたき込んでおかないといけない。今ここにいるだけで幸せであること。今ここに存在していることが奇跡であること。


著者のいくつかの論文をまとめたもので、必ずしもタイトルと中身がしっくりはきていない。阪神大震災やオウム事件など日本人と宗教の関わりが大きくクローズアップされた時期に出版された割に、ずっと以前の和辻倫理学についてしつこく書かれたりと、???という感じ。


何故我々は志を抱いて生きなければならないか。『悔いのない人生』を生きるため、『満たされた人生』を生きるため、『香りある人生』を生きるため、『大いなる人生』を生きるため、『成長し続ける人生』を生きるため。


仕事のため仕方なく読んだ本、何故国民は黙って従っていけるのか不思議。


芸術家が書いただけに抽象的かと思いきや、さにあらず。前の鈴木大拙よりも読みやすくわかりやすい。単に翻訳のせいなのか、分からないけれど。写実的で具体的、内容の分かりやすい分野。


和歌山県の山奥、人口200人の集落にある本屋さんの話。本を置いている雑貨屋ではなく、雑貨も扱う本屋さん。本屋さんは単に本を売るところではなく、文化を発信する中継地点である。性能の善し悪しで地域の感度がアップする。


あいかわらず「わかりやすい」内容、難しい言葉を使うことなく丁寧に書かれていて好感が持てる。人はすぐに「わかったつもり」なってしまいがち。自分でテンプレートを創ることが大事。現地、現物、現人に当たり、経験による知恵をつける作業を継続すること。


いろんな雑誌などに掲載された随想をまとめたもの。「渋柿をそのまま甘しつるし柿」仏教だけでなく、神道、道教、あるいは哲学にも造詣が深く、内容に深みを増している。


ビジュアルな入門書、仕事上、日本の伝統文化についての知識が不可欠と気づき買ったものの、やはり何度か実物を見ないことには話にならないな。


『秘すれば花 秘せねば花なるべからず』一子相伝の秘伝書、その実説かれるのは「稽古」練習の重要性、さらに若さ故ちやほやされることの危うさ。「上手は下手の手本 下手は上手の手本なり」「目利かずの眼にも 面白しと見るように 能をすべし」


京都三条河原町にて54歳で討たれる。「省諐」とは「過ちを省みる」という意味、はてさて何を過ちと見たか、その内容は自己の正当性、先見性を述べたものであるなら、命を賭けて、その言を押し通さなかったことへの後悔か。


世紀の難書と言われる『純粋理性批判』をいかにもわかりやすく解説した入門書。ドイツ語とともに読むとさらに理解しやすい。あまりに読みやすいので、原著を理解したような気にすらなってしまう。でも、ちょっと手を出してみようかな、という気にさせる。


すべての出来事が、その一瞬のために用意されているというとてつもない物語。まさにドラマ、昭和33年日本という国が一つの出来事で一つになれた最期の時代か。


この二人、本当に共感し得たのだろうか、終盤に至り濤川氏の超国家主義ともいえる暴論(としか思えないのだが)に、村上氏が辟易している様子がうかがえる。話題を転換してもまた戻る、大変な対談。


読み進めるにつれて、どんどん気分が悪くなるような本、結果オーライであれば過程に対して一切を問わないという論旨にはとても頷けるものではない。また「たら」「れば」の議論も鼻につく、著者への見方が大きく変わった一冊。


いつかどこかで読んだ話のオンパレード。本当は読み飛ばすのではなく、一つずつじっくりと味わいながら読まなければならんのでしょうが。長い人生において遅すぎると言うことは絶対にない、ということは心に刻んでおきたい、カーネル・サンダースの逸話


韓国のテレビ局の企画による「よい話」集、ご多分に漏れずどこまでが真実なのか判然としない。実際にあったと言うから泣けるのであって、もしそうでなかったら、、、彼の国は親子の情がとても深いらしいのでいかにもありそうな話ばかり。


初挑戦、印象はまずまず。以前の著書に出てくる著者が劇中で書いた本という設定、よりよい人生を歩むための17の法則。常に前向きにこの一瞬に生きる。


この人は一冊の著書も残さず、すべて講話速記録として残っているらしい。よくもこれだけのことが話せるものと感嘆する。ある種の変わり者とも見受けられるが、それにしてもすごい人、語り口も面白い。


歴史上の人物に学ぶリーダーシップ論、将となるには能力もさることながら、やはりカリスマ性、人間的魅力か。


刺激的なタイトル。15歳でなくなった脳性マヒの少年の作った詩から引用。そんな子供にこんなことを言わせる世間の冷たさ、それにもめげず明るく懸命に生きる人、人、人。涙無くしては読めない。


歴史上の人物、出来事をモチーフに、その精神史を紡ぐ。背後に流れるのは必ず『悲しみ』か。そういえば何故源義経は祟らなかったのか。さても不思議。


ジュンク堂書店に勤めるベテラン書店員が書く業界裏話。書かれた時期から3年がたち、ますますネット書店特にアマゾンの進出は激しかろう。しかしながら、本好きにとってはやはりリアル書店。頑張れ負けるなリアル書店。


世の中にこんな作家がいたとは知らなかった。本編を通して流れるテーマは一つ。人生は自らが選択した方向へ進む。選択を迫られたとき、いったい何を基準にするのか、真っ先に何を考えるのか、すべてはそこにかかっている。


「名将言行録」(岩波文庫)からの引用多数。イソップ物語は2500年前の物語。シュリーマン、パスツール。夢をあきらめないこと。


明治維新をリードした松陰に係る記録、同時に明治維新記。松陰の墨跡をたどるなど、彼の肉声が聞こえてくるような気になる。佐久間象山との絆についても言及。


俺が、私がではなく、あなたが、あなたにと思う心が尊い。けれど、「あなたのために、という言葉の陰に誰よりも自分のことを考えている自分がいる」と言う言葉もある。どんな美しい話も、あの人に知ってほしい、読んでほしいと思う心の奥に、自分は分かっている、あの人は分かっていないと思う心が隠れていないか。


どこで見かけた本だったか、とんと記憶にない。確か誰かの著書に引用されていたので興味を引いたはずなのだが、安岡正篤心服者で何度も彼の逸話が顔を出す。


ブッシュ元大統領の報道官が退職後に著した回顧録。若干自己正当化の傾向が伺える。ブッシュ本人の資質に関しても特に否定的でないのもそのせいか。その分周囲の人物には手厳しい。


あまりに難解、これは科学の素養がないとさっぱり分からん。何とか読み通したけれど、楽しい入門書というのはウソ。


世論=ヨロンと読んではいけないこと、輿論と世論の違い、私たちはすべからく世論に惑わず、輿論を形成していくべきこと。


たまたま目についたので借りてみたけど、何というつまらん本。麻生太郎の人となりを簡単に書いた物なれど、いくら人間的魅力について強調しても能力が見えてこないと厳しい。


ずっと読みたかった本。今は文庫にもなっているのかな。口コミ感染をブレイクさせる3つの基本原則。少数者の法則=媒介者、情報通、説得者。粘りの要素=内容、本体の魅力。背景の力=割れ窓理論、150の法則。おそらくこれらに「運」。


相変わらずうまい。登場人物が絶対にあり得なさそうで、クールで、独特の世界。


テーマは何度も読んだ中身であるが、初出だけあって書きぶりも至って専門的、数式が至る所に顔を出し数学音痴の身にはちょいとつらすぎる。テーマに関係ない珊瑚、ウニ、ヒトデ等の解説が新鮮。