2026年4月13日月曜日

2026年3月

春はまだ遠いなぁと思っていたところ、突然に春がやってきた3月は、小説が10冊、それ以外が6冊で計16冊という結果になりました。月の前半は、調子よく読めたのですが、後半はかなり重厚な本もあって、若干ペースダウンした印象です。

まず小説のお薦めですが、今月はかなり豊作で、お気に入りの作家さんたちの小説がとてもよかったです。読んだ順に行きますと、

まずは『ケイトの恐れるすべて』ですが、これは前に読んだ作品がとても面白かったので手にしたもので、前作より見劣りするという評価が多いのですが、私的にはとても面白く読みました。本文にも書いていますが、主人公の心理描写が秀逸で、素晴らしいサイコミステリになっています。この作者の作品はいずれも面白く、お薦めです。

続いて『ストーンサークルの殺人』ですが、これも本文に書いているとおり、今のところの今年ナンバーワンの本です。何より、主人公二人のキャラクター設定が秀逸で、英国のミステリ小説部門で最高の賞を受賞した作品です。その続編の『ブラックサマーの殺人』は、バディ感が若干弱まりましたが、とてもよかったです。いずれもお薦めです。

今年の本屋大賞ノミネート作品を二冊読みましたが、私としては伊坂さんの『さよならジャバウォック』がお薦めです。話の運びには、彼らしさが垣間見え、最後まで飽きさせない展開で、引き込まれます。結末もお見事でした。お薦めです。

続いて、小説以外の本の中では、まず『初めてのジェンダー論』がわかりやすい教科書のような本で、一からこの問題を理解するためには最適の本かなと思いました。ジェンダー論というとすぐに『男性差別だ』と騒ぎ立てる愚か者が多いですが、しっかりと問題点を認識するためには、フラットな気持ちでこの本を読んでほしいと思います。よい本でした。

もう一冊は『パワハラ上司を科学する』もよかったです。パワハラというのは、あらゆるハラスメントの根底にあるものと思っておりまして、そのほかのハラスメントは、ほとんど優越的な地位にあるものが、その地位を利用して他者に圧力をかけることによって、帆害を及ぼす状態であります。そのメカニズムを理解することが、そのほかのハラスメントの防止につながると信じています。また、自らがその愚行を犯してしまわないようにも、知識として体に覚えこませておく必要があるとも思っています。お薦めです。

4月になり、一気に春が来たようで、ここ数日は満開の桜が目を楽しませてくれています。決して好きな花木というわけではないのですが、心騒がせる花であることは間違いないですね。

まもなく今年の本屋大賞も発表になりますが、読めたのは3作品のみ。どの本が選ばれるのかとても楽しみです。とりあえず残りのノミネート7作は読んでおこうかなと思っています。

 

 

001/036

タネはどこからきたか?」鷲谷いずみ

この本は、かなり前にどなたかの本の中で紹介されていたもので、思い立って借りてきました。中身は植物の種子に関する解説で、美しい写真が満載の、見て楽しい書籍になっています。植物は、自分では移動できないため、繁殖区域を増やすためには、タネの段階で移動する工夫をしなければいけません。綿毛をつけたり、他の動物にくっついてみたり、はたまた体内へ入ってしまったりと。改めて考えると良くできた不思議なシステムですね。(3/2)

 

002/037

ケイトが恐れるすべて」ピーター・スワンソン

この著者の作品は、最近結構お気に入りで、いずれもノン・シリーズで書かれているので、どれから読んでも問題ないというのがうれしいです。この作品では、過去にトラウマを抱えた主人公の心理描写に多くが費やされており、サイコミステリとしても読める作品でした。面白かったです。(3/2)

 

003/038

はじめてのジェンダー論」加藤秀一

こちらは、ほぼ純粋なジェンダー論の教科書で、テーマごとにわかりやすくまとめられたとても読みやすい本です。また、そのテーマごとに照会されている参考図書のリストがかなり充実しており、ほぼほぼ網羅しているのではないかと思われます。とても良い本でした。(3/3)

 

004/039

資本主義の歴史 起源・拡大・現在」ユルゲン・コッカ

資本主義の通史について、改めて勉強しようと思い読んでみました。そもそも『起原』をどこに置くのかというのはとても難しい話で、気が付けば定着してしまっていた。あるいはその状態を資本主義と名付けた、というのが正しいのかもしれません。始まりは穏やかなイメージだったところが、貪欲な怪物となり、他国の市民を食い尽くすことで成長し、水平的な広がりに限界が見えてくると、垂直的に下層民を蹂躙しながら暴力的な姿をさらしています。いつまでこの膨張が続くのか。いつ、どのように弾けるのか。考えただけでも恐ろしい。(3/5)

 

005/040

経済成長 六つの講義」サイモン・クズネッツ

その昔、景気循環『クズネッツの波』と習った記憶がある経済学者の著書です。こちらも府立図書館のネットワークで他府県の図書館から借りてもらいました。戦前戦中に『経済成長』『GNP』という概念を考えた人でもあるそうですが、そこのところははっきりしません。ただ、GNPについて、これが唯一の尺度であるかどうかについては、疑問を持っておられたそうです。実際現在の尺度のみで測定しようとすると、いつか必ず停まるときがきます。また、『付加価値』のみが価値であるというのも疑問です。誰かいい方法を考えてくれないですかね。(3/6)

 

