「読書」に「旅行」。これらは無趣味の言い訳と古くから言われてきました。この二つに共通するのは「未知との出会い」です。これまで知らなかったものと出会うことは、どんな人にとっても心ふるわせられるもので、それを取り立てて趣味と呼ぶのはおこがましい、ということで、このように言われたのではないでしょうか。 恥ずかしながら、私の趣味はこの二つで、まさに「未知との遭遇」を心から楽しみにしています。 その感激(?)を少しでも表現できれば幸いです。 なお、ここで書いていることは、あくまで私の主観です。感想を書いたその瞬間の気分にも大いに左右されていますので、あしからずご了承下さい。
2009年5月9日土曜日
2009年4月
良寛の詩文や逸話を素に書かれた物。せっかくの詩がすべて現代語訳されており、原文のリズムが伝わってこないのが残念。
主人公の少年が発する疑問に叔父のコットフリードさんが答えるという形式の道徳本。このおじさんも決して説教臭くなく、人間的弱さを見せつつ一緒に考えることができる。それにしても原文がドイツ語であるせいか、どうしても回りくどい翻訳になってしまうなぁ。
ずっと読みたかった去年のベストセラー。最近話題の行動経済学の入門書。古典経済学で想定していた経済合理性を持つ人は少数派である。それを前提に考えなければならない。他に働きかける場合、働きかけられる場合それぞれに。
弁証法的思考の勧め。①螺旋的プロセスによる発展の法則、②否定の否定による発展の法則、③量から質への転化による発展の法則、④対立物の相互浸透による発展の法則、⑤矛盾の止揚による発展の法則、何回読んでもわかりやすく、納得しやすい語り口、すばらしい。
ハチという最優秀の授粉昆虫の生態を通して見る我々の生きる社会の脆弱さ。人類が自分たちに都合の良いように重ねてきた、身勝手な改変が恐ろしい現実を招来している。時計の針を戻すことはできるのだろうか。
心が疲れているときに読むには少々重い内容。著者の活動を基にしたエッセイ。何のために書かれた物かは不明。
現今の大不況について、非常に簡易な語り口で書かれているが、簡単シンプルすぎて、すっきりとは理解しがたい。しかしながら金利政策の話などは以前から不思議に思っていたこと。
あまりに壮絶、命を削ってまで子供たちを救おうとする精神はあまりに気高い。我が子とさえしっかりと向き合うことが難しいのに、頭が下がる思い。残された時間が短いというのもあまりに悲しい。
刺激的なタイトルであるが、まさに的を射た内容である。人類を一種の生物と考えたとき、確実にその許容された枠を超えた存在となってしまっている。我々が暮らす地球上でこの生態系には快適な影響を与えている存在、それが人類である。分をわきまえた存在に戻らなければいけない。
痛快!あの小布施町にこのような人が関わっていたとは全く知らなかった。無知というのは罪なことである。一言で国際化と言うが、人と人が、国籍や性別を超えて魂と魂で向き合えること、これこそが真の国際化ではないか。
ガリレオに先立つこと90年、すでに天体の運動については科学的に明らかにされていた。しかしながら何故にか不都合な事実が覆い隠されてしまっていた。数学の素養のない私には読みこなせない。
尽利は不要不急の欲望を満たすためエネルギー使用量を爆発的な勢いで増やしてきた。行き着く先は地獄か、はたまた、、すべての事象が暗い未来を暗示している。
稲盛氏の著書ははじめて手にしたが、本当にこう考えているとしたら素晴らしい人である。確かに功成り名を遂げた後に重ねた数々の社会貢献事業は賞賛に値する。跡は組織にどれほど浸透しているか。「人生の仕事=考え方×熱意×能力」
禅の修行者のようなイチロー、無邪気な子供のように夢を実現してきた松坂、対照的な二人、理想の形を常に描きつつ、それに近づこうとするイチロー、しかもその理想像が常に進化していることのすごさ。
どうにもひどく特定の壮年にとらわれているように思われる。ざっと読んだだけなら、小気味よく思えるかもしれないが、その実甚だ無責任と思われる。
非常に簡易でわかりやすく書かれている。いかに物事にとらわれないかと言うこと。答えなんか無い。答えがあるという思いにとらわれてはならない。
明治初年の日本の風俗を描いたデッサン集。とてもよく研究(探求)されています。貴重な資料。
今から30数年前に書かれた名著。「甘え」という感情、欲求、本能について徹底的に解明する。何より日本語以外の言語に「甘え」に相当する言葉そのものが存在しないというのもおもしろい。
中国を代表する古典の名著、兵法書であるが、むしろ戦略書としての価値が再評価されている。兵法書としては、土地柄や国民気質、地形、武器など違いが多すぎて参考となる程度であるが、ビジネス戦略で考えた場合、十分現代も通用する。要らぬ解説より、原文、読み下し分でも充分趣がある。
丹羽さん、少し海外にこだわりすぎではないですか。語学ができることがすべてに先立つとは思えませんが。それよりもむしろ、他者に対する心構えや自らが依って立つ基本的な理念を持っていることが大事なのではないか。
日本人がほおかむりをして逃げてきた歴史に対する態度を如実に著す書物。相変わらず痛いところを突いてくる。今のこの社会を引き起こした張本人は、我々自身。未来を変えるのは私たちの責務。「しかたがない」とは言ってはいけない。
のっけから、府の技術コンクールの話題が出てくる。こんなに素晴らしい本があったとは知らなかった。染織・工芸課にいるときに読んでおきたかった。30年前の京都の姿がよみがえってくるような。
相変わらずおもしろい。現実感には乏しいけれど。一気に読ませる、スピード感、登場人物のディテイルもさすが、今年読んだ数少ない小説はほとんど彼の作品。
正法眼蔵の各巻の中で「心」がつくものとして、「身心学道」「即心是仏」「後心不可得」「古仏心」「三界唯心」「説心説性」「発菩提心」「発無上心」「他心道」「道心」などがあるらしい。それらに表される「心」について考察する。あまりに深く考えられていてついて行けない。
谷沢氏のお眼鏡にかなった何名かの先人達が、何故に向学心(向上心)に燃えて結果を残し遂げたかを短文で紹介する。いくつかのパターンがあるようだが、目標とする人物があって、その人から認められるというケースが多いのは納得。女性が一人も出てこないのは残念。
戦前に英語で出版されていたものを逆翻訳しなおした古典的名著。旧字体や独特の言い回し、今は見ることのない慣用句が多用されるなど、読み通すのが精一杯。よくもこんな難解な本を書かれたものと感嘆する。しかし、今更ながら禅が我々の生活に与えた影響に驚く。
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