令和8年2月は、小説が6冊、小説以外が11冊で、合計17冊となりました。通常より2~3日少ないことを考えれば、まずまずの結果かなと思います。
今年に入って、『民主主義』、『資本主義』、『近現代史』の分野の書籍を手に取ることが増え、読めば読むほどさらに興味がわいてきます。
ということで、今月も小説少な目という結果になり、お薦め本も難しいのですが、あえて挙げていきたいと思います。
まず、小説についてですが、6冊のうち4冊がシリーズものなので、2冊からの選定となりますが、この中では『家族』でしょうか。
これは、実際にあった事件を題材にとった物語で、かなり恐ろしい物語になっています。被害者の関係者は、まだご存命かと思いますので、小説として取り上げるのはかなり難しかったと思いますが、なかなか重い小説でした。
次いで小説以外の本の中では、まずはエッセイ集になりますが『あらゆることは今起こる』が良かったです。いつもは不思議な世界の小説を書かれている作家さんですが、『ADHD』と診断された御自身の心の中で、どんなことが起こっているのか、とても分かりやすく綴ってくれています。とても勉強になりました。
ついで『あの戦争は何だったのか』も示唆に富む内容でとても面白かったです。この本をきっかけに『近現代史』についての本に手を伸ばすようになりました。『新たな戦前』が終わる前に、しっかりと『あの戦争』について、総括しなければならないと改めて思います。
三冊目は『ブラック郵便局』で、これは地方紙の記者によるルポルタージュで、『郵便局』の知られざる闇の世界の一部にスポットを当てていますが、あまりに闇が深すぎて、その明かりもそこまでは全く届いていない実感があります。自浄作用は全く期待できそうもなく、さらなる追求が望まれます。
2月は残念ながら、ノルマにしていた古典を読み切ることができず、複数の書籍を同時並行で読んでいます。来月にはご報告できるよう、ピッチを上げていきたいと思います。
001/019
「閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書」知念実希人
猟奇殺人犯人の精神鑑定報告書とその鑑定をした鑑定人へのインタビューなどから構成される一風変わったサイコミステリで、期待しながら読みました。途中までは面白く読めたのですが、結末が若干頂けない印象で、かなり落胆しながら読み終えました。(2/1)
002/020
「リバタリアンが社会実験してみた町の話 自由至上主義のユートピアは実現できたのか」マシュー・ホンゴルツ・へトリング
これは、アメリカ、ニューハンプシャー州に実在するグラフトンという町での実話なのですが、この町に完全自由主義者たちが移住をはじめ、彼らが町の大勢を占めるようになったことで起こったことままとめられています。まず、行政が税金を徴収することに異議を唱え、行政サービスも最低限のものに抑えます。消防署や警察署も縮小され、役場も機能しなくなります。それでも自由を謳歌したい住民にとってはユートピアなのか。アメリカという国は変わった国ですね。(2/5)
003/021
美学・芸術額の研究家が著したAIを美学する本です。タイトルにひかれて読みました。書かれている文章は平易なのですが、内容を理解するには能力が足りませんでした。私たちがAIに対して持っている感情ってどんなもんなんでしょうか?『便利』『面白い』あるいは『なんか怖い』『不気味』という感情もあるかもしれません。AIが人間の知能を超えて暴走を始めるとき“シンギュラリティ”は、やってくるんでしょうか?そのとき、世界はどう変わってしまうのでしょうか?なんとなくですが、“私たちが気づかないうちに”ことは起こってしまっているように思っています。(2/6)
004/022
「あらゆることは今起こる」柴咲友香
小説の作家さんによるエッセイ集なのですが、実は『ADHD』と診断された著者がその心象風景を赤裸々に綴ったとても興味深いエッセイなのです。たしか新聞の記事で見かけたのだと記憶しているのですが、とてもよく読まれているようで、図書館で予約してからかなり待つことになりました。あらゆる病がそうなのですが、本人以外の他人には決してそのつらさは理解できないだろうと思っていますが、だからこそ自分と他人では考えも、感情も違うんだという前提で、交わることが重要なんだと改めて思います。(2/9)
005/023
「『あの戦争』は何だったのか」辻田真佐憲
『あの戦争』と書かれると、日本人は『どの戦争』を思い浮かべるのでしょうか?この本では、1945年に終わった“あの戦争”を『あの戦争』としていますが、まずはその名称から考察をはじめ、その名称によって『いつ始まったのか』という問いへの答えが違ってきます。私たちは『あの戦争』の総括もしないまま数十年が過ぎて風化してしまい、今では全く新たな歴史を創り上げようというとんでもない動きも見受けられます。この本を読んで、改めて、私たちは新たな戦前に突入したんだと実感しました。(2/10)
006/024
「資本主義の次に来る世界」ジェイソン・ヒッケル
イギリスの経済人類学者によって書かれた、原題『LESS IS MORE ~ How Degrowth Will
Save The World』という書籍の邦訳です。『民主主義』と『資本主義』は、我々が子供のころから当たり前のように存在し、未来永劫続くものだと思っていたところ、『民主主義』はすっかり形態が変わってしまい、『本来の形』がわから難くなってしまいました。当然、この先どうなるのかもわかりません。さらに『資本主義』については、前世紀末に唯一の競合であった『共産主義』が壊滅し、未来に向けてさらに発展していくことが期待されていましたが、今では完全に暴走し、格差が拡大し、万人が幸せになれるシステムではないことが明らかになりましたが、誰もそれを止めることができません。著者は、緩やかな変革を望んであられるように見受けられますが、私は、大きな事故が起きて初めて止められるのではないかと恐れています。とても興味深く面白かったです。(2/12)