006/041

ストーンサークルの殺人MW・クレイヴン

これは、文句なしに面白かった。今のところ今年最大のヒットです。あらすじはリンク先から見てほしいのですが、まずは登場人物のキャラクター設定が良くて、いわゆる男女バディもので、静と動、卓越した知と力の絶妙の組み合わせが素晴らしく、二人を取り巻く上司同僚の信頼感も読んでいて気持ちいいくらい。すでにシリーズ化され、6作まで翻訳が出ているようなので、今年はこれを読んでいきます。続編が楽しみです。お薦めです。(3/7)

 

007/042

さよならジャバウォック」伊坂幸太郎

これは、今年の本屋大賞候補作ですね。昔の伊坂さんらしい言い回しも出てくるのですが、らしくない、ゾクゾクするような展開に引きずり込まれます。二つの時系列で物語が進んでいき、どのように収束するのかとワクワクしながら読み続けたところ、意表を突かれる結末で、ああそう来たかと感心しながら読み終えました。さすがです。面白かったです。(3/10)

 

008/043

行き遅れ令嬢の事件簿 公爵さま、前代未聞です」リン・メッシーナ

今年読み始めたコージーミステリシリーズの4作目。前作は、ラブコメ風になってしまいがっかりしていたところですが、今作は主人公の両親の死の真相が明らかになり大きな転機となる作品です。パートナーである公爵のキャラがかなり変わってきたのは残念です。(3/11)

 

009/044

パワハラ上司を科学する」津野香奈美

これは、どこかの書評で紹介されていたように記憶しているのですが、パワハラについて、統計学や心理学など様々な方向から科学的にアプローチして、その構造を明らかにしようとした習作です。残念ながら日本国内については、しっかりした調査は進んでいなくて、アメリカの統計が多く使われているのは仕方のないところで、彼我の国民性の違いというのも大きく関与しているところかと思います。また最も大きな違いは男女の働き方の違いで、女性に対するパワハラ(セクハラ含む)は、表面に出ている以上に多いと想像できます。多くは行為者の精神的な異常性がもたらしたものと考えられるにしても、そういった異常性が仕事の上では評価されるというさらなる異常性も看過できません。身を守る術を考え、身に着けることが重要だと思います。そしてさらに、自分自身がそういった異常性に気づき、抑え込むことが何より大事だと思っています。(3/12)

 

010/045

第八の探偵」アレックス・パヴェージ

書籍の広告で、面白そうかと思い読んでみたのですが、正直期待外れでした。作中策として7つの短編ミステリ小説が描かれ、全体として一つのミステリを構成するという物語なのですが、それぞれが自分にはピンとこず、最後まで惰性で読んでしまいました。申し訳ありません。(3/15)

 

011/046

殺し屋の営業術」野宮有

これは、昨年の江戸川乱歩賞受賞作で、今年の本屋大賞候補作でもあるんですね。かなりぶっ飛んだ設定で、やや苦しいところもあったんですが、物語として破綻することなく収束しているので、そこはお見事です。乱歩賞の選考委員会でもダントツの評価だったのも頷けるところです。面白かったです。(3/15)

 

012/047

行き遅れ令嬢の事件簿 公爵さま、これは罠です」リン・メッシーナ

シリーズ5作目。主人公が結婚へこぎつける寸前にまたまた事件が発生する。自身に振り向けられたむき出しの悪意には、もっと衝撃を受けてもよいのではないかと思うのだが、それ以上に衝撃的な事件に巻き込まれる羽目になる。最後には、さらにややこしい人物が主人公の二人に絡んできて、これは自作移行への伏線なのかと邪推する。(3/19)

 

013/048

777」伊坂幸太郎

これは前に読んだかどうか思い出せず、読み始めたのですが、最後まで確信が持てませんでした。ということは読んでないのかな??ホテルを舞台に複数の業者が入り乱れるドタバタ小説かと思いきや、最後は以外な展開で丸く収まるというマジカルな手口には感服します。さすが伊坂さんですね。(3/21)

 

014/049

侍女の物語」マーガレット・アトレッド

かつてアメリカと呼ばれていた国の近未来を描いたデストピア小説。出生率が極端に低くなった社会では、健康で若い女性は『子を生む道具』として扱われ、それ以外の生き方は許されていない。主人公は、侍女として、司令官の所有物となり、毎月子を産むための儀式を執り行う。主人公の心象描写とモノローグを中心に物語が進み、会話は極端に少ない。救いようのない重い物語でした。(3/27)

 

015/050

ブラックサマーの殺人」M・W・クレイヴン

先日読んだ小説の続編、第二弾を早速読みましたが、これまた面白い。一気に読みました。今作は、過去に殺人罪で有罪になったはずが、その被害者が生存していたことが判明し、主人公は窮地に追い込まれます。今作の相手は、とんでもない知力、権力と財力を持った人物で、相棒と一緒に真相への糸口を探し続けます。これまためちゃくちゃ面白かったです。(3/30)

 

016/051

動物たちのインターネット 生きものたちの知られざる知性と驚異のネットワーク 」マーティン・ヴィケルスキ

こちらも最近の書評で見かけて、読んでみたものです。ICARUSという宇宙から動物たちの動向を探索するシステムをつくった科学者による懐古譚です。このシステムに不可欠なのが、宇宙に情報を届けるために動物たちに装着するタグと宇宙でその情報を受け取り、まとめて地球へ送り返すシステムの二つ。まずは、宇宙にその装置を設置するために頼ったのがロシアのロスコスモスなのですが、なかなかに使いにくい組織のようで、相当に苦労を重ねることになる。その20年を超える苦労の成果がようやく報われようとしている。動物たちから得られる知識は人類を含むすべての生物の未来にも必ず役に立つ。夢のあるプロジェクトです。(3/31)

 

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