007/025
「家族」葉真中顕
今月二冊目の小説は、かなり恐ろしい小説でした。直木賞候補にもなった作品は、実際にあった大量殺人事件をモティーフにして書かれており、この事件のことを耳にした時も戦慄を覚えましたが、小説として読んで、改めて恐怖を感じました。現実の事件では、首謀者が自死したため、真相は闇の中となりました。小説の中ではどのように描かれるのかと興味を持っていましたが、作品の中でもそれを書くことに躊躇されたのか、詳細には描かれませんでした。遺族もおられることですからやむを得ないんですかね。(2/14)
008/026
「平家物語の合戦 戦争はどう文学になるのか」佐伯真一
平家物語というと、琵琶法師による語り物としてのイメージが強いですが、読み物としてまとめられたものも多数あるようで、『源平盛衰記』なども、その異本の一種と数えられています。私が小学生のときの担任の先生が、授業中に脱線して、この『源平盛衰記』のお話をしてくれることがあって、宇治川の先陣争いや一の谷の合戦、敦盛の最期など、とてもなじみ深いものでした。敗者である平氏にターゲットを当てて書かれた物語の中で、戦争がいかに描かれているのか。とっても面白かったです。(2/17)
009/027
「自由の限界 世界の知性21人が問う国家と民主主義」エマニュエル・トッドほか
読売新聞の記者が、そのネットワークを生かして、世界の21名の賢人に行ったインタビューがまとめられています。(2/17)
010/028
「仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか」ジャン=ノエル・ピエール
著者はフランス人でありながら、特に日本の仏教研究についての第一人者で、フランの研究機関が4大宗教について纏めた書籍の一つになります。世界における仏教の歴史がとても端的にまとめられていて、初学者にも理解しやすい中身となっています。インドで生まれた仏教が中国へ伝わったものの、そこから先は仏教全体ではなく、その一部が〇〇宗という形で日本に伝わってきます。なんかこの辺が日本らしいというか、不思議なところですね。面白い。(2/17)
011/029
「ブラック郵便局」宮崎拓郎
一地方新聞社の記者である著者が、取り上げた一つの新聞記事がきっかけで、明らかになった全国の郵便局で当たり前のように行われている独特のルールについてレポートされたものです。強烈なノルマをこなすための自爆営業やパワハラ、それによる自死など、その闇は計り知れないほど深い。さらには、全国郵便局長会という謎の団体。ある意味諸悪の根源ともいえる組織ですが、なぜか誰もそこにメスを入れることができない。恐ろしいです。(2/18)
012/030
「公爵さま、それは誤解です 行き遅れ令嬢の事件簿3」リン・メッシーナ
今年に入って読み始めたシリーズの3作目。最初の作品はミステリ要素の強い作品でしたが、前作くらいからその要素が薄くなり、今作に至って、うっすらとミステリ要素はあるものの、ほぼラブコメのような作品になりました。そう思って読むとそれなりに許せる気がして、次作も読むことにしました。(2/18)
013/031
「弱いロボット」岡田美智男
先日読んだAIの本の参考図書で挙げられていた中で、面白そうなタイトルに惹かれて読んでみました。“お掃除ロボット”というと、普通はあの丸い形をした自走式のクリーナーを思い浮かべますが、この本に出てくるロボットは、ごみの近くまではやってくるけど、自分ではごみが拾えなくて、誰かに拾ってもらうことでようやくミッションが果たせるゴミ箱ロボットです。人類とロボットの共存の理想形かもしれませんね。とても興味深いです。(2/20)
014/032
「マスカレード・ライフ」東野圭吾
人気のシリーズとなった作品の最新刊です。半年以上待ってようやく読めることになりました。これまで同様ホテルを舞台にしたミステリですが、今作から主人公は警察を辞めてホテルの従業員として働いています。ヒトは人生を生きる上でも、人知れず仮面をかぶっている。その仮面が外せるときが来るのが幸せなのか、それとも一生かぶり続けられるほうが幸せなんでしょうか。(2/21)
015/033
「新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト政権」NHKスペシャル取材班
NHKスペシャルで取り上げられた内容を書籍にまとめたものなんですが、なかなか面白かったです。考古学への科学の応用としては『放射性炭素年代測定』がよく知られていますが、この本では『酸素同位体比年輪年代法』という新しい分析術も紹介されていて、とても興味深かったです。また、木々に覆われて定かではない地形を浮かびあがらせる『航空レーザー測量』なども面白い。卑弥呼から倭の五王の間の『空白の4世紀』の謎を解き明かすカギとなる遺跡の発掘も進んできました。あとは宮内庁が頑なに拒否し続けている御陵比定地の調査が進めばなぁと思うのですが。あと、私は個人的には邪馬台国九州説が正しいと思っていて、その衰退とともに大和地域での権力者の勃興がときを置かずして続き、のちの山と調整の基礎となったと推測しています。まぁ、ド素人のおっさんがこんなことを勝手に口のできるというのも平和な証拠ですかね。(2/22)
016/034
「凍結事案捜査班 時の残像」麻見和史
猟奇的な殺人事件の捜査をする中で、過去の未解決事件とのかかわりが見つかり、コールドケース専門捜査班が合同捜査に乗り出す。妻の死からなかなか立ち直れない主人公の心の回復と事件捜査が並行する。この作者の警察ミステリ小説は、はずれがなくて気に入っています。本作も面白かったです。(2/25)
017/035
「ルビイ 女性秘匿捜査官・原麻希」吉川英梨
ようやくシリーズの完結編です。相変わらずあまり好みではない設定と展開で、何度も投げ出そうかと思いましたが、何とか完走しました。コメントは特にありません。(2/28)
